課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は当事業年度末日現在において、当社が判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

①経営理念

 当社は「イノベーションとイノベーション人材で世界をフラットにする」という経営理念を掲げ、未就業者(高専生、大学生)を中心とする求職者に対して、「就職活動が景気動向や企業の採用環境に依存しない社会を作る」という命題の実現のために、様々な「学生イベント事業」に取り組んでおります。

 現在、世界においては国連加盟193ヶ国が掲げるSDGs(※注1)国際目標がありますが、定められた17の分野における目標の課題解決には、国を超えた協力体制や一人ひとりの行動が重要になると考えられています。また、この行動を推し進めるのは、「未来を担う若年者の持つイノベーションを引き起こす力」だとも考えられております。

 当社は、事業を通してイノベーション人材が数多く育ち、様々な課題に立ち向かいながら、より良い社会が形成されていく一助を担えるよう、邁進しております。

 

②メディア総研行動規範

イ 我々の目指すところ

 我々は、未就業者(高専生、大学生)を中心とする求職者に対して、就職活動が景気動向や企業の採用環境に依存しないためにも、それぞれが自立した就職活動ができる就職支援システムを提供します。

 

ロ 我々が大切にする価値観・人生観

(a)我々は、日本・アジアの企業に有為の人材を提供し、社会に貢献します。

(b)我々は、自ら誇りと社会的責務を自覚して行動します。

(c)我々は、限界を設けず、経営理念を実現します。

 

ハ 社員に求める基本姿勢

(a)我々は、経営感覚及び社会的倫理観を重視し、経営者レベルまで人格を高めます。

(b)我々は、ノブレスオブリージュ(※注2)の考えに基づき、業務領域に属するすべての企業の模範になります。

 

ニ お客様に対する基本姿勢

 我々は、業界の常識を覆すような先進的企画と堅実な企画を併せ持つことで、顧客のニーズに応じてサービスを提供します。

 

ホ パートナー(協力者)に対する基本姿勢

(a)我々は、競争力を維持する為に、お互いが緊張感を持ちながら、友好関係を維持します。

(b)我々は、コストだけで判断せず、「不可能を可能に」するために、広く門戸を開放します。

 

※注1:SDGsとは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称であり、2015年9月の国連サミットで採択された2016年から2030年の15年間で達成するために掲げられた17の分野目標(Goals)と169のターゲット(具体的目標)で構成される国際目標である。例えば、「1.貧困をなくそう」「2.飢餓をゼロに」「3.すべての人に健康と福祉を」などがある。

※注2:ノブレスオブリージュ(〈仏語〉noblesse oblige)とは、身分の高い者はそれに応じて果たさねばならぬ社会的責任と義務があるという、欧米社会における基本的な道徳観。もとはフランスのことわざで「貴族たるもの、身分にふさわしい振る舞いをしなければならぬ」の意。当社は、ノブレスオブリージュの精神を尊重し、優秀な人材が集う会社として、すべての企業の模範となり、社会の公器として貢献しなければならないと考えている。

 

(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、就職活動イベントサービスの中でも高専生の就職活動に関する分野のリーディングカンパニーとして、関連する事業の売上拡大と安定的な利益の確保により、高い成長性を継続することを目指しています。そのため、当社は、売上高及び売上高営業利益率を重要な経営指標と位置付けております。

 

(3)経営環境及び中長期的な経営戦略

 当社が属する就職情報業界は、2008年9月に端を発するリーマンショックの影響から、2009年平均の有効求人倍率が0.47倍(厚生労働省調査)となるなど、企業の求人ニーズが急激に落ち込む事態に直面致しました。その後、金融政策による穏やかな景気回復を背景にして、2018年には平均の有効求人倍率が1.62倍(厚生労働省調査)まで上昇するなど持ち直しの兆しが見えておりましたが、景気回復が伸び悩んだことと併せ、突然の新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、再びマイナス局面を迎えました。特に新型コロナウイルス感染症拡大の影響はオンラインでの採用面接が恒常化するなど、学生の就職活動の形態が大きく変化するきっかけとなりました。また、2022年7月においても有効求人倍率は1.29倍(前年同月は1.15倍。厚生労働省調査)となり、労働統計における企業の求人ニーズは新型コロナウイルス感染症が拡大する前の数値にはまだ戻っておりません。

 当社は、今後も景気動向を含めた採用環境の変化要因を的確に見極め、更なる当社事業の拡大のために以下の中長期的な経営戦略に取り組んでまいります。

 

①高等専門学校に関する支援サービスに注力

 当社は、日本全国の高等専門学校57校(公立3校、私立3校を含む)を対象に、高専生向け就職活動イベント<当社主催型・学校主催受託型>を実施しております。また、WEBマガジン「月刊高専」を軸に全国の高等専門学校の教員と連携することで、高等専門学校の魅力を発信するとともに、就職活動イベントの運営に関して協力体制を構築しております。

 2021年7月期は、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、オンライン形式のイベント開催が求められたことから、「WEB合説サイト」にライブ配信機能、情報提供機能、タイムテーブル機能等を追加し、より、対面形式イベントに近い仕組みを構築いたしました。

 また、2021年10月よりWEBサイト「高専プラス」のサービスを開始しました。この「高専プラス」は当社主催型高専生向けイベントと連携しており、学生に対し質の高い「就職情報」の提供を行っています。それに併せて、大学編入、大学院への進学を含めた「進学情報」も提供しており、今後も全ての高専生に対し有益な情報を提供することでサービスの向上を図ってまいります。

 加えて、高等専門学校の授業の一環としてPBL(課題解決型学習)イベントを手掛けるなど、教育の質的向上を目的に、高等専門学校・高専生・教員との連携を強化してまいります。これらを通して当社の就職支援サービスを充実させ、更なる事業の拡大を図ってまいります。

 

②WEB支援サービスの拡大

 当社は、2019年6月に株式会社マグネッツを吸収合併いたしました。同社が培ったWEB・動画・DTP制作のノウハウを活かし、学生が会場に来場せずに企業とコンタクトができる「WEB合説サイト」を構築したことで、オンライン形式の開催が可能となりました。

 新型コロナウイルス感染症は依然として猛威を振るっておりますが、たとえ収束したとしても、就職活動イベントや採用面接の現場では、オンライン形式が定着すると想定されることから、オンライン形式を前提としたWEBサイトや動画による情報発信の重要性が高まることが予想されます。

 今後は、企業に対して、当社の就職活動イベントとリンクした形で、積極的にWEBサイト制作や動画制作の提案を行うことで、情報が充実した「WEB合説サイト」の構築を進めていきます。引き続き、学生と企業のニーズを的確に捉え、顧客の囲い込みを実現し、事業規模の拡大を図ってまいります。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社では下記の事項を対処すべき課題として取り組みを進めております。

①就職活動イベントにおける品質担保

 当社は、学生イベント事業において、高専生向け就職活動イベント、大学生向け就職活動イベントの開催など、毎年、一定数の就職活動イベントを開催しております。

 これら就職活動イベントは、参加する学生の確保及び企業の出展社数により収益が左右されますが、足元の景気動向や企業の採用環境の変化により、十分満足する学生数の確保及び出展社数の確保が実現できないことも想定されます。

 この課題に対処するために、高専生向け就職活動イベントでは、高等専門学校の教員と連携し、学校行事や授業の一環として実施することを推進し、より多くの高専生にコンタクトできる仕組みを構築してまいります。

 また、大学生向け就職活動イベントは、地方の大学生が首都圏等で効率的に就職活動ができる仕組みを構築するなど、イベント運営に関する改良・改善を継続的に行っております。企業に対しても優秀な学生の参加率が高く、的確に学生情報が収集できるイベントとしての認知度を高めることで、上場企業・大手企業をはじめとする優良企業の囲い込みを図ってまいります。

 

②既存事業の収益機会の創出及び拡大

 新型コロナウイルス感染症の影響から、「WEB合説サイト」を活用した、オンライン形式のイベントが増加しておりますが、今後の経済環境の変化等により、就職活動イベントの重要性が低下することや、競合企業による新たな就職活動ツールの開発など、十分な就職活動イベントの開催ができないことも予想されます。

 当社は、優秀な高専生や大学生を囲い込むことができれば、対面形式、オンライン形式といったイベントの形式を問わず、企業のニーズに応えることができると考えておりますので、WEBマガジン「月刊高専」を軸に、高等専門学校の教員等との連携や協力体制を強め、新たな就職活動イベント企画の開発に注力してまいります。

 また、高等専門学校は、5年制の教育機関である本科を卒業すると、さらに高度な専門的知識・技術を高める2年制の専攻科へ進学する場合や大学3年へ編入学する場合など、多様なキャリアパスが用意されております。

 現在、国立大学及びその大学院の理工系学部は、高専生の編入学に対するニーズが強く、各研究室が高専生へ入学希望者を募集するなど、高等専門学校と理工系の学部・研究室とのつながりは、強くなる傾向にあると考えております。

 当社は、高等専門学校の教員との連携を活かし、理工系学部や研究室への編入学支援を行うことで、国立大学及びその大学院の理工系学部との連携強化を進めてまいります。当社と高等専門学校の教員との関係と同様に、各研究室の教授・教員との連携を強め、新たな大学生向け就職活動イベントの開催等を企画するとともに、「WEB合説サイト」をはじめとするシステムの充実などにより、収益機会の創出及び拡大を図ってまいります。

 

③システムの安定性の確保

 当社は、「WEB合説サイト」をはじめとするインターネット上で各種サービスの提供を行っている関係上、様々な要因で発生するシステム障害により、学生や企業に対して満足な就職活動イベントが提供できない可能性があります。この課題に対処するために、サーバーの増強、安定した通信回線の確保、負荷分散システムの導入といったハード面はもとより、システム監視・管理体制の充実等ソフト面が重要となると考え、2021年7月期より、組織的な監視・管理体制の整備を目的にシステム部を設置し、IT人材の採用・拡充を行っております。今後も継続的にシステム投資やIT人材の採用等を行い、システムの安定性確保に取り組んでまいります。

 

④経営管理体制の強化

 当社が今後も事業の継続や拡大を進めるためには、事業や組織運営上の問題点の把握・集約・改善が必要であり、そのためにもコンプライアンスの遵守や経営管理体制の構築はもとより、コーポレート・ガバナンスの強化が重要であると認識しております。

 この課題に対処するために、全役員・従業員向けに定期的な教育を行い、コンプライアンスの遵守及び経営管理体制の重要性について周知を図っております。

 

⑤優秀な人材の確保と労働生産性の向上

 当社は、持続的な企業成長を実現するためには、就職活動イベント企画、WEBサイト構築、システム開発など高付加価値サービスを提供できる人材をより多く確保するとともに、生産性を継続的に改善していくことが必要であると考えております。そのため当社では、優秀な人材を確保するために継続的な採用活動を行い、従業員への教育・研修体制の充実を図るとともに、各部門の業務効率化・省力化を目的に各種システムの構築及び連携を行うことで、全社的な生産性の向上に努めてまいります。

 

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