文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)中長期的な経営戦略・対処すべき課題
当社グループを取り巻く事業環境は、国内においては労働力不足等を背景にAI・ロボティクス等新技術の活用が進むとともに、国内外においては、新型コロナウイルス感染症の流行を契機としたワークスタイル・ライフスタイルの変化、多様化に伴い、お客様のニーズに柔軟に対応しうる付加価値の高いサービスの持続的な提供が期待されています。
このような外部環境の変化のもと当社グループでは、事業体制の構築と更なる成長を目指し、2030年のあるべき姿を描いた「長期ビジョン2030」を実現するための計画として2022年度から2024年度までの3年間を対象期間とする中期経営計画「変わらず、変える。YASDA Next Challenge 2024」を策定しており、当社グループとして掲げる基本方針、「最先端テクノロジーと人間力を融合した、「YASDA Value」で多様化する社会とお客様ニーズに応える。」に基づき、こうした事業環境に適応していくとともに、引き続き大きな変化が予想される物流業界の中で成長を目指します。
また、この成長戦略を加速させ、お客様へ更に付加価値の高いロジスティクス・サービスを提供するため、ソリューション提案力の強化と最先端テクノロジーやデジタル技術を積極的に活用しデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進してまいります。
「長期ビジョン2030」 ~次の100年に向けて~
世界に誇れるYASDAブランドと革新的テクノロジーの融合で全てのステークホルダーの期待を超える企業グループを目指す。
[顧 客] 他の追随を許さないロジスティクス・ソリューションと人間力で確固たる顧客満足を獲得する。
[従業員] 多様性を尊重し働きやすく且つ働き甲斐のある職場で従業員が最大限のパフォーマンスを発揮する。
[社 会] 事業を通じた環境負荷低減や高い災害強靭性で持続可能な社会の構築に貢献する。
[株 主] 高い収益力と強固な財務基盤により企業価値の向上を図る。
中期経営計画 「変わらず、変える。YASDA Next Challenge 2024」
1.基本方針
最先端テクノロジーと人間力を融合した、「YASDA Value」で多様化する社会とお客様ニーズに応える。
2.基本目標
上記の基本方針を踏まえ、以下の4点を基本目標とします。
(1)物流:お客様のビジネス環境に合わせた最適なサービス提供と、既存の物流の領域に捉われない新サービス
の創造
お客様とのコミュニケーションや変化する事業環境への理解を深めることで、潜在的ニーズを捉え、豊富なサービスメニューを有する当社グループの総合力と柔軟で高品質な現場力により、国内外で最適なサービスを持続的に提供する。AI・ロボティクスなどの先進技術活用により、従来の物流の枠を超えた、付加価値の高い新サービスを開発し、お客様の抱える課題の解決と当社グループの更なる収益力向上を目指す。
(2)不動産:保有不動産の再開発による収益基盤の更なる強化
首都圏に保有する不動産の再開発を通じて、変化するお客様ニーズに応じた新たな価値を創出し、収益基盤としての不動産事業の強化・拡大を図る。
(3)経営インフラ:社会環境の変化にも柔軟に対応できるサステナビリティ経営基盤と、確固たる現場力・人間
力の確立
社会環境の変化や災害、感染症流行等の有事への柔軟な対応による当社グループ事業の継続的な発展と、持続可能な地球環境・社会を両立するサステナビリティ経営基盤の構築を目指す。また、多様な人材活用・育成、ITシステムの高度化、グループ連携強化などを通じて、当社グループ事業を支える現場力・人間力の更なる強化を図る。
(4)業績目標
最終年度の2024年度に営業収益650億円、営業利益40億円、経常利益48億円、営業利益率6%の達成を目指す。
3.基本戦略
基本目標達成のため、以下の3点を基本戦略とします。
(1)物流:付加価値の高いサービスの提供に向けたソリューションの強化とネットワークの拡充
・ソリューション提案型営業の深化
・メディカル物流拠点の拡充と体制の強化
・IT機器ライフサイクルマネジメント業務体制の拡充
・EC物流サービスの拡充
・ワークスタイルの変化に適応したオフィスサポートの事業転換
・国内外の輸配送ネットワーク拡充
・新しい物流技術・DXの活用による新サービス開発
(2)不動産:保有不動産の維持管理と価値向上施策を通じた事業拡大
・芝浦地区、横浜地区の保有不動産再開発
・お客様ニーズに応じた施設の適切なメンテナンスと機能向上
(3)経営インフラ:「YASDA Value」に磨きをかけるための経営インフラの高度化
・多様な人材活用と専門人材育成
・働きやすい環境の更なる整備
・DXの基盤としての情報システム高度化
・グループ連携の強化
・ステークホルダーの持続可能な発展に貢献するサステナビリティの取組み推進
・コンプライアンス、リスク管理の徹底とガバナンス強化
・サービス品質の維持・向上に向けた品質管理体制と現場力強化
・事業基盤の災害強靭化と防災徹底
・規律ある財務運営と成長投資の両立
・YASDA Next Challenge(新規事業・新規施策)
4.投資計画
本中期経営計画の対象期間については、規律ある財務運営を念頭に置きつつ、合計360億円(物流事業280億
円、不動産事業40億円、DXおよびシステム40億円)の投資を計画しております。
サステナビリティへの取り組み
当社グループは、「健全な企業活動を通じて、お客様、株主、従業員、地域社会の期待に応え豊かさと夢を実現する。」との経営理念に基づき、物流、不動産事業を通じ循環型社会の実現に取り組んでまいりました。当社グループが更なる発展を遂げるためには、これまで以上に地球環境や社会の持続可能性に配慮した経営を行い、「社会に必要とされ続ける企業」を目指さなければならないと考えております。
このような状況のもと、当社は2022年2月に当社グループ内のサステナビリティを巡る諸課題に対する取り組みの推進機能強化と情報開示を目的として「サステナビリティ推進室」を新設しました。また、安田倉庫グループとして優先的に取り組むべき重要課題を4つのマテリアリティとして明確化し、マテリアリティに関連する諸課題をESGの側面から整理し、当社の具体的な取り組みを開示しております。
(2)新型コロナウイルス感染症の影響
今後のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響は予断を許さない状況が続き、経済の先行き不透明感が強まっています。
こうした経済情勢にあって、当社グループを取り巻く事業環境は、倉庫物流業界では国内貨物・輸出入貨物で持ち直していくことが期待されつつあるものの不安定な状況が継続すると予想され、また、不動産業界では空室率の上昇と賃料水準の下落が懸念され、厳しい状況で推移するものと予測しております。
このような外部環境ではございますが、当社グループでは、新型コロナウイルス感染症拡大防止・収束に向けて最大限尽力するとともに、中期経営計画「変わらず、変える。YASDA Next Challenge 2024」に基づく諸施策を実行し、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上を図っていく所存であります。
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