(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績等の状況の概要
当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の長期化や変異株による断続的な感染再拡大を繰り返しながらも、ワクチン接種等の感染拡大防止策の促進等により状況が徐々に緩和されつつあり、日本国内の景気が持ち直していくことが期待される状況となっております。一方海外では、ウクライナ情勢、原材料価格の上昇、米国をはじめとする世界各国の経済・金融政策や為替の動向、新型コロナウイルス感染症の再拡大等による様々な影響に注視が必要な状況であり、国内外ともに依然として先行き不透明な状況が続いております。
また、当社グループと関係の深い自動車業界におきましては、新型コロナウイルス感染症対策の世界的な進展により回復段階にあり、業界全体で平時に向かっていくと期待されていたものの、車載用半導体不足や新型コロナウイルス感染拡大に伴う部品調達停滞の影響による生産台数調整という厳しい状況に加え、2016年より話題であった「CASE」というテーマが「脱炭素化」や「デジタル化」により一段進展する等、先行きは依然として不透明な状況となっております。
このような環境の中で当社グループにおきましては、「中期経営計画2023」達成に向け、現場第一線による経営スピードの向上を図るため「全員参画によるOneTeam経営」を展開し、推進してまいりました。当期の業績につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響はあったものの、物流サービス事業における主要顧客からの受注量の増加等により、売上高は57,082百万円(前年同期比10.2%増収)となりました。 営業利益は、主力事業である物流サービス事業の増収の影響と「全員参画によるOneTeam経営」による収益改善の進展もあり、2,938百万円(前年同期比20.7%増益)、経常利益は、営業利益の増益に加え、持分法による投資利益の増加及び為替差益の計上等により3,670百万円(前年同期比30.5%増益)、親会社株主に帰属する当期純利益は、2,181百万円(前年同期比36.0%増益)となりました。
②財政状態
当連結会計年度末の総資産は56,024百万円となり、前連結会計年度末に比較して1,963百万円の増加となりました。その主な要因は、売掛金の増加等により流動資産が1,141百万円増加したこと等によるものであります。
負債合計は22,505百万円となり、前連結会計年度末に比較して820百万円の減少となりました。その主な要因は、長期未払金が842百万円減少したこと等によるものであります。
純資産につきましては、前連結会計年度末に比較して2,783百万円増加の33,519百万円となりました。その結果、自己資本比率は前連結会計年度末比2.6ポイント上昇の57.1%となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期に比較して261百万円増加の8,218百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は、以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、2,030百万円の収入で、前期比1,215百万円の収入減少となりました。
この主な要因は、売上債権の増減額が減少したこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果得られた資金は、613百万円の支出で、前期比204百万円の支出増加となりました。
この主な要因は、その他の投資の取得による支出の減少及び有形固定資産の取得による支出が増加したこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、1,580百万円の支出で、前期比652百万円の支出増加となりました。
この主な要因は、自己株式の取得による支出の増加及びリース債務の返済による支出の増加等によるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
なお、セグメント間の取引については相殺消去しております。
イ.生産実績
セグメントの名称 |
品目 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
物流サービス事業 |
包装作業(百万円) |
1,112 |
137.6 |
|
梱包作業(百万円) |
5,115 |
111.3 |
|
入出庫作業(百万円) |
10,409 |
89.6 |
|
その他(包装作業)(百万円) |
17,151 |
115.3 |
|
鉄製格納器具(百万円) |
6,867 |
180.7 |
|
木製格納器具(百万円) |
278 |
123.4 |
|
小計(百万円) |
40,934 |
114.0 |
自動車サービス事業 |
車両整備(百万円) |
2,307 |
105.2 |
|
メンテナンス作業(百万円) |
2,052 |
108.1 |
|
小計(百万円) |
4,360 |
106.6 |
ロ.リース契約実行高
セグメントの名称 |
品目 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
自動車サービス事業 |
自動車リース(百万円) |
5,138 |
78.9 |
b.商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績を、セグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
品目 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
自動車サービス事業 |
自動車販売(百万円) |
1,474 |
94.2 |
|
カー用品販売(百万円) |
361 |
97.3 |
|
合計(百万円) |
1,835 |
94.8 |
c.受注実績
当社グループが行っております事業は、当日受注(指示)当日出荷(作業)が大部分でありますので、受注実績につきましては記載を省略しております。
d.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
なお、セグメント間の取引については相殺消去しております。
セグメントの名称 |
品目 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
物流サービス事業 |
包装(百万円) |
33,784 |
105.9 |
格納器具製品(百万円) |
7,167 |
179.6 |
|
|
小計(百万円) |
40,952 |
114.1 |
|
自動車リース(百万円) |
7,033 |
97.2 |
自動車サービス事業 |
車両整備(百万円) |
4,360 |
106.6 |
自動車販売(百万円) |
1,767 |
87.8 |
|
カー用品販売(百万円) |
194 |
98.5 |
|
保険代理店(手数料) (百万円) |
629 |
96.1 |
|
その他(百万円) |
43 |
110.4 |
|
|
小計(百万円) |
14,029 |
98.6 |
情報サービス事業 |
情報サービス(百万円) |
1,495 |
106.1 |
人材サービス事業 |
人材派遣サービス(百万円) |
560 |
268.5 |
その他事業 |
売電サービス(百万円) |
44 |
97.3 |
|
合計(百万円) |
57,082 |
110.2 |
(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
||
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
トヨタ自動車株式会社 |
11,174 |
21.6 |
12,444 |
21.8 |
(注)トヨタ自動車㈱と取引のある主なセグメントは、物流サービス事業であります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、(1)①経営成績等の状況の概要に記載のとおり、長引く新型コロナウイルス感染症による影響が続く中、感染症対策等の世界的な進展により徐々に回復する段階に来ていると思われます。一方で、ウクライナ情勢等、海外での地政学リスクの高まり等の懸念があり、先行き不透明な状況が続いております。
そのような環境の中、2021年4月から導入を進めてまいりました、現場第一線による経営スピードの向上を図る「全員参画によるOneTeam経営」を展開してきていることにより、日々の収益管理と組織風土の醸成の両輪が進展してまいりました。
その結果、主要顧客の回復等もあり、売上、利益とも増収増益となり、グループとして過去最高の業績を確保することが出来ました。
2022年度は、「年輪経営(増収増益)を着実に遂行」し、『皆が「正常進化」を着実に遂げる-現状に甘んじることの否定-』をグループ方針に掲げています。
これまで築いてきた「全員参画によるOneTeam経営」をベースに、現状に甘んじることなく、更なるお客様への貢献に向けて、自らを変えることができる「正常進化」こそ、大きな飛躍を狙う「中期経営計画2023」の達成に不可欠だと考えています。
また、今やSDGsはグローバルスタンダードになりつつあり、更に今後ステークホルダーの皆様からSDGsの視点で評価されると考えております。
そのために、「今、社会にどう貢献できているのか」、そして「今後、更にどう貢献しようとしているのか」ということを改めてSDGs目線で再定義し、「キムラユニティーに仕事を任せたい」「キムラユニティーの現場で働きたい」と、ステークホルダーの皆様から選ばれる取り組みを推進してまいります。
更には、非財務分野での取り組みとして更なるステークホルダー重視経営の実現を念頭に様々な取り組みを展開実施してまいりました。具体的には2021年10月の自己株式の取得に加え、2021年12月には株主の皆様への継続的な安定配当の実施を基本としつつ、業績及び配当性向等を総合的に勘案し12円の増配を実施いたしました。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
財政状態の状況に関する分析については次のとおりであります。
(流動資産)
当連結会計年度末の流動資産は28,157百万円と前連結会計年度末に比べ1,141百万円増加いたしました。主な要因は、新規リース契約件数の減少によりリース投資資産が減少した半面、売上高の増収に伴い売掛金が増加したこと等によるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末の固定資産は27,867百万円と前連結会計年度末に比べ821百万円増加いたしました。主な要因は、投資その他の資産が投資有価証券の時価上昇により増加したこと等によるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末の流動負債は12,567百万円と前連結会計年度末に比べ478百万円増加いたしました。主な要因は買掛金が増加したこと等によるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末の固定負債は9,937百万円と前連結会計年度末に比べ1,298百万円減少いたしました。主な要因は新規リース契約の減少に伴うリース車両割賦購入の減少により長期未払金が減少したこと等によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は33,519百万円と前連結会計年度末に比べ2,783百万円増加いたしました。主な要因は、増益に伴う利益剰余金の増加、及び円安の進行に伴う為替換算調整勘定の増加によりその他の包括利益累計額が増加したこと等によるものであります。
経営成績の状況に関する分析については次のとおりであります。
(売上高)
当連結会計年度の売上高は57,082百万円(前年同期比10.2%増収)となりました。増収の主な要因は、物流サービス事業おいて、国内外を含め新型コロナウィルス感染症の影響や車載用半導体不足等による生産調整による影響はありましたが、包装事業及び格納器具事業において、主要顧客からの受注量が増加したこと等によるものであります。
(売上総利益)
当連結会計年度の売上総利益は10,317百万円(前年同期比10.4%増益)となりました。増益の主な要因は、売上高の増収によるものであります。
(営業利益)
当連結会計年度の営業利益は2,938百万円(前年同期比20.7%増益)となりました。増益の主な要因は、売上総利益の増益によるものであります。
(経常利益)
当連結会計年度の経常利益は3,670百万円(前年同期比30.5%増益)となりました。主な要因は、営業利益の増益に加え、為替差損益の改善、持分法による投資利益の増加等により営業外損益が改善したこと等によるものであります。
(税金等調整前当期純利益)
当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は3,573百万円(前年同期比27.9%増益)となりました。主な要因は、経常利益の増益によるものであります。
(親会社株主に帰属する当期純損益)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は2,181百万円(前年同期比36.0%増益)となりました。主な要因は税金等調整前当期純利益の増益によるものであります。
セグメント別の経営成績に関する分析につきましては、次のとおりであります。
<物流サービス事業>
売上高は、国内外を含め新型コロナウィルス感染症による影響や車載用半導体不足等による生産台数調整の影響はありましたが、包装事業及び格納器具事業において、主要顧客からの受注量の増加等もあり、40,973百万円(前年同期比14.2%増収)、営業利益は格納器具事業において材料費の高騰による影響はありましたが、現場第一線での収益改善の進展もあり、3,802百万円(前年同期比24.8%増益)となりました。
<自動車サービス事業>
売上高は、車両整備事業におけるメンテナンス契約台数の増加等はありましたが、車両販売事業における販売台数の減少等により、14,071百万円(前年同期比1.4%減収)となりました。営業利益は原価削減効果等により657百万円(前年同期比20.6%増益)となりました。
<情報サービス事業>
売上高は、主要顧客からの受注回復等により、1,495百万円(前年同期比6.1%増収)となりました。営業利益は原価率の悪化の影響等により88百万円(前年同期比14.3%減益)となりました。
<人材サービス事業>
売上高は、市場の人材獲得競争の中、エリア貢献の拡販(中部圏、関東圏、関西圏への展開)実現に向けて積極的な拡販活動や新規顧客の獲得に注力したこと等により、1,039百万円(前年同期比75.0%増収)となりました。営業利益は中部営業所及び関東営業所での派遣人件費の増加や営業所新設費用等により5百万円(前年同期比61.6%減益)となりました。
<その他のサービス事業>
売上高は、売電サービスにより、44百万円(前年同期比2.7%減収)となりました。営業利益は11百万円(前年同期比1.8%増益)となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度の財政状態は、(1)②財政状態、③キャッシュ・フローの状況に記載のとおりであります。自己資本比率は、2.6ポイント上昇し57.1%となっております。
当社グループの財政政策としては、現在、運転資金及び設備投資資金につきましては、内部留保又は外部借入により資金を調達しており、財政状態及びキャッシュ・フローの現況から資金調達については何ら問題はありませんが、負債の圧縮、総資産の効率化という方針を掲げ、財務構造のさらなる健全化に取り組んでまいります。なお、当連結会計年度末において短期借入金845百万円、長期借入金(1年以内返済予定の長期借入金を含む)4,000百万円となっており、借入金合計は4,845百万円であります。更に、金融機関との間で当座貸越及び貸出コミットメント契約として5,450百万円を設定し、新型コロナウィルス感染症等による不測かつ緊急な資金需要にも対応可能な体制をとっております。また、資金配分の考え方としては、企業体質強化の為の手元資金、積極的な事業展開の為の成長投資資金、継続的な安定配当の為の株主還元資金につきまして、中長期の目標、当期の業績及び配当性向等を総合的に勘案し、フレキシブルでバランスのとれた資金配分を目指しております。株主還元における配当金につきましては、配当性向30%を目標値として検討しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。当社経営者は、この連結財務諸表の作成に当たりまして、決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える事項について、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っております。特に、投資の減損、繰延税金資産、貸倒引当金などの重要な会計方針が、当社グループの連結財務諸表の作成において使用される重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。将来に生じる実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、当社グループの見積りと異なる可能性があります。
なお、重要な会計方針及び見積りの詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4 会計方針に関する事項」に記載のとおりです。
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