課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、提出日現在において、当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。

 

(1)経営の方針

 当社グループは、事業だけではなく地球環境も含めた持続可能性を高め、中長期的な競争優位性を確立するため、「Circular Design for the Earth and Us」をパーパスに定め、「Circular Design Company」の実現を目指しております。顧客とパートナーとの関係を通じてValuenceを中心にモノが循環する世界を実現するため、顧客やパートナーに対して様々な選択肢を提供することで、当社が保有するモノだけではなく、顧客やパートナーが保有するモノの循環を促進し、新たな収益機会を創出してまいります。

 

(2)現状の認識について

 当社グループが属するリユース・リサイクル事業においては、フリマアプリの拡大・浸透をはじめとして市場が活性化しており、サステナビリティへの関心もあってリユースの注目度は更に高まっております。このような状況の中、一般消費者からの買取は依然として競争が激しく、販売面においても、小規模なものも含めると数多くの事業者向けオークションが乱立しております。今後も、新規参入やM&Aなどによる企業再編の動きが加速するものと予想されます。

 一方で、海外においては組織的にCtoBtoBのビジネスモデル(一般消費者から買取を行い、リユース事業者に販売するモデル)を展開する有力企業は不在と認識しております。

 上記の認識に基づき、当社グループは、現状のビジネスモデルのITを活用した効率化(DX化の推進)に加え、顧客とのエンゲージメントを高める施策を通じてグループ全体で長期的な関係を築くことで、継続的な収益を生むリカーリング型のビジネスモデルへと転換を図ります。また、グローバル展開を加速していくことで、更なる成長を図ってまいります。

 

(3)経営戦略及び対処すべき課題

 当社グループは、2025年8月期を最終年度とする中期経営計画「VG1000」を2020年10月に公表しておりましたが、同計画2年目となる2022年8月期の終了にあたり、新たに設定したパーパス及び長期目標を見据え、「VG1000 ver2.0」として見直しをいたしました。当初計画公表以降、想定外にコロナ禍が長期化する中、アフターコロナを見据えて将来に向けた成長投資を継続したことにより利益計画に遅れが出ていたことも踏まえ、より長期を見据えた見直しを行っておりますが、売上高については当初計画であった2025年8月期1,000億円を引き続き目指してまいります。既存のCtoBtoBモデルのグローバル展開、グローバルも含めた小売の強化、顧客・パートナーとの関係強化によるリカーリング型ビジネスへの転換を戦略とし、事業を推し進めてまいります。なお、中期経営計画の対象期間は、2026年8月期以降の飛躍に必要なあらゆる機能の実装・充実化を進める投資期と位置付けておりますが、投資は行いつつも利益成長も遂げていく計画としております。

 

(主要KPIと経営戦略)

 目標とする主要KPIは以下のとおりです。

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 従前よりグローバル展開を推し進めてきた結果、海外店舗数・海外パートナー数・海外売上高比率の策定時目標を、2年目である2022年8月期末時点で達成いたしました。これを受けて、今後の更なるグローバル展開の加速に向けて、2021年10月に引き上げた海外店舗数に加えて、目指す主要KPIとして海外パートナー数と海外売上高比率についても、2020年10月の策定時目標よりも引き上げることといたしました。

 この達成のため、以下の戦略に取り組んでまいります。

 

① 仕入拡大に向けた取組

 当社グループの仕入は店頭買取が中心であり、店舗数の増加が仕入拡大に寄与すると考えております。従前よりアフターコロナを見据え、M&Aも含めた店舗網の拡大を行っております。当事業年度においては一時的に新規出店のスピードを緩めたものの、店舗当たり仕入高がコロナ前の水準に戻ったことから、今後は新規出店を再加速させることで仕入の拡大を目指します。

 国内においては新規出店に加え、他業種とのアライアンス強化による仕入拡大も図ってまいります。海外においては、当社グループとしてリスクの少ない出店形態であるパートナーとの協業による出店を中心に、スピード感を持った出店を行ってまいります。

 マーケティング施策としては、当社グループの強みであるSEO対策をはじめとしたWEBマーケティングに注力するとともに、認知拡大を目的としたマスマーケティングとの相乗効果により、集客拡大を図ってまいります。また、国内で培ったWEBマーケティングのノウハウを海外で展開することにより、海外での更なる仕入拡大を目指します。加えて、CRM強化によりリピーターを獲得することで、効率的な集客を行ってまいります。

② 販売拡大に向けた取組

 当社グループは、これまでCtoBtoBモデルを中心に事業を成長させてまいりました。今後は既存のビジネスモデルを進化させることで更なる成長を目指してまいります。フルフィルメントサービスやおまかせ出品といった付加価値サービスを展開し、パートナーの利便性を向上させつつ参加パートナーの開拓も推し進めていくことで、当社グループの強みであるtoBプラットフォームを更に強化し、より魅力的なプラットフォームとしてまいります。

 加えて、海外各拠点でのグローバルECの構築、出店を含む店舗強化などtoCチャネルを強化することにより、国内外の顧客との接点を拡大してまいります。また、toCチャネルをきっかけとし、買取や他サービスも利用していただくなど継続的な関係を構築し、当社グループ内でシナジーを創出することで収益の最大化を目指してまいります。

③ ジャンル拡大による収益機会の最大化

 当社グループはブランド品、骨董品・美術品を中心とした商材を取り扱っております。今後は既存領域のみならず、車や不動産なども含めた様々な実物資産の取扱いを広げてまいります。これにより、顧客の抱える問題をワンストップで解決し、顧客のLTVを向上させることで収益機会の最大化を図ってまいります。

 また、実物資産のみならず、心の豊かさを提供することを領域としてビジネスを拡大し、モノや思いをつなぐ新たな循環型経済圏をつくることで、企業価値の向上を目指してまいります。

④ サステナビリティへの取組

 近年、サーキュラーエコノミーという言葉が広く一般に浸透し、企業にも環境問題や社会課題への対応が一段と求められてきております。当社グループの中核事業である「リユース」は、不要になったモノを廃棄するのではなく次に必要な方へとつなげる、循環型社会における重要な取組の一つであります。

 事業だけではなく、地球環境も視野にサステナビリティの取組に注力することで、持続可能な社会の実現と当社の持続的な成長につなげてまいります。

 

(対処すべき課題)

① 集客の拡大と効率化

 当社グループは、創業時よりWEBマーケティングを中心に集客を行っており、機能を内製化することで高い効果を発揮しております。一方で指名検索による流入が少ないなど認知度の面で課題が残っており、認知拡大がWEBマーケティングの効率化につながると考え、テレビCM放映を実施いたしました。

 今後も一定程度のテレビCM放映に加えて、SEO対策をはじめとしたWEBマーケティングへ注力することによる相乗効果で、潜在顧客・顕在顧客の双方にアプローチし集客を拡大してまいります。また、認知度向上に伴う指名検索の増加によるCPAの低減、顧客とのエンゲージメント強化によるグループ内送客の体制構築と顧客のリピーター化により、効率的な集客を実現できるものと考えております。

② 査定能力の標準化

 リユース品は新品と異なり決まった価格が存在せず、相場も一定ではないことから、値付けが非常に難しいという特徴を持っております。当社グループにおいては、研修体制の整備や現場でのOJTを進めることで買取スタッフの能力向上に努めておりますが、これに加え、査定能力を標準化するための仕組みの構築が重要であると認識しております。

 そのため、社内システムの機能改善やデータベースの整備、本部による店頭サポート体制の強化を継続しておりますが、今後はこれらに加え価格算出にAIを活用することで、更なる能力標準化と買取の効率化に努めてまいります。

③ オークションプラットフォームの拡大

 当社グループの主力販路であるSBAは、2020年4月にリアル開催からオンライン開催に移行しており、海外の事業者も数多く参加するグローバルなブランドリユースオークションとして規模を拡大しております。

 今後も更に多くの国内外パートナーが参加するプラットフォームとして魅力度を高めるとともに、委託拡大に向けた取組も展開することで、総取扱高の拡大を図ってまいります。また、パートナーが落札した商品の保管・小売販売までを一気通貫で請け負うフルフィルメントサービスの構築により、更なる収益力向上を目指してまいります。

④ 小売販売の強化

 当社グループは現在、実店舗3店舗とECサイトにて、一般消費者に向けた小売販売を行っており、2022年2月に旗艦店として表参道店を出店するなど取組を強化しております。

 今後は、グローバルEC構築に向けた海外拠点でのEC開設、国内における小売店舗の出店など、グローバルも含めた小売強化に注力します。小売販売の強化はビジネスモデルをリカーリング型に転換するための重要施策と位置付けております。顧客との接点を拡大し、買取をはじめとした当社グループサービスの利用につなげることでエンゲージメント強化を図るほか、「ALLU」ブランド強化によりフルフィルメントサービスにおける小売委託をより多く獲得できるようになり、パートナーとのエンゲージメント強化にも貢献すると考えております。

⑤ 顧客とのエンゲージメント強化

 当社グループの事業は、顧客からの買取がビジネスモデルの起点にあるため、より多くの顧客と接点を持つことが事業を拡大する上で重要と考えております。

 今後は、買取のみならず、小売販売をはじめとするtoC向けサービスの拡大、取扱いジャンルの拡充やコミュニケーション強化により、顧客とのエンゲージメントを高めてまいります。これによりグループ全体で長期的な関係を築くことで、継続的な収益を生むリカーリング型のビジネスモデルへと転換していく方針です。

⑥ グローバル展開の加速

 当社グループは、香港をはじめ欧米や東南アジアに子会社を設け、現地におけるSBAパートナーの開拓と、買取の展開を進めております。買取においては直営のみならず、パートナーとの協業による出店に注力し、当社グループとしてリスクの少ないかたちで展開を加速しております。国内での競争が依然として激しい現状において、海外へとビジネスを拡大していくことが重要であると認識しております。

 そのため、WEBマーケティングのノウハウを海外でも活かすことで、国内で培ったCtoBtoBのビジネスモデルのグローバル展開と、グローバルも含めた小売強化を行い、更なる規模拡大を図ってまいります。

⑦ サステナビリティの取組強化

 当社グループのメイン事業である「リユース」は、循環型社会における重要な取組の一つであり、リユース事業をグローバルに展開していくことが、持続可能な社会の実現、ひいては当社グループの持続的な成長につながると考えております。リユースによる環境フットプリントの削減貢献量を可視化した「Resale Impact」の事業ブランドへの展開や、カーボンニュートラル達成に向けた国際的イニシアチブの認証取得などの取組を行っております。

 今後も循環型社会の実現を牽引する存在として、サステナビリティを経営戦略の中核に据え、環境や社会に配慮した取組を積極的に行っていくことで、持続的な社会の実現と企業価値向上を目指してまいります。

 

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