(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①経営成績
当連結会計年度における世界の経済状況は、新型コロナウイルスによる経済活動の制限が緩和されたことで持ち直しの動きがみられましたが、一部地域での感染の再拡大、原油価格及び原材料価格の高騰の影響、ウクライナ情勢などの地政学的リスクが上昇している中で、先行き不透明な状況が続きました。日本の経済状況は、新型コロナウイルスの影響による半導体不足の長期化及び新たな変異株の出現による感染の再拡大など経済の下振れリスクが懸念されましたが、ワクチン接種が進む中、経済活動の制限が緩和されたことで持ち直しの動きがみられました。
物流業界におきましては、国際貨物は上期においては前期における輸送量の大幅減による反動増を背景に回復傾向が続きました。下期においては反動増が一巡したものの、海上輸送から航空輸送へのシフトが長期化したことで好調に推移いたしました。国内貨物は、個人消費及び設備投資の持ち直しの動きを背景に、消費関連貨物及び生産関連貨物において輸送量の回復傾向が続きました。
このような事業環境の中、当グループは、2021年5月に策定した2ヵ年の中期経営計画(2022年3月期~2023年3月期)の達成に向けて、中・長期的ビジョン「オペレーションからソリューションへ」のもと、グループ一丸となって取り組んでまいりました。
この結果、前年大幅に減少していた工作機械の取扱いが増加したことに加え、世界的な半導体の需要急増を背景に、半導体製造装置の取扱いが好調に推移したこと等により、売上高、営業利益ともに増加いたしました。
なお、政策保有株式の縮減に努めた結果、3銘柄を売却し、投資有価証券売却益として、特別利益21百万円を計上いたしました。また、2022年3月16日に発生した福島県沖地震で被害のあった事業所の修繕費用を災害による損失として、17百万円を計上いたしました。
この結果、当連結会計年度の業績は、売上高185億25百万円(前年同期比21.8%増)、営業利益10億60百万円(前年同期比77.0%増)、経常利益11億7百万円(前年同期比113.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益7億59百万円(前年同期比106.6%増)となりました。
セグメント別の業績は以下のとおりであります。
(梱包事業部門)
前年大幅に減少していた工作機械の取扱いが増加したことに加え、世界的な半導体の需要急増を背景に、半導体製造装置の取扱いが好調に推移したことにより、売上高、セグメント利益ともに増加いたしました。
この結果、当該部門の業績は、売上高134億43百万円(前年同期比29.1%増)、セグメント利益14億12百万円(前年同期比37.8%増)となりました。
(運輸事業部門)
前年大幅に取扱いが減少していた工作機械が増加したことに加え、小型精密機器など全般的に製品の取扱いが堅調に推移したことにより、売上高は増加いたしました。
セグメント利益につきましては、原油価格高騰による影響はあるものの、不採算業務において料率改定を行い、原価率が改善したことで増加いたしました。
この結果、当該部門の業績は、売上高24億78百万円(前年同期比14.9%増)、セグメント利益1億89百万円(前年同期比80.7%増)となりました。
(倉庫事業部門)
世界的な半導体の需要急増を背景に、半導体製造装置の取扱いが好調に推移したものの、顧客の撤退に合わせた外部賃貸倉庫の解約の影響により、売上高、セグメント利益ともに減少いたしました。
この結果、当該部門の業績は、売上高23億62百万円(前年同期比0.5%減)、セグメント利益5億9百万円(前年同期比1.8%減)となりました。
(賃貸ビル事業部門)
上期においては、リモートワーク等により事務所の集約化が行われたため、本社ビルの稼働率が低下いたしましたが、下期においては、本社ビルの空室は埋まりつつあるものの、フリーレント期間を設定していることで、上期の減少分を補うまでには至らず、売上高は減少いたしました。
セグメント利益につきましては、前期下期に発生した外壁パネルの検査及び修繕の費用が今期は発生しなかったため、増加いたしました。
この結果、当該部門の業績は、売上高2億40百万円(前年同期比9.0%減)、セグメント利益70百万円(前年同期比201.1%増)となりました。
②生産、受注及び販売の実績
(生産実績)
当グループは顧客先の製品、商品等の梱包、運輸、保管業務を行っており、生産は行っておりません。
(受注実績)
当グループは顧客の物流部門の一部を担当しております。
業界の特殊性及び主に顧客先の工場構内での梱包作業を行っているため、当日受注(指示)当日出荷が大部分であります。
その受注金額は下表のとおりであります。
セグメントの名称 |
受注高 (千円) |
前年同期比 (%) |
受注残高 (千円) |
前年同期比 (%) |
梱包事業 |
13,476,431 |
129.4 |
43,508 |
423.8 |
(販売実績)
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) (千円) |
前年同期比(%) |
梱包事業 |
13,443,190 |
129.1 |
運輸事業 |
2,478,927 |
114.9 |
倉庫事業 |
2,362,832 |
99.5 |
賃貸ビル事業 |
240,577 |
91.0 |
合計 |
18,525,526 |
121.8 |
(注)1 セグメント間の取引は相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及びその割合については、その割合が10%以上に該当する相手先がないため記載を省略しております。
③財政状態
当連結会計年度末の財政状況は、総資産204億83百万円となり、前連結会計年度末に比べ7億43百万円の増加となりました。主な内容は、以下のとおりであります。
(資産)
流動資産につきましては、67億7百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億8百万円増加いたしました。これは主に、現金及び預金の減少1億12百万円、売掛金の増加1億86百万円、原材料及び貯蔵品の増加94百万円によるものであります。
固定資産につきましては、137億75百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億35百万円増加いたしました。これは主に、有形固定資産において、土地の増加4億89百万円、リース資産の減少2億45百万円、建設仮勘定の増加32百万円、無形固定資産において、ソフトウエア仮勘定の増加90百万円、投資その他の資産において、投資有価証券の減少13百万円、繰延税金資産の増加31百万円によるものです。
(負債)
流動負債につきましては、59億57百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億18百万円増加いたしました。これは主に、支払手形及び買掛金の増加96百万円、短期借入金の増加2億95百万円、未払法人税等の増加26百万円、賞与引当金の増加91百万円によるものであります。
固定負債につきましては、50億77百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億92百万円減少いたしました。これは主に、長期借入金の減少3億47百万円、リース債務の減少2億63百万円によるものであります。
(純資産)
純資産につきましては、94億48百万円となり、前連結会計年度末に比べ8億17百万円増加いたしました。これは主に、利益剰余金の増加6億47百万円、その他有価証券評価差額金の増加16百万円、為替換算調整勘定の増加1億円によるものであります。
この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の43.0%から45.4%となりました。
④キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末より1億12百万円減少し、当連結会計年度末には27億49百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、12億32百万円(前年同期は11億39百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益11億11百万円、減価償却費7億37百万円、賞与引当金の増加91百万円、売上債権の増加2億14百万円、法人税等の支払額3億44百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、9億73百万円(前年同期は1億97百万円の支出)となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入59百万円、有形固定資産の取得による支出8億46百万円、無形固定資産の取得による支出1億30百万円、差入保証金の差入による支出55百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、4億30百万円(前年同期は1億86百万円の収入)となりました。これは有利子負債の減少3億14百万円、配当金の支払額1億11百万円によるものであります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(経営成績の分析)
当連結会計年度における売上高は、185億25百万円(前年同期152億10百万円)となり、前年同期比で33億14百万円増加いたしました。
営業利益は、10億60百万円(前年同期5億99百万円)となり、前年同期比で4億61百万円増加いたしました。その結果、営業利益率は5.7%となりました。前年大幅に減少していた工作機械の取扱いが増加したことに加え、世界的な半導体の需要急増を背景に、半導体製造装置の取扱いが好調に推移したこと等により、売上は増収となりました。営業利益は、材料費及び燃料費の高騰の影響はあったものの、売上が増収したこと及び売上原価削減策として各事業所での人員配置の見直しを行ったことで増益となりました。
経常利益は、11億7百万円(前年同期5億19百万円)となり、前年同期比で5億87百万円増加いたしました。その結果、経常利益率は6.0%となりました。営業外収益において為替差益が発生したことで、経常利益は増益となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、7億59百万円(前年同期3億67百万円)となり、前年同期比で3億91百万円増加いたしました。その結果、親会社株主に帰属する当期純利益率は4.1%となりました。特別利益において投資有価証券売却益として21百万円の計上があったことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は増益となりました。
なお、取扱製品群別の状況は以下のとおりであります。
(小型精密機器)
世界的な半導体の需要急増を背景に、小型精密機器の取扱いが好調に推移したこと及び新型コロナウイルスの影響により減少していた海外の生産活動が持ち直しの動きを見せたことを受け、国際貨物の取扱いが好調に推移したことにより増収となりました。
(大型精密機器)
世界的な半導体の需要急増を背景に、半導体製造装置の取扱いが好調に推移したことにより増収となりました。
(医療機器)
前年減少した取扱いが回復したこと及び新規顧客を獲得したことにより増収となりました。
(工作機械)
前年大幅に減少していた工作機械の取扱いが増加したことにより増収となりました。
なお、セグメント別の経営成績に関する認識及び分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績」に記載しております。
また、経営成績の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、以下のとおりであります。
|
2022年3月期 (予想)(注) |
2022年3月期 (実績) |
予想比増減 |
増減率 |
売上高 |
17,000百万円 |
18,525百万円 |
1,525百万円 |
9.0% |
営業利益 |
1,100百万円 |
1,060百万円 |
▲39百万円 |
▲3.6% |
営業利益率 |
6.5% |
5.7% |
▲0.8% |
― |
(注) 2022年3月期の予想数値は、2021年10月29日に公表した上方修正後の数値を記載しております。(上方修正前の予想数値は売上高16,200百万円、営業利益1,000百万円、営業利益率6.2%となっております。)
売上高は予想比15億25百万円増(予想比9.0%増)、営業利益は予想比39百万円減(予想比3.6%減)となりました。主な要因として、売上高は工作機械の取扱いが増加したことによります。営業利益は労働力不足解消のために人員を積極的に確保したこと及びサステナビリティへの取り組みとして、職場環境の改善を行ったことや従業員に対し賞与を厚く還元するために決算調整で賞与を増額したことによります。
その結果、営業利益率は、予想より0.8ポイント減の5.7%となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検証内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況に関する認識及び分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ④キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当グループの資本の財源及び資金の流動性については、主として営業活動から得られるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入を資金の源泉としております。設備投資などの長期資金につきましては、資金需要が発生した時点で、株主資本はもとより、金融機関からの長期借入やシンジケート・ローンなど、種々の調達方法を検討し対応してまいります。運転資金需要につきましては、営業活動から得られるキャッシュ・フロー及び金融機関からの短期借入等により賄っております。
当連結会計年度末の流動比率は、連結ベースで112.6%となり、前連結会計年度末の117.6%から悪化いたしました。これは主に、現金及び預金の減少1億12百万円、短期借入金の増加2億95百万円によるものであります。
当面の財務戦略としては、2012年12月に京浜事業所を増床・新築した際の大型シンジケート・ローンで調達した借入の収益返済等、有利子負債の縮減に重点をおいておりますが、米国にある当社100%子会社であるSANRITSU LOGISTICS AMERICA Inc.が、米国西海岸において新倉庫を建設中であるのに加え、事業基盤強化のために、事業効率化を目的とした基幹システムのリニューアルや効率的な作業環境を構築するための物流DXの導入推進へ投資を行っております。今後の資金調達については、事業拡大の機会、当グループの営業活動から得られるキャッシュ・フロー、資産の内容、経済情勢、金融環境などを考慮し、安定的な資金調達をしていきたいと考えております。
また、新型コロナウイルス感染拡大による影響の長期化に備え、機動的かつ安定的な資金調達手段を確保するとともに、財務基盤の一段の強化を図ることを目的として、契約極度金額10億円のコミットメントライン契約を2021年7月1日より1年間締結しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、見積りが必要となる事項の詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
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