(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
なお、当社は「ブランド品、骨董・美術品等リユース事業」の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
① 経営成績の状況
当社は、2025年8月期を最終年度とする中期経営計画「VG1000」を2020年10月に公表しましたが、同計画2年目となる2022年8月期の終了にあたり、新たに設定したパーパス及び長期目標を見据え、「VG1000 ver2.0」として見直しております。
当初より中期経営計画の対象期間においては将来に向けた成長投資を積極的に行うこととしており、2022年8月期も前期に引き続き先行投資を実施したことに伴い、広告宣伝費や人件費のほか、システム開発や運用・保守に関連する費用が増加しました。一方、地金相場高騰やアフターコロナによる集客回復により下期に売上高が大きく伸長し、販管費の伸びを補ったことで増収増益を達成しました。
当社グループの当連結会計年度の連結業績は以下のとおりです。なお、当連結会計年度の期首から、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。また、収益認識に関する会計基準等の適用については、収益認識に関する会計基準第84項ただし書きに定める経過的な取扱いに従い、前連結会計年度においては、新たな会計方針を遡及適用しておりません。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)」をご参照ください。
売上高 |
63,385百万円 |
(前期比20.7%増) |
営業利益 |
1,888百万円 |
(前期比61.6%増) |
経常利益 |
1,791百万円 |
(前期比83.4%増) |
親会社株主に帰属する当期純利益 |
969百万円 |
(前期比33.7%増) |
当連結会計年度における具体的な取組は以下のとおりです。
買取面においては、期首時点では新型コロナウイルス感染症の影響が残っていたものの徐々に回復し、第2四半期連結会計期間の時計相場高騰及び第3四半期連結会計期間の地金相場高騰の影響もあり、仕入高は過去最高を更新しました。店舗当たり仕入高についても、コロナ前水準にまで回復しております。施策面ではSEO対策をはじめとしたWEBマーケティングに注力し集客拡大に努めました。また、認知率向上を企図し「なんぼや」のテレビCM放映を2021年9月、2022年4~5月の2回実施しました。特に2回目の放映は関ジャニ∞(エイト)を起用しての新CMであり、“モノとココロでつながる未来へ。”をキャッチフレーズにサステナビリティを意識したプロモーションを展開することで幅広い層へのアプローチに貢献しました。
出店戦略については、前連結会計年度にM&Aにより店舗網を急拡大したこと、新型コロナウイルス感染症の影響により減少していた店舗当たり仕入高の回復に注力することなどから新規出店のスピードを一時的に緩めました。国内においては地方都市などを中心に5店舗を、海外においてはパートナーとの協業店舗を中心に17店舗を出店し、当連結会計年度におけるグループ全体の買取店舗数は、国内130店舗、海外34店舗となりました。自社ブランドによる出店のみならず、他業種とのアライアンスによる買取も強化し、効率的な仕入拡大に努めました。店頭買取が中心ではあるものの、出張、宅配、オンラインによる買取にも注力しており、徐々に実績を拡大できております。
仕入高・店舗数の四半期推移につきましては以下のとおりです。
[仕入高・店舗数]
販売面においては、自社オークション「STAR BUYERS AUCTION(以下「SBA」という。)」の月4回開催の定着と好調な仕入、さらに円安影響による海外パートナーの旺盛な買い意欲もあって、第3四半期連結会計期間以降に自社オークション売上が大きく拡大しました。また、地金相場高騰の影響も大きく、取扱量が増加したことから卸売(地金)が急伸しました。小売については顧客とのエンゲージメント強化の一環として2月に表参道への旗艦店出店を行い、海外ECも好調であったことから前期を上回る実績となりました。一方で、第3四半期連結会計期間以降は時計相場下落に伴うリスク分散のため自社オークションで優先的に販売したことにより、小売の伸長は限定的となりました。
売上総利益率については、主に、販売構成に占める地金の割合が増加したことにより前連結会計年度から0.7ポイント低下の25.7%となりました。
売上高(toB・toC)の四半期推移につきましては以下のとおりです。
[売上高(toB・toC)]
海外売上高比率については、前連結会計年度から8.5ポイント上昇の23.4%と高い水準となりました。これは、コロナ禍においても海外パートナー開拓活動を推し進めたことが奏功し、円安の状況下で多くの海外パートナーにSBAで落札いただけた結果によるものです。第3四半期連結会計期間以降に時計相場が軟調となり国内パートナーからの入札が限定的となる中、海外パートナーの買い支えが業績伸長に貢献しました。
売上高(国内・海外)の四半期推移につきましては以下のとおりです。
[売上高(国内・海外)]
② 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は、商品調達及び設備投資等の事業拡大に伴う現金及び預金の減少462百万円、商品の増加2,408百万円があったことに加え、未収消費税等の増加816百万円等により、前連結会計年度末に比べて3,394百万円増加し、16,804百万円となりました。固定資産は、買取店舗及び販売店舗の新規出店・移転等に伴う有形固定資産の増加359百万円やシステム開発に伴うソフトウェア及びソフトウェア仮勘定等の無形固定資産の増加414百万円、さらにオフィス移転等に伴う差入保証金の増加380百万円等により、前連結会計年度末に比べて1,128百万円増加し、6,445百万円となりました。これらの結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて4,522百万円増加し、23,249百万円となりました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は、仕入増加等に伴う短期借入金の増加3,560百万円等により前連結会計年度末に比べて4,018百万円増加し、14,320百万円となりました。固定負債は、長期借入金の増加94百万円があった一方で、役員退職慰労引当金の減少66百万円、資産除去債務の流動負債への振替による減少62百万円等により、前連結会計年度末に比べて79百万円減少し、1,075百万円となりました。これらの結果、負債額は、前連結会計年度末に比べて3,938百万円増加し、15,395百万円となりました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産額は、前連結会計年度末に比べて583百万円増加し、7,853百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加969百万円や為替換算調整勘定の増加173百万円、新株予約権の発行による増加162百万円があった一方で、配当金の支払いによる利益剰余金の減少329百万円、自己株式の取得に伴う減少455百万円があったこと等によるものです。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて463百万円減少し、7,806百万円となりました。
当連結会計年度中における各区分のキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、1,716百万円の支出(前連結会計年度は2,007百万円の収入)となりました。これは税金等調整前当期純利益1,683百万円や、減価償却費715百万円、株式報酬費用280百万円等による資金の増加があった一方、棚卸資産の増加額2,404百万円や、未収消費税等の増加額968百万円、法人税等の支払額609百万円等による資金の減少があったためであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、1,536百万円の支出(前連結会計年度は1,256百万円の支出)となりました。これは有形固定資産の取得による支出770百万円や、無形固定資産の取得による支出362百万円、差入保証金の差入による支出414百万円等による資金の減少があったためであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、2,691百万円の収入(前連結会計年度は1,210百万円の収入)となりました。これは短期借入金の増加額3,560百万円や、長期借入れによる収入220百万円等による資金の増加があった一方、自己株式の取得による支出500百万円や、配当金の支払額329百万円、長期借入金の返済による支出137百万円等による資金の減少があったためであります。
④ 生産、受注及び販売の状況
a.生産実績
当社グループでは生産活動を行っていないため該当事項はありません。
b.受注実績
当社グループでは受注活動を行っていないため該当事項はありません。
c.仕入実績
当連結会計年度における仕入実績は、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
仕入高(千円) |
前期比(%) |
ブランド品、骨董・美術品等リユース事業 |
49,410,025 |
128.4 |
(注)金額は、仕入価格によっております。
d.販売実績
当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
販売高(千円) |
前期比(%) |
ブランド品、骨董・美術品等リユース事業 |
63,385,779 |
120.7 |
(注)主な相手先別の最近2連結会計年度における販売実績については、総販売実績に対する割合が100分の10未満のため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度末における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。
当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積もりと異なる場合があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響の仮定に関する情報は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりです。
② 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
当連結会計年度における財政状態の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載のとおりです。
b.経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べて10,873百万円増加し、63,385百万円となりました。
新型コロナウイルスからの回復に加え、時計・地金相場高騰の影響もあり、当連結会計年度の仕入高が過去最高を大きく更新いたしました。仕入が好調だったことによる潤沢な在庫をオークションに振り分けたこと、円安の影響に伴う海外の事業者の買い支えによりオークション売上高を伸長させることができました。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度の売上原価は前連結会計年度に比べて8,398百万円増加し47,069百万円、売上総利益は前連結会計年度に比べて2,474百万円増加し、16,316百万円となりました。売上総利益率につきましては、前連結会計年度から0.7ポイント減少して25.7%となりました。これは主に、第3四半期連結会計期間における地金相場の高騰により、販売構成に占める地金の割合が増加したことによるものです。第4四半期連結会計期間以降は地金相場が落ち着いたものの地金売上高は依然として高水準であり、売上総利益率は横ばいとなりました。
売上高・売上総利益率の四半期推移につきましては以下のとおりです。
[売上高・売上総利益率]
(販売費及び一般管理費、営業利益、売上高営業利益率)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は前連結会計年度に比べて1,755百万円増加し、14,427百万円となりました。これは主に、オークションプラットフォームをはじめとしたシステム開発・保守運用に関連する業務委託費の増加などによる、その他の費用の増加によるものです。また、人件費の増加や、テレビCMを含めたマーケティングの展開に伴う広告宣伝費の増加、新規出店等に伴う地代家賃が増加いたしました。
将来に向け必要な投資を続けたため販管費は増加いたしましたが、売上高の伸びにより、営業利益は前連結会計年度に比べて719百万円増加し、1,888百万円となりました。売上高営業利益率については3.0%となりました。
販売費及び一般管理費の四半期推移につきましては以下のとおりです。
[販売費及び一般管理費]
(営業外損益、経常利益、売上高経常利益率)
当連結会計年度の営業外損益は、新型コロナウイルスによる休業に係る受取給付金の減少等により、営業外収益が前連結会計年度に比べて4百万円減少し49百万円、また、営業外費用は、前連結会計年度にコミットメントライン契約締結の支払手数料が発生したこと等により、99百万円減少し146百万円となりました。
この結果、当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度に比べて814百万円増加し1,791百万円、売上高経常利益率は2.8%となりました。
(特別損益、親会社株主に帰属する当期純利益、売上高当期純利益率)
当連結会計年度の特別損益は、買取店舗等の減損損失の発生等により、特別損失が108百万円となりました。特別利益は当連結会計年度においては計上しておりません。法人税等合計は、前連結会計年度のM&Aによる繰越欠損金の計上に伴う税効果の影響がなくなったことにより、前連結会計年度に比べて628百万円増加し714百万円となりました。
この結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べて244百万円増加し969百万円、売上高当期純利益率は1.5%となりました。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、事業の維持拡大に必要なレベルの流動性の確保と財務の健全性・安全性維持を資金調達の基本方針としております。資金調達手段の多様化と資本効率の向上を企図し、金融機関からの借入等、一部有利子負債を活用しております。
当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、商品買取に係る仕入費用のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。投資を目的とした資金需要は、主に、オークションプラットフォーム構築や買取・販売に係る社内システムの改修に係るシステム投資、買取店舗の新規出店に係る設備投資によるものであります。これらの資金需要につきましては、商品買取に係る費用に関しては借入金を主に、投資を目的とした資金については営業キャッシュ・フローで賄うことを基本とし、必要に応じて資金調達を行ってまいります。
なお、キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
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