当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当社は、2021年10月1日付で単独株式移転により株式会社長大の完全親会社として設立されました。当報告書は設立第1期として提出するものであるため、前連結会計年度との対比は行っておりません。
① 財政状態及び経営成績の状況
当社グループにおきましては、2019年10月に公表いたしました中期経営計画「持続成長プラン2019」に基づき、新たな取組みを実施してまいりました。
その3年目となる当連結会計年度は、連結売上高は376億4百万円となりました。また、連結営業利益におきましても、33億97百万円となりました。これは道路事業、構造事業、地質調査等の基幹事業の受注増加を図ることができたためです。
新型コロナウイルス感染症の影響におきましては軽微であり、今後、感染拡大が抑制され、経済活動の本格的な再開が期待されておりますが、収束時期等は不確実性が高い事象であることから、感染の最新の状況や収束に関する情報等を踏まえ、取締役会、グループ連携推進会議等における意思決定、業績予想等の策定を行っていくこととしております。
業務としては、基幹事業である構造、道路、交通・ITS、環境などに加え、災害対応事業、インフラ維持管理や老朽化対策事業、PPP/PFIに代表される地域創生事業、またエネルギー関連事業などに積極的に取組んでまいりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
[コンサルタント事業]当連結会計年度の受注高は378億15百万円、売上高は364億46百万円となりました。
構造事業については、株式会社長大が主に手掛けており、主軸である橋梁設計の他、維持管理や老朽化対策、耐震補強業務等を実施してまいりました。橋梁点検ロボット(特許取得済)の実用化、高度橋梁監理システム(i-Bridge)の実用化に向けたフィールド実験など、次世代の橋梁管理の技術開発に積極的に取組んでおります。
社会基盤事業については、株式会社長大、株式会社長大テックが主に手掛けており、道路構造物の維持管理、更新に向けた各種点検業務や道路管理データベース構築業務、交通需要予測や事業評価業務などに加え、自動車の移動情報、挙動情報に関するビッグデータ処理による渋滞や事故評価業務などに取組んでまいりました。また、モビリティと駅前再開発の融合であるバスタ事業など、新たな都市機能の強化事業についても積極的に取組んでおります。さらに、ITS・情報/電気通信事業では、福島県双葉郡浪江町において新たなモビリティサービスの実証実験に参画するなど、自社技術の展開による次世代移動支援の実現に向け、グループをあげて取組んでまいりました。
社会創生事業については、株式会社長大が主に手掛けており、基幹である環境事業の他、PPP/PFIや建築計画・設計等のまちづくり事業に積極的に取組み、安定的に売上を伸ばしております。環境・新エネルギー事業では、国内外における再生可能エネルギー事業でのコンサルティングに取組んでまいりました。また、水力、風力、地熱、バイオマスなど再生可能エネルギー発電事業に多く取組んでまいりました。さらに、内閣府の推進するスーパーシティの実現に向けてスーパーシティオープンラボに参加するとともに、現在はデジタル田園都市国家構想において北海道更別村の「北海道更別村SUPER VILLAGE構想」への取組みを推進しております。その他、数年前から本格スタートした防衛関連事業においても、構造物設計、交通、環境分野から建築分野まで幅広く受注するなど、積極的な展開を図っております。
地質・土質事業については、基礎地盤コンサルタンツ株式会社が主に手掛けており、基幹の地質・土質調査関連事業を基軸に、売上高を安定的に推移することができております。「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」を背景に、既存の土木インフラに対する地質調査や地盤解析の分野で多くの案件に取組むとともに、災害からの復興に伴う地質調査・対策工設計などに取組んでまいりました。また、再生可能エネルギー分野において、複数の洋上風力発電事業や地熱発電事業、災害対策に伴う地質調査・診断などに取組んでまいりました。
海外事業については、株式会社長大、基礎地盤コンサルタンツ株式会社が主に手掛けており、橋梁設計、施工監理業務、また地質調査などに積極的に取組んでおります。
[サービスプロバイダ事業]当連結会計年度の受注高は6億90百万円、売上高は6億68百万円となりました。
国内では、地元企業と連携したPark-PFI事業の運営や自治体と連携したバイオマス発電事業の事業化など、地域創生に資する事業の推進に取組んでまいりました。また、海外では、フィリピン国ミンダナオ島における「カラガ地域総合地域経済開発プロジェクト」について着実に進展しております。既に供用開始しているアシガ川小水力発電所やタギボ川上水供給コンセッション事業についても順調に稼動しております。今後は、フィリピン国内でのインフラ整備事業や、インドネシア国でのエネルギーマネジメント事業など、アジア諸国での展開を推進させてまいります。
[プロダクツ事業]当連結会計年度の受注高は7億59百万円、売上高4億88百万円となりました。
型枠リースシステムは、従来のコンクリート型枠を使用した際に発生する廃材について、循環型資材への転換を図ることで削減提案する商品であり、SDGsに対応し、継続的に顧客にご使用いただいております。またコンクリート用夜間反射塗料、バイオグリーンシールドなどオリジナル商品を拡充し、ラインアップの充実を図っております。
上記の各事業を支える業務執行体制面では、効率化施策を着実に実行してまいりました。今後はグループをあげて、更なる効率化やAIを駆使したIT化施策を積極的に実行してまいります。
また当社では「コーポレートガバナンス基本方針」を公表しておりますが、この基本方針の下、今後もより一層、透明、公正な意思決定を行い、持続的成長に向けた取組みを着実に実施してまいります。
この結果、当連結会計年度における当社グループ全体の業績といたしましては、受注高は392億65百万円、売上高は376億4百万円となりました。
利益面では、営業利益33億97百万円、経常利益38億91百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が23億33百万円となりました。
当連結会計年度末における財政状態は以下のとおりであります。
〔資産〕
当連結会計年度末の資産合計は334億63百万円となりました。流動資産は233億69百万円となり、固定資産は100億93百万円となりました。
流動資産の主な内訳は、現金及び預金75億21百万円、受取手形、完成業務未収入金及び契約資産118億84百万円、未成業務支出金11億91百万円であります。
固定資産の主な内訳は、土地22億66百万円など有形固定資産48億88百万円、無形固定資産1億97百万円、繰延税金資産16億65百万円など投資その他の資産50億7百万円であります。
〔負債〕
当連結会計年度末の負債合計は136億23百万円となりました。流動負債は96億59百万円となり、固定負債は39億63百万円となりました。
流動負債の主な内訳は、業務未払金23億56百万円、未成業務受入金26億88百万円であります。
固定負債の主な内訳は、長期借入金8億26百万円、退職給付に係る負債25億58百万円であります。
〔純資産〕
当連結会計年度末の純資産合計は198億39百万円となりました。
主な内訳は、資本金31億7百万円、資本剰余金52億68百万円、利益剰余金121億55百万円であります。
これらの結果、自己資本比率は59.0%となっております。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は 74億13百万円 となりました。また、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は12億34百万円となりました。
これは主に税金等調整前当期純利益の計上36億67百万円、未成業務支出金の減少額51億78百万円があったものの、売上債権の増加額58億41百万円、未成業務受入金の減少額19億99百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は9億41百万円となりました。
これは主に有形固定資産の取得による支出5億58百万円、貸付による支出3億77百万円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は7億67百万円となりました。
これは主に短期借入れによる収入35億3百万円があったものの、短期借入れの返済による支出35億3百万円、配当金支払による支出6億68百万円、自己株式の取得による支出4億73百万円があったことによるものであります。
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間の内部振替後の数値によっております。
当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されています。この連結財務諸表を作成するために、会計方針の選択、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを行っております。経営者は、これらの見積もりについて過去の経験・実績や現在及び見込まれる経済状況など勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積りの不確実性があるため、これらの見積りと異なる結果になる場合があります。
(繰延税金資産の回収可能性)
当社グループは、将来の課税所得に関するものを含めた様々な予測・仮定に基づいて繰延税金資産を計上しており、実際の結果がかかる予測・仮定とは異なる可能性があります。また、将来の課税所得に関する予測・課税に基づいて、当社又は子会社が繰延税金資産の一部又は全部の回収ができないと判断した場合、当社グループの繰延税金資産は減額され、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。繰延税金資産の詳細については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(税効果会計関係)」をご覧ください。
(受注損失引当金の算定)
当社グループでは、受注契約に係る将来の損失に備えるため、当連結会計年度末時点で将来の損失が見込まれ、かつ、当該損失額を合理的に見積もることが可能なものについては、翌連結会計年度以降に発生が見込まれる損失額を計上しております。当該損失額は、将来の起こりうる結果を総合的に勘案して算定しておりますが、受注損失引当金の算定において使用される仮定は、見積りの変化によって影響を受ける可能性があります。当社グループでは、受注損失引当金が適切かどうかを常に確認しており、発生が見込まれる損失額について、必要十分な金額を引当計上していると考えていますが、実際の発生は、見積りと異なることがあり、受注損失引当金の計上金額が大きく修正される可能性があります。
(一定の期間にわたり履行義務を充足し認識する収益)
当社グループは、一定の期間にわたり履行義務が充足される契約については、履行義務の充足に係る進捗度を見積り、一定の期間にわたり収益を認識しております。
詳細については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」をご覧ください。
(固定資産の減損処理)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産について、当該資産から得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、将来の利益計画や市場環境の変化により、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の感染状況や収束時期等を含む仮定に関する情報は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しています。
1)経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標について、当社グループは2021年11月に公表いたしました「2022年9月期通期連結業績予想および配当予想に関するお知らせ」において、当連結会計年度の業績予想として、売上高357億円、営業利益26億70百万円としておりました。
当連結会計年度の売上高は376億4百万円となり、経営成績目標と比べて19億4百万円の増収となりました。これは主に国内コンサルタント事業のうち特に基幹事業の安定受注に加えて、国土強靭化に向けての災害対策事業や社会資本の老朽化対策事業、またPPP/PFIに代表される地域創生事業、更に再生可能エネルギー関連事業を推進したことによるものです。
売上原価は、261億73百万円となりました。この結果、売上総利益は114億30百万円となり、また、売上総利益率は30.4%となりました。
販売費及び一般管理費は、80億32百万円となり、売上高に対する比率では21.4%となりました。
これにより、営業利益は33億97百万円となり、売上高営業利益率は9.0%となりました。
営業外損益は、4億94百万円となりました。これは主に受取保険金1億95百万円に加え、為替差益2億31百万円が発生したことによるものです。
この結果、経常利益は38億91百万円となり、売上高経常利益率は10.3%となりました。
特別損失は、2億24百万円となりました。これは主に減損損失2億10百万円が発生したことによるものです。
これにより、税金等調整前当期純利益は36億67百万円となりました。
法人税等合計は、13億24百万円となりました。これは主に法人税・住民税及び事業税を14億35百万円計上したことによるものです。
これにより、当期純利益は23億42百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は23億33百万円となりました。
以上より、当連結会計年度は順調な経営成績が得られたと判断しております。
2)資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金の主な需要は、業務に関わる原価(固定費,変動費)、販売費、一般管理費等であります。事業の発展に向けての投資資金需要は、設備投資や研究開発投資に加え、事業案件等への事業投資によるものであります。
短期的運転資金は自己資金並びに金融機関からの短期借入金を、また事業投資等に関しては主に自己資金を基本としております。
当社グループは、上記のように資金の流動性を高めると共に、それら資本財源の安定的確保をより一層高めるよう努めてまいります。
なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は、13億35百万円となっております。
3)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当連結会計年度は、中期経営計画「持続成長プラン2019」の3年目となります。目標とする経営指標として連結における売上高並びに営業利益を掲げました。これらの目標に対する当連結会計年度の実績は下表のとおりの結果となりました。
(単位:百万円)
連結売上高は目標に対し5.3%の増加となりました。また、連結営業利益におきましても、目標に対し13.3%の増加となりました。
2022年11月に公表いたしました中期経営計画「持続成長プラン2025」におきましては、目標とする経営指標として連結における売上高、営業利益に加え、それらを実現するために必要不可欠となる従業員数を掲げております。
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