(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態の状況
(資産)
当事業年度末における総資産は1,204,956千円となり、前事業年度末に比べ491,745千円増加いたしました。これは主に、現金及び預金の増加により流動資産が489,545千円増加したことや、ソフトウエアの増加により無形固定資産が22,046千円増加したことによるものであります。
(負債)
当事業年度末における負債合計は152,421千円となり、前事業年度末に比べ16,645千円増加いたしました。これは主に、預り金が12,509千円増加したことや、買掛金が12,438千円増加したことによるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は1,052,534千円となり、前事業年度末に比べ475,099千円増加いたしました。これは主に、公募増資により、資本金及び資本準備金がそれぞれ171,952千円増加し、当期純利益131,194千円の計上により利益剰余金が増加したことによるものであります。
②経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス変異株流行の影響やロシアによるウクライナ侵攻に端を発するエネルギー及び資源価格の急騰が懸念されるなど、先行きが不透明な状況で推移いたしました。
当社の事業領域である人材・就職支援業界においても新型コロナウイルス感染症の動向の影響を受けており、人の移動を伴う対面式のイベント・セミナーは中止・延期となるケースが発生しております。また、2022年7月の有効求人倍率が1.29倍(前年同月は1.15倍。厚生労働省調査)、完全失業率が2.6%(前年同月は2.8%。総務省統計局調査)となるなど、労働統計における企業の求人ニーズは幾分持ち直しが見えつつありますが、新型コロナウイルス感染症が拡大する前の数値にはまだ戻っておりません。
このような環境のなか、当社は、事業の柱である高専生向け就職活動イベント「高専生のための合同会社説明会」や新たな取り組みとなる独立行政法人国立高等専門学校機構主催の「KOSEN EXPO」等、また、大学生向けの就職活動イベント「理工系業界研究セミナー」等の企画・運営に注力することと併せ、新たな情報サイト「高専プラス」を本格稼働させて事業の拡大を図りました。
大学生向けの就職活動イベントは新型コロナウイルスの感染再拡大の影響を受け、「対面形式」開催から「オンライン形式」に急遽変更されるケースが目立ちました。そのため、他社開催のオンライン形式イベントとの差別化の訴求が十分に出来なかったことなどにより、この分野の売上は減少いたしました。一方、高専生向け就職活動イベントは「高専プラス」の効果もあり順調に推移しました。「高専プラス」は2021年10月リリースした機能により「高専生のための合同会社説明会」における参加企業情報と高専生の情報をDX化し、イベント運用の効率化を達成いたしました。また、2022年4月においてリリースした進学情報を取り扱う機能追加により2023年3月高専卒業予定者のうち、就職を希望している全国の高専生の約7割にあたる4,000人程度がサイトを使用するなど実績が積み上がってきております。
この結果、当事業年度の売上高は776,148千円(前年同期比15.6%増)、営業利益は182,261千円(同2.2%増)、経常利益は184,613千円(同1.3%減)、当期純利益は131,194千円(同4.4%減)となっております。
なお、当社は、主たる事業である学生イベントの開催日が第2、第3四半期会計期間に集中する傾向があり、通常、第2、第3四半期会計期間の売上高は第1、第4四半期会計期間の売上高と比べて著しく増加する傾向にあります。
③キャッシュ・フローの状況
当事業年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)につきましては、前事業年度末に比べ491,574千円増加し、1,070,383千円となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において、営業活動の結果得られた資金は160,387千円(前年同期比21.5%減)となりました。これは主に、税引前当期純利益197,327千円、減価償却費13,746千円、仕入債務の増加額12,438千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において、投資活動の結果支出した資金は8,575千円(前年同期は3,866千円の収入)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出35,545千円を計上したものの、保険積立金の解約による収入32,455千円を計上したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において、財務活動の結果得られた資金は339,762千円(前年同期は924千円の支出)となりました。これは主に、株式の発行による収入343,905千円によるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
イ 生産実績
当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
ロ 受注実績
当社が提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
ハ 販売実績
当社は、学生イベント事業の単一セグメントであり、当事業年度の販売実績は次のとおりであります。
サービスの名称 |
当事業年度 (自 2021年8月1日 至 2022年7月31日) |
前年同期比(%) |
就職活動イベント(千円) |
569,362 |
122.0 |
企画制作(千円) |
206,786 |
101.1 |
合計(千円) |
776,148 |
115.6 |
(注)最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10に該当する相手先がないため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成に当たりまして、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りを行うにあたり、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる結果をもたらす場合があります。当社の財務諸表で採用する重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。
②経営成績及び財政状態の分析
(売上高)
当事業年度の売上高は776,148千円(前年同期比15.6%増)となりました。主な内訳としましては、就職活動イベントサービスの売上が569,362千円(前年同期比22.0%増)、企画制作サービスの売上が206,786千円(前年同期比1.1%増)とそれぞれ伸長しております。しかしながら、就職活動イベントサービスにおける大学生向けの就職活動イベントは新型コロナウイルスの感染再拡大の影響を受け前年同期に比して24.4%減少いたしました。
(売上原価、売上総利益)
当事業年度の売上原価は172,689千円(前年同期比25.4%増)となりました。これは売上の伸長に伴う増加によるものであります。この結果、売上総利益は603,459千円(前年同期比13.1%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当事業年度の販売費及び一般管理費は421,198千円(前年同期比18.6%増)となりました。これは経営管理体制の強化のための役員報酬の増加11,985千円、事業拡大を目的とした人員体制強化による給料及び手当の増加10,401千円が主な要因です。この結果、当事業年度の営業利益は182,261千円(前年同期比2.2%増)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
当事業年度の営業外収益は新型コロナウイルス感染症関連の給付金等で5,570千円(前年同期比35.9%減)、営業外費用は新規上場にともなう株式交付費等により3,218千円(前年該当なし)となり、この結果、当事業年度の経常利益は184,613千円(前年同期比1.3%減)となりました。
(特別利益、特別損失、当期純利益)
特別利益は、代表者の生命保険解約等により15,686千円(前年同期比5.1%増)、特別損失は、器具備品等の減損処理により2,973千円(前年該当なし)となり、この結果、当事業年度の当期純利益は131,194千円(前年同期比4.4%減)となりました。
財政状態の分析内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況」をご参照ください。
③キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
④資本の財源及び資金の流動性
当社の資金需要のうち主なものは、就職活動イベント開催及び企画制作等の原価(人件費・外注費)、販売費及び一般管理費、また、新たなシステム開発などへの投資資金があります。経常運転資金は、自己資金で賄うことを考えておりますが、新たな投資への資金需要については、株式上場時の新株発行による調達資金の活用及び金融機関からの調達を予定しております。
⑤経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等の分析
当社は、売上高及び売上高営業利益率を重要な経営指標と位置付けております。
2022年7月期は、就職活動イベントサービスの中でも大学生向けの就職活動イベントの売上高が新型コロナウイルスの感染再拡大の影響を受け減少しましたが、高専生向け就職活動イベントの売上高は「高専プラス」の効果もあり順調に推移しました。この結果、売上高全体では2021年7月期に比し104,810千円増加し、776,148千円となりました。また、売上高の伸長に伴う売上原価の増加、経営体制、事業体制の強化に伴う販売管理費の増加等により、売上高営業利益率は2021年7月期に比し3.1ポイント減少し23.5%になっております。
今後も引き続き、付加価値の高い就職活動イベントの実施、就職活動に関連する各種サービスの充実、効率的な事業体制の構築に努め、売上高及び営業利益率の改善を目指してまいります。
|
2021年7月期 |
2022年7月期 |
売上高(千円) |
671,338 |
776,148 |
営業利益(千円) |
178,355 |
182,261 |
売上高営業利益率(%) |
26.6 |
23.5 |
⑥経営成績に重要な影響を与える要因
経営成績に重要な影響を与える要因については、上記「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照ください。
⑦経営者の問題意識と今後の方針について
経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり認識しております。
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