当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当事業年度の期首から適用しております。この結果、前事業年度と収益の会計処理が異なることから、以下の経営成績に関する説明においては増減額及び前年同期比(%)を記載せずに説明しております。
新型コロナウイルス感染症による影響は徐々に落ち着きつつあり、個人消費の持ち直しの動きが継続する一方で、中国における感染再拡大の影響やウクライナ情勢等を背景とした世界的な原材料価格の高騰等もあり、依然として不透明な状況が続いております。
当社の属する高齢者向け配食サービス市場におきましては、高齢者人口及び一人暮らし高齢者世帯の増加等を背景に、市場は引き続き拡大傾向が続いております。また、2025年からは団塊の世代が当社のメイン顧客層である後期高齢者になることから、更なる拡大が予測されております。
このような状況の下、当社におきましては、群馬・栃木両工場の安定稼働の実現とともに、2022年3月には加須物流センターが稼働を開始した結果、製造能力・保管能力が大幅に強化されたため、積極的な販売促進活動を実施し売上拡大に努めてまいりました。また、加須物流センターの余剰スペースを活用した倉庫業を開始したほか、2022年3月には外部に委託していた冷蔵商材の製造の一部を自社工場へ移管したことにより、栃木工場の稼働率は上昇いたしました。
製造面については、売上が拡大したことによる製造量増に伴い材料費、労務費、水道光熱費等が増加しました。加えて2021年3月からの栃木工場稼働開始に伴い減価償却費、租税公課が増加しました。
原材料価格の上昇傾向は継続しておりますが、効率化の影響は継続していることに加え、冷蔵商材の製造の一部を外部委託から自社工場へ移管したことで、更なるスケールメリットの追求が可能となりました。今後もコスト面での競争優位性を高めていく考えです。
また、加須物流センターの稼働に伴い、戦略的に冷凍商品の商品在庫を増加いたしました。これらの影響により売上高総利益率は前事業年度と比較し、やや高まりました。
販売管理費については、積極的な販売促進活動を行ったことにより広告宣伝費が大幅に増加したことに加えて、冷凍弁当の直接販売比率の増加に伴い運賃、支払手数料等が増加いたしました。また加須物流センターの稼働開始に伴う減価償却費の発生、人件費・水道光熱費等の稼働にかかる継続費用、また消耗品費・修繕費等の立ち上げに伴う一時費用の増加により、売上高販売管理費率は高まりました。
しかしながら、来期以降は立ち上げに伴う一時費用は減少していくものと考えられます。加えて、これまで外部に委託していた冷凍商材のピッキング・保管費用等の業務委託費が大幅に縮小されることから、長期的な視点で見た場合、同センターの稼働は利益率の向上に貢献していくものと考えられます。
この結果、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
当事業年度における財政状態は、総資産は8,859,525千円(前事業年度末比597,202千円増)となりました。負債は3,555,147千円(同219,159千円増)、純資産は5,304,378千円(同378,042千円増)となりました。
当事業年度における経営成績は、売上高は11,215,914千円(前事業年度10,050,070千円)、営業利益は561,562千円(同839,808千円)、経常利益は709,451千円(同973,127千円)、当期純利益は401,891千円(同546,109千円)となりました。
販売先別の経営成績は次のとおりであります。なお、当社は食材製造販売事業の単一セグメントであるため、販売区分別に記載しております。
(FC加盟店)
フランチャイズを展開しているFC加盟店向け販売では、これまで「まごころ弁当」及び「配食のふれ愛」の2ブランド体制により積極的な店舗展開を図っていましたが、2021年10月より第3ブランドとなる「宅食ライフ」の出店を開始いたしました。3ブランド体制により、グループ店舗数を増加させ、更なる店舗網の拡充を目指してまいります。
この結果、「まごころ弁当」は前事業年度末より6店舗増加、「配食のふれ愛」は17店舗減少、「宅食ライフ」は67店舗増加したことで、店舗数は前事業年度末より56店舗増加し990店舗となり、FC加盟店向け販売における当事業年度の売上高は8,080,979千円(前事業年度7,275,070千円)となりました。
なお、当事業年度におきましては、コロナ禍を背景とした一時的なFC加盟需要が落ち着きつつある状況や、グループ店舗数の拡大により撤退店舗数も増加したこと等の理由で、前事業年度と比較すると店舗数の増加は緩やかになりました。
(高齢者施設等)
新設施設は一定数見込まれることに加え、既存施設においても人手不足、合理化の一貫でサービスの外部委託が進むものと予測されております。
しかしながら、高齢者施設等向け食材販売サービスである「まごころ食材サービス」は、2018年度に行った個食対応の廃止による影響が依然継続しており、売上は減少いたしました。なお、巻き返しの施策として、2022年7月より従来よりも安価で個食対応が可能な「ぴったりプラン」を導入しております。
一方、2020年4月より販売を開始した「こだわりシェフ」は、コロナ禍による営業活動制限の影響が薄まってきたことにより、積極的な営業活動を実施した結果、売上は増加いたしました。
この結果、高齢者施設等向け食材販売における当事業年度の売上高は1,307,221千円(前事業年度1,227,815千円)となりました。
(直販・その他)
直接販売では、大規模な販売促進活動を行ったことにより、売上は増加いたしました。
なお当事業年度末より、広告費の費用対効果向上等を目的としたマーケティング力向上の取り組みを行っており、今後の更なる売上拡大に向けた体制の構築を目指してまいります。
OEM販売では、既存大口取引先の委託先分散化施策による影響により、売上は減少いたしました。一方で、積極的な営業活動により、小規模ではあるものの新規取引先の数は増加傾向にあります。今後も継続した営業を行っていくことで、既存大口取引先の減少分をカバーしていく考えです。
この結果、直販・その他における当事業年度の売上高は1,827,713千円(前事業年度1,547,184千円)となりました。
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前事業年度より2,405千円増加し、1,474,844千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、1,209,881千円(前事業年度は369,399千円の獲得)となりました。
収入の主な内訳は、税引前当期純利益617,595千円、減価償却費610,147千円であり、支出の主な内訳は、法人税等の支払額357,709千円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、1,470,971千円(前事業年度は2,689,339千円の使用)となりました。
支出の主な内訳は、有形固定資産の取得による支出1,419,238千円、無形固定資産の取得による支出120,529千円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、263,495千円(前事業年度は1,945,186千円の獲得)となりました。
収入の内訳は、長期借入れによる収入500,000千円(1年以内返済72,000千円含む)、ストックオプションの行使による収入3,016千円であります。支出の主な内訳は長期借入金の返済による支出239,400千円であります。
当事業年度の生産実績は、以下のとおりであります。なお、当社は食材製造販売事業の単一セグメントであり、販売区分ごとに製造を分けておりませんので販売区分別の記載はしておりません。
(注) 金額は製造原価によっております。
当社は、概ね受注から販売までの期間が短いため、受注実績に関する記載を省略しております。
当事業年度における販売実績を販売区分別に示すと、以下のとおりであります。
(注) 1.当社は食材製造販売事業の単一セグメントであるため、販売区分別の販売実績を記載しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.主要な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績の10%以上の相手先がないため、記載を省略しております。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、経営者より一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されています。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っていますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらと異なることがあります。当社の財務諸表を作成するにあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりです。
(貸倒引当金)
債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については、個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。
なお、期末日現在に保有する債権の信用リスクが、外部環境等の変化によって過去に有していた債権の信用リスクと著しく異なる場合には、貸倒実績率を補正すること等が必要となり、貸倒引当金の金額が増減する可能性があります。
(固定資産の減損処理)
減損損失は、減損の兆候が見られる資産グループについて減損損失の認識を判定し、当該資産グループから得られる将来キャッシュ・フローが帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失を計上することとしています。
減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては決算時点で入手可能な情報に基づき合理的に判断していますが、経営環境の変化や地価の変動等、前提とした条件や仮定に変更が生じ回収可能価額が減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
(繰延税金資産)
繰延税金資産の回収可能性は、収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性、タックス・プランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性及び将来加算一時差異の十分性に基づき、将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかにより判断しています。
当該見積り及び仮定について、外部環境の変化等により見直しが必要となった場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
当社の当事業年度の経営成績は次のとおりであります。
(売上高)
当事業年度における売上高は、11,215,914千円(前事業年度10,050,070千円)となりました。FC加盟店、高齢者施設等、及び直接販売の売上が伸び、ОEМ販売の売上の減少を補った結果となりました。
FC加盟店については、引き続き積極的な加盟店開発を行っておりましたが、期初の出店計画70店舗程度に対し、56店舗の純増となりました。前事業年度と比較して緩やかな純増となった要因はコロナ禍による一時的なFC店舗需要が落ちつきつつある状況や、グループ店舗数の拡大により撤退店舗数も増加したこと等によるものです。また高齢者数の増加といった社会背景により、既存店の売上は順調に推移いたしました。
高齢者施設等については、介護報酬削減の影響により民間配食業者へ需要が高まっておりますが、2018年10月に施設への食材販売単位を定量化したことの影響が継続しました。施設専用冷凍商材「こだわりシェフ」は、新型コロナウイルスによる営業制限の影響が薄まっており、業績への寄与度が増加し、当該販売区分全体売上の3割程度を占めるまで増加しています。
直接販売については、群馬工場の改修、加須物流センターの稼働により、冷凍弁当の製造能力・保管能力が大幅に強化されたため、積極的な広告展開を実施いたしました。その結果、一定規模の売上が確保できたことから、OEM販売の減少分以上の売上を確保できました。
OEM販売については、既存大手取引先の委託先分散化施策の影響は継続したものの、新規取引先が増加したことにより前事業年度より売上の減少幅は小さくなりました。
(売上原価、売上総利益)
売上原価は、8,127,046千円(前事業年度7,329,544千円)となりました。顧客への販売価格が直接売上高となる直接販売比率が高まったこと、生産効率化の向上、昨今の社会的状況から戦略的に冷凍商材の在庫を増加させたこと等により売上高総利益率は上昇いたしました。一方で原材料価格の上昇傾向や製造量の増加に伴う材料費、労務費、栃木工場の減価償却費の増加が、売上高総利益率に大きく影響いたしました。
この結果、売上総利益は3,088,868千円(同2,720,526千円)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益、経常利益)
販売費及び一般管理費は2,527,305千円(前事業年度1,880,718千円)となりました。広告宣伝費の大幅な増加、冷凍弁当の直接販売比率の上昇に伴う配送費用等の増加、加須物流センター稼働開始による減価償却費、人件費、消耗品費等の費用が発生したことによるものであります。
この結果、営業利益は561,562千円(同839,808千円)となり、経常利益は、営業外収益が減少したため709,451千円(同973,127千円)となりました。
(当期純利益)
当事業年度の当期純利益は401,891千円(前事業年度546,109千円)となりました。
当社は、「2 事業等のリスク」に記載のとおり、食品の安全性への信頼を揺るがす事故・事件の発生等、様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、当社は、定期的な第三者機関による品質・安全性の検査の実施等により、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散し、リスクの発生を抑え、適切に対応していく所存であります。
なお、新型コロナウイルス感染症に関する業績への影響は軽微であると考えておりますが、今後の事業及び業績に対する影響につきましては、注視していく必要があるものと考えております。
当社は、高齢者向け配食サービスを主軸とし、「まごころ弁当」「配食のふれ愛」「宅食ライフ」の3つのブランドで、990店舗の店舗網を保有しております。これは当社が目指すラストワンマイルを埋める店舗ネットワークの構築が着実に進んでいる証であると認識しています。可能な限り早い段階で、1,500店舗体制を構築する考えです。そして、高齢者向けに特化したメニュー開発のノウハウを活かすことで、高齢者施設等への食材販売、自社ECサイト等で直接販売する健康に配慮した冷凍弁当の製造、他弁当配食業者向けのОEМ販売など、販売先を増やしてまいりました。今後も、シェアの拡大を最優先事項として、若者・女性向けの新ブランドの投入等、当社サービスの利用者の要望に沿った商品・サービスの開発に注力してまいります。
栃木工場や加須物流センターが稼働したことにより、製造・保管体制が強化されたため、積極的かつ効果的な広告宣伝活動を行い、将来の継続成長に繋げてまいります。
当事業年度のキャッシュ・フローの分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当社の運転資金需要のうち主なものは、原材料及び貯蔵品の調達や製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、生産設備への投資等によるものであります。当社は、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資等は自己資金で賄うことを基本方針としております。しかしながら、栃木工場及び加須物流センターの建設にかかる資金については、金融機関からの借入を活用しております。
なお、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は、1,474,844千円となっております。
経営者の問題認識と今後の方針につきましては、この文中に記載したほか、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
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