課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社のビジョンは「21世紀の革新的サービスをラストワンマイルで1人でも多くに伝え、世界中のお客様に幸せを届ける」であります。その実現のために、高品質な顧客対応を行うことが当社グループにとっての最優先事項です。

私たちの生きている21世紀は、テクノロジーが過去に例を見ないスピードで進化しております。近年では、革新的なサービスが世界中で次々と生まれては消えており、生活に必要不可欠なライフラインサービスも日々進化を続けております。そして、テクノロジーの急速な発展による情報の混沌化や情報格差は、今後益々加速していくと予測されます。しかし、いくら革新的なサービスがあっても、お客様が本当に素晴らしいと思えるサービスをお客様自身で選択できないと意味がありません。

当社グループはインサイドセールスを活用し、お客様と最後まで直接対話を行い、お客様が本当に必要なサービスを選択できるよう、お客様それぞれのニーズを踏まえた情報を届けております。

WEB広告でもマス広告でも届かない、お客様との最後の一手を繋ぐセールスとサービスのハイブリッドプロバイダーとして、「ラストワンマイル」の価値をインサイドセールスで最大化し、より良いサービスを世界中に届けてまいります。

 

(2)経営戦略等

当社グループは、主に新生活を迎える個人と新規出店や店舗改装を行う法人に対して「最高のサービス」を「必要なタイミング」に「最適な方法」で届けることを追求する「ラストワンマイル事業」を単一セグメントとして事業展開しております。したがいまして、市場における個人または法人の引越しや移転改装のタイミングの把握とサービス提供手法の最適化、顧客が本当に必要とするサービスの選定と顕在ニーズを反映させたサービスの構築、主にこの二点についての動向を注視しつつ、販路の強化と拡大、サービスラインナップの充実と自社サービスの顧客満足度の最大化をグループ各社で行ってまいります。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、事業を継続的に発展させていくためには、収益力を高め、適正な利益確保を図っていくことが重要と認識しており、売上高、営業利益及び経常利益に加え、サービス流通数(注)の増大を重要な経営指標として位置づけております。当該指標の算出方法は当社グループにより契約取次が行われた件数を集計し算出しております。また、サービス流通を加速させるため、顧客とのタッチポイントを増加させることも重要と認識しており、不動産企業をはじめとした提携企業からの連携顧客数も併せて注視しております。なお、過去3年間のサービス流通数、連携顧客数の推移は以下のとおりであります。

決算年月

2019年11月

2020年11月

2021年11月

2022年8月

サービス流通数(件)

110,053

126,890

169,244

158,167

連携顧客数(件)

232,110

260,795

302,631

350,184

 

(注)1.当社グループの自社サービス及び当社グループが取次販売をしている他社サービスの契約申込み数の合計であり、1人の顧客が複数のサービスを契約した場合はそれぞれを1件として集計しております。

2.既に販売を停止ないし停止する予定のサービスは除いております。

 

(4)経営環境

①社会環境

我が国では近年の目覚ましいIT技術の発展により、様々な顧客とサービスをつなぐ情報連携基盤の整備が推進され、国民に最適化されたサービスと実質的なベネフィットを提供するための素地が整備されつつあります。こうした流れを受け、政府においては「世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」(2018年6月15日閣議決定)等を定め、国、自治体、民間事業者等が連携し、分野・組織を超えたデータ利活用とサービス提供を可能とすることを目指してきました。また、国民一人ひとりが引越し等のライフイベントを迎える度に、多くの行政関係手続きや民間関係を行う負担が生じ、多くの時間や手間、コストを要している現状を踏まえ、行政関係手続きの見直しのみならず民間関係手続きを含めた引越しに伴う手続き全体を、利用者を起点としたサービスデザイン思考で捉え、解決策を模索していくことが求められております。

このような環境下で、内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室により「引越しワンストップサービス実現に向けた方策のとりまとめ」が進められており、民間においても引越しに伴う手続きの効率化・簡素化が求められており、当社グループ事業もその一端を担うものです。また、昨今ではサービスの多様化・複雑化に伴い、引越し手配・各種保険手続き・ライフラインの契約など、入退去に伴う手続きが煩雑化している状態です。このような新生活を迎える消費者に対して、各サービス提供事業者は、既存の事業内容に沿ってサービスの拡充を図っておりますが、当社グループはそのようなサービス提供事業者と、新生活を迎える顧客とを横断的かつ効率的に「つなげる」プラットフォーム提供者として、独占的な地位の確立を目指しております。

 

②当社グループが取扱うサービスについて

当社グループが提供する自社サービスは電気、ガス、宅配水、インターネット回線等を中心とした生活関連インフラサービスであり、同様のサービスを提供する競合企業が複数存在しております。当社グループは、新生活マーケットに特化しサービス提供事業者、サービス販売事業者両方の立ち位置を有するハイブリッドプロバイダーとして、顧客が新生活を始めるにあたり必要となる電気、ガス、インターネット等の生活インフラサービスを、ワンストップで代行し、顧客の手間を削減できる唯一無二のブランド力の向上を図ってまいります。

 

③市場動向

日本では少子高齢化問題により日本人口の減少が予測されておりますが、当社グループのターゲットとする新生活の市場母数は「世帯数」で捉えております。単独世帯の増加とともに世帯数も増加しており、2022年の国勢調査では、2021年の世帯数は5,976万1千世帯となり、人口の減少傾向が見受けられ始めた2010年と比較すると598万世帯が増加しております。

また「2018年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計」では、単身世帯の借家の割合が58.4%を占めており、今後単身世帯の増加とともに賃貸物件のニーズも比例して高まることが予測されます。賃貸物件は契約更新のタイミングが必ず訪れるため、その度にビジネスチャンスを獲得できます。

当社グループはその大きな市場で、新生活をきっかけとして顧客の生活に寄り添い、契約の更新や再移転、店舗のリニューアル等の引越し後のライフイベントについても、その時々のニーズに合わせて提案を行い、ライフタイムバリューを向上させることを事業成長戦略の根幹としております。今後はマーケティングオートメーション(注)1・CRM(注)2等システム面をさらに強化し、顧客の様々なニーズをいち早く自動的に感知する仕組みを構築し、さらなる事業拡大を図ります。

(注)1.見込み顧客情報を一元管理し、主にメール・SNS・Web等を活用し、営業活動を自動化するシステムです。

2.カスタマーリレーションシップマネジメントの略称であり、顧客情報や履歴情報を集約して、一人ひとりの顧客に対して適切な対応を行うことで、顧客との良好な関係を維持・促進するためのシステムです。

 

④販売網及び顧客基盤

新生活のタイミングとは、引越し業者の選定、荷造り、各種行政手続きや様々な個人情報の登録変更などに加え、新生活に必要不可欠なインフラサービスの手配も顧客自身で行わなければならず、顧客にとって非常に煩雑な手続きが発生するタイミングです。当社グループでは不動産企業との連携により、物件契約という新生活の流れの中で最上流のタイミングであり、最もサービスを必要としているタイミングにお客様をご紹介いただいております。そのタイミングに当社グループのオペレーターが新生活関連サービスを一括案内し、面倒なサービス選定・契約・移転手続きの手間をワンストップで解決しております。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループで認識している優先的に対処すべき事業上の課題は以下のとおりです。なお、当社グループの収益構造の特徴として、フロー型収益とストック型の収益の両方を得ております。即ちフロー型収益により当座で必要となる運転資金をまかなうとともに、ストック型収益を得ることにより、安定的な経営に寄与しています。

2022年8月末時点では、自己資本比率が30%を超えております。また、当社グループでは現在、3つの金融機関と合計2億5,000万円の当座貸越契約を締結しており急な資金需要に耐えられる体制を構築しており当社グループとしては現状財務体質に重要な課題は無いと考えており、財務上の課題は記載しておりません。

 

利益向上のためのサービス選定

当社グループでは他社サービス取次により得られるフロー型収益と、自社サービス「まるっとシリーズ」の提供により顧客から毎月の利用料を得られるストック型収益の2種類の収益を得ております。フロー型収益は手数料を得られるのは一度だけですが、一度に得られる手数料の金額がストック型収益に比べ高額であります。一方、ストック型収益は、自社サービス「まるっとシリーズ」の提供を行い、顧客から月額利用料を徴収した収益であり、顧客が契約している限り(注)継続的に利用収入が得られ、新規顧客が増加することで収益が積み上がっていくというメリットがそれぞれにあります。 当社ではフロー型、ストック型に捉われず、長期的な利益を獲得できるサービスを選定、または廃止することで、永続的な利益向上を目指してまいります。

 

②サービス拡充によるライフタイムバリューの向上

現在、当社グループでは自社サービス、他社サービス問わず取り揃え、電気やガスなどの生活インフラサービスを中心に利便性の高いサービスを提供しております。1人の顧客に対する販売機会から得られる収益を最大化することを課題として認識しており、自社サービスにおいては、当社グループがラストワンマイル事業で得た顧客の生の声をフレキシブルに反映してサービスの改善を行うことができるという強みがあるため、自社サービスを拡充することで顧客満足度向上につながり、また、複数サービスの申込みにより顧客単価の向上にも寄与します。

今後は生活インフラサービスだけではなく、顧客の人生の中に訪れる様々なライフイベントに存在する顕在ニーズに合わせた顧客にとっての「最高のサービス」を多種多様に取り揃え、その度に提供していくことで契約年数を延長させる仕組みを構築し、さらなるライフタイムバリューの向上を図ります。

 

③販売手法の拡充・システム強化によるアクティブユーザーの増加

販売手法の拡充は顧客数の増加に直結するため、ラストワンマイル事業の発展にとって、ライフタイムバリューの向上とともに重要な要素であります。当社グループは主に自社運営のインサイドセールスやフィールドセールス、LINE、SMSを活用した販売活動を展開しており、顧客にとって「最適な方法」を選択できるという利便性向上のみならず、営業生産性も高めております。今後は時代の変化を敏感にキャッチし、常に顧客の求める「最適な方法」で提供できるよう、販売手法を拡充してまいります。

また、「必要なタイミング」においては、現在の主要販路である、提携企業との連携を強化、提携先の新規開拓により強固な基盤を構築し、新生活関連市場のシェア拡大を目指してまいります。さらには、マーケティングオートメーション(注)1・CRM(注)2等のシステムを活用し、引越し・移転・結婚・出産等、顧客の様々なライフイベントをいち早くキャッチし、顧客との接点を増加させることで解約率を低減させ、アクティブユーザーの増加を目指します。

(注)1.見込み顧客情報を一元管理し、主にメール・SNS・Web等を活用し、営業活動を自動化するシステムです。

2.カスタマーリレーションシップマネジメントの略称であり、顧客情報や履歴情報を集約して、一人ひとりの顧客に対して適切な対応を行うことで、顧客との良好な関係を維持・促進するためのシステムです。

 

 

④内部管理体制の強化

当社グループは、今後もより一層の事業拡大を見込んでおり、経営の公正性・透明性を確保するための内部管理体制の強化が重要な課題であると考えております。このため、今後の事業拡大を見据えた、更なる内部管理体制強化に取り組んでまいります。

 

⑤情報管理体制の強化

当社グループは、自社サービスの顧客情報を含む個人情報を取り扱っております。これらの情報につきましては、社内規程の厳格な運用、定期的な社内教育の実施、システム環境の整備などを行うことで厳密に管理しておりますが、今後も重要な課題のひとつとして認識し、管理体制の強化に取り組んでまいります。

 

⑥優秀な人材の確保

当社グループは、今後の事業拡大に伴い、当社グループの経営理念に共感し高い意欲を持った優秀な人材を継続的に採用していく必要があると考えております。労働市場における知名度の向上を図り採用力の向上に努めるとともに、業務環境や福利厚生の改善により採用した人材の離職率の低減も図ってまいります。

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