課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、本報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社グループは、「『ありがとう』を集める。」の経営理念のもと、株主、取引先、社員等、全てのステークホルダーから信頼される企業であり続けるために、透明性の高い企業経営を目指し、コンプライアンスの徹底を経営の基本と位置付け、あらゆる法令やルールを厳格に遵守し、誠実で公正な企業活動を推進し企業の社会的責任を果たしてまいります。

 

(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループを取り巻く経営環境は、新型コロナウイルス感染症拡大を契機として世界経済の不確実性が高まっております。そのような中で当社グループの経営基盤の強化と安定した成長を実現するために対処すべき課題は、以下の通りであります。

 

①ホームユース事業

 住環境向けのホームユース事業では、レジデンスWi-Fiサービスの新規契約獲得及びシェア拡大を目標に掲げ、邁進してまいります。また、新規契約物件は新築物件の比率が増加しており、納期が長期化しているため、受注状況の管理をより強化してまいります。

 FG Home IoTの開発も順調に進んでおり、実証実験も行っております。リモートワークの通信品質向上やセキュリティ強化と共に、賃貸マンションの通信需要獲得とサービス単価アップに貢献する目論見であります。

 

②ビジネスユース市場の開拓

 ビジネスユース事業は、従来のフリーWi-Fi事業に加え、ホテル、病院介護、BCP対策などの施設Wi-Fi需要の市場開拓のため、既存販売パートナー様との関係を強化し、かつ新たな販売パートナー様との関係を構築いたします。

 

③コスト上昇への対応

 通信トラフィックの急拡大、半導体不足や円安の影響等によるコスト上昇に対応するため、回線の有効活用などの合理化、為替予約の検討等によりコスト上昇の影響を抑える対策を行ってまいります。

 

④社内システムの効率化・生産性向上

 会社規模拡大に伴う業務の煩雑化に対応し、社内業務の効率化及び生産性向上が必須と考えております。そのため当社の基幹システムの改修や外部サービスの利活用を実施いたします。

 その一環として、受注状況の管理システム、お客様からの電話応答の自動化システム、財務経理業務のペーパレス化を推進するシステム等を社内に導入しております。

 

⑤内部統制の安定運用とコンプライアンスの遵守

 これまでも内部統制の整備運用を実行してまいりましたが、今年度以降は新たに経営管理本部内に内部統制チームを組織し、内部統制をより強化してまいります。

 また、当社は、「内部統制」、「コンプライアンス」、「開示情報統制」が充分に機能したコーポレート・ガバナンス体制を構築することが経営上の重要な課題と認識しております。株主を始めとする全てのステークホルダー及び社会からの信頼を確保することが企業価値向上につながると考え、公正性・効率性を追求しながら、健全で透明性のある経営に努めるとともにアカウンタビリティー(説明責任)を果たしてまいります。また、株主をはじめとするステークホルダーに対して適時かつ適切に情報開示を行う経営体制の構築・整備に取組んでおります。

 

(3)経営上の目標の達成状況と判断するための客観的な指標等

 当社事業における主要な取組みは、既存事業の展開を強化し、当社グループの特徴でもある通信機器開発からWi-Fi環境の構築、運用、お客様サポート、広告サービスまで内製化された垂直統合型のビジネスモデルを強みとして、新たな事業パートナー開拓既存パートナーとの協業推進、新商品・サービスの開発・各事業におけるサービス品質の強化による事業拡大に取り組んでおります。

 主要な取組みは各事業に区別して社内目標を設定し、達成状況を判断しております。

 通信サービス事業が投資から回収まで数年を要する事業特性から、業績の伸長を踏まえ、かつ将来の事業展開・設備投資等を長期的・総合的に勘案したうえで、将来の設備投資動向等の資金を睨みつつ、株主の皆様への還元を行ってまいります。

 

(4)経営環境

 新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、取締役会や執行役員会議で検討を重ねた結果、当社グループの将来業績に与える影響は僅少であり、「3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の概況 ①当期の経営成績の概況」に記載したもの以外の、当該感染症の影響に関する記載は不要と判断いたしました。

 次期の見通しにつきましては、従前から掲げておりました営業利益20億円の目標を超える水準を実現すべく、更なる成長加速と攻める姿勢を強化する方針であります。特にビジネスユース事業についてはホテル、病院介護、BCP対応などの施設Wi-Fi需要を開拓し、事業拡大にまい進してまいります。ホームユース事業については国内通信需要の引き続きの拡大を元に安定成長を図ります。不動産事業は現在保有している賃貸不動産による家賃収益に加え、回転期間の短い物件に対しての投資を進めてまいります。その他事業については主に再生可能エネルギー(電力)事業のため、引き続き研究開発費用が先行する見込みです。

 現時点で入手可能な情報や予測等に基づき、連結及び単体の業績予想を算定いたしました。

 インターネットを取り巻く昨今の事業環境下においては、モバイル端末を中心とした次世代通信網の普及は急激に進んでおり、インターネットの利用方法も多様化しております。これにより、インターネット業界全体においては、収益機会は増加傾向にあるものの、更なる競争激化や業界再編等が進みつつあります。

 当社グループは、通信機器開発からWi-Fi環境の構築、運用、お客様サポート、広告サービスまで内製化された垂直統合型の統合的なサービスとして提供するため、グループ内の技術や人的リソースの連携、ネットワーク資産の効率化などを進めてまいります。

 また、コーポレート・ガバナンスをはじめコンプライアンス遵守とリスクマネジメントに誠実に取組み、経営の透明性と健全性を一層高め、継続的な企業価値向上に努めてまいります。

 

(連結業績の見通し)                                    (単位:百万円)

 

2022年6月期実績

2023年6月期予想

増減

増減率(%)

売上高

10,624

12,900

2,275

21.4

営業利益

1,652

2,020

367

22.2

経常利益

1,604

1,960

355

22.2

親会社株主に帰属する当期純利益

1,073

1,300

226

21.1

 

 

(連結セグメント別売上高の見通し)                             (単位:百万円)

セグメント

2022年6月期実績

2023年6月期予想

増減

増減(%)

Wi-Fi

事業

ホームユース事業

8,141

9,320

1,178

14.5

ビジネスユース事業

1,244

1,830

585

47.0

不動産事業

1,238

1,740

501

40.5

その他

0

10

10

合計

10,624

12,900

2,275

21.4

 

 以上の背景により、当社グループの2023年6月期は、売上12,900百万円、営業利益2,020百万円、経常利益1,960百万円、親会社株主に帰属する当期純利益1,300百万円を予想しております。

 なお、上記の業績予想は、本報告書の提出日現在において入手可能な情報に基づき作成したものであり、実際の業績は今後の様々な要因によって予想値と異なる結果となる可能性があります。

 

(5)気候変動への取り組みとTCFD

気候変動が社会に与える影響は大きく、当社としても取り組むべき重要な社会課題だと捉えております。パリ協定の目指す脱炭素社会(世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする)の実現に向け、当社は、脱炭素と資源循環に取り組むとともに、環境負荷低減を実現する商品・サービスの提供、環境技術の開発を推進してまいります。

当社は、株主・投資家をはじめとする幅広いステークホルダーとのコミュニケーションがとれるように、TCFDのフレームワークに基づき、情報開示(ガバナンス・戦略・リスク管理・指標と目標)を順次進めてまいります。詳細は以下の通りです。

 

①ガバナンス

当社では今後、気候変動に対するガバナンスを強化していく予定です。また当社では気候変動に関する対応を経営企画本部で行っております。経営企画本部では、気候変動対応を含むサステナビリティに関連する重要なリスク・機会を特定し、それらの対応に係る具体策を策定し、重点課題に関するグループ全体の取り組みを推進・サポートを行い、進捗をモニタリングするとともに、対応方針の立案と関連部署への展開を行ってまいります。

また経営企画本部では、これらの結果は定期的に取締役会に報告し、取締役会において当該報告内容に関する管理・監督を行ってまいります。なお、今後、必要な場合はサステナビリティ委員会を設置し、経営企画本部で行っているこれらの業務をサステナビリティ委員会へ引き継ぐ予定でおります。

 

②戦略

当社では気候変動に関連し自社においてどのようなリスク及び対応策が考えられるか、また、どのような機会が考えられるかについて組織横断ワークショップを開催いたしました。

気候変動に関する重要な物理的リスク・移行リスクと機会として、TCFD提言に倣い、以下の通り開示いたします。

リスク種類

顕在化時期

影響度

対応方針

移行リスク

(1.5~2℃シナリオで最も顕在化すると想定)

政策・法規制リスク

規制対応コストの増加

中期

・法規制調査および製造ベンダーからの情報収集

・製品の省資源化推進

・複数調達先による安定調達と適正価格での調達

技術リスク

環境配慮技術に対する投資・開発コスト増加

中期

・メーカーや業界の市場動向のモニタリング

・製品リサイクルの推進、省エネ、耐久性能向上による長期利用

・新規パートナー開拓

市場リスク

環境負荷の大きい商材需要の減少

中期

・環境配慮事業の成長に向けて投資・開発を拡大

・機器メーカーや業界の市場動向のモニタリング

物理的リスク

急性リスク

サプライチェーンの被災による操業停滞

中期

・持続可能な調達に向けたサプライチェーンマネジメントの実施

・サプライチェーンBCPの策定

機会の種類

顕在化時期

影響度

対応方針

機会

資源の

効率性

生産や輸送の高効率化によるエネルギーコストの削減

長期

・通信機器の製造コスト、在庫コントロールによる輸送コストの削減

・あらゆる場所に通信の導入、高速化、長距離化の促進により、ドローンやセンサー、VR/AR/MRによる遠隔ビジネスが活性化し、エネルギーコストが削減される

製品・

サービス

 

・再生可能エネルギー事業による、自家消費型太陽光発電システムの需要増加

長期

・蓄電、蓄熱設備を増設し、リサイクルエナジーの提供促進

環境配慮技術の開発や実装に対する助成の強化

短期

助成制度の活用による再生エネルギービジネスの拡大

環境配慮設備(再エネ、バッテリー、燃料電池など)に必要な材料や部品、ソリューション需要増加

中期

環境配慮技術への開発投資、パートナー開拓による対応技術の発展、新市場開拓による販売増加

 

③リスク管理

当社は経営企画本部にて、全社的リスク管理の一環として気候変動リスクに関するモニタリングを行っております。経営企画本部では、社内各部署やグループ会社の協力を仰ぎながらリスクと機会の特定を主導し、状況把握を行ったうえで課題を精査しGHG排出削減を対象として目標の設定を行っております。取締役会では、経営企画本部より適時報告を受け、課題や設定した目標を監督しております。

 

④指標と目標

a.気候関連リスク・機会の管理に用いる指標

 当社は現在、気候関連リスク・機会を管理するための指標については定めておりません。今後、当社において指標を定める目的や必要性を協議し、同業や同規模の企業のTCFDに関する開示動向を注視しながら、必要な場合は指標の策定を検討してまいります。

 

b.温室効果ガス排出量(Scope1・2)※1

 当社は2021年度※2からグループ全体の温室効果ガス排出量の算定に取り組んでいます。

当社の2021年度※2 Scope1・2温室効果ガス排出量は約89.42(t-CO2)の実績、2022年度※3 は76.77(t-CO2)となります。Scope3温室効果ガス排出量については、今後、測定を行ってまいります。

 

当社Scope1・2温室効果ガス排出量実績、見込み及び目標

(単位:t-CO2)

温室効果ガス排出量

実績・目標

実績

目標※4

2021年度

2022年度

2030年度

Scope1・2排出量 合計

89.42

76.77

0

内訳

Scope1排出量

4.67

5.99

0

Scope2排出量

84.75

70.78

0

 

※1.

・Scope1→当社のガソリン使用量×排出係数(2.322(t-CO2/kl))。

排出係数は環境省「算定・報告・公表制度における算定方法・排出係数一覧」を参照しております。

・2021年度Scope2→当社各オフィスの電力使用量×電力会社別排出係数の合計値。

排出係数は「電力会社別排出係数-R1年実績-R3年1.7環境省、経済産業省」を参照しております。

・2022年度Scope2→当社各オフィスの電力使用量×電力会社別排出係数の合計値。

排出係数は「電力会社別排出係数-R2年実績-R4年1.7環境省、経済産業省」を参照しております。

・2021年度Scope2、2022年度Scope2、いずれも台湾オフィスの排出係数は以下の値を参照しております。

https://www.moeaboe.gov.tw/ECW/english/content/Content.aspx?menu_id=20721

※2. 2021年度→2020年7月1日~2021年6月30日を指す。

※3. 2022年度→2021年7月1日~2022年6月30日を指す。

※4. J-クレジット購入による削減を含みます。

 

 当社は会社の成長を、人や環境に配慮したものであるべきと位置づけ、SDGs(2030年までに国際社会が目指す共通の目標)で示されているグローバルな課題解決や、ESG(環境・社会・ガバナンス)に対する社会の課題や期待に対して積極的に取組んでまいります。

 

 

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得

お知らせ

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得