業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

1.経営成績等の状況の概要

(1) 経営成績に関する分析

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により全般的に厳しい状況にて推移しました。各種政策の効果等により企業収益や個人消費等の面で持ち直しの動きが後半にみられたものの、依然として感染症が内外経済に与える影響や金融資本市場の変動等に十分に注意を要する状況が続いております。

このような経済情勢にあって、物流業界におきましては保管残高数量が前年同月を下回る水準にて推移し、人手不足等に伴うコスト上昇や競争の激化等もあり、厳しい状況が続いております。また、不動産賃貸業界におきましても、新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、賃料水準や需給関係の動向等に不透明感が広がりつつあります。

このような状況の下、当社グループは、内外の環境変化に的確に対応しながら、さらなる成長を果たしていくために新中期経営計画(2019-2023)の具体的各施策を展開してまいりました。物流事業における具体的施策としては、既存倉庫の稼働率は安定的かつ高い水準にて推移しており、各種経費の削減にも取り組み、営業収益の確保に努めてまいりました。また、きめ細かなサービスを提供しながら、既存顧客との取引拡大や新規顧客の獲得に努めてまいりました。このほか、埼玉県所沢市の新規倉庫竣工や千葉県八街市の新規倉庫着工により、将来の収益増強に向けて事業基盤の増強も図られつつあります。不動産事業における具体的施策としては、賃貸マンションや賃貸オフィスビル等が安定的に稼働しており、不動産賃貸料収益の増加に努めてまいりました。

この結果、売上高は不動産事業収入が増加したものの荷動きの低調な推移に伴い物流事業収入が減少したことにより前期比95百万円(1.9%)減の4,823百万円となりました。また、営業利益は各種経費の削減に努めたものの新規設備投資に伴う減価償却負担の増加等により前期比31百万円(4.1%)減の741百万円となり、経常利益は前期比4百万円(0.5%)減の733百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は前期比32百万円(6.8%)増の506百万円となりました。なお、親会社株主に帰属する当期純利益は過去2番目の高水準を確保するに至りました。

 セグメント別の経営成績は、以下のとおりであります。 

(物流事業)

物流事業では、荷動きの低調な推移に伴い各収入が減少したことにより売上高は前期比105百万円減の4,193百万円となり、セグメント利益は新規設備投資に伴う減価償却負担増加により前期比26百万円減の856百万円となりました。

(不動産事業)

不動産事業では、賃貸マンション・賃貸オフィスビルが安定的に稼働したことにより売上高は前期比10百万円増の629百万円となり、セグメント利益はほぼ前期並みの296百万円となりました。

 

(2) 財政状態及びキャッシュ・フローに関する分析

① 資産、負債及び純資産の状況

当連結会計年度末における総資産は、新規設備投資に伴う固定資産の増加により前期末比1,409百万円増加の18,406百万円となりました。負債は、長期借入金の増加により前期末比970百万円増加の8,076百万円となり、純資産は前期末比438百万円増加の10,329百万円となりました。

この結果、当連結会計年度末における自己資本比率は56.0%となりました。

 

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローの増加、投資活動によるキャッシュ・フローの減少ならびに財務活動によるキャッシュ・フローの増加に伴い、現金及び現金同等物の期末残高は前期末比351百万円減少の1,048百万円となりました。

(ⅰ) 営業活動によるキャッシュ・フロー

税金等調整前当期純利益742百万円や減価償却費457百万円等の資金留保等により、営業活動によるキャッシュ・フローは730百万円の増加(前期比223百万円減)となりました。

(ⅱ) 投資活動によるキャッシュ・フロー

有形固定資産の取得による支出1,994百万円等により、投資活動によるキャッシュ・フローは2,015百万円の減少(前期比486百万円減)となりました。

(ⅲ) 財務活動によるキャッシュ・フロー 

長期借入れによる収入1,635百万円等により、財務活動によるキャッシュ・フローは933百万円の増加(前期比263百万円増)となりました。

 

(3) 生産、受注及び販売の実績

当社グループの主たる事業は、物流事業及び不動産事業であり、役務の提供を主体とする事業の性格上、生産、受注及び販売の実績を区分として把握することは困難であります。

これに代えて、セグメント毎の営業収益を示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

前連結会計年度

(自 2019年12月1日

至 2020年11月30日)

当連結会計年度

(自 2020年12月1日

至 2021年11月30日)

前年比増減額

(百万円)

売上高

(百万円)

構成比

(%)

売上高

(百万円)

構成比

(%)

物流事業

4,299

87.4

4,193

86.9

△105

不動産事業

619

12.6

629

13.1

10

4,918

100.0

4,823

100.0

△95

 

 

 

2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2022年2月25日)現在において判断したものであります。

(1) 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度の分析

当連結会計年度の経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に関する分析につきましては、「第2[事業の状況]3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析]1.経営成績等の状況の概要(2)財政状態及びキャッシュ・フローに関する分析」に記載のとおりです。

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2[事業の状況]2[事業等のリスク]」に記載したとおりです。

当社グループは、5ヶ年の新中期経営計画(2019-2023)を策定し、さらなる成長に向けて具体的施策を推進してまいりました。当連結会計年度は新中期経営計画の3年目となりますが、2019年以降3年間の具体的成果としまして、営業利益、経常利益、ROEといった主要指標は中計最終年度目標達成に向けていずれも改善傾向にて推移してきました。また、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は過去2番目の高水準を確保するに至りました。

② 次期見通しについて

2019年に策定した新中期経営計画(2019―2023)の策定段階では想定していなかった新型コロナウイルス感染症拡大の影響に伴う事業環境の大幅な変化等が生じたほか、新規設備投資計画の前倒し実行により先行投資コストの発生等に伴い、当社の経営基盤の面で変化が生じております。これらの内外の環境変化に的確に対応しながら、さらなる成長を果たすため、5ヶ年の新中期経営計画(2022-2026)を策定することといたしました。

今後の経済動向につきましては、各種政策の効果等により景気持ち直しの動きが期待されるものの、新型コロナウイルス感染症が内外経済を下振れさせるリスクがあるほか、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響等に留意を要する状況が続くものと思われます。

このような状況の下、当社グループは、事業環境の大幅な変化や新規設備投資の進捗に伴う当社経営基盤の変化等をふまえて新中期経営計画(2022-2026)を策定することとし、物流事業セグメントならびに不動産事業セグメントにおける収益基盤の増強を図りながら、企業価値の向上に努めてまいります。

次期の業務環境として物流事業ならびに不動産事業ともに安定的に稼働させていく計画としているものの、新規設備投資に伴い減価償却負担の増加が見込まれております。これらの結果、次期業績予想につきまして、売上高は前期比23百万円減の4,800百万円、営業利益は同91百万円減の650百万円、経常利益は同113百万円減の620百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同86百万円減の420百万円としております。

 

 

③ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

新中期経営計画(2022―2026)では、客観的な指標として、最終年度の売上高、営業利益、経常利益、EBITDA(減価償却前営業利益)、自己資本比率、ROEの目標を定めております。

新中期経営計画初年度の2022年11月期業績予想としましては、新型コロナウイルス感染症の影響や新規設備投資に伴う減価償却負担等の先行コストが発生するため、前年比減収減益の業績予想としておりますが、EBITDA(減価償却前営業利益)については前年比改善を予想しております。

また、前の中期経営計画において2023年11月期に達成を計画していた各水準は新中期経営計画の最終年度である2026年11月期に達成を目指すこととします。

最終年度では、営業利益、経常利益、EBITDA、ROEについて創業以来の過去最高水準の達成を目指す計画としております。

連結業績計画

 

2021年11月期

実績

[初年度]

2022年11月期

業績予想

[中計初年度]

2026年11月期

計画

[最終年度]

売上高(百万円)

4,823

4,800

5,500

営業利益(百万円)

741

650

920

経常利益(百万円)

733

620

900

EBITDA(償却前営業利益)(百万円)

1,199

1,200

1,400

自己資本比率

56.0%

57.0%

55.0%

ROE

5.0%

4.0%

5.5%

 

主要な財務指標のほか、次の非財務項目についても重要な指標として位置付けております。

(ⅰ) 各営業所の稼働率向上

(ⅱ) 各営業所の適切な修繕実施による収益力の安定化

(ⅲ) 資金調達の際の借入金利の固定化による金利上昇リスク抑制

 

 

(2) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

① 資本の財源及び資金の流動性

当社グループの設備資金及び運転資金は、営業キャッシュ・フロー及び金融機関からの借入により調達しております。

なお、キャッシュ・フローにつきましては、「第2[事業の状況]3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析]1.経営成績の状況の概要(2)財政状態及びキャッシュ・フローに関する分析」に記載したとおりです。

また、資金の調達に際しては、設備投資計画等に基づく資金需要、金利動向等を考慮し調達しており、一部の借入については将来の金利上昇リスクを回避し支払利息の固定化を図り調達コストの低減に努めております。

② セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

物流事業では、荷動きの低調な推移に伴い各収入が減少したことにより売上高は前期比105百万円減の4,193百万円となり、セグメント利益は新規設備投資に伴う減価償却負担増加により前期比26百万円減の856百万円となりました。セグメント資産は、新倉庫建設に伴い前期末比1,724百万円増の10,003百万円となりました。

不動産事業では、賃貸マンション・賃貸オフィスビルが安定的に稼働したことにより売上高は前期比10百万円増の629百万円となり、セグメント利益はほぼ前期並みの296百万円となりました。セグメント資産は、減価償却実施等により前期末比157百万円減の5,843百万円となりました。

 

(3) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については「第5[経理の状況]1[連結財務諸表等][注記事項](連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)及び(追加情報)」に記載したとおりです。この連結財務諸表の作成にあたって、将来キャッシュ・フローや繰延税金資産等に見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は様々な要因により実際の結果と異なる可能性があります。

(繰延税金資産)

繰延税金資産については、将来の課税所得を中期経営計画や現時点で入手可能な情報により見積り、回収可能性があるものと判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。今後、新型コロナウイルス感染症拡大の影響や環境の変化により業績が低迷した場合、この見積りの仮定に変更が生じ、繰延税金資産の取崩しが必要となり、税金費用が計上される可能性があります。

(固定資産の減損)

当社グループは、有形固定資産及び無形固定資産について減損の兆候の有無の判定を行い、減損の兆候がある資産又は資産グループについて、主として市場価格に基づき回収可能価額を算定し、減損損失の認識・測定を行っているため、新型コロナウイルス感染症の影響等により、市場価格が変動し回収可能価額が低下した場合には減損損失の計上が必要になる可能性があり、当社グループの経営成績・財政状況に影響を与える可能性があります。

 

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