文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループの経営理念は、「夢は世代を超えて・・・。世代を超えて私たちのブランドと商品を愛してくださるすべてのお客様に夢をお届けします」であります。この経営理念の下、事業を成長し継続させていくために以下の方針に基づき経営を行っております。
① 収益力の向上
収益力向上のために、我々の特徴である「マルチブランド・マルチチャネル」をより一層強化させてまいります。
a 事業ポートフォリオの変革
子供服の分野において、多様なライフスタイル・購買行動へ対応し、収益が最大となるべく事業ポートフォリオを変革していきます。そのために、より多くのお客様が集まりご購入いただくことのできる販売チャネルへの積極投資や、お客様が減少傾向にあるチャネルの構造改革を促進します。また不採算ブランドの撤退、新規ブランドの投入を行い、ブランドの活性化を進めていきます。さらに、新規事業の開発をよりスピーディに進めてまいります。
b 生産・物流の効率化
(a)国内物流機能の効率化と店舗作業の更なる効率化を目指します。
2021年9月に、eコマースの物流をより一層強化するため拠点の移転を実行致しました。その結果、受注配送の処理能力の向上や配送コストの削減が進んでおります。また、以前より導入しているRFID(非接触型の自動認識技術)システムをより一層活用することで物流現場での検品や店舗のレジ作業の更なる効率化を進めてまいります。
(b)生産活動におけるカントリーリスク低減
当社グループの生産活動は、国内商社及びOEM会社経由で行っております。従いまして、取引先と連携することで中国一国集中のリスクを可能な限り回避いたします。
② 人材育成
a お客様である子供・家族のライフスタイルの変化を鑑み、具体的な商品として提案できるよう、企画開発スタッフの人材育成を行います。
b 当社グループはSPAの業態であるため、顧客との接点である販売員の強化、店舗における業務の効率化も競争優位の源泉のひとつであると考えております。そのため、前述のRFIDや新POSシステムを導入し、店舗における業務の効率化に努めてまいりました。今後も効率化に向けてIT投資を継続してまいります。また販売員研修を強化することで、接客能力の向上にも取り組んでまいります。
c 事業規模の拡大に伴い、管理部門の人材を補充・強化し、企業規模に応じた人材の登用を図ると同時に最適な体制を構築してまいります。
③ 企業体質の強化
企業体質の強化 新規事業、新カテゴリー開発を視野に入れ、変化の激しい子供服市場において、競争力を強化し、オンリーワン・ナンバーワンを目指します。
(2)今後の経営戦略等
当社グループは、子供服業界において、マルチチャネル・マルチブランド展開を推進しており、引き続き、販売チャネルやブランドの事業ポートフォリオの最適化に留意しながら経営戦略を進めてまいります。
当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症拡大が未だ収束しない中、実店舗は概ね通常の営業を行うことができましたが、人流の回復は想定よりも厳しい状況でした。10月以降、新型コロナウイルス感染症拡大が一旦落ち着きを見せ、人流も回復の兆しが見えましたが、12月末からのオミクロン変異株の拡大の影響で再度人流が大幅に低下し、業績に大きな影響がありました。eコマースチャネルにおいては、お客様の購買先が実店舗と分散した結果、通期売上は前期比微増に留まりました。しかしながら、自社サイトは比較的堅調な進捗を見せております。今後の課題は、低価格の競合がひしめく他社サイトの売上の挽回です。
今後も当社グループの強みでもあるマルチブランド・マルチチャネルをお客様の購買行動や嗜好に合わせることで、事業ポートフォリオを強化し、引き続き成長を図ってまいります。
当社グループは子供達やその家族に提供する価値を、モノ(洋服)からコト・サービスへと拡大させてキッズライフスタイル企業を目指します。 2018年9月からスタートしたフォトスタジオ事業は、出店を加速させて合計10店舗体制となりました。体験されたお客様の評価は高いのですが、認知度が低いことが課題です。そのため認知度向上に向けたプロモーション施策をSNS中心に進めてまいります。
当社グループは、子供服を取扱っております。その中でもベビー服は以前より素材などに対する配慮を行っておりますが、「抗菌・制菌・消臭」の素材活用など子供たちに優しい取組みを積極的に進めてまいります。
環境に配慮した経営の一環として、適切な森林管理の普及を目的とした世界的な制度であるFSCの認証を受けた工場で生産されるリサイクル・MIX紙を当社グループの全ブランドの下げ札に使用することを開始しております。
また、2023年2月期から当社グループ独自のリユースのしくみをスタートします。「petit main」の店舗でお客様の不用になられた洋服を回収させていただき、当社で修繕し、当社グループのファミリーセールで販売、その収益を社員の社会奉仕活動の原資に活用、あるいは支援団体への寄付を行う予定です。
またすべての子供たちに笑顔を届けられるように、2022年2月期は、子ども食堂をサポートしている社団法人と連携し、子ども食堂の運営サポートを行いました。具体的には、子ども食堂の運営への寄付、母子支援サポートの一環として、七五三の撮影協力などを行いました。2023年2月期も母子支援サポートの撮影協力は実施したいと考えております。
(3)経営指標
当社グループは、収益性の指標として、売上高営業利益率(経営の効率性)及びEBITDA(収益力)を意識し、それらの向上を図ることが、企業価値の最大化につながるものと考え、マルチチャネル・マルチブランド展開を推進するうえで、ポートフォリオの最適化に留意しながら、経営資源の選択を行っております。なお、2018年2月期から2022年2月期における売上高営業利益率及びEBITDAの推移は以下のとおりであります。
(単位:千円)
回 次 |
第2期(連結) |
第3期(非連結) |
第4期(連結) |
第5期(連結) |
第6期(連結) |
決 算 年 月 |
2018年2月期 |
2019年2月期 |
2020年2月期 |
2021年2月期 |
2022年2月期 |
売上高 |
26,954,523 |
29,700,888 |
32,962,986 |
29,511,752 |
30,985,787 |
営 業 利 益 (売上高営業利益率%) |
1,404,974 (5.2) |
1,625,018 (5.5) |
1,664,879 (5.1) |
1,037,212 (3.5) |
1,401,840 (4.5) |
E B I T D A |
2,108,765 |
2,398,079 |
2,527,511 |
1,876,012 |
2,264,338 |
(注)1.第3期については、2018年3月1日に当社が株式会社ナルミヤ・インターナショナル(旧エヌジェイホールディングス2株式会社)を吸収合併したことにより、連結子会社がなくなったため、連結財務諸表は作成しておりません。
2.当社は2019年3月29日、株式会社ハートフィールの全株式を取得し子会社化したため、第4期より連結財務諸表を作成しております。
3.EBITDA:営業利益+減価償却費+のれん償却額+設備負担金償却+差入保証金償却額
(4)経営環境の認識
子供服事業を営む当社グループを取り巻く2023年2月期の経営環境は、新型コロナウイルス感染症拡大が未だ収束せず、中国上海市のロックダウンやウクライナ問題等が要因で経済成長の鈍化、仕入コストの増大など引き続き厳しい環境が予想されます。
具体的には、消費マインドの停滞や物価上昇によりお客様の購買活動がシビアになると考えられます。
このような状況の下、当社グループは今後の事業展開における対処すべき特に重要な課題を下記のように認識し、解決に向けて取り組んでおります。
(5)優先的に対処すべき事業上の対処すべき課題と具体的な取り組み状況
① 新型コロナウイルス感染症拡大への対応
当連結会計年度において、実店舗は概ねオープンしておりましたので、主力ブランドである「petit main」などは順調な実績を出すことができました。一方でeコマースは、実店舗へお客様の購買が分散し、売上が伸び悩む一因となりました。今後においても新型コロナウイルス感染症拡大のリスクは存在するとの認識に基づき、引き続き事業ポートフォリオの最適化を進めてまいります。2023年2月期からは、eコマースの仕入れ、在庫、売上管理を各ブランド側で行うこととします。その結果、チャネル間の在庫移動や価格変更などが、よりスムーズに行えるようになり、販売機会ロスの低減につながると考えております。
また、当社グループの生産拠点の大半は中国です。従いまして、当連結会計年度下期に生産遅延などの影響は若干生じております。今後も中国の状況によりますが、生産遅延、仕入れ原価高騰は懸念されますので、引き続き取引先の商社と連携を取りながら、品質、納期、コスト管理を徹底し事業運営を実施していきます。
② eコマースの強化策
新型コロナウイルス感染症拡大の影響によって、顧客の購買行動が大きく変化しました。お客様は、その時々によって、実店舗とeコマース両チャネルの使い分けをされております。その変化に対応すべく、当社グループは、eコマースで注文し店舗で受け取れるサービスやeコマースにおける受注配送処理能力の増大による当日出荷の実現、アプリケーションによる店頭在庫の表示などお客様の利便性を高めるサービス開発に努めております。また、高騰する物流費に対応すべく、物流拠点の変更を行いコスト圧縮に努めております。
また、激しい競争が続くeコマース市場に新たなブランドを投入し、価格競争力を強化することで、さらなる成長を目指します。
③ ショッピングセンターブランドの強化策
当社グループの成長ドライバーの一つであるショッピングセンターチャネルのブランドは、徹底した発注数の管理と在庫コントロールを行った結果、業績は概ね堅調に推移いたしましたが、ジュニア向けブランドの「Lovetoxic」が不振となっています。そのため、2023年2月期は当ブランドの再生に取り組みます。
当ブランド「Lovetoxic」の不振の要因は、ジュニア世代の嗜好の多様化、コロナ禍においてのショッピングセンターへの外出機会の減少、学校行事やイベントの減少による洋服を購入する動機が減少したことなどが挙げられます。そのため、商品企画の精度向上は当然ですが、ジュニア世代とのコミュニケーションを活性化させるため、YouTuberを活用したプロモーション施策や当社独自で公募しました「ラブトキガール」を起用したプロモーション、特にインスタグラムなどの発信を強化いたします。なお、ショッピングセンターへの新規出店は、コロナ禍が未だ収束しない状況を勘案し、引き続き必要最小限にとどめてまいります。
④ 百貨店チャネルの施策
当連結会計年度に好調であったブランド「kate spade NEW YORK」、「ANNA SUI mini」、「Paul Smith JUNIOR」及びオケージョン需要が堅調な「pom ponette junior」、「mezzo piano Junior」を安定成長させるべく商品企画や仕入れの精度向上に努めます。また、構造改革によって営業利益での貢献ができる体制となりましたので、引き続き継続してまいります。
⑤ 人材の確保と育成
当社グループが業容拡大を図るうえで、店舗展開は欠かせない条件であり、優秀な人材の獲得が必要となります。以前よりアパレル業界は採用難でしたが、昨今の新型コロナウイルス感染拡大の影響で、より一層採用活動が厳しい環境となりました。そのような状況であることを認識し、当社グループでは、以下の取り組みを行ってまいります。
新店舗の展開状況に応じて、従来の新卒一括採用から、今後は必要な人材を必要なタイミングで確保するため通年採用を行うこととします。
子供服の販売において、商品知識はもちろん、顧客ニーズを的確に把握した上で商品を提案する能力や、店舗において保護者や子供とのコミュニケーション能力は重要であり、店舗での売上拡大はそのような優秀な人材の確保と育成が必須であります。また昨今はさらにITリテラシーも重要な能力でありますので、このような能力の開発・育成に努めてまいります。
しかしながら、採用活動が厳しい環境であることは否めませんので、当社グループでは、全ブランドの全商品にRFIDタグを導入し、POSシステムを刷新、さらにセルフレジの導入検討等、より一層の店舗運営の効率化を進めてまいります。
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