業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況は次の通りであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、引き続き新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受け、経済活動の停滞が続きました。今後、新型コロナウイルス感染症の新しい変異株への警戒感や、原油をはじめとした原材料・エネルギーの価格の上昇、為替動向のリスク、サプライチェーンの混乱、ロシア連邦のウクライナ国への軍事侵攻をはじめとした不安定な世界情勢等により、今後も国内外問わず不透明な経済状況が続くことが予想されます。

 このような経済環境の中、移動体通信事業につきましては、オンラインに特化した新ブランドの市場への浸透や、格安ブランドの台頭、国から通信事業者に対する公正な競争環境の確保に向けた取組みの要請など、事業環境の変化が依然続いております。こうした中、通信事業者は、携帯電話の販売だけでなく、ポイントサービスやコンテンツの充実、スマートフォンを利用した決済サービスを通じて、ARPU(1契約あたり収入)の向上や、長期的な顧客基盤の維持・拡大に引き続き注力しております。

 人材派遣事業につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響下、人員過剰となっている業種・分野から人員不足となっている業種・分野へのシフトによる、労働市場のミスマッチの解消に対する取り組みが、業界に対して求められております。

 ビルメンテナンス事業につきましては、オフィスビルや医療機関、マンションなどの施設において継続的なメンテナンスサービスが求められており、また、新型コロナウイルス感染症予防のための追加的な清掃・消毒といった公衆衛生関連業務の需要が高い状態が続きました。

 店舗転貸借事業および不動産売買事業につきましては、主要顧客である外食業界においては、度重なる休業・営業時間短縮及び酒類提供時間の短縮要請により、売上高、来客数が大幅に減少し、特に飲酒業態においては極めて厳しい状況が継続しました。また不動産市況については、事業展開している東京主要地域の商業不動産賃料は近年高止まりの状況が継続していたものの、新型コロナウイルス感染症の影響拡大により、インバウンド売上比率が高い地域や飲食・アミューズメント施設が強い地域では、テナント募集が大幅増となりました。特に、固定費が膨らむ大型の店舗物件や、駅外周部及び空中階に所在する店舗物件等については、出店需要の弱さが継続しており、家賃の下方圧力が強まる状況となりました。

 卸事業につきましては、文具・生活用品等の企画・販売では、在宅勤務の推奨によって生み出された文具や家具類への需要が一巡した一方、密集を避けるためにアウトドアレジャーへの人気が高まったことから、関連商品への需要が堅調に推移しました。一方で、原材料・エネルギー価格の上昇や、円安の進行と長期化など、先行き不透明な状況も続いております。自然派化粧品の企画・販売では、環境を重視したライフスタイルを意識した消費者の増加、サスティナビリティやSDGsへの社会的な関心の高まり等により、国内の自然派・オーガニック化粧品市場は拡大を維持しております。一方で、新型コロナウイルス感染症により、百貨店への来店客数の回復の程度が緩やかであることも相まって、今後、商品開発や販売方法について、他社との差別化が求められております。

 海外事業につきましては、国を越えた人材の流動性を前提としているため、新型コロナウイルス感染症による労働者の移動制限が業績に与える影響は大きく、また出入国関係の正常化は、各国の経済正常化と比較して時間を要するため、影響が長期化する可能性があります。

 このような事業環境の下、当連結会計年度の連結業績は、売上高45,318百万円(前年同期比10.4%増)となりました。損益面におきましては営業利益2,508百万円(前年同期比21.7%増)、経常利益2,672百万円(前年同期比16.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,477百万円(前年同期比73.2%増)となりました。

 セグメント別の概況は、次の通りであります。

ⅰ 移動体通信事業

 移動体通信事業においては、お客様・販売スタッフともに安心できる店舗運営に努め、終了する「3G」サービスから「4G・5G」サービスへの移行促進に注力した結果、増収となりました。

 損益面においては、売上の牽引や、利益率の高い商材の販売を強化したことにより、増益となりました。

 この結果、当該セグメントの売上高は18,300百万円(前年同期比24.3%増)、営業利益は886百万円(前年同期比13.7%増)となりました。

 

ⅱ 人材派遣事業

 人材派遣事業においては、空港施設等の運輸業や製造業、百貨店等の小売業を中心に、新型コロナウイルス感染症の影響によるクライアント企業からの需要の減少傾向が続いており、減収・減益となりました。

 この結果、当該セグメントの売上高は2,190百万円(前年同期比5.4%減)、営業利益は3百万円(前年同期比75.4%減)となりました。

ⅲ ビルメンテナンス事業

 ビルメンテナンス事業においては、設備関連のスポット案件の受注等により増収となりました。

 損益面においては、販売費及び一般管理費の増加により、減益となりました。

 この結果、当該セグメントの売上高は5,956百万円(前年同期比1.4%増)、営業利益は339百万円(前年同期

比12.6%減)となりました。

ⅳ 店舗転貸借事業

 店舗転貸借事業においては、当連結会計年度における新規契約件数及び後継付け件数(閉店した店舗に対し新規出店者と転貸借契約を締結したもの)の転貸借契約件数の合計は407件(前年同期比29.6%増)となりました。また、当連結会計年度末における転貸借物件数は前連結会計年度末より245件増加し、合計1,951件となりました。

 この結果、当該セグメントの売上高は10,445百万円(前年同期比9.2%増)、営業利益は723百万円(前年同期

比46.1%増)となりました。

ⅴ 不動産売買事業

 不動産売買事業においては、店舗転貸借事業を更に推進する為に、不動産業者とのリレーションシップ強化を目的として、店舗不動産の仕入販売や建築販売を行っております。当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症の影響により市場が不活発化する中、様子見傾向が残るなかで5物件を売却、6物件を取得し、当連結会計年度末における保有物件数は3件となりました。

 この結果、当該セグメントの売上高は970百万円(前年同期比25.3%増)、営業利益は186百万円(前年同期比21.3%減)となりました。

ⅵ 卸事業

 卸事業においては、主に文具・生活用品等の企画・販売について、アウトドア商品が好調に推移したものの、文具・オフィス系商品の売上の減少により、減収となりました。

 損益面においては、主に文具・生活用品等の企画・販売での利益を重視した販売方針への転換など、収益体質の強化及び財務体質の改善による販売費及び一般管理費の減少により、増益となりました。

 この結果、当該セグメントの売上高は7,194百万円(前年同期比5.4%減)、営業利益は292百万円(前年同期比28.1%増)となりました。

ⅶ 海外事業

 海外事業においては、東南アジアにおける現地での従業員の採用件数が増加し、増収となりました。

 損益面においては、人件費等の販売費及び一般管理費の減少により、増益となりました。

 この結果、当該セグメントの売上高は347百万円(前年同期比16.3%増)、営業利益は68百万円(前年同期は営業損失89百万円)となりました。

 

a.財政状態の分析

ⅰ 流動資産

 流動資産は、前連結会計年度末に比べて10.7%増加し、15,476百万円となりました。これは、主として現金及び預金の増加(657百万円)等によるものであります。

   ⅱ 固定資産

 固定資産は、前連結会計年度末に比べて12.4%増加し、12,025百万円となりました。これは、主として差入保証金の増加(789百万円)等があったことによるものであります。

   ⅲ 流動負債

 流動負債は、前連結会計年度末に比べて9.0%増加し、8,556百万円となりました。これは、主として買掛金の増加(491百万円)等があったことによるものであります。

ⅳ 固定負債

 固定負債は、前連結会計年度末に比べて8.4%増加し、7,555百万円となりました。これは、主として長期預り保証金の増加(826百万円)等があったことによるものであります。

ⅴ 純資産

 純資産は、前連結会計年度末に比べて15.4%増加し、11,390百万円となりました。これは、主として利益剰余金の増加(1,323百万円)等があったことによるものであります。

 

 b.経営成績の分析

ⅰ 売上高

 主に移動体通信事業や店舗転貸借事業の増収により、売上高は前連結会計年度に比べて10.4%増加し、45,318百万円となりました。

   ⅱ 営業利益

 主に移動体通信事業における手数料収入の増加や店舗転貸借事業の物件数の増加等により、営業利益は前連結会計年度に比べ21.7%増加し、2,508百万円となりました。

ⅲ 経常利益

 売上高及び営業利益の増加等により、経常利益は前連結会計年度に比べて16.4%増加し、2,672百万円となりました。

ⅳ 売上高経常利益率

 売上高の増収による営業利益率の改善等により経常利益率は前連結会計年度に比べて0.3%増加し、5.9%となりました。

ⅴ 親会社株主に帰属する当期純利益

 前連結会計年度は特別損失としてのれん償却額380百万円を計上していたため、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べて73.2%増加し、1,477百万円となりました。

 最近5年間における売上高経常利益率の推移は、以下のとおりであります。

 

決算年月

2018年

3月期

2019年

3月期

2020年

3月期

2021年

3月期

2022年

3月期

経常利益(百万円)

1,094

1,316

2,114

2,296

2,672

売上高経常利益率(%)

2.9

3.2

4.9

5.6

5.9

 

 c.キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ687百万円増加し、7,285百万円となりました。キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下の通りであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は2,228百万円(前年同期は1,918百万円の獲得)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益(2,624百万円)、預り保証金の増加額(826百万円)、法人税等の支払額(745百万円)等があったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は725百万円(前年同期は112百万円の使用)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出(468百万円)や事業譲受による支出(175百万円)等があったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は871百万円(前年同期は1,237百万円の使用)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出(308百万円)、配当金の支払額(153百万円)、子会社の自己株式の取得による支出(135百万円)等があったことによるものであります。

 

②資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社グループは主に営業活動によって得られた資金により、また必要に応じて経済動向、金融市況を踏まえた調達

手段によって得られた資金により、新規出店及び既存店舗の改装に係る設備投資等を行っております。

 なお、キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載の通りであります。

 また、過去3年のフリーキャッシュ・フローの推移については以下の通りであります。

(単位:百万円)

回次

決算年月

第43期

2020年3月

第44期

2021年3月

第45期

2022年3月

営業活動によるキャッシュ・フロー

投資活動によるキャッシュ・フロー

財務活動によるキャッシュ・フロー

3,094

△413

△338

1,918

△112

△1,237

2,228

△725

△871

現金及び現金同等物の期末残高

6,044

6,598

7,285

フリーキャッシュ・フロー

前年増減額

2,680

3,149

1,806

△874

1,502

△303

(注) フリーキャッシュ・フローは、以下の計算式によっております。

フリーキャッシュ・フロー = 営業活動によるキャッシュ・フロー + 投資活動によるキャッシュ・フロー

 

 a.資金需要の主な内容と配分

  当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入のほか、派遣人件費、販売費及び一般管理費等の営

 業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、子会社株式の取得等によるものであります。また、

 株主還元につきましては、財務の健全性に留意しつつ、配当政策に基づき実施しております。

 b.資金調達

  当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金及び金融機関からの借入に

 よる外部資金を有効に活用しております。また、主要な取引先金融機関とは良好な取引関係を維持しており、加え

 て強固な財務体質を有していることから、当社グループの事業の維持拡大、運営に必要な運転資金、投資資金の調

 達に関しては問題なく実施可能と認識しております。

 

③仕入及び販売の実績

ⅰ仕入実績

 当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。

セグメント

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

移動体通信事業

12,526

25.4

ビルメンテナンス事業

129

△5.6

不動産売買事業

503

47.0

卸事業

5,890

△17.0

合計

19,049

8.5

(注) セグメント間の取引については相殺消去しておりません。

 

ⅱ販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。

セグメント

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

移動体通信事業

携帯端末等販売

16,478

25.9

作業系手数料

298

60.8

回線系手数料

1,426

8.8

その他

97

△32.5

小計

18,300

24.3

人材派遣事業

人材派遣

1,497

△13.7

業務請負

543

8.1

その他

149

90.1

小計

2,190

△5.4

ビルメンテナンス

事業

清掃

2,341

1.2

設備・警備

1,813

△1.1

その他

1,801

4.4

小計

5,956

1.4

店舗転貸借事業

店舗転貸借

10,445

9.2

不動産売買事業

不動産売買

970

25.3

卸事業

小売業

2,990

36.8

通販業

3,901

△11.7

卸売業

302

△69.9

小計

7,194

△5.4

海外事業

労務管理受託

347

16.3

報告セグメント計

45,404

10.3

その他

△85

△28.6

合計

45,318

10.4

(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しておりません。1

2 最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次の通りであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

KDDI株式会社

14,157

34.4

17,819

39.3

 

 

④重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。連結財務諸表の作成にあたって、期末日における資産・負債の報告金額及び偶発債務の開示、並びに報告期間における収益・費用の報告金額に影響を与えるような見積り・予測を必要としておりますが、結果として、このような見積りと実績が異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針が、当社グループの連結財務諸表の作成において使用される当社の重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。

 (卸事業における滞留在庫の評価)

  株式会社ハピラは2022年3月期において商品898百万円を保有しております。商品の評価については、収益性の

 低下に基づく簿価切下げの方法によっており、正味売却価額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を正味売却価

 額まで減額し、当該減少額を評価損として計上しております。また、正常営業循環過程から外れた滞留在庫につい

 ては、収益性の低下の事実を反映するために、処分見込価額まで帳簿価額を切下げております。

  同社では、適切な在庫管理と販売予測により、品切れによる販売機会ロス削減と過剰在庫の防止に努めておりま

 すが、卸事業では同業他社との価格競争及び市場ニーズの変化が激しいことから、販売予測を誤った場合や市場環

 境の変化により、過剰在庫が発生する可能性があります。そのため、過去の販売動向を加味して、正常営業循環過

 程から外れた商品の評価を処分見込価額まで切下げておりますが、商品の販売可能性を踏まえた正常営業循環過程

 にあるか否かの判断には不確実性があることから、販売可能性の判断に影響を与えるような状況の変化が発生した

 場合には、評価損の計上が必要となる可能性があります。

 

  ⑤経営成績に重要な影響を与える要因について

 「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載の通りであります。

 

⑥経営戦略の現状と見通し

 「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通りであります。

 

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