業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①経営成績の状況

 当連結会計年度における我が国経済は、ワクチン接種等の効果によって、一時的には緩やかながらも新型コロナウイルス感染症拡大からの回復に向けた動きを見せましたが、変異株の発生による感染の再拡大により、依然新型コロナウイルス感染症の収束の見通しは立たない状態が続いております。また急激な円安による金融市場の変動や資源・エネルギー高による消費への影響が懸念されており、更には長期化が見込まれるウクライナ情勢などを要因に、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。

 このような環境の中、当社グループへの新型コロナウイルス感染症の業績への影響は、諸外国の都市封鎖により物流の混乱等が生じた影響で、一部の商品で数週間の納期遅れ等があったものの、仕入先等と綿密に連絡を取り、物流面等で臨機応変に対応することにより軽微でありました。円安の影響は、原料等の仕入価格が変動するリスクがありますが、必要に応じ為替予約等を行うことや、海外サプライヤーへの価格交渉や為替連動型の価格設定への切替等によりリスク回避に努めております。

 ジェネリック医薬品業界におきましては、2025年には5人に1人が75歳以上になるという「2025年問題」を控え、後発医薬品使用割合80%の目標の達成に向け種々の使用促進策が実施されたことにより、薬局市場を中心に需要が伸長し、日本ジェネリック製薬協会の分析によれば、2022年1月~3月の後発医薬品の数量使用割合は79.9%(速報値)となっております。その一方で、昨今において、複数のジェネリック医薬品メーカーで薬機法違反を起因とする品質面に関わる重大な問題が相次いだことにより、ジェネリック医薬品全体で供給不安が発生し、ジェネリック医薬品の品質や安定供給の信頼性の確保が求められております。当社グループではグループ各社間における無通告監査(抜き打ちの立入り監査)や、実地調査に赴くことがかなわない海外製造所等にリモート監査の実施、日本ジェネリック製薬協会が発出したGE薬協発第25号通知(令和3年3月25日付)「ジェネリック医薬品の信頼性確保に関する対応について」に基づき、グループ各社で製造販売承認書と製造実態の齟齬にかかる一斉点検の実施等、製造管理や品質管理の強化を推進しております。

 また、2022年4月1日に行われた薬価改定では全体の薬価改定率(実勢価等改定分)が薬剤費ベースで6.69%と近年では大きな引き下げ率となりました。当社グループでは薬価引き下げとなった製品がある中、一部製品でその医療ニーズが認められ安定供給のために不採算の緩和が認められたものもあり、グループ全体の影響は軽微でありました。今後は当社グループの医薬品製造販売事業の特徴である注射剤において、ジェネリック医薬品への置換えが比較的進んでいない高薬理活性注射剤製造に注力するとともに、一層の生産性向上と医療関係者に必要とされる医薬品の安定供給に努めてまいります。

 

 これらの結果、当連結会計年度の業績は、売上高20,353百万円(前期比14.2%増)、営業利益3,807百万円(前期比12.7%増)、経常利益3,753百万円(前期比10.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,359百万円(前期比10.4%増)となりました。

 

 

 セグメント別の業績は、次のとおりであります。

原薬販売事業

 原薬販売事業におきましては、新規採用品目の伸長や、得意先での安定供給体制の維持、他社製品の供給停止等による需要の高まりを受け、取引量が増加したことに伴い、循環器官用薬や腫瘍用薬向け原薬の販売が増加し、感覚器官用薬向け原薬の販売が減少したものの、当連結会計年度の売上高は14,721百万円(前期比17.7%増)、セグメント利益は2,389百万円(前期比6.6%増)となりました。なお、売上高には、セグメント間の内部売上高1,873百万円を含んでおります

 

医薬品製造販売事業

 医薬品製造販売事業におきましては、受託製造の主力製品が当該製品のジェネリック医薬品シェアの伸長により堅調に推移したため、売上高は7,505百万円(前期比6.9%増)となり、セグメント利益は受託製造の伸長に加え、収率向上による生産性の改善等により1,421百万円(前期比18.5%増)となりました。

 

②財政状態の状況

 当連結会計年度における資産、負債及び純資産状況は次のとおりであります。

 総資産は、26,249百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,445百万円増加いたしました。これは主に、現金及び預金の増加861百万円、電子記録債権の増加824百万円、仕掛品の増加126百万円、原材料及び貯蔵品の増加81百万円があった一方で、減価償却実施等に伴う有形固定資産の減少290百万円、受取手形・売掛金の減少が合計138百万円等があったことによるものであります。

 負債は7,584百万円となり、前連結会計年度末に比べ516百万円減少いたしました。これは主に、長期借入金の減少349百万円、支払手形及び買掛金の減少123百万円、1年内返済予定の長期借入金の減少33百万円、未払消費税等のその他流動負債の減少100百万円等があったことによるものであります。

 純資産は18,665百万円となり、前連結会計年度末と比べ1,962百万円増加いたしました。これは主に、利益剰余金の増加1,963百万円等によるものであります。

 これらの結果、自己資本比率は前連結会計年度末より3.8ポイント増加し、71.1%となっております。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ831百万円増加し、8,421百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は2,094百万円(前期比957百万円の減少)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益3,753百万円、減価償却費678百万円、役員退職慰労引当金の増加額13百万円があった一方で、法人税等の支払額1,303百万円、売上債権の増加額685百万円、棚卸資産の増加額154百万円、及び仕入債務の減少額107百万円等があったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は477百万円(同254百万円の増加)となりました。これは主に、固定資産の取得による支出443百万円等があったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は804百万円(同126百万円の増加)となりました。これは主に、配当金の支払額395百万円、長期借入金の返済による支出383百万円等があったことによるものであります。

 

 

④生産、受注及び販売の実績

イ.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年7月1日

至 2022年6月30日)

前年同期比(%)

医薬品製造販売事業(千円)

5,892,497

112.8

合計(千円)

5,892,497

112.8

 (注)1.金額はセグメント間の内部振替前の数値によっております。

2.金額は販売価格によっております。

 

ロ.商品仕入実績

 当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年7月1日

至 2022年6月30日)

前年同期比(%)

原薬販売事業(千円)

10,747,866

119.9

医薬品製造販売事業(千円)

3,704,620

106.7

合計(千円)

14,452,487

116.2

 (注)金額はセグメント間の内部振替前の数値によっております。

 

ハ.受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

医薬品製造販売事業(千円)

6,428,375

107.5

559,506

250.3

合計

6,428,375

107.5

559,506

250.3

 (注)1.金額はセグメント間の内部振替前の数値によっております。

2.当社グループは医薬品製造販売事業の一部について受注生産を行っているため、その分の金額を記載しております。

 

ニ.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年7月1日

至 2022年6月30日)

前年同期比(%)

原薬販売事業(千円)

12,848,174

119.0

医薬品製造販売事業(千円)

7,505,241

106.9

合計(千円)

20,353,415

114.2

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年7月1日

至 2021年6月30日)

当連結会計年度

(自 2021年7月1日

至 2022年6月30日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

扶桑薬品工業株式会社

3,249,756

18.2

3,579,372

17.6

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①重要な会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、並びに資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要としております。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。また、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 

②経営成績の分析

 経営成績の分析につきましては、「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載しております。

 

③キャッシュ・フローの分析

 キャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

④経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2事業等のリスク」に記載しております。

 

⑤資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの主な資金需要は、商品の仕入れ、製品製造のための原材料購入費用や製造費用、販売費及び一般管理費等の運転資金であります。また、設備投資にかかる資金需要の主なものは、分析能力や生産能力の増強等によるものであります。

 当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金又は借入により資金調達することとしております。当社グループの設備投資については、景気予測、業界動向、投資効率等を総合的に勘案して策定し、これらの資金需要は内部資金又は資金調達の実施により賄うことを基本としております。

 

⑥経営戦略の現状と見通し

グループの事業ターゲットを「超高齢社会」として、2025年には5人に1人が75歳以上になると言われ、加速し続ける「超高齢社会」に対応した医薬品事業をグループとして推進しております。

グループの中核であるコーア商事株式会社では、「ジェネリックのベストパートナー」を今後も体現していくために、国内外の原薬製造元との信頼関係の強化を進めるとともに新たな原薬製造元を開拓し、更に、医薬分析センターやSIセンターによる顧客サービスの向上を図ることにより、原薬輸入商社としてイメージされる範疇を超えた付加価値の提供を推進してまいります。

 グループのもう1つの主要会社であるコーアイセイ株式会社では、注射剤の中でも高度の技術が要求される高薬理活性注射剤の製造を目的として、2016年5月に山形市蔵王にこの製造ラインを擁するコーアイセイ株式会社蔵王工場を建設しております。今後はジェネリック医薬品への置き換えが比較的進んでいない高薬理活性注射剤の製造に注力してまいります。

 

⑦経営者の問題認識と今後の方針について

 当社の経営陣は、国内外の医薬品事業を取り巻く環境の変化に対し、今後の事業拡充や安定収益の確保を通じて持続的成長を果たすため、ジェネリック領域や製造受託を中心とした既存分野における製造販売の拡大を図るとともに、抗がん剤などの高薬理活性領域を始めとした新しい分野への取組みや、原薬販売事業に続く医薬品商社としての新事業の構築を行うことが必要であると認識しております。

 具体的には、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。

 

 

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