事業等のリスク

2【事業等のリスク】

本有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を、NTTグループの事業を取り巻く環境及びそれに対応した事業戦略、業務運営に係るリスクのほか、規制をはじめとした政府との関係に係るリスク等の観点から総合的な評価を行っています。

当社におけるビジネスリスクマネジメントの概要、リスクの抽出・重要リスクの特定、リスクの内容及び対処策については以下のとおりです。

 

 

(1)ビジネスリスクマネジメントの概要

身近に潜在するリスクの発生を予想・予防し、万一リスクが顕在化した場合でも損失を最小限に抑えること等を目的として、リスクマネジメントの基本的事項を定めたリスクマネジメント規程を制定しています。代表取締役副社長が委員長を務めるビジネスリスクマネジメント推進委員会及びグループビジネスリスクマネジメント推進委員会が中心となって、リスクマネジメントのPDCAサイクルを構築し運用しています。なお、2021年度においてビジネスリスクマネジメント推進委員会は2回、グループビジネスリスクマネジメント推進委員会は1回開催され、全社的に影響を与えると想定されるリスクの特定及びその管理方針等について議論しました。

また、グループ一体となってリスクマネジメントに取り組むため、NTTグループビジネスリスクマネジメントマニュアルを策定しグループ各社に配布しています。本マニュアルにより、リスク発生に備えた事前対処策、リスクが顕在化した場合におけるグループ連携方法や対応方針、情報連絡フロー等を定め、迅速な対応を可能とする体制を整備し運用しています。

 

 

(2)リスクの抽出・重要リスクの特定

当社では社会環境の変化等を踏まえ、想定するリスクや、その管理方針の見直しを随時行っています。リスクの抽出にあたっては、ビジネスリスクマネジメント推進委員会及びグループビジネスリスクマネジメント推進委員会が中心となって、NTTグループを取り巻くリスクの分析プロセスを策定し、このプロセスに則って定期的にリスク分析を実施することで、全社リスクを特定します。さらに、それらリスクの相関分析を行い、最も重大な影響を及ぼす可能性のあるリスクを「重要リスク」と特定し、その対応策を決定します。

 

0102010_010.jpg

 

(3)リスクの内容及び対処策

文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において判断したものです。当社が現在関知していないリスク、あるいは当社が現時点では重要ではないと考えるリスクであってもNTTグループの事業活動を損なうことになる可能性があります。さらに、本有価証券報告書は、リスクと不確実性を伴う将来見通しに基づく情報も含んでいます。NTTグループは、下記リスクのほか、本有価証券報告書中の他の箇所に記載されているリスクに直面していますが、これらのリスクの影響により、NTTグループの実際の業績が、将来見通しに基づく記述が想定しているものとは大きく異なってくる可能性があります。

 

○ 事業環境及びそれに対応した戦略に係るリスク

事業が計画どおり進展しないリスク

 

市場構造の変化や競争の進展に適切に対応できない場合、NTTグループの営業収益が低下する可能性や設備投資の効率化が図れない可能性、販売経費・設備関連コスト・人件費等の削減効果が充分に発揮されない可能性があります。情報通信市場では、競合他社の新規参入等による競争激化や、新料金プラン等による顧客基盤の維持・更なる拡大がNTTグループの想定したとおりにならない場合、結果としてNTTグループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。また、情報サービス市場では、急成長するインドや中国等の情報サービス企業が、グローバル競争をもたらしつつあり、競合会社の積極参入による競争激化が経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。

特にグローバルビジネスの拡大において、企業・組織との合弁事業、事業提携、協力関係の構築、出資、買収等の活動を実施していますが、海外における事業活動は、投資や競争等に関する法的規制、税制、契約実務を含めた商習慣の相違、労使関係、国際政治等様々な要因の影響下にあります。これらのリスクが顕在化した場合には、NTTグループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。

その他の市場においても、各事業において想定したとおりの収益が得られない可能性があり、結果として経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。

このようなリスクを踏まえ、NTTグループは、中期経営戦略「Your Value Partner2025」に基づき、パートナーの皆さまとともに、事業活動を通じた社会的課題の解決に取り組み、企業価値の向上に努めています。

設備投資の効率化に向けては、各社でネットワークのシンプル化・スリム化を実施することに加え、AI等を活用し、自らの業務プロセスをデジタル化することで様々な業務における更なる生産性の向上をめざします。また、グループ各社が共通で購入するハードウェア、ソフトウェア及びサービスについて、グローバルベンダー等と一元的に価格交渉を行い、包括的な契約を締結する調達専門会社のNTT Global Sourcing, Inc.を米国に設立し、NTTグループのトータルの調達コスト削減等に取り組んでいます。

ITシステムについても、仮想化等の最新技術を活用して共通基盤化による効率化を進めています。あわせて、NTTグループのRPA(WinActor)を業務プロセスに活用し、より一層の業務効率化に継続的に取り組んでいるほか、B2B2Xモデルへの転換等を踏まえたシンプルで生産性の高い業務運営の確立に向けて取り組んでいます。

また、グローバル事業における着実な成長を実現するため、2019年よりグローバル事業の再編成に取り組んできましたが、昨今お客さまのニーズはますます多様化・高度化し、デジタル技術を活用したトランスフォーメーション(DX)や、ITモダナイゼーションへのニーズが高まるとともに、競合各社は社会・テクノロジーの変化に合わせサービスラインを拡大する等、事業環境が大きく変化してきています。このような状況下、NTTデータとNTT Ltd.で行ってきたビジネスユーザ向けグローバル事業をNTTデータ傘下に集約し、両社がより一体となって事業運営を行うこととしました。統一した事業戦略のもと、インフラからアプリケーションまでのEnd to Endのサービス提供、当社の研究開発の成果の活用、Smart Worldや5G等の分野におけるビジネス推進に取り組むとともに、中長期的には、IOWN構想を中核とした環境価値、社会価値も提供可能な高度なサービスの実現に向けて取り組みます。

出資に関しては、定期的にモニタリングを実施する等、期待したリターンを得られるよう取り組んでいます。

 

 

金融市場の混乱により悪影響を受けるリスク

 

NTTグループは、社債・借入金等の手段により資金調達を実施していますが、金融市場において大きな変動が生じた場合には、資金調達が難航する可能性や資金調達コストの増加につながる可能性があります。

また、NTTグループは、投資有価証券等の金融資産を保有しています。景気後退による株式市場や金融市場の低迷により、それらの資産価値が下落した場合には評価損が発生し、NTTグループの業績に影響が生じる可能性があるほか、NTTグループの年金基金についても、年金運用等に影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクを踏まえ、NTTグループでは、現金及び現金同等物に加え、取引銀行と当座貸越契約及びコミットライン契約を締結しており、事業活動上必要な流動性を確保しています。資金調達に関しては、調達手段の多様化等を進めるとともに、低利かつ安定的な資金の確保に努めています。さらに、債権流動化等により資金の効率化にも取り組んでいます。また、リスク管理方針を制定し、この管理方針に従って先物為替予約等のデリバティブ取引を利用したリスクヘッジを行い、リスクの最小化に努めています。

 

環境問題への対応に関するリスク

 

気候変動問題が世界的に重要なリスクとして広く認識されている中、NTTグループの気候変動への対応や開示が不十分と評価された場合には、顧客・パートナー・株主・社員・地域社会等のステークホルダーからの理解が十分に得られず事業運営に支障をきたす可能性があります。また、新たな法令・規制の導入や強化等がなされた場合にはコスト負担が増加する等、NTTグループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。

このようなリスクを踏まえ、NTTグループでは、環境エネルギービジョン NTT Green Innovation toward 2040を策定し、2040年のカーボンニュートラル実現に向けて環境負荷低減の取組みを推進しています。自らのグリーン電力化の推進として再生可能エネルギーの活用を進めるほか、圧倒的な低消費電力をめざしたIOWNの研究開発の推進、TCFD (Task Force on Climate-related Financial Disclosures) に沿った情報開示、グリーンボンドの活用等を進め、環境エネルギーへの取組みの充実を図っています。

サステナビリティに関する方針の策定・見直しやカーボンニュートラル実現に向けた取組み進捗等については、取締役会の監視・監督のもと、サステナビリティ委員会で議論しています。

 

 

知的財産権に関するリスク

 

NTTグループや事業上のパートナーがその事業を遂行するために必要な知的財産権等の権利について、当該権利の保有者よりライセンス等を受ける必要がある場合があります。現在、NTTグループ等は、当該権利の保有者との間で契約を締結することによりライセンス等を受けており、また、今後の事業遂行上必要となる他者の知的財産権等の権利については、当該権利の保有者よりライセンス等を受ける予定です。

しかしながら、当該権利の保有者との間でライセンス等の付与について合意できなかったり、又は、一旦ライセンス等の付与に合意したもののその後当該合意を維持できなかった場合には、NTTグループや事業上のパートナーの特定の技術、商品又はサービスの提供ができなくなる可能性があります。

また、NTTグループ各社による海外企業の買収等に伴い、グローバルビジネスが拡大しており、NTTグループが海外企業からその知的財産権等の権利を侵害したとの主張を受ける機会が増える可能性があります。仮に他者より、NTTグループがその知的財産権等の権利を侵害したとの主張を受けた場合には、その解決に多くの時間と費用を要する可能性があり、さらに当該他者の主張が判決等により認められた場合、あるいは和解等により当事者間で合意した場合には、当該権利に関連する事業の収益減や当該権利の侵害を理由に損害賠償責任等を負ったり、当該事業の実施の差止めを受ける可能性があります。さらに、NTTグループが保有する知的財産権等の権利について、第三者が不正に使用する等により、本来得られるライセンス収入が減少したり、競争上の優位性をもたらすことができない可能性があります。

これらのリスクが顕在化した場合には、NTTグループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。

このようなリスクを踏まえ、NTTグループでは、戦略的な権利化や権利調査による状況把握を実施する等、他者やNTTグループが保有する知的財産権等の権利への対策を講じています。

 

 

人的確保に関するリスク

 

情報通信市場や情報サービス市場においては、国内外の様々なプレイヤーが市場に参入し、サービスや機器の多様化・高度化が急速に進んでおり、今後、クラウドサービスを中心として変化が一層加速していくと見込まれます。このような状況の中で、NTTグループの事業は、高スキルを保有する優秀な人材の確保や、社員のエンゲージメント低下に伴う生産性の低下及び人材のリテンションに大きく影響されます。

こうした優秀な人材の確保・育成が想定どおりに進まないことで、新技術の開発、新サービスの企画、既存サービスの改善、成長戦略の実行等に影響を及ぼす場合があり、NTTグループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。

このようなリスクを踏まえ、NTTグループでは、グループ内の人材育成強化の取組みを進めるとともに、政府や企業そして教育機関と提携し、人材の育成に努めています。また、各社員の業務内容や職場環境、健康状態、処遇やキャリア形成に対する考え方について、定期的な面談やアンケート(社員エンゲージメント調査・パルスサーベイ等)を通じて状況等を把握し、早期にアクションを検討・実施しています。さらに、研究職の処遇改善により、優秀な研究者の定着促進を図ると同時に、米国に次世代技術の基礎研究を担う海外新研究所(NTT Research, Inc.)を設立し、最先端の研究に携われる環境を用意することで人材流出の未然防止に努めています。また、高スキル人材を特別研究員等の高い処遇で採用することにより優秀な人材の獲得に繋げているほか、宇宙やエネルギーといった新たに取り組む研究分野の人材確保を進めています。

 

○ 業務運営に係るリスク

システム障害、ネットワーク障害等に関するリスク

 

NTTグループは国内外において事業を展開しており、通信ネットワーク・情報システムをはじめ、社会と経済活動を支え、国民生活の安全を守るライフラインとして欠かせないサービスを数多く提供しています。

これらのサービス提供に関して、地震・津波・台風・洪水等の自然災害、想定を上回るトラフィックの増加といった要因によるシステム及びネットワーク障害の発生により、社員等の安全、サプライチェーン等への影響が生じることによって、事業運営に混乱が生じ、サービスを安定的に提供できない場合があります。また、それらの損害についてNTTグループが責任を負う可能性や、NTTグループの信頼性や企業イメージが低下するおそれがあります。昨今は、災害が広域化、巨大化、長期化する傾向にあり、大規模災害等が発生した場合には、ネットワークに大きな影響を受けるだけでなく、社員が被災する可能性やシステム障害の復旧に長い時間を要する可能性、緊急の電力使用制限によりサービスを安定的に提供できない可能性があり、その結果として、収入の減少や多額の修繕費用の支出を余儀なくされる可能性があります。

このようなリスクを踏まえ、NTTグループでは、通信ビルの耐震機能・水防機能の強化、伝送路のルート見直し、長期停電に対する通信ビル・基地局の非常用電源の強化、AIを活用した被災想定による復旧活動の初動強化等、サービス提供に必要なシステムやネットワークを安全かつ安定して運用できるよう様々な対策を講じています。あわせて、大規模災害を想定した対応やシステムを用いた社員安否確認の訓練を実施しています。

加えて、近年、サイバー攻撃による被害や情報漏えい等の事件が社会問題となる等、情報セキュリティに関する脅威が高度化・多様化するとともに、リモートワークを前提とするIT利用環境の導入等によって、新たな情報セキュリティ対策が必要となっています。

このような中、NTTグループも断続的にサイバー攻撃を受けており、サービス停止・サービス品質の低下や情報の漏洩・改竄・喪失が発生し、NTTグループの信頼性や企業イメージが低下、ひいては経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。

このようなリスクを踏まえ、NTTグループでは、「サイバーインシデントは必ず起きる、被害の最小化が大切」という考えに基づいて、グループ全体で守るべき規程の整備・見直し、リモートワークを可能とするゼロトラスト型ITシステムへの移行、早期検知・迅速対応のための最新技術の導入、万一のインシデント時の対応演習、社員全員に向けた基本動作研修等の取組みを通じて、リスクベースでの情報セキュリティ対策に取り組んでいます。

 

 

パンデミック等による業務への影響リスク

 

新型コロナウイルス感染症による影響が長期化しています。これにより、お客さまの事業活動の縮小、システムインテグレーションの受注や各種サービス販売の減少、計画していた工事等の遅延等、事業活動に大きな影響が生じる可能性があります。また、ウィズ・アフターコロナにおいては、人々の生活や企業の活動のスタイルが大きく変容し、それらの結果としてNTTグループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。

NTTグループでは、感染症の世界的な流行への対応にあたり、お客さま、パートナー、従業員を含む全ての関係者の健康と安全を確保しつつ、人々の生活や企業の活動にとって重要な情報通信サービスの安定的な利用の確保に取り組んでいます。当社及び通信事業を営む主要子会社は、人命尊重の視点から感染防止に努めつつ、指定公共機関としての責務を遂行するとともに、在宅勤務の普及等で増加傾向にあるトラフィックについても注視しながら、ネットワークの安定運用に必要な設備増強等の対策を講じています。

ウィズ・アフターコロナにおいては、ソーシャルディスタンス確保の観点から、在宅勤務や遠隔医療、遠隔教育等の環境整備が重要になることから、リモート・分散型社会に相応しいサービスの開発・提供を進めています。また、デジタルトランスフォーメーションの支援も積極的に実施します。農業、建設業、製造業といった人手が必要とされている仕事に、デジタル技術やAIを導入することで、スマートオペレーションを拡大し、人手不足といった社会課題解決に寄与することをめざします。さらに、流通等、様々な分野でコネクテッドバリューチェーンを構築し、産業の効率化を図ることで、人・モノの移動やエネルギー供給の最適化につなげていきます。

NTTグループは、ウィズ・アフターコロナに起こりうるデータ主導型社会に向け、技術開発等を通じたイノベーションをリードしていくことで、世界のパートナーとともに、スマートな社会の実現に貢献していきます。

 

不祥事や契約上のトラブル等に関するリスク

 

NTTグループは、国内外で多くの拠点を持ち、様々な製品やサービスを取り扱う関係上、関連する法令や規則は多岐にわたり、事業活動を営むにあたり免許・届出・許認可等が必要とされるものもあります。特に海外での事業運営においては、当該国での法令の存在又は欠如、法令の予期しえない解釈、法規制の新設や改定等によって、法令遵守のための負担が増加する場合があります。また、近年では法令・規制に加えて、人権、児童労働、環境破壊、中間搾取等、サプライチェーン上に存在するグローバルレベルでのリスクへの対処も問題視されています。

これらに関して、従業員による個人的な不正行為等を含めたコンプライアンスに関するリスクもしくは社会的に信用が毀損されるリスクを排除できない場合があります。結果として、NTTグループの信頼性や企業イメージが低下し、契約者獲得や入札資格停止等事業への影響が生じるおそれがあり、NTTグループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。

このようなリスクを踏まえ、NTTグループでは、法令遵守は極めて重要な企業の責務であるとの認識のもと、米国・英国を中心とした諸外国の贈収賄防止法の厳格化も踏まえ、国内外を問わず、より一層のコンプライアンスの強化をしていきます。また、お客さまや市場、取引先や社員といったNTTグループのあらゆるステークホルダーに対して、当社の事業活動が、結果として悪影響を及ぼしてしまう、いわゆるコンダクトリスクへの対応にも取り組んでいます。

また、お客さま情報をはじめとする個人情報保護への要求が社会的に高まるとともに、法制面からも個人情報保護に対する要請は大きくなっています。

しかしながら、個人情報等を狙った犯罪行為が高度化、巧妙化する等、個人情報等の機密情報の流出や不適切な取り扱いが発生するリスクを排除できない場合があります。

このようなリスクを踏まえ、NTTグループでは、個人情報等の機密情報の厳重な管理等に努めるとともに、「NTTグループ情報セキュリティポリシー」を制定し、グループ内における管理体制の整備、役員や従業員への啓発活動等に取り組んでいます。

また、NTTグループが当事者となる訴訟、係争、損害賠償請求が発生し、NTTグループにとって不利な判断がなされた場合は、金銭的負担が発生するおそれがあるほか、NTTグループの信頼性や企業イメージが低下するおそれがあり、その結果として、NTTグループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。

このようなリスクを踏まえ、NTTグループでは、NTTグループ各社において発生している、又はそのおそれのある訴訟等の案件についてモニタリングを実施するとともに、必要に応じて迅速に対策を講じています。

 

 

NTTグループの提供する製品、サービスの不適切な利用等により、社会的問題が発生するリスク

 

NTTグループの提供している製品やサービスがユーザに不適切に使用される可能性があります。代表的なものとして、迷惑メールの送信、ネットバンキングの不正送金等のサイバー犯罪や振り込め詐欺等の犯罪にNTTグループのサービスが利用される可能性があるほか、NTTグループの契約者が迷惑メールを大量に受信してしまう等、これらの行為の被害を受けてしまう可能性があります。また、未成年者の有害サイトへのアクセス制限サービスの機能・精度等に関しては様々な議論があります。そのほか、歩行中や運転中の携帯電話使用によるトラブルの発生や、有料コンテンツの過度な利用による高額課金、不正アプリ(ソフト)を通じた個人情報の流出等が社会的に問題となっています。

これらの問題によって、NTTグループの製品やサービスに対する信頼性の低下、顧客満足度の低下や企業イメージの低下による解約数の増加や、新規契約者を期待どおり獲得できないという結果を引き起こす可能性があり、NTTグループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。

このようなリスクを踏まえ、NTTグループでは、歩きスマホ防止機能やフィルタリング機能等の安心・安全な利用のための製品・サービス提供、知識やマナーの啓発活動等の取組みを進めています。

 

国際情勢問題に伴うリスク

 

NTTグループは国内外において事業を展開しているため、テロリズム、武力行為、地域紛争等の国際情勢問題により、社員等の安全が脅かされる可能性や建物や設備が破壊される可能性、また、現地ビジネス展開、サプライチェーン、資金調達等への影響が生じることによって、事業運営に混乱が生じ、サービスを安定的に提供できない等、事業継続が困難になる場合があります。状況によっては、これらの問題が当該国・地域のみに限定されず、グローバルな事業継続に影響が発生する場合も考えられます。

また、それらの結果、社員が直接被害を受ける可能性や、ネットワークやシステムの復旧に長い時間を要する可能性、燃料や機器の調達が困難になることによりサービスを安定的に提供できない可能性等が考えられ、収入の減少や多額の修繕費用の支出を余儀なくされる可能性があります。状況によっては、それらに係る損害についてNTTグループが責任を負う可能性も考えられます。さらに、これらがNTTグループの信頼性や企業イメージの低下に繋がるおそれもあります。

このようなリスクを踏まえ、NTTグループでは、国内外の情報管理方法の強化や社員安否確認の定期的な訓練、通信ビル等重要設備のセキュリティ確保や冗長性のある伝送ルート設計、長期停電に対する通信ビル・基地局の非常用電源の強化等を行っています。また、 NTTグループは「NTTグループサプライチェーンサステナビリティ推進ガイドライン」を公表し、国際情勢問題等に伴う原材料の高騰、物流の混乱、原材料や部品等の入手困難化といった事業継続に大きな影響を与える事態に備えて、サプライチェーンへの影響を最小限に留めるよう、事業継続計画を策定することをサプライヤに要請するとともに、それらの事態が発生した場合の事業への影響を最小化するよう、関連するサプライヤと連携し、対応を実施します。これらのように、NTTグループは事業継続に必要なシステムやネットワークを安全かつ安定して運用できるよう様々な対策を講じています。

 

 

○ 規制等、政府との関係に係るリスク等

政府の規制、株式保有等により事業に影響を与えるリスク

 

日本の情報通信市場においては、競争促進や利用者保護等を目的とした電気通信関連の法改正等、多くの分野で規制の変更が行われてきています。

政府等による規制に関する決定、それに伴う通信業界における環境変化は、NTTグループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。

このようなリスクを踏まえ、NTTグループでは、政府等の情報通信政策や規制等の動向について必要な情報収集等を行うとともに、パブリックコメントやヒアリングの場を通じてNTTグループの考え方を主張する等、必要な対応を行っています。規制の内容等については「(参考情報)当社事業にかかる法規制等 (1)規制」をご参照ください。

また、NTTグループがサービスを提供するために使用できる周波数には限りがあります。

スマートフォンやタブレット端末等の普及拡大に伴い、契約者当たりのトラフィック量が増加していく中、事業の円滑な運営のために必要な周波数が得られなかった場合や、新しい周波数帯域の運用開始が想定どおりに進まない場合に、サービス品質が低下したり、追加の費用が発生する可能性があります。さらには、サービスの提供が制約を受け、契約者が競合他社に移行し、NTTグループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。

このようなリスクを踏まえ、NTTグループでは、新たな周波数の獲得に努めているほか、移動通信ネットワークにおけるキャリアアグリゲーション等、周波数利用効率の向上にも努めています。詳細については、「(参考情報)当社事業にかかる法規制等 (1)規制 ③電波法」をご参照ください。

政府は現在当社の自己株式を除き発行済株式の35.59%(議決権比率35.64%)を保有しています。政府は株主として当社の株主総会での議決権を有していることから、最大株主として、理論的には株主総会等における決定に対し多大な影響力を行使する権限を有しています。しかしながら、政府は1997年の国会答弁において、基本的に当社の経営に積極的に関与する形での株主権の行使はしないことを表明しており、事実、過去において政府は当社の経営に直接関与するためにそのような権限を行使したことはありません。法令に基づく政府のNTTグループに対する規制権限については、「(参考情報)当社事業にかかる法規制等 (1)規制」をご参照ください。

 

(参考情報)当社事業にかかる法規制等

 

(1)規制

情報通信産業を所管する日本の主要な監督機関は総務省であり、総務大臣は電気通信事業者を規制する権限を「電気通信事業法」により付与されています。1985年、NTTが民営化されると同時に「電気通信事業法」が施行され、日本における電気通信事業の法規制の枠組みは大幅に変更されるとともに、日本の情報通信産業に競争が導入されました。それ以降、政府は日本の電気通信市場における競争を促進する様々な措置を講じています。この結果、NTTグループはその事業分野の多くで、新規参入企業や新規に事業参入しようとしている企業との競争激化に直面しています。

当社及びその子会社の中には、その事業を行うにあたり、「電気通信事業法」のほか、「日本電信電話株式会社等に関する法律」及び「電波法」に基づく規制を受けている会社が存在します。その概要は次のとおりです。

 

① 電気通信事業法(昭和59年法律第86号)

電気通信事業法による規制は次のとおりです。

(a) 全ての電気通信事業者に課される規制

a 電気通信事業の開始等

・ 電気通信事業の開始についての総務大臣の登録制(第9条)

ただし、設置する電気通信回線設備の規模及び設置する区域の範囲が一定の基準を超えない場合や電気通信回線設備を設置しない事業の開始については総務大臣への届出制となっています(第16条)。

・ 合併や株式取得等を行う際の電気通信事業の登録の更新制(第12条の2)

・ 電気通信事業の休廃止に関する総務大臣への届出制及び利用者への周知義務(第18条、第26条の4)

b 利用者料金その他の提供条件の設定等

・ 基礎的電気通信役務の契約約款の総務大臣への届出制(第19条)

基礎的電気通信役務を提供する電気通信事業者は、基礎的電気通信役務に関する料金その他の提供条件について契約約款を定め、総務大臣に届け出ることとされています。

・ 消費者保護関連

電気通信事業者は、契約前の説明義務(第26条)、書面交付義務(第26条の2)、初期契約解除制度(第26条の3)、電気通信業務の休廃止の周知義務(第26条の4)、苦情等処理義務(第27条)、不実告知等や勧誘継続行為の禁止(第27条の2)及び媒介等業務受託者に対する指導等の措置義務(第27条の4)等が課されています。

(注)

基礎的電気通信役務    国民生活に不可欠であるためあまねく日本全国における提供が確保されるべき電気通信役務(いわゆるユニバーサルサービス)として総務省令で定めるもの。具体的には加入電話(基本料)又は加入電話に相当する光IP電話、ワイヤレス固定電話、第一種公衆電話(総務省の基準に基づき設置される公衆電話)、災害時用公衆電話、緊急通報(110番、118番、119番)等。

c 相互接続

・ 電気通信回線設備への接続について他の電気通信事業者の請求に応ずる義務(第32条)

d ユニバーサルサービス基金制度

ユニバーサルサービス基金制度は、ユニバーサルサービスの確保に必要な費用を、主要な電話会社全体で支えていくための制度です。基礎的電気通信役務(ユニバーサルサービス)の提供を確保するため、総務大臣の指定を受けた支援機関が、不採算地域等を含めて当該役務を提供する適格電気通信事業者(第108条)に対してその提供に要する費用の一部に充てるための交付金を交付する(第107条)こととされており、これに伴い支援機関が必要とする費用については各電気通信事業者が応分の負担金を納付する義務を負う(第110条)こととされています。

このユニバーサルサービス基金制度については、2006年4月に基金の対象となる役務や交付金・負担金の算定方法等を定める総務省令が改正されたことを受け、同年6月より実際に支援機関の業務が開始されました。

東西地域会社は、日本電信電話株式会社等に関する法律により、ユニバーサルサービス(国民生活に不可欠な電話役務)の全国提供を義務付けられており、総務大臣から適格電気通信事業者に指定されています。なお、2021年度と2022年度の東西地域会社への補填額はそれぞれ66億円、67億円となっています。

 

(b) 東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社(東西地域会社)のみに課される規制

a 利用者料金その他の提供条件の設定

・ 指定電気通信役務に関する保障契約約款の総務大臣への届出制(第20条)

第一種指定電気通信設備を用いて提供する指定電気通信役務の料金その他の提供条件については、利用者と別段の合意がある場合を除き適用される保障契約約款を定め、総務大臣に届け出ることとされています。

・ 特定電気通信役務の料金の規制(第21条)

特定電気通信役務については、その料金の指数が総務大臣から通知される基準料金指数以下となる場合には総務大臣への届出制とする一方、基準料金指数を越える場合には総務大臣の認可を必要とする、いわゆる「プライスキャップ規制」が適用されています。

(注)

・第一種指定電気通信設備 各都道府県において電気通信事業者の設置する固定端末系伝送路設備のうち、同一の電気通信事業者が設置するものであって、当該都道府県内の総数の2分の1を超えるもの及びこれと一体として設置する電気通信設備で、他の電気通信事業者との接続が利用者の利便向上及び電気通信の総合的かつ合理的な発達に不可欠な設備として、総務大臣が指定するもの。具体的には、東西地域会社の主要な電気通信設備が指定されている。

・指定電気通信役務    第一種指定電気通信設備を設置する電気通信事業者が当該設備を用いて提供する電気通信役務であって、他の電気通信事業者によって代替役務が十分提供されないこと等の事情を勘案して、適正な料金その他の提供条件に基づく提供を保障することにより利用者の利益を保護するため特に必要があるものとして総務省令で定めるもの。具体的には、加入電話、ISDN、公衆電話、専用サービス、フレッツ光、ひかり電話等であるが、利用者の利益に及ぼす影響が少ない付加的な機能の提供に係る役務等は除かれる。

・特定電気通信役務    指定電気通信役務のうち利用者の利益に及ぼす影響が大きいものとして総務省令で定めるもの。具体的には、東西地域会社の提供する加入電話、ISDN、公衆電話。

・基準料金指数      特定電気通信役務の種別ごとに、能率的な経営の下における適正な原価及び物価その他の経済事情を考慮して、通常実現することができると認められる水準の料金を表す指数として、総務大臣が定めるもの。

・プライスキャップ規制  料金の上限を規制する制度のこと。なお、東西地域会社の実際の料金指数は、2021年10月1日から始まった1年間の基準料金指数を下回る水準にあることから、プライスキャップ規制に基づく値下げは行っていない。

b 相互接続等

・ 第一種指定電気通信設備との接続に関する接続約款の総務大臣の認可制(第33条)

東西地域会社は、第一種指定電気通信設備を有する電気通信事業者として、相互接続に係る接続料及び接続条件について接続約款を定め、接続料が能率的な経営の下における適正な原価を算定するものとして総務省令で定める方法により算定された原価に照らし公正妥当なものであること等を要件に総務大臣の認可を受けることになっています。

 

(電話接続料)

1998年5月、日米両政府の規制緩和等に関する共同報告の中で、日本政府は、接続料への長期増分費用方式の導入の意向を表明、2000年5月に長期増分費用方式の導入を定めた改正電気通信事業法が成立し、それ以降、同方式により接続料の値下げが行われました。また、その後、通信量が大幅に減少する中で、接続料の上昇による通話料の値上げを回避する観点から、NTSコスト(Non-Traffic Sensitive Cost、通信量に依存しない費用)を接続料原価から控除し基本料で回収することとされました(2004年10月の情報通信審議会答申)。

なお、NTSコストの一部については、ユニバーサルサービス基金の利用者負担の増加を抑制する観点から同基金の見直しが行われた際、基金の補填対象範囲の縮小分の負担について東西地域会社のみに負わせるのではなく、各事業者から公平に回収することが適当とされたことから、再度接続料原価に算入することとされています。

2019年度以降の接続料については、2018年の情報通信審議会における検討の結果、引き続き長期増分費用方式を、2019年度から2021年度まで適用することとされました。

 

(光ファイバ接続料)

東西地域会社が有する光ファイバは、電気通信事業法における第一種指定電気通信設備として他事業者に認可料金(接続料)で貸し出すことを義務付けられています。

加入光ファイバ接続料については、接続料低廉化の見通しを示すことにより他事業者が参入しやすい環境を整えるため、2020年度から2022年度までの3年間を算定期間とする将来原価方式により算定しています。なお、今回の接続料においても、実績接続料収入と実績費用の差額を次期以降の接続料原価に加えて調整する乖離額調整制度を導入しており、未回収リスクはないものと考えています。

なお、加入光ファイバの分岐端末回線単位の接続料設定の問題については、情報通信行政・郵政行政審議会における検討の結果、依然として様々な解決すべき課題がある(2012年3月の情報通信行政・郵政行政審議会答申)とされ、分岐端末回線単位の接続料は設定されていません。

 

・ 第一種指定電気通信設備との接続に係る機能の休止及び廃止の周知(第33条の2)

東西地域会社は、第一種指定電気通信設備との接続に係る機能を休止・廃止しようとするときは、総務省令で定めるところにより、予め、当該機能を利用する他の電気通信事業者に対して、その旨を周知しなければならないとされています。

・ 第一種指定電気通信設備の機能に関する計画の総務大臣への届出制(第36条)

東西地域会社は、第一種指定電気通信設備の機能の変更又は追加の計画について、総務大臣に届け出ることとされています。

・ 第一種指定電気通信設備の共用に関する協定の総務大臣への届出制(第37条)

東西地域会社は、他の電気通信事業者との第一種指定電気通信設備の共用の協定について、総務大臣に届け出ることとされています。

・ 第一種指定電気通信設備を用いる卸電気通信役務に関する総務大臣への届出制(第38条の2)及び整理・公表制(第39条の2)

東西地域会社は、第一種指定電気通信設備を用いる卸電気通信役務の提供の業務を開始・変更・廃止したときは、その旨、卸電気通信役務の種類、一定の要件を満たす卸先事業者に対する料金その他の提供条件等を総務大臣に届け出ることとされています。また、総務大臣は、当該届出に関して作成し、又は取得した情報について、整理・公表することとされています。

 

c 禁止行為

東西地域会社は、市場支配的な事業者として、接続情報の目的外利用や他の電気通信事業者に対し不当に優先的な取扱いを行うこと等を禁止されている(第30条)ほか、特定関係事業者として総務大臣に指定されたエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社及び株式会社NTTドコモとの役員兼任等の禁止(第31条)が定められています。

また、東西地域会社の業務委託先子会社において禁止行為が行われないよう、東西地域会社が委託先子会社に対し必要かつ適切な監督を行うことや、東西地域会社が接続の業務に関して知り得た情報の適切な管理、接続の業務の実施状況を適切に監視するための体制の整備等が義務付けられています(第31条)。

したがって、NTTグループ内の電気通信事業者間で排他的に連携してサービスを提供することには一定の制約があり、NTTグループとしては、この禁止行為規制を含め公正競争条件を確保しつつ市場ニーズに応じたサービスを提供していく考えですが、例えば、新サービスの迅速な提供に支障をきたす等の影響が生じる可能性があります。

 

(c) 株式会社NTTドコモに課される規制

a 相互接続等

・ 第二種指定電気通信設備との接続に関する接続約款の総務大臣への届出制(第34条)

株式会社NTTドコモの携帯電話に係る主要な電気通信設備については、他の電気通信事業者との適正かつ円滑な接続を確保すべきものとして総務大臣より第二種指定電気通信設備に指定されており、他の電気通信事業者の電気通信設備との接続に関し、接続料及び接続の条件について接続約款を定め、総務大臣に届け出ることとされています。

・ 第二種指定電気通信設備との接続に係る機能の休止及び廃止の周知(第34条の2)

株式会社NTTドコモは、第二種指定電気通信設備との接続に係る機能を休止・廃止しようとするときは、総務省令で定めるところにより、予め、当該機能を利用する他の電気通信事業者に対して、その旨を周知しなければならないとされています。

 

・ 第二種指定電気通信設備を用いる卸電気通信役務に関する総務大臣への届出制(第38条の2)及び整理・公表制(第39条の2)

株式会社NTTドコモは、第二種指定電気通信設備を用いる卸電気通信役務の提供の業務を開始・変更・廃止したときは、その旨、卸電気通信役務の種類、一定の要件を満たす卸先事業者に対する料金その他の提供条件等を総務大臣に届け出ることとされています。また、総務大臣は、当該届出に関して作成し、又は取得した情報について、整理・公表することとされています。

 

なお、第二種指定電気通信設備に関する規制については、株式会社NTTドコモのほか、第二種指定電気通信設備を設置する全ての電気通信事業者に課されています。

 

b 禁止行為

株式会社NTTドコモは、電気通信事業者間の競争環境の確保の観点から、端末を販売等しない場合よりも端末を販売等する際の通信料金を有利にすることや、行き過ぎた期間拘束により利用者を囲い込むこと等を禁止されています(第27条の3)。なお、本規定については、株式会社NTTドコモのほか、総務大臣に指定された事業者に課されています。

また、株式会社NTTドコモは、市場支配的な事業者として、接続情報の目的外利用やグループ内の事業者であって総務大臣が指定するものに対し不当に優先的な取扱いを行うこと等を禁止されています(第30条)。

(注)

・第二種指定電気通信設備  電気通信事業者の設置する特定移動端末設備(携帯電話端末・BWA端末)に接続される伝送路設備のうち同一の電気通信事業者が設置するものであって、その業務区域内の全ての当該伝送路設備の総数の10分の1を超えるもの及びその事業者が当該電気通信役務を提供するために設置する電気通信設備で、他の電気通信事業者の電気通信設備との適正かつ円滑な接続を確保すべき設備として、総務大臣が指定するもの。

 

 

② 日本電信電話株式会社等に関する法律(昭和59年法律第85号)

(a) 概要

1997年6月に公布された「日本電信電話株式会社法の一部を改正する法律」は、1999年7月に施行されました(これにより「日本電信電話株式会社法」は「日本電信電話株式会社等に関する法律」に改題され、当社を純粋持株会社とする再編成がおこなわれました。)。同法は2001年6月公布、同年11月施行の「電気通信事業法等の一部を改正する法律」等によっても改正されています。

一 目的

1 当社は、東西地域会社がそれぞれ発行する株式の総数を保有し、これらの株式会社による適切かつ安定的な電気通信役務の提供の確保を図ること並びに電気通信の基盤となる電気通信技術に関する研究を行うことを目的とする株式会社とする。

2 東西地域会社は、地域電気通信事業を経営することを目的とする株式会社とする。

二 事業

1 当社は、その目的を達成するため、次の業務を営むものとする。

(1)東西地域会社が発行する株式の引受け及び保有並びに当該株式の株主としての権利の行使をすること

(2)東西地域会社に対し、必要な助言、あっせんその他の援助を行うこと

(3)電気通信の基盤となる電気通信技術に関する研究を行うこと

(4)(1)(2)及び(3)に掲げる業務に附帯する業務

2 当社は、二の1に掲げる業務を営むほか、総務大臣へ届け出ることによって、その目的を達成するために必要な業務を営むことができる。

3 東西地域会社は、その目的を達成するため、次の業務を営むものとする。

(1) それぞれ次に掲げる都道府県の区域において行う地域電気通信業務

イ 東日本電信電話株式会社にあっては、北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、山梨県及び長野県

ロ 西日本電信電話株式会社にあっては、京都府及び大阪府並びにイに掲げる県以外の県

(2)二の3の(1)に掲げる業務に附帯する業務

 

4 東西地域会社は、総務大臣へ届け出ることによって、次の業務を営むことができる。

(1)二の3に掲げるもののほか、東西地域会社の目的を達成するために必要な業務

(2)それぞれ二の3の(1)により地域電気通信業務を営むものとされた都道府県の区域(目的業務区域)以外の都道府県の区域において行う地域電気通信業務

5 地域電気通信業務は、東西地域会社が自ら設置する電気通信設備を用いて行わなければならない。ただし、電話の役務をあまねく目的業務区域において適切、公平かつ安定的に提供することを確保するために必要があると認められる場合に、総務大臣の認可により、他の電気通信事業者の設備(無線設備)を用いて電話を提供することができる。

6 東西地域会社は、3、4に規定する業務のほか、総務大臣へ届け出ることによって、地域電気通信業務の円滑な遂行及び電気通信事業の公正な競争の確保に支障のない範囲内で、3に規定する業務を営むために保有する設備若しくは技術又はその職員を活用して行う電気通信業務その他の業務を営むことができる。

 

三 責務

当社及び東西地域会社は、それぞれその事業を営むに当たっては、常に経営が適正かつ効率的に行われるように配意し、国民生活に不可欠な電話の役務のあまねく日本全国における適切、公平かつ安定的な提供の確保に寄与するとともに、今後の社会経済の進展に果たすべき電気通信の役割の重要性にかんがみ、電気通信技術に関する研究の推進及びその成果の普及を通じて我が国の電気通信の創意ある向上発展に寄与し、もって公共の福祉の増進に資するよう努めなければならない。

 

(b) 総務大臣の認可を必要とする事項

・ 当社及び東西地域会社の新株及び新株予約権付社債の発行(第4条、第5条)

(注)当社は、総務省令で定める一定の株式数に達するまでは、認可を受けなくても総務大臣に届け出ることにより新株の発行が可能(附則第14条)

・ 当社の取締役及び監査役の選任及び解任の決議(第10条)

(注)日本の国籍を有しない人は、当社及び東西地域会社の取締役又は監査役となることができない

・ 当社及び東西地域会社の定款の変更、合併、分割及び解散の決議、当社の剰余金処分の決議(第11条)

・ 当社及び東西地域会社の事業計画及び事業計画の変更(第12条)

・ 東西地域会社の重要な設備の譲渡及び担保に供すること(第14条)

 

(c) その他総務大臣に対する義務

・ 当社及び東西地域会社の貸借対照表、損益計算書、事業報告書の提出(第13条)

・ 当社及び東西地域会社への命令を受ける義務(第16条)

・ 当社及び東西地域会社の業務に関する報告の要求に応じる義務(第17条)

 

 

③ 電波法(昭和25年法律第131号)

(a)総務大臣の免許を必要とする事項

・ 無線局の開設(第4条)

 

(b)総務大臣の許可を必要とする事項

・ 無線局の目的、通信の相手方、通信事項等の変更等(第17条)

 

(携帯電話の周波数帯割当て)

移動通信事業において、事業者が無線周波数帯域を使用するためには日本政府(総務省)の免許が必要となります。周波数帯の割当ては電波法及び関連する法令等により規定されています。

 

(2)当社株式に係る事項

 

① 外国人等議決権割合の制限(日本電信電話株式会社等に関する法律 第6条)

当社は、外国人等議決権割合が三分の一以上になるときは、その氏名及び住所を株主名簿に記載し、又は記録してはならない。

  (注)外国人等 一 日本の国籍を有しない人

二 外国政府又はその代表者

三 外国の法人又は団体

四 前三号に掲げる者により直接に占められる議決権の割合が総務省令で定める割合以上である法人又は団体

なお、当社定款において、株主名簿に記載又は記録された株主又は登録株式質権者、及びその有する株式の全部若しくは一部について日本電信電話株式会社等に関する法律第6条に基づき、株主名簿に記載されなかった若しくは記録されなかった株主又は当該株主の有する株式の質権者に対して、剰余金の配当をすることができる旨を規定しています。

 

 

② 政府による当社の株式保有義務(日本電信電話株式会社等に関する法律 第4条)

政府は、常時、当社の発行済株式の総数の三分の一以上に当たる株式を保有していなければならない。

  (注)発行済株式の総数の算定方法の特例(日本電信電話株式会社等に関する法律 附則第13条)

・ 第4条第1項の規定の適用については、当分の間、新株募集若しくは新株予約権の行使による株式の発行又は取得請求権付株式若しくは取得条項付株式の取得と引換えの株式の交付があった場合には、これらによる株式の各増加数(「不算入株式数」)は、それぞれ第4条第1項の発行済株式の総数に算入しないものとする。

・ 前項に規定する株式の増加後において株式の分割又は併合があつた場合は、不算入株式数に分割又は併合の比率(二以上の段階にわたる分割又は併合があつた場合は、全段階の比率の積に相当する比率)を乗じて得た数をもって、同項の発行済株式の総数に算入しない株式の数とする。

2022年3月31日時点の当社の発行済株式総数は3,622,012,656株であり、同日現在の政府保有株式数は1,260,901,512株、即ち、自己株式除き発行済株式総数の35.59%となっています。

(注)当社は2000年12月に公募増資により30万株(2009年1月4日付の株式分割、2015年7月1日付の株式分割及び2020年1月1日付の株式分割後に換算すると1億2,000万株)の新株発行を実施しました。これらの株式は、前述のとおり、政府が保有する株式の比率を計算する際には発行済株式総数には算入されません。また、政府保有株式数には名義書換失念株等の政府が実質的に保有していない株式が含まれているため、これらの株式は、政府が保有する株式の比率を計算する際には政府保有株式数に算入していません。これらの条件を考慮すると、政府が保有する株式の比率は35.99%となります。

NTTグループと政府の各種部門・機関との取引は、個別の顧客として、かつ独立当事者間の取引として行われています。政府は、株主としての資格において当社の株主総会で議決権を行使し、筆頭株主としての立場から、理論上は株主総会での大多数の決議に重大な影響力を及ぼす権限を有します。しかしながら、過去に政府がこの権限を行使して当社の経営に直接関与したことはありません。

 

 

 

③ 政府保有株式の売却について

  政府の保有する当社株式の処分は、その年度の予算をもって国会の議決を経た限度数の範囲内でなければならない(日本電信電話株式会社等に関する法律 第7条)

 

・ 売却の経緯及び売却方針について(第一次売出から第六次売出について)

当社は発行済株式総数1,560万株で設立され、政府が売却可能である当社株式1,040万株(政府による保有が義務付けられた全体の三分の一に当たる520万株を除いた株式)のうち540万株については、1986~1988年度において売却されました。

また、1990年12月17日に、未売却となっていた500万株のうち、イ)250万株について毎年度50万株程度を計画的に売却することを基本とすること、ロ)後年度において市場環境から許容される場合、計画の前倒しによる売却があり得ること、ハ)残余の250万株については、当分の間、売却を凍結するという売却方針が大蔵省(当時)より示されました。(ただし、1997年度まで、市場環境等により実際の売却は見送られました。)

1998年度においては、1998年12月に100万株について売却が実施されました。

1999年度においては、100万株が売却限度数として計上されていましたが、このうち48,000株については1999年7月13日の当社の自己株式買入において売却が実施され、残りの952,000株については1999年11月に売却が実施されました。また、上記の1990年12月に示された売却方針については終了しました。

2000年度においては、2000年11月に100万株の売却が実施されました。

 

・ 政府保有株式の売却実績について

提出日現在までの政府保有株式の売却実績については、下表のとおりです。

年度

政府の売却実績

売却時期

売却株数

売却方法

1986年度

1987年 2月(第一次売出)

200,000株

一般競争入札

1,750,000株

証券会社による「売り出しの取り扱い」

1987年度

1987年11月(第二次売出)

1,950,000株

証券会社による「引受」「売り出しの取り扱い」

1988年度

1988年10月(第三次売出)

1,500,000株

証券会社による「引受」「売り出しの取り扱い」

1998年度

1998年12月(第四次売出)

1,000,000株

ブックビルディング方式による株式売り出し

1999年度

1999年 7月13日

48,000株

自己株式買入

1999年11月(第五次売出)

952,000株

ブックビルディング方式による株式売り出し

2000年度

2000年11月(第六次売出)

1,000,000株

ブックビルディング方式による株式売り出し

2002年度

2002年10月 8日

91,800株

自己株式買入

2003年度

2003年10月15日

85,157株

自己株式買入

2004年度

2004年11月26日

800,000株

自己株式買入

2005年度

2005年 9月 6日

1,123,043株

自己株式買入

2011年度

2011年 7月 5日

57,513,600株

自己株式買入

2012年 2月 8日

41,820,600株

自己株式買入

2013年度

2014年 3月 7日

26,010,000株

自己株式買入

2014年度

2014年11月14日

35,088,600株

自己株式買入

2014年11月28日

1,068,100株

自己株式買入

2016年度

2016年 6月14日

59,000,000株

自己株式買入

2019年度

2019年 9月11日

48,666,700株

自己株式買入

(注)1.1995年11月24日を効力発生日として、普通株式1株につき1.02株の割合をもって株式分割いたしました。

2.2009年1月4日を効力発生日として、普通株式1株につき100株の割合をもって株式分割いたしました。

3.2015年7月1日を効力発生日として、普通株式1株につき2株の割合をもって株式分割いたしました。

 

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得

お知らせ

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得