文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針・経営戦略等
当社グループは「国際物流業務を通して世界の産業とくらしに貢献する」を事業コンセプトとし、経営方針につきましては、「顧客の課題を解決することによって付加価値の高いサービスを提供する」「経営基盤を強化し、存在感のある事業体となる」「社員にとって働きがいのある、いきいきとした職場を作る」を基本方針として、経営を進めてまいります。また、当社グループは、株主資本の効率的な運用と収益性の一層の向上を目指して、自己資本利益率と売上高経常利益率を重視し、高収益企業を目指してまいります。
また、当社グループは「国際物流のトータルプランナーとして常に革新する企業」を目指し、常に顧客ニーズの変化に的確に対応した事業体となる経営を進めてまいります。当社グループを取り巻く港湾物流業界は、流通形態の変革により今後の事業環境は大きく変化するものと思われます。当社グループといたしましては、この変化に即応できる効率的な体制づくりと物流の合理化要請に対応できる商品、情報、サービスの提供をグローバルに取組み、積極的な営業展開による収益の拡大に努めてまいります。
具体的には、当社グループでの港湾関連情報における環境を整備するため、港湾関連データ連携基盤の構築により全ての港湾情報や貿易手続きを電子的に取り扱うことが可能となるサイバーポートへの接続や、通関業連合会の通関業者のためのクラウドサービス提供により当社グループ基幹システムとの連携強化を進めます。当社グループ内のIT環境を整備することにより業務の効率化を通じて働き方改革を実行し、仕事の付加価値を高め収益性の向上に繋げます。新サービスとして海上輸送とJRの鉄道輸送網を組み合わせた国際複合一貫サービスを構築し、新たなツールとして営業展開しております。モーダルシフトによる物流機能を強化すると共に、顧客と連携し環境負荷の低減により、物流事業者として社会的貢献をしてまいります。また、海外合弁会社4社を中心に新たな商品開発と従来のサービスの強化を推進します。今後取引先の海外生産拠点が中国からベトナム、及びその周辺地域へと加速することが予想されることから、情報を的確に捉え取引先のニーズに応え新たなサービスを提供し海貨系国際物流事業者としての役割を果たし、事業活動の効率化を図り健全な経営を維持し企業価値の向上を目指してまいります。
(2)経営環境及び対処すべき課題
当社グループは五大港に自己資産もしくは賃貸により倉庫設備を保有し、輸出入貨物の海上輸送及び国内物流を取り扱う海貨系国際物流事業者として事業展開しています。港湾運送事業の規制緩和は近年大きく前進しておらず、当社を取り巻く事業環境は急激な変化もなく、港湾地域への企業の新規参入もない状況です。しかしながら新型コロナウイルス感染症の影響により国内消費動向も変化し、少子高齢化と国内人口の減少により中長期的には国内消費全体の縮小等が進み、輸出入貨物の取扱量は、当社グループ主要倉庫設備等の拠点がある神戸港をはじめとして今後減少していくことが推測され、業者間の競争がより一層激化することが予想されます。
港湾物流を担うコンテナ運送及び国内トラック運送業界における人手不足や燃料費高騰による物流コスト上昇も懸念され、行政主導によるターミナル等の港湾物流の効率化推進事業の進捗状況に歩調を合わせ、当社グループでの業務の効率化に繋げてまいります。現在当社グループは海外投資資産を持たずアジアを中心に海外フォワーダーと資本提携による合弁会社を設立もしくは代理店契約により連携を強化し海外展開を行っています。投資効果においては安定的な利益配当を確保し、営業面では、取引先のニーズに沿ったきめ細かなサービスを提供し、他社と差別化した国際物流をコーディネートすることにより海外における収益の確保を目指しています。輸出部門の主要顧客は、グローバルなサプライチェーンの枠組みの中で堅調を維持しているものの、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大も長期化し、また、海上コンテナ不足や本船スペース不足等による物流網混乱も続いており、荷動きは世界の生産構造の変化や生産状況に大きく左右され、当社業績へ大きく影響します。また、輸出・輸入・国際の全ての部門において、機械機器メーカー、商社、小売業を中心に主要取引先の営業収入の比重が高い顧客構成となっています。輸入部門・国際輸入部門においては中国から貨物の依存度が高く、中国の政策や経済情勢等による影響も受け易く、また、当社グループの主要取扱い貨物構成も繊維製品、生活雑貨等の消費資材に偏重しているため、国内消費動向も業績に大きく影響します。今後も取引先の事業展開、世界経済や地政学的な外部要因により、当社グループ業績への影響が非常に危惧される状況が続くと予想されます。
今後の日本経済は、感染力の強い変異株による新型コロナウイルスの感染拡大が引き続き懸念されるものの、拡大防止策の浸透や効果的なワクチン接種の普及により、社会経済活動は徐々に再開に向かい、景気は回復基調となることが見込まれる一方、ウクライナ情勢など新たな地政学的リスクの高まり、原油をはじめとするエネルギー価格、原材料の高騰の影響も懸念され、依然として先行き不透明な状況が続くものと予測されます。従いまして2022年4月以降の経済情勢はまだまだ予断を許さない状況で推移するものと考えております。
顧客の物流コスト削減要請に伴う業者間の価格競争激化に加え、新型コロナウイルスや地政学的リスクの影響により、世界各地で需要の乱高下が発生し、世界的な海上コンテナ不足等の国際物流の混乱が長期化しております。それにより、サプライチェーンが停滞し、荷動きに影響を与えることが懸念され、当社グループを取り巻く事業環境は厳しい状況が続くものと思われます。
このような状況下、景気の動向や経営環境の変化に柔軟かつ迅速に対応し、継続的に安定した収益を確保できる基盤を確立するため、海外拠点の充実強化によるサービス提供と営業収入の拡大に努める一方、基幹港湾物流施設を有効利用し、安定的な収益源の確保と高付加価値貨物の取込みにより収益性の向上を図ります。企業活動をWITHコロナ時に合わせ変革し、港湾関連情報ネットワークへの連携を図ると共に、IT関連投資を促進し固定費削減に取組み生産性を向上させ、顧客からのより一層の信頼を得る海貨系国際物流事業者として、業績の向上を目指してまいります。
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