1.経営成績等の状況の概要
(1)財政状態及び経営成績の状況
当事業年度(2021年5月1日から2022年4月30日まで)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に対する3回目のワクチン接種がすすみ、一定の制限があるものの、通常の経済活動が再開される等、回復基調にある一方で、ウクライナ情勢や資源の高騰、円安等、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。
当社の主な事業分野である携帯電話業界におきましては、5G対応の高付加価値端末が普及する一方で、移動体通信事業者による低価格帯のサブブランドやオンライン専用の料金プランの比率が高まる等、価格競争にあいまって、ショップ自体の存在価値も変化してきております。また、リユースモバイル市場においても、移動体通信事業者が独自のリユース品の販売を開始する等、取扱企業の広がりとともに、ユーザーの選択肢も多様化され、ニーズに応じて端末と通信の組み合わせを自由に選択できるリユースモバイル端末の市場が活性化される等、携帯電話を取り巻く環境は変化し続けております。
このような事業環境の中、当社は顧客ニーズの変化を迅速に捉えるため、「ビヨンド・イマジネーション (注)」の行動ポリシーのもと、お客様が必要とするサービス・商品を的確に捉え、提供し続けるべく対応しております。
中古スマートフォンの販売を主とするリユース関連事業におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により世界的な半導体不足が継続しており、主力商品である高品質なリユースモバイル端末の調達が不安定な状況ではありましたが、調達環境の改善に向けて、新たな調達先の開拓に注力しつつ、幅広いランクの商材を取り扱うことで、新たなビジネスチャンスを創出する等の対応を実施いたしましたが、販売台数、売上高とともに収益面でも前事業年度を下回りました。
一方のキャリアショップを中心とした移動体通信関連事業におきましては、リユース関連事業同様に半導体不足の影響はあったものの、引き続き、新型コロナウイルスの感染対策を実施したうえで、店舗近隣での外販イベントの継続実施や、スマホ教室の実施において、地域密着の営業展開を続けたことにより、販売台数は前事業年度比で微増いたしました。しかしながら、キャリアからの手数料収入減少の影響を受け、売上高、収益面では前事業年度を下回る結果となりました。
これらの結果、当事業年度における経営成績は、売上高5,457百万円(前事業年度比4.2%の減少)となりました。
営業損益につきましては、営業損失107百万円(前事業年度は83百万円の営業利益)となりました。
また、経常損益につきましては、為替差益等の合計5百万円の営業外収益、および株式交付費9百万円、支払利息5百万円等の合計19百万円の営業外費用を計上した結果、経常損失121百万円(前事業年度は73百万円の経常利益)となりました。
当期純損益につきましては、主要株主株式短期売買利益返還益18百万円等の合計20百万円の特別利益、および支払手数料85百万円、その他特別損失13百万円等の合計100百万円の特別損失を計上した結果、当期純損失228百万円(前事業年度は65百万円の当期純利益)となりました。
なお、経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(注)「ビヨンド・イマジネーション」とは、「①お客様の想像を超える ②仲間の期待を超える ③自分の限界を超える」を行動ポリシーとした当社の基本方針であります。
当社の事業は、情報通信関連事業の単一セグメントでありますが、業績の状況を事業部門別に記載しております。
(リユース関連事業)
当事業年度におけるリユース関連事業におきましては、世界的な半導体不足の影響や、移動体通信事業者やメーカーによる価格戦略等により、需給バランスが崩れ、適正な価格での商品調達に苦戦した結果、調達量が減少する結果となりました。
そのような市場環境においても、当社の強みであるサプライチェーンマネジメントの強化を筆頭に、ビジネスユーザー向けの買取においては、パートナー企業との連携範囲を広げることで、円滑な営業フォローを実施し、成約数向上に努めてまいりました。また、オンライン販売の強化として、第3四半期におけるAmazonへの新規出店に続き、第4四半期に楽天市場への出店をすることで、消費者が当社リユースモバイル端末を購入できる接点を増やしております。
この結果、売上高4,138百万円(前事業年度4,367百万円)、販売台数は95,212台(前事業年度106,189台)となりました。
(移動体通信関連事業)
当事業年度における移動体通信関連事業におきましては、コロナ禍においても地域のデジタル化を推進する拠点として活動すべく、地域密着の外販イベントによって顧客との接点を増やすため、外販イベントスペースの新規確保や土日祝日はもとより平日にもイベントを実施することによる実施回数の増加に取り組み、お客様の新規獲得を実践してまいりました。また、従来から実施している店舗でのスマホ教室に加えて、地域の公共施設と協力して出張スマホ教室を展開し、新規獲得に注力いたしました。
これらの結果、売上高1,297百万円(前事業年度1,316百万円)、販売台数は12,618台(前事業年度12,509台)となりました。
(その他の事業)
当事業年度におけるその他の事業におきましては、売上高22百万円(前事業年度10百万円)となりました。
当社の事業は、情報通信関連事業の単一セグメントでありますが、事業部門別の売上高の内訳は次表のとおりとなっております。
事業部門別売上高の内訳
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|
2021年4月期 |
2022年4月期 |
前年同期比 (%) |
||
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金 額
|
構成比(%) |
金 額
|
構成比(%) |
|
売上高 |
5,694 |
100.0 |
5,457 |
100.0 |
95.8 |
||
|
リユース関連事業 |
4,367 |
76.7 |
4,138 |
75.8 |
94.8 |
|
|
移動体通信関連事業 |
1,316 |
23.1 |
1,297 |
23.8 |
98.5 |
|
|
|
通信機器販売 |
784 |
13.8 |
771 |
14.1 |
98.3 |
|
|
受取手数料収入 |
531 |
9.3 |
525 |
9.7 |
99.0 |
|
その他の事業 |
10 |
0.2 |
22 |
0.4 |
202.2 |
(2)キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ563百万円増加し、1,104百万円となりました。
当事業年度末における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度の営業活動の結果、使用した資金は207百万円(前事業年度は76百万円の使用)となりました。
これは、主として未払金の増加額が64百万円、役員退職慰労引当金の増加額が11百万円あったものの、税引前当期純損失が202百万円、売上債権の増加額が78百万円あったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度の投資活動の結果、使用した資金は0百万円(前事業年度は12百万円の獲得)となりました。
これは、主として、貸付金の回収による収入が1百万円、固定資産の取得による支出が0百万円あったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度の財務活動の結果、獲得した資金は766百万円(前事業年度は102百万円の獲得)となりました。
これは、短期借入金の返済による支出が200百万円、長期借入金の返済による支出が53百万円あったものの、株式の発行による収入が820百万円、長期借入金の借入れによる収入が200百万円あったことによるものです。
(3)仕入及び販売の実績
当社の事業は、情報通信関連事業の単一セグメントでありますが、仕入および販売の状況につきましては、事業の部門別に記載しております。
a. 仕入実績
当事業年度の仕入実績を事業の部門別に示すと、次のとおりであります。
事業部門別 |
当事業年度 (自 2021年5月1日 至 2022年4月30日) |
前年同期比(%) |
リユース関連事業 (千円) |
3,868,911 |
92.4 |
移動体通信関連事業 (千円) |
885,674 |
104.4 |
その他の事業 (千円) |
- |
- |
合 計 (千円) |
4,754,586 |
94.5 |
b. 販売実績
当事業年度の販売実績を事業の部門別に示すと、次のとおりであります。
事業部門別 |
当事業年度 (自 2021年5月1日 至 2022年4月30日) |
前年同期比(%) |
リユース関連事業 (千円) |
4,138,203 |
94.8 |
移動体通信関連事業 (千円) |
1,297,040 |
98.5 |
その他の事業 (千円) |
22,196 |
202.2 |
合 計 (千円) |
5,457,439 |
95.8 |
(注)最近事業年度の主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先 |
前事業年度 (自 2020年5月1日 至 2021年4月30日) |
当事業年度 (自 2021年5月1日 至 2022年4月30日) |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
株式会社オプテージ |
1,890,183 |
33.2 |
1,802,261 |
33.0 |
株式会社インターネットイニシアティブ |
428,680 |
7.5 |
707,362 |
13.0 |
エヌ・ティ・ティレゾナント株式会社 |
922,988 |
16.2 |
690,293 |
12.7 |
兼松コミュニケーションズ株式会社 |
606,795 |
10.7 |
675,564 |
12.4 |
ITXコミュニケーションズ株式会社 |
540,699 |
9.5 |
565,485 |
10.4 |
2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.当事業年度の経営成績の分析
① 売上高
売上高につきましては、リユース関連事業において、世界的な半導体不足の影響や、移動体通信事業者やメーカーによる価格戦略当により需給バランスが崩れたものの、当社の強みであるサプライチェーンマネジメントの強化を筆頭に、ビジネスユーザー向けの買取においてパートナー企業との連携範囲を広げ、また、オンライン販売の強化としてAmazonや楽天市場への出店を実施してまいりました。また、移動体通信関連事業においては、コロナ禍においても地域のデジタル化を推進する拠点として活動すべく、地域密着の外販イベントの開催頻度や開催場所を拡大することで顧客との接点を増やし、さらに、地域の公共施設と協力する等の実施してまいりましたが、売上高5,457百万円と前事業年度と比べ236百万円、4.2%の減少となりました。
② 営業損益
営業損益につきましては、営業損失107百万円(前事業年度は83百万円の営業利益)となりました。
③ 経常損益
経常損益につきましては、為替差益等の合計5百万円の営業外収益、および株式交付費9百万円、支払利息5百万円等の合計19百万円の営業外費用を計上した結果、経常損失121百万円(前事業年度は73百万円の経常利益)となりました。
④ 当期純損益
当期純損益につきましては、主要株主株式短期売買利益返還益18百万円等の合計20百万円の特別利益、および支払手数料85百万円、その他特別損失13百万円等の合計100百万円の特別損失を計上した結果、当期純損失228百万円(前事業年度は65百万円の当期純利益)となりました。
b.経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
c.財政状態の分析
① 総資産
当事業年度末の総資産は、前事業年度末と比べて655百万円増加し、1,888百万円となりました。
これは主に、現金及び預金が563百万円、売掛金が78百万円、商品が38百万円増加し、繰延税金資産が20百万円、有形固定資産が6百万円減少したことによるものであります。
② 負債
当事業年度末の負債は、前事業年度末と比べて44百万円増加し、577百万円となりました。
これは主に、長期借入金が120百万円、未払金が67百万円、1年内返済予定の長期借入金が26百万円、役員退職慰労引当金が11百万円、買掛金が8百万円、賞与引当金が8百万円増加し、短期借入金が200百万円減少したことによるものであります。
③ 純資産
当事業年度末の純資産は、前事業年度末と比べて610百万円増加し、1,310百万円となりました。
これは、資本金が419百万円、資本準備金が419百万円増加し、利益剰余金が228百万円減少したことによるものであります。
(2)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況の分析
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、1,104百万円となりました。
当事業年度の営業活動の結果、使用した資金は207百万円(前事業年度は76百万円の使用)となりました。
これは、主として未払金の増加額が64百万円、役員退職慰労引当金の増加額が11百万円あったものの、税引前当期純損失が202百万円、売上債権の増加額が78百万円あったことによるものです。
当事業年度の投資活動の結果、使用した資金は0百万円(前事業年度は12百万円の獲得)となりました。
これは、主として、貸付金の回収による収入が1百万円、固定資産の取得による支出が0百万円あったことによるものです。
当事業年度の財務活動の結果、獲得した資金は766百万円(前事業年度は102百万円の獲得)となりました。
これは、短期借入金の返済による支出が200百万円、長期借入金の返済による支出が53百万円あったものの、株式の発行による収入が820百万円、長期借入金の借入れによる収入が200百万円あったことによるものです。
b.資本の財源及び資金の流動性
当社の運転資金需要のうち主なものは、商品の購入費のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であり、投資を目的とした資金需要は、主に設備投資によるものであります。
また、当社は、事業上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本としており、短期運転資金は自己資金および金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資の調達につきましては、金融機関からの短期借入および長期借入を基本としております。また、当社は機動的な資金調達を目的とした貸出コミットメントライン契約を取引金融機関1行と締結しております。
なお、当事業年度末における借入金およびリース債務を含む有利子負債の残高は、187百万円となっており、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は、1,104百万円となっております。
(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。財務諸表の作成にあたり、重要な会計方針については、「第5 経理の状況」に記載しております。
ただし、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果はこれら見積りと異なる場合があります。
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