業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

1.財政状態及び経営成績の概要

当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や個人消費に持ち直しの動きがみられましたが、長引く新型コロナウイルス感染症の影響により厳しい状況が続きました。また、今後はウクライナ情勢等による経済下振れのリスクに注視する必要があり、先行きは不透明な状況が継続しています。

こうした経済情勢にあって、当社グループを取り巻く事業環境は、倉庫物流業界では国内貨物は入出庫・保管残高ともに伸び悩みがみられ、輸出入貨物は持ち直しの動きに足踏みがみられるなど予断を許さない状況であり、また、不動産業界では都市部におけるオフィスビルの空室率上昇が続いており、引き続き厳しい状況で推移いたしました。

このような状況のもと、当社グループは、2030年のあるべき姿としての「長期ビジョン2030」と、長期ビジョンを実現するための計画として中期経営計画「YASDA Next 100」を策定し、事業体制の構築と更なる成長を目指してまいりました。その一環として、物流事業においては、付加価値の高いロジスティクス・サービスの提供による取引の拡大や物流施設の増強など事業基盤の強化を図り、不動産事業においては、既存施設の適切なメンテナンスと機能向上の推進による稼働率の維持・向上に努め、事業拡大を推進してきました。

この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

(1)財政状態

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ11,980百万円増の159,082百万円となりました。

負債については、前連結会計年度末に比べ13,299百万円増の84,165百万円となりました。

純資産については、前連結会計年度末に比べ1,319百万円減の74,916百万円となりました。

 

(2)経営成績

当連結会計年度における当社グループの経営成績は、営業収益では、前年同期比5,331百万円増(11.2%増)の53,040百万円となりました。営業利益は前年同期比378百万円減(11.5%減)の2,910百万円、経常利益は前年同期比325百万円減(7.5%減)の4,037百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期比82百万円増(2.9%増)の2,873百万円となりました。

セグメントの経営成績は、次のとおりです。

物流事業では、営業収益は前年同期比5,136百万円増(12.3%増)の46,852百万円、セグメント利益は前年同期比55百万円減(1.7%減)の3,199百万円となりました。

不動産事業では、営業収益は前年同期比224百万円増(3.4%増)の6,779百万円、セグメント利益は前年同期比8百万円減(0.4%減)の2,096百万円となりました。

 

2.キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ9,519百万円増の18,199百万円となりました。

    (営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、法人税等の支払や棚卸資産の増加等による減少もありましたが、主に税金等調整前当期純利益や減価償却費の資金留保により4,710百万円増(前年同期は3,943百万円増)となりました。

    (投資活動によるキャッシュ・フロー)

  投資活動によるキャッシュ・フローは、主に固定資産の取得による支出により6,859百万円減(前年同期は9,761百万円減)となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、主に借入金の増加により11,426百万円増(前年同期は6,660百万円増)となりました。

 

3.生産、受注及び販売の実績

(1)生産実績

 生産部門がないため、該当事項はありません。

(2)受注実績

 当連結会計年度における営業能力及び受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

①物流事業

a.グループの2022年3月31日現在の各地区別の営業能力(保管面積)を示すと、次のとおりであります。

地区

所有面積

(イ)

(㎡)

前期比

(㎡)

借庫面積

(ロ)

(㎡)

前期比

(㎡)

所管面積

(イ)+(ロ)

(㎡)

前期比

(㎡)

貸庫面積

(ハ)

(㎡)

前期比(㎡)

保管面積

(イ)+(ロ)-

(ハ) (㎡)

前期比

(㎡)

北海道地区

16,762

870

18,585

7,937

35,347

8,807

4,023

-

31,324

8,807

埼玉地区

25,600

-

28,955

-

54,555

-

12,339

-

42,216

-

東京地区

88,715

988

54,884

-

143,599

988

21,841

988

121,758

-

千葉地区

20,953

-

-

-

20,953

-

294

-

20,659

-

神奈川地区

158,506

-

53,390

4,183

211,896

4,183

40,513

-

171,383

4,183

北陸地区

3,678

1,474

-

-

3,678

1,474

-

-

3,678

1,474

大阪地区

39,485

-

24,258

-

63,743

-

13,248

-

50,495

-

 九州地区

15,458

-

-

-

15,458

-

224

-

15,234

-

369,157

3,332

180,072

12,120

549,229

15,452

92,482

988

456,747

14,464

 (注)1 倉庫業における主な営業能力は保管面積によって表示されております。

    2 保管面積は倉庫業法に基づく営業倉庫面積であります。貸庫面積は主に物流賃貸面積であります。

    3 海外における主な営業能力(保管面積)は29,968㎡であります。

 

b.グループの主要業務についての取扱高等の概要を示すと、次のとおりであります。

内訳

取扱高等

前連結会計年度

当連結会計年度

前期比(%)

倉庫業(保管)

保管残高(トン)

321,753

313,995

△2.4

 

(数量・月末平均)

 

 

 

 

貨物回転率(%)

27.2

22.4

△4.8

倉庫業(荷役)

入庫トン数(トン)

1,055,646

843,304

△20.1

 

出庫トン数(トン)

1,043,116

846,669

△18.8

自動車運送業

取扱トン数(トン)

991,651

1,079,554

8.9

港湾運送業

取扱トン数(トン)

926,886

884,005

△4.6

 

 貨物回転率は貨物の荷動きの状況を示すものであって、次の算式によって算出されております。

 

貨物回転率=

(当期中入庫高+当期中出庫高)×1/2

(%)

 

月末保管残高年間合計

 

②不動産事業

  グループの2022年3月31日現在における建物賃貸の営業能力を示すと、次のとおりであります。

営業能力は(所有面積+賃借面積)からなっております。

地区

建物賃貸面積

所有面積

(㎡)

前期比

(㎡)

賃借面積

(㎡)

前期比

(㎡)

合計(㎡)

前期比

(㎡)

北海道地区

17,069

-

-

-

17,069

-

東京地区

26,535

△1,038

2,987

-

29,522

△1,038

神奈川地区

57,861

△81

1,364

-

59,225

△81

101,465

△1,120

4,351

-

105,816

△1,120

(3)販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

物流事業

46,830

12.3

不動産事業

6,209

3.2

53,040

11.2

 (注) セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

1.当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(1)経営成績等

①財政状態

当連結会計年度末の総資産は、投資有価証券の時価評価により減少しましたが、主に現金及び預金の増加と土地(東京都大田区)の取得により、前連結会計年度末に比べ11,980百万円増の159,082百万円となりました。

負債については、主に長期借入金の増加により、前連結会計年度末に比べ13,299百万円増の84,165百万円となりました。

純資産については、主にその他有価証券評価差額金の減少により前連結会計年度末に比べ1,319百万円減の74,916百万円となりました。以上の結果により自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ4.7ポイント減の46.9%となりました。

なお、当社グループは長期借入金の調達にあたり、調達額の一定割合に対して格付上の資本性認定を受けることが出来る劣後特約付ローンによる資金調達を行っており、同ローンの資本性を考慮した格付上の自己資本比率は54.0%となります。

 

②経営成績

(営業収益)

営業収益は、物流事業・不動産事業とも増収となり、前年同期比5,331百万円増(11.2%増)の53,040百万円となりました。

(営業原価)

 営業原価は、陸運料や国際貨物取扱料の増収に伴う作業費の増加などにより、前年同期比5,279百万円増(12.8%増)の46,634百万円となりました。

(販売費及び一般管理費)

 販売費及び一般管理費は、減価償却費や賃借料の増加などにより、前年同期比430百万円増(14.0%増)の3,495百万円となりました。

(営業利益、経常利益)

 営業利益は、前年同期比378百万円減(11.5%減)の2,910百万円となりました。また、経常利益は、前年同期比325百万円減(7.5%減)の4,037百万円となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 親会社株主に帰属する当期純利益は、前年同期比82百万円増(2.9%増)の2,873百万円となりました。

 

(2)経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループを取り巻く事業環境は、倉庫物流業界では国内貨物・輸出入貨物で持ち直していくことが期待されつつあるものの不安定な状況が継続すると予想され、また、不動産業界では空室率の上昇と賃料水準の下落が懸念され、厳しい状況で推移するものと予測しております。

物流事業においては、付加価値の高いサービスの提供に向けたソリューションの強化とネットワークの拡充により取引の拡大や物流施設の拡充など事業基盤の強化を推し進め、増収を見込んでおります。

不動産事業においては、保有不動産の維持管理と価値向上施策を通じ、稼働率の維持・向上や保有不動産の再開発促進に努めてまいります。

従って、2023年3月期の連結業績予想につきましては、2022年5月9日に公表いたしました通期の連結業績予想に変更はありませんが、現時点で当社が把握可能な情報に基づいており、今後の新型コロナウイルス感染症拡大状況等の要因によって当予想は変動する可能性があります。

 

<ご参考>

2023年3月期の連結業績予想(2022年4月1日~2023年3月31日)

0102010_001.png

 

当社グループでは、新型コロナウイルス感染症拡大防止・収束に向けて最大限尽力するとともに、2022年2月に策定した中期経営計画「変わらず、変える。YASDA Next Challenge 2024」の基本目標を達成すべく、以下の3点の基本戦略に取り組んでおります。

① 物流:付加価値の高いサービスの提供に向けたソリューションの強化とネットワークの拡充

② 不動産:保有不動産の維持管理と価値向上施策を通じた事業拡大

③ 経営インフラ:「YASDA Value」に磨きをかけるための経営インフラの高度化

なお、当社グループの経営に影響を与える要因は、「2[事業等のリスク]」に記載しております。

 

(3)経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、中期経営計画「変わらず、変える。YASDA Next Challenge 2024」に基づき諸施策を策定・実行し、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上を図っていく所存であります。「変わらず、変える。YASDA Next Challenge 2024」では当社グループの重要な経営指標として、最終年度の2024年度に営業収益650億円、営業利益40億円、経常利益48億円、営業利益率6%の達成を目指しております。

当連結会計年度における当社グループの重要な経営指標については、営業収益は、物流事業・不動産事業とも増収となり、前年同期比5,331百万円増(11.2%増)の53,040百万円となりました。また、物流施設の新設に伴う各種営業原価や販管費の増加などにより、営業利益は前年同期比378百万円減(11.5%減)の2,910百万円、経常利益は前年同期比325百万円減(7.5%減)の4,037百万円、営業利益率は前年同期比1.4ポイント減の5.5%となりました。

 

(4)セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 物流事業では、前事業年度に新設した物流施設の稼働や輸配送ネットワークの拡充、海上運賃の高騰や航空輸送の増加などにより倉庫保管料、作業料、陸運料及び国際貨物取扱料で増収となった一方、各種営業原価の増加などにより、営業収益は前年同期比5,136百万円増(12.3%増)の46,852百万円、セグメント利益は前年同期比55百万円減(1.7%減)の3,199百万円となりました。セグメント資産は主に土地(東京都大田区)の取得に伴う固定資産の増加により前年同期比9,935百万円増(14.9%増)の76,709百万円となりました。

不動産事業では、施工工事の増加や既存施設の稼働率維持により、営業収益は前年同期比224百万円増(3.4%増)の6,779百万円、セグメント利益は前年同期比8百万円減(0.4%減)の2,096百万円となりました。セグメント資産は主に不動産事業における固定資産の減価償却に伴う減少により前年同期比546百万円減(1.9%減)の28,922百万円となりました。

 

2.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 2.キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 当社グループは、事業活動の維持拡大に必要な運転資金及び設備資金を主に内部資金、借入及び社債の発行により調達しております。運転資金及び設備資金の調達については、財務規律のバランスを維持しつつ、事業計画に基づく資金需要、金利動向等の調達環境、既存借入金及び社債の償還時期等を考慮の上、適宜判断して調達していくこととしており、国内関係会社については、一部の関係会社を除き原則として資金需要に応じて当社が一括して金融機関等から借入、貸付ける方法によっております。また、一部の海外関係会社の設備資金は、直接邦銀現地法人より調達しております。

また、当社は金融機関との間で長期に亘って築き上げてきた良好な取引関係の維持と財務規律のバランスの維持により、当社グループの事業活動の維持拡大に必要な運転資金及び設備資金の調達に関しては今後とも問題なく実施可能と認識しております。

なお、より安定的な資金調達能力の向上を課題とし、日本格付研究所より格付を取得しており、本報告書提出日においては「A-(安定的)」を取得しております。

新型コロナウイルス感染症による資金繰り等に与える影響は軽微と見ており、当初の資金計画に基づいた資金調達を行う予定であります。なお、今後コロナウイルス感染症が更に拡大し当社グループの事業に大きな影響を与えた場合には、別途資金調達を行う可能性があります。

 

3.重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表を作成するのに当たっては、「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載した基準に従っております。これらを含め、当社グループはわが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて連結財務諸表を作成しております。

 なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

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