(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
(資産)
当事業年度末における流動資産は、前事業年度末に比べ1,512,133千円増加し、2,197,158千円となりました。これは主に、上場に伴う増資及びストック・オプションの行使等により、現金及び預金が1,539,072千円増加したことによるものであります。
当事業年度末における固定資産は、前事業年度末に比べ78,033千円増加し、434,162千円となりました。これは主に、開発していたソフトウエアが完成したことによりソフトウエアが57,197千円増加したことによるものであります。
上記の結果として、総資産は2,631,321千円となり、前事業年度末に比べ1,590,166千円増加いたしました。
(負債)
当事業年度末における流動負債は、前事業年度末に比べ36,675千円増加し、464,071千円となりました。これは主に、前受金が34,349千円、未払消費税等が17,999千円減少する一方で、未払法人税等が48,632千円、未払金が36,001千円増加したことによるものであります。
当事業年度末における固定負債は、前事業年度末に比べ9,996千円減少し、15,014千円となりました。これは長期借入金が9,996千円減少したことによるものであります。
上記の結果として、負債合計は479,085千円となり、前事業年度末に比べ26,679千円増加いたしました。
(純資産)
当事業年度末における純資産は、前事業年度末に比べ1,563,486千円増加し、2,152,235千円となりました。これは主に、上場に伴う増資及びストック・オプションの行使により、資本金及び資本剰余金がそれぞれ708,185千円増加したことによるものであります。
② 経営成績の状況
当事業年度(2021年10月1日から2022年9月30日まで)において、当社のクライアントが属するローカルビジネス業界は、新型コロナウイルス感染症に対する行動制限が緩やかになってきたものの、2022年7月からは第7波として新型コロナウイルス感染症の感染者数が再び増え、人々の外出への警戒心が強まったことから、ローカルビジネス業界における売上の伸びは鈍化が続いており、苦戦を強いられております。さらに、ウクライナ情勢の影響による原材料・エネルギー価格の高騰や、急激な円安の進行による物価の高騰等により、当社のクライアントの中でも値上げを余儀なくされる店舗が増えていることから、個人消費の減退が懸念され、依然として先行きは不透明な状況にあります。
一方、新型コロナウイルス感染症に対する行動制限の緩和に伴い、外国人観光客に対する水際対策も、入国者数の上限の見直しや、2022年9月からは添乗員なしパッケージツアーの受け入れを再開する等、経済活動に対する制約が徐々に緩和され、インバウンド需要においては回復の色が強まってきております。
そのような状況下、当社では日々変化するニーズを適時適切に把握し、当社の主力サービスであるSaaS型統合マーケティングツール「C-mo」に、ローカルビジネスのマーケティング課題の解決に寄与する新機能を付随しリリースすると同時に、営業構造を強化することで、顧客満足度向上とシェアの拡大に努めてまいりました。
営業構造の強化につきましては、アライアンス企業からの紹介が約7割、直販が約3割という構造となっておりますが、それぞれ更なる強化を続けてまいりました。
アライアンス企業に対しては、前事業年度に引き続き、勉強会や紹介店舗の進捗報告会を開催するほか、営業同行を行うことで、関係性の強化や紹介の活性化に取り組んでおります。同時に、アライアンス企業の新規開拓も継続的に行っており、当事業年度末のアライアンス企業数は413社となりました。
直販に関しては、2022年1月から開始したサロンオーナー及び店舗の販促責任者向け無料ウェビナー「サロテツ~SALONの鉄人~」に、2022年9月末時点で延べ約7,000名の方に参加いただいており、当社の知名度向上並びに、新規契約の獲得に繋がっております。
この結果、当事業年度の経営成績は、売上高2,182,083千円(前期比14.4%増)、営業利益243,426千円(同47.1%増)、経常利益243,296千円(同44.6%増)、当期純利益148,516千円(同25.8%増)となりました。
なお、当社の事業はローカルビジネスDX事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前事業年度末に比べ1,539,072千円増加し、2,022,533千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における営業活動の結果、獲得した資金は289,135千円(前期比30.5%増)となりました。これは主に、資金の増加要因としては、税引前当期純利益244,696千円によるものですが、一方で、資金の減少要因としては、法人税等の支払額70,640千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における投資活動の結果、使用した資金は156,437千円(前期比98.4%増)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出142,393千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における財務活動の結果、獲得した資金は1,406,374千円(前事業年度は9,996千円の使用)となりました。これは主に、上場に伴う株式の発行による収入1,403,370千円によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社は生産活動を行っていないため、該当事項はありません。
b.受注実績
当社が提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
c.販売実績
当事業年度の販売実績は次のとおりであります。
なお、当社の事業はローカルビジネスDX事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
セグメントの名称 |
金額(千円) |
前年同期比(%) |
ローカルビジネスDX事業 |
2,182,083 |
14.4 |
(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上の相手先がいないため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたりまして、経営者により、一定の会計基準の範囲内で、かつ、合理的と考えられる見積りが行われている部分があり、資産・負債、収益・費用の金額に反映されております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。なお、当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5.経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態に関する認識及び分析・検討内容
当事業年度の財政状態の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」に記載のとおりであります。
b.経営成績に関する認識及び分析・検討内容
(売上高及び営業利益)
当事業年度の売上高は2,182,083千円(前期比14.4%増)、営業利益は243,426千円(同47.1%増)となりました。これは前事業年度に引き続き新型コロナウイルス感染症の感染拡大が続いていたため、グルメ業界のクライアントに対して、減免・値引の対応や、第4四半期会計期間に販促支援金を計上した一方で、「C+」のクライアントが「C-mo」への契約切替を行ったり、新規のクライアント獲得が順調に進んだため、利益率の高い「C-mo」の売上高に占める割合が上昇したことによるものであります。
(営業外損益及び経常利益)
当事業年度の営業外収益は320千円(前期比89.9%減)であります。また当事業年度の営業外費用は450千円(同15.2%増)であります。
この結果、経常利益は243,296千円(同44.6%増)となりました。
(当期純利益)
法人税等合計にて、96,180千円(前期比91.4%増)を計上しております。
この結果、当期純利益は148,516千円(同25.8%増)となっております。
③ キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社の運転資金需要のうち、主なものは労務費、外注費並びに販売費及び一般管理費等であり、投資を目的とした資金需要は、有形固定資産及び無形固定資産の取得によるものであります。
これらの資金は、自己資金、金融機関からの借入、新株発行等により資金調達していくことを基本としておりますが、財政状態を勘案しつつ、資金使途及び需要額に応じて柔軟に検討を行う予定であります。
⑥ 経営の問題意識と今後の方針について
ローカルビジネスのうち、当社がターゲットとしているビューティー業界、グルメ業界、トラベル業界、アパレル業界の市場規模は、約134万店舗という国内有数の大きなマーケットであります。
当社の事業であるローカルビジネスDX事業においては、当事業年度末現在において、主なサービス提供先の業界は、ビューティー業界及びグルメ業界となっておりますが、サービスの提供先地域につきましては、比較的人口が多い地区(関東・東海・関西)が中心となっており地方エリアへのアプローチには課題があると認識しております。
過年度は同じ業界をクライアントに持つ大手企業を中心に協業を図り、紹介による営業活動に注力しておりました。今後は地方(北海道や九州等)に拠点を持つ企業との協業の強化を図るとともに、販売促進費をデジタルマーケティングに投下し、現在当社のサービスが及んでいない地域や規模の企業にまで、当社サービスを認知していただけるよう、営業体制を見直す方針でございます。具体的には、オンラインセミナーの開催告知と集客、当社が運営しているトレンド情報サイトへのアクセス増加やSNSアカウントの利用等、販売促進費を投下してWeb上で促すことで、直販でもリード獲得ができる営業体制へと強化してまいります。
また、当社がサービス提供を行う業界を、現在のビューティー業界、グルメ業界に留めることなく、今後は当社の更なるターゲットとしているトラベル業界へのサービス提供をするべく、業界ごとの研究・開発を早期に進めます。
そのため、人員の補強、組織の強化が重要な経営課題のひとつと捉えており、今後も優秀な人材を継続的に採用、また育成を行い、組織を強化してまいります。
⑦ 経営目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗について
当社は経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標として、「C-mo」の契約店舗数を主要な経営指標と位置付けております。また、契約店舗数増加のためには顧客満足度の改善が必須であることから、「C-mo」の解約率についても主要な指標と位置付けております。
当事業年度において、当社の経営戦略としては、前事業年度に引き続き、新型コロナウイルス感染症の影響が比較的軽微であるビューティー業界を中心に、「C-mo」の新規契約店舗の拡大を進めてまいりましたが、新型コロナウイルス感染症が徐々に収束に向かう兆しが見え始めた第4四半期会計期間には、グルメ業界における新規受注も増え始めました。「C-mo」の機能が拡充するにつれ、「C+」を提供しているクライアントから「C-mo」への切り替えのご要望が発生し、それをお受けしたことも相まって、「C-mo」の契約店舗数は順調に伸びていると考えております。
また、「C-mo」はSaaS型の月額収益構造であるため、売上高増加のためには、解約率を低く安定させることも重要な経営指標であると考えており、既存クライアントの満足度向上を促すため、継続的な機能拡充と併せて、「C-mo」のサポート担当であるカスタマーサクセスの体制強化を行っております。
カスタマーサクセスが行うサポートの内容といたしましては、通常のシステムの操作等の問い合わせ対応だけではなく、クライアントが属する業界のトレンド情報等のレポート送付、「C-mo」の機能を利用した施策提案等、当社からクライアントに対して電話やWeb会議システムを利用しコミュニケーションを図ったり、「C-mo」をより効果的にご利用いただけるようにウェビナーを開催する等、クライアントへのフォローを行うことで、解約率の低減に尽力しております。
項目 |
2020年9月期末 |
2021年9月期末 |
2022年9月期末 |
「C-mo」契約店舗数 |
1,942 |
2,931 |
3,984 |
項目 |
2020年9月期 |
2021年9月期 |
2022年9月期 |
「C-mo」解約率 |
4.3% |
2.6% |
1.9% |
(注)解約率は、各期末(9月)時点における直近6ヶ月の平均値にて算出しております。
2020年9月期は、新型コロナウイルス感染症の影響を受け解約率が高くなっております
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