業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概況

 当連結会計年度における当社企業グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概況は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

 当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。

 これに伴い、当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度と比較して大きく減少しております。

 そのため、当連結会計年度における経営成績に関する説明は、売上高については前連結会計年度と比較しての増減額及び前連結会計年度比(%)を記載せずに説明しております。

 詳細は、「1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。

 

 当連結会計年度(2021年4月1日から2022年3月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が進み、社会経済活動に一部持ち直しの動きが見られたものの、新たな変異株の感染拡大、部材不足や資源高、さらにウクライナ情勢などにより先行き不透明な状況が続きました。

 このような状況の下、当社企業グループの主要な事業拠点であります新潟港においては、貨物取扱量は前連結会計年度比で増加し、当社企業グループの主力である運輸部門の貨物取扱量も同様に増加いたしました。また、ホテル事業部門では、新型コロナウイルス感染症の影響が続く中、ホテルの新たな利用機会を増やす取組みを継続した結果、前連結会計年度比で業績の回復は見られたものの、依然として厳しい状況が続きました。

 この結果、当連結会計年度の当社企業グループの売上高は126億9千4百万円、営業利益は1億2千4百万円(前連結会計年度は5億2千5百万円の損失)、経常利益は3億7千6百万円(前連結会計年度は3億8百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は4億5千5百万円(前連結会計年度は15億6千5百万円の損失)となりました。

 

 セグメントの業績は次のとおりであります。なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の連結会計年度比較については、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。

 

 

(運輸部門)

 当社運輸部門と運輸系子会社を合わせた同部門の当連結会計年度の貨物取扱数量は、前連結会計年度比8.3%増加の559万7千トンとなりました。そのうち一般貨物については、前連結会計年度においてコロナ禍の影響を受け需要が低下していた主要貨物である素材原料の一部の荷動きが回復したことなどにより前連結会計年度比で13.5%増加し、コンテナ貨物も前連結会計年度比で5.4%増加しました。この結果、同部門の売上高は100億5千1百万円となりました。また、経費面においては外注費の抑制と労務コスト削減を中心に取り組んだ結果、1億2千1百万円のセグメント利益(前連結会計年度は1億9千7百万円の損失)となりました。

 

(不動産部門)

 商品土地の販売が進んだ一方で、大口の不動産賃貸契約終了の影響もあり、売上高は3億5千6百万円、セグメント利益は1億8千6百万円(前連結会計年度比3.8%の減益)となりました。

 

(機械販売部門)

 大型建設機械の販売件数は前連結会計年度比で減少しましたが、自動車や荷役機械に関わる部品販売、整備、修理が堅調に推移しました。この結果、同部門の売上高は6億5千9百万円、セグメント利益は4百万円(前連結会計年度比55.6%の増益)となりました。

 

(ホテル事業部門)

 新型コロナウイルス感染症の影響が続いた中、ホテル内の感染対策を徹底し、宿泊部門においては、前連結会計年度比で宿泊人数が増加し、宴会部門も、小人数の宴会の受注や飲食を伴わない宴会場の利用の促進に努めました。レストラン部門は、テイクアウトやクリスマス・正月商品の販売を強化いたしました。この結果、同部門の売上高は12億6千4百万円、セグメント損失は2億7千3百万円(前連結会計年度は5億8千1百万円の損失)となりました。

 なお、前連結会計年度においてホテル事業部門に属しておりました株式会社ホテル大佐渡につきましては、同社株式の譲渡に伴い、当連結会計年度の期首より連結から除外しております。

 

(その他事業部門)

 産業廃棄物の処理業については、木材の廃材受入が増加したことにより堅調に推移いたしました。保険代理店業を合わせたその他事業部門の売上高は3億3千7百万円、セグメント利益は7千4百万円(前連結会計年度比139.0%の増益)となりました。

 

(その他)

 建設資材販売のうち、セメント系商品を納入する工事案件が前連結会計年度比で減少した結果、同部門の売上高は8千6百万円、セグメント利益は9百万円(前連結会計年度比61.1%の減益)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、営業活動によるキャッシュ・フローが9億4千3百万円の収入超過、投資活動によるキャッシュ・フローが7千万円の収入超過、財務活動によるキャッシュ・フローが12億3千万円の支出超過となったことにより、前連結会計年度末に比べて2億1千6百万円減少し、3億9千3百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 税金等調整前当期純利益、減価償却費などの非資金項目のほか、助成金の受領額等の資金の増加要因が、売上債権の増加額等の資金の減少要因を上回ったことにより、9億4千3百万円の収入超過(前連結会計年度比37.6%の増加)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資有価証券の売却による収入1億2千8百万円、関係会社株式の売却による収入4千9百万円、有形固定資産の取得による支出8千7百万円等により、7千万円の収入超過(前連結会計年度は2億3千3百万円の支出超過)となりました。

 

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 短期及び長期の借入金の純減額10億8千9百万円、リース債務の返済による支出1億4千万円等により、12億3千万円の支出超過(前連結会計年度は2億8千万円の支出超過)となりました。

 

(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

 

2019年3月期

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

自己資本比率(%)

39.8

39.3

37.5

41.5

時価ベースの自己資本比率(%)

14.5

16.6

17.4

13.0

債務償還年数(年)

7.3

14.1

18.4

12.1

インタレスト・カバレッジ・レシオ

17.6

10.6

8.2

12.0

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
債務償還年数:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

(注)1 各指標はいずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

2 株式時価総額は、期末株価終値×自己株式を除く期末発行済株式数により算出しております。

3 営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。

4 有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

③ 財政状態の状況

 当連結会計年度末における総資産は366億8千6百万円となり、前連結会計年度比0.1%、4千万円減少しました。資産の減少の主な要因は、流動資産が7千9百万円増加した一方、固定資産が1億1千9百万円減少したことによるものであります。

 負債純資産の減少の主な要因は、純資産が14億6千7百万円増加した一方、負債合計が15億7百万円減少したことによるものであります。

 

(流動資産)

 当連結会計年度末における流動資産の残高は42億3百万円となり、前連結会計年度比1.9%、7千9百万円増加しました。この増加の主な要因は、現金及び預金の減少2億1千6百万円、受取手形、営業未収入金及び契約資産の増加2億5千6百万円などであります。

 

(固定資産)

 当連結会計年度末における固定資産の残高は324億8千3百万円となり、前連結会計年度比0.4%、1億1千9百万円減少しました。この減少の主な要因は、償却資産の減価償却が進んだことによる有形固定資産の減少6億4千8百万円、投資有価証券の時価評価等による増加5億7千1百万円などであります。

 

(流動負債)

 当連結会計年度末における流動負債の残高は78億4千万円となり、前連結会計年度比0.1%、9百万円増加しました。この増加の主な要因は、支払手形及び営業未払金の増加2千4百万円、電子記録債務の増加9千2百万円、短期借入金の減少5千万円、リース債務の減少2千1百万円、その他の減少2千6百万円などであります。

 

(固定負債)

 当連結会計年度末における固定負債の残高は136億2千2百万円となり、前連結会計年度比10.0%、15億1千7百万円減少しました。この減少の主な要因は、長期借入金の減少10億3千9百万円、退職給付に係る負債の減少4億5千7百万円などであります。

 

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産の残高は152億2千3百万円となり、前連結会計年度比10.7%、14億6千7百万円増加しました。これは親会社株主に帰属する当期純利益4億5千5百万円、連結子会社の連結除外に伴う利益剰余金の増加4億7千3百万円、投資有価証券の時価評価などによるその他有価証券評価差額金の増加4億6千2百万円などが主な要因であります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

 当社企業グループは受注生産形態をとらない業種のため、生産実績及び受注実績は記載しておりません。なお、販売実績については「①財政状態及び経営成績の状況」におけるセグメントの業績に含めて記載しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社企業グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(経営成績の状況)

 当社企業グループの当連結会計年度の経営成績等の概要は、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 当連結会計年度における売上高は、126億9千4百万円となりました。セグメント部門別では、運輸部門の外部顧客への売上高が、主要荷主の貨物の取扱数量が回復したことが主な要因となり、100億4千8百万円となりました。

 販売費及び一般管理費は、11億9千6百万円(前連結会計年度比9千万円、7.0%の減少)となりました。人件費、修繕費等の減少が主な要因であります。

 営業利益は1億2千4百万円(前連結会計年度は5億2千5百万円の営業損失)となりました。セグメント部門別では、前連結会計年度にセグメント損失であった運輸部門が1億2千1百万円のセグメント利益となり、それ以外の部門もホテル事業部門を除いて、前連結会計年度同様、セグメント利益を確保いたしました。

 経常利益は3億7千6百万円(前連結会計年度は3億8百万円の営業損失)となりました。営業外収益では、政府の助成金収入が、前連結会計年度比で増加しました。また営業外費用の支払利息は7千9百万円となり、前連結会計年度比で減少しております。

 特別利益では、投資有価証券や子会社株式の売却益として8千6百万円を計上しており、特別損失では、大きな損失項目はございませんでした。また、法人税等の税金面では、前連結会計年度に当社において繰延税金資産の取崩しを行ったことにより税金費用が増えましたが、当連結会計年度はそれがなくなり税金負担額も減少しました。

 この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は4億5千5百万円(前連結会計年度は15億6千5百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

 各セグメントの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

[運輸部門]

 同部門の中心拠点である新潟港の荷動きは、中国や東南アジアを中心とした諸外国の経済状況、新潟県内に工場を持つ企業の生産活動、小売業者の事業活動や消費者動向、さらに同港に寄港する船会社の再編、スケジュール等に影響されます。また、物流業界では、トラックの運転手不足が課題になっており、今後、運送会社の休廃業が増えることも予想され、同部門でも荷役・輸送体制の維持が課題と認識しております。

 このような事業環境のもと、同部門の外部顧客への売上高は100億4千8百万円、セグメント利益は1億2千1百万円(前連結会計年度は1億9千7百万円の損失)となりました。

 当連結会計年度は、世界的な海上コンテナの不足や海上運賃、燃料費の高止まりが継続しましたが、前期に新型コロナウイルス感染症の影響を受け、低調であった一般貨物の素材原料の荷動きが一部で回復し、コンテナ貨物も前期比で増加いたしました。また同部門では、新潟港での港湾荷役のノウハウや一般・危険品倉庫等の倉庫群を活かし、港湾荷役と倉庫保管が結び付く貨物や重量物など特殊貨物の取込みを図って参りました。また、現場作業の内製化、トラック輸送の自社便の増加等も推進して参りました。

 今後も、世界的に海上コンテナの不足や海上運賃の高止まりが続くことが予想され、新潟港でもコンテナ貨物への影響が懸念されます。また、ロシアに対する経済制裁の影響にも注視する必要があります。

 

 

 そういった中、同部門の収益基盤の安定・強化のため、優先して取り組む課題については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)優先的に対処すべき事業上、財務上の課題」に記載しましたように、2022年2月に当社が横浜港を拠点とする子会社を吸収合併し、新潟港と京浜港のコンテナ物流事業の連携強化と拡大を図って参ります。また、同年4月の運輸系子会社2社同士の合併により、新潟港の荷役作業の更なる作業効率の向上、倉庫・運搬体制の増強を図って参ります。さらに港湾荷役にこだわらず運輸部門の長年のノウハウを活用した物流改善を提案し、地域貢献と同時に既存顧客の維持・取扱拡充と新規貨物の獲得に取組みます。

 

[不動産部門]

 同部門では、当社が保有する不動産の賃貸収入や当社保有の不動産の販売が主な収入源となります。

 同部門の外部顧客への売上高は3億3千7百万円、セグメント利益は1億8千6百万円(前連結会計年度比7百万円、3.8%の減益)となりました。

 当連結会計年度は、商品土地の販売を促進しましたが、賃貸不動産の大口契約が終了した影響もあり減収減益となりました。

 同部門では、当社が保有する不動産の有効活用を継続し、売却を含めて収益確保を図って参ります。また保有する賃貸物件については適切な修繕、維持管理を行い、安定収益確保に努めて参ります。さらに、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)優先的に対処すべき事業上、財務上の課題」に記載しましたように、当社企業グループの既存の固定資産について、現状の用途にとらわれず、潜在的な収益力を掘り起こす利用方法の見直しの検討をすすめ、連結全体の資産の有効活用にも取組んで参ります。

 

[機械販売部門]

 同部門は、建設機械の販売・整備、自動車整備が事業の中心であり、ゼネコン業者や土木建設業者の事業活動が同部門の収益に影響を及ぼします。

 同部門の外部顧客への売上高は6億2千6百万円、セグメント利益は4百万円(前連結会計年度比1百万円、55.6%の増益)となりました。

 当連結会計年度は、大型建設機械の販売が伸び悩んだものの、部品販売、整備・修理作業に注力いたしました。今後もお客様の保有する建設機械の稼働状況と新機種の入替ニーズを的確に把握し、販売の成約に繋げると同時に、継続して整備作業の稼働率向上に努めて、収支改善を図って参ります。

 

[ホテル事業部門]

 同部門の外部顧客への売上高は12億5千9百万円、セグメント損失は2億7千3百万円(前連結会計年度は5億8千1百万円の損失)となりました。

 同部門は、前期と同様に、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止による影響を受け、宿泊、レストラン部門では個人客に回復の兆しが見られましたが、宴会部門は、飲食を伴う宴会の自粛が続いており、厳しい事業環境が続いております。

 この厳しい事業環境において、2021年4月に当社が所有する株式会社ホテル大佐渡の全株式を譲渡し、同社を連結から除外しております。また、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)優先的に対処すべき事業上、財務上の課題」に記載しましたように、お客様に安心してご利用していただくため徹底した感染防止策を継続し、宿泊、宴会、レストランの各種キャンペーンの企画や高品質のサービスを提供し、ホテル商品のテイクアウト、デリバリーサービスなど外販強化、さらに政府による観光需要喚起キャンペーンが実施された場合のビジネスチャンスを最大限活かし、同事業を早期に正常に戻せるように取組んで参ります。

 

[その他事業部門]

 同部門には、保険代理店業、産業廃棄物の処理業が含まれ、特に木材リサイクルでは、家屋の解体などで発生する廃材の受入数量が収支に影響を及ぼします。同部門では、特に木材リサイクルにおいて、廃材受入の数量が増加し、保険代理店業も堅調に推移し、同部門の外部顧客への売上高は3億3千7百万円、セグメント利益は7千4百万円(前連結会計年度比4千3百万円、139.0%の増益)となりました。

 リサイクル事業は、廃材資源の利活用の事業でもあり、環境保全に配慮した社会貢献につながる事業として推進して参ります。

 

 

[その他]

 建設資材、その他に荷役商品など扱う商品販売が含まれます。特に建設資材は、ゼネコン業者の工事案件の動向、住宅着工件数が収支に影響を及ぼします。

 当連結会計年度は、建設資材販売のうち、セメント系商品を納入する工事案件が減少し、同部門の外部顧客への売上高は8千4百万円、セグメント利益は9百万円(前連結会計年度比1千4百万円、61.1%の減益)となりました。

 

(財政状態の状況)

 当社企業グループの当連結会計年度末の財政状態の概要は、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ 財政状態の状況」に記載の通りであります。

 当連結会計年度の資産は366億8千6百万円(前連結会計年度末比4千万円、0.1%の減少)、負債は214億6千3百万円(前連結会計年度末比15億7百万円、6.6%の減少)、純資産は152億2千3百万円(前連結会計年度末比14億6千7百万円、10.7%の増加)となりました。

 その結果、自己資本比率が41.5%となり、前期の37.5%よりも4.0ポイント増加しました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益や連結子会社の連結除外などにより利益剰余金が前期に比べて9億5千2百万円増加したことが大きな要因であります。

 企業継続のため財務基盤の安定向上は優先すべき課題として認識しており、新型コロナウイルスの影響が継続する状況のもと、全事業部門でコスト管理を徹底し、収益獲得の機会を的確に捉えて、利益の積み増しと剰余金の安定配当を勘案し、純資産の増加に努めて参ります。 当社企業グループの当連結会計年度末の財政状態の概要は、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ 財政状態の状況」に記載の通りであります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関する情報

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 当連結会計年度では、税金等調整前当期純利益4億5千2百万円のほか、減価償却費7億3千1百万円、助成金の受取額2億6千万円などにより、営業活動によるキャッシュ・フローは9億4千3百万円の収入超過となりました。また、当連結会計年度においては大規模な設備投資を控え、投資有価証券の売却を進めた結果、投資活動によるキャッシュ・フローが7千万円の収入超過となり、フリー・キャッシュ・フロー(注)は、10億1千3百万円の収入超過になりました。当社企業グループでは、財務基盤の安定に向けて、営業活動から稼得するキャッシュ・フローを勘案した設備投資を行い、借入金の抑制に取組む方針であります。

 

(資本の財源及び資金の流動性について)

 当社企業グループは、事業活動に必要な資金と資金の流動性を維持するとともに健全な財政状態を目指すため、安定的な営業キャッシュ・フローを稼得することが資本財源の基本と考えております。

 

(資金需要の主な内容)

 当社企業グループの運転資金需要のうち主なものは、運輸部門の作業諸掛、機械販売部門の建設機械の仕入、商品販売部門の建設資材の仕入、ホテル事業部門の料理材料・飲料の仕入であり、共通するものとして人件費等であります。また、投資を目的とした資金需要の主なものは、事業用の設備投資であります。

 

(資金調達)

 短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本とし、既存の借入金の約定返済や設備投資のため、金融機関による固定金利の長期借入も行います。また、当社が連結子会社を含めたグループ内の運転資金の一元管理を行い、グループ内の資金の過不足を調整しております。

 2022年3月31日現在の有利子負債の概要は以下のとおりであります。

 

年度別要支払額(百万円)

契約債務

合計

1年以内

1年超3年以内

3年超5年以内

5年超

短期借入金

2,350

2,350

長期借入金(注)

8,670

2,646

3,990

2,033

リース債務

369

140

169

58

合計

11,389

5,136

4,160

2,092

(注)「長期借入金」には「1年内返済予定の長期借入金」を含めております。

 

 

 当社企業グループの第三者に対する保証は、連結子会社であるリンコー運輸株式会社の全国通運への交互計算精算債務に対する債務保証であります。保証した債務の債務不履行が発生した場合、当社企業グループが代わりに弁済する義務があり、2022年3月31日現在の債務保証は167百万円であります。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社企業グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、決算日における資産・負債の報告数値及び偶発債務の開示、報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び予測を行う必要があります。よって、見積りや予測の持つ特有の不確実性により、実際の結果はこれらの見積りや予測と異なる場合があります。

 当社企業グループは、特に次の会計上の見積りが重要であると考えております。

 

(固定資産の減損)

 当社企業グループでは、固定資産のうちの兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回り、さらに回収可能価額が帳簿価額を下回る場合、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。

 減損の兆候判定、減損損失の認識及び測定に当たっては、将来キャッシュ・フローの見積りが重要になりますが、この見積りは取締役会で承認された収支計画を基準に一定の補正をしており、経営環境の変化による収益性の変動や市況の変動により、当初の見積りを著しく低下させる変化が見込まれた場合、減損損失の計上が必要となる場合があります。

 なお、新型コロナウイルス感染拡大の影響については、「2 事業等のリスク ⑥ 固定資産の減損に関わるリスク」を参照願います。

 

(繰延税金資産の回収可能性)

 繰延税金資産の回収可能性の評価については、将来の収支計画に基づき課税所得が十分確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について、繰延税金資産を慎重に計上しております。この繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りを前提にするため、この見積りは取締役会で承認された収支計画を基準にしており、その条件や仮定に変更が生じた場合には、繰延税金資産を取り崩す必要があり、税金費用が増加する可能性があります。

 なお、新型コロナウイルス感染拡大の影響については、「2 事業等のリスク ⑩ 繰延税金資産の取崩しに関わるリスク」を参照願います。

 

(退職給付費用及び退職給付債務)

 退職給付費用及び退職給付債務の算定に使用される見積りには、年金資産の長期期待運用収益率、割引率、平均残存勤務年数等を計算基礎としており、当社企業グループは、この数理計算上の仮定は適切であると認識しておりますが、年金資産の運用実績の結果や一定の仮定の変動は将来の退職給付費用及び退職給付債務に影響を及ぼします。なお、退職給付費用及び退職給付債務に関する見積りや数理計算上の計算基礎については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (退職給付関係)」を参照願います。

 

(貸倒引当金)

 当社企業グループは、信用調査会社を通じてお客様の信用情報を入手し、支払履歴も考慮して与信管理を行っております。また、貸倒引当金については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 4 会計方針に関する事項 (3)重要な引当金の計上基準」に基づき、計上しております。

 現在の貸倒引当金の金額は、過去の貸倒実績率に基づき算出しており、今後、取引先の債権の支払状況によって貸倒実績率が高くなる場合や、多額の破産更生債権等が発生した場合には貸倒引当金が増加し、当社企業グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(注)文中のフリー・キャッシュ・フローは、以下の計算式で算定しております。

フリー・キャッシュ・フロー:営業活動によるキャッシュ・フローの金額と投資活動によるキャッシュ・フローの金額の合計

 

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