業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当事業年度における、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当事業年度(2021年4月1日から2022年3月31日まで)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染対策に万全を期し、経済社会活動を継続していく中で、各種政策の効果や海外経済の改善もあって持ち直しの動きが続いているものの、新たな変異株の流行やウクライナ情勢等の地政学的リスクの高まりもあって、先行きは依然として不透明な状況で推移しております。

 当社が属する出版業界におきましては、紙と電子を合算した出版市場(推定販売金額)は、3年連続のプラス成長となりました。公益社団法人全国出版協会・出版科学研究所によると、2021年(1月から12月まで)の紙と電子出版を合算した推定販売金額は前年同期比3.6%増の1兆6,742億円となり、その内訳は、紙の出版物については同1.3%減の1兆2,080億円、電子出版については同18.6%増の4,662億円と、電子出版市場の拡大が続いております。

 こうした環境の中、インターネット発の出版の先駆者である当社は、「これまでのやり方や常識に全くとらわれず」、「良いもの面白いもの望まれるものを徹底的に追求していく」というミッションの下、インターネット時代の新しいエンターテインメントを創造することを目的とし、インターネット上で話題となっている小説・漫画等のコンテンツを書籍化する事業に取り組んでまいりました。

 当事業年度における書籍のジャンル別の概況は以下の通りであります。

 

(ライトノベル)

 当事業年度の刊行点数は213点(前期比14点増)となりました。シリーズ累計140万部を突破したヒットタイトル『自称悪役令嬢な婚約者の観察記録。』の新作となる『自称悪役令嬢な妻の観察記録。』を刊行し、当タイトルをはじめとした人気シリーズの続刊が好調に推移いたしました。また、電子書籍につきましては、引き続き親和性の高い女性向け小説を中心に好調な売れ行きを示し、当ジャンルの売上を牽引いたしました。

 結果、当事業年度の売上高は前期を上回る金額で着地いたしました。

 

(漫画)

 当事業年度の刊行点数は前期を大きく上回る138点(前期比18点増)となりました。各書籍の売れ行きにつきましては、2021年7月にTVアニメ化した『月が導く異世界道中』を筆頭に、『最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか』、『異世界でカフェを開店しました。』等の人気シリーズの続刊が堅調に推移いたしました。また、当ジャンルと親和性が非常に高い電子書籍販売につきましても、刊行点数の増加に加えて、新シリーズとなる女性向け漫画が好調に推移したこと等により、売上は大幅に増加いたしました。

 結果、当事業年度の売上高は前期を大きく上回る金額で着地いたしました。

 

(文庫)

 当事業年度の刊行点数は142点(前期比3点減)となりました。『居酒屋ぼったくり』、『ゲートSEASON2』等の大型タイトルの文庫版が堅調に推移し、売上を牽引いたしました。また、『居酒屋ぼったくり』著者による時代小説『きよのお江戸料理日記』の続巻を刊行し、引き続き好調な売れ行きを示す等、新規ジャンルの強化にも取り組んでまいりました。

 しかし、刊行点数が前期から減少したこと等を要因として、当事業年度の売上高は前期を下回る結果となりました。

 

(その他)

 当事業年度の刊行点数は9点(前期比16点減)となりました。当社が開催するWebコンテンツ大賞の「第6回歴史・時代小説大賞」において特別賞を受賞した歴史小説『敵は家康』を刊行し、歴史・時代小説ジャンルの強化に注力してまいりました。

 しかしながら、刊行計画の都合上、刊行点数が前期から減少した影響により、当事業年度の売上高は前期を下回る金額で着地いたしました。

 以上の活動の結果、当事業年度の売上高は9,090,196千円(前期比17.5%増)となりました。

 利益面におきましては、主に第2四半期会計期間に実施したテレビCM放映をはじめとした当社サービスの認知度向上に向けた大型成長投資による販売費及び一般管理費の大幅な増加が利益率を押し下げる要因となりましたが、当事業年度における売上高の増加によって、営業利益は2,194,434千円(同1.4%増)、経常利益は2,201,782千円(同1.4%増)、当期純利益は1,389,721千円(同4.1%増)と前期を上回る金額で着地いたしました。

 結果、売上高は5期連続で、利益は4期連続でそれぞれ過去最高を更新いたしました。

 また、当事業年度末における資産合計は10,501,594千円(前事業年度末比10.8%増)、負債合計は1,722,146千円(同13.7%減)、純資産合計は8,779,448千円(同17.3%増)となりました。

 

 なお、会計方針の変更として、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当事業年度の期首から適用しております。このため、前年同期比較は基準の異なる算定方法に基づいた数値を用いております。詳細については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」をご参照下さい。

 

(注)シリーズ累計部数:同作品の続編に加え、同作品の漫画及び文庫を含み、部数は電子書籍販売数を含む。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は、前事業年度末より1,014,125千円増加し、7,102,594千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは1,073,594千円の収入(前事業年度は1,638,939千円の収入)となりました。主な増加要因は、税引前当期純利益の計上によるものであります。また、主な減少要因は、法人税等の支払によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは37,863千円の支出(前事業年度は74,934千円の支出)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出29,474千円及び有形固定資産の取得による支出8,389千円が発生したことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは21,605千円の支出(前事業年度は21,668千円の支出)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出20,088千円が発生したことによるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

 当社は出版事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

a.生産実績

事業区分

当事業年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

出版事業(千円)

3,142,736

96.4

合計(千円)

3,142,736

96.4

   (注)金額は販売価格によっております。

 

b.受注実績

 受注生産を行っておりませんので、受注状況に関する記載はしておりません。

c.販売実績

事業区分

当事業年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

出版事業(千円)

9,090,196

117.5

合計(千円)

9,090,196

117.5

   (注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 2020年4月1日

 至 2021年3月31日)

当事業年度

(自 2021年4月1日

 至 2022年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

 株式会社メディアドゥ

4,831,355

62.5

5,277,053

58.1

 株式会社星雲社

2,131,590

27.6

2,051,837

22.6

 株式会社カカオピッコマ

132,413

1.7

934,658

10.3

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態の分析

(資産)

 当事業年度末の流動資産は、前事業年度末と比較して1,037,175千円増加し、10,140,379千円となりました。これは主に、現金及び預金が増加(前事業年度末比1,014,125千円増)したことによるものであります。

 固定資産は、前事業年度末と比較して14,479千円減少し、361,214千円となりました。これは主に、ソフトウエアが増加(同32,877千円増)した一方で、出資金が減少(同30,630千円減)したこと、ソフトウエア仮勘定が減少(同18,486千円減)したこと及び敷金が減少(同6,463千円減)したことによるものであります。

 

(負債)

 当事業年度末の流動負債は、前事業年度末に比べ251,842千円減少し、1,701,287千円となりました。これは主に、返金負債が増加(前事業年度末比427,174千円増)した一方で、返品調整引当金が減少(同307,252千円減)したこと、未払法人税等が減少(同302,026千円減)したこと及び未払消費税等が減少(同108,165千円減)したことによるものであります。

 固定負債は、前事業年度末に比べ21,392千円減少し、20,858千円となりました。これは主に、長期借入金の減少(同20,088千円減)によるものであります。

 

(純資産)

 当事業年度末の純資産は、前事業年度末に比べ1,295,929千円増加し、8,779,448千円となりました。これは主に、当期純利益の計上等に伴う利益剰余金の増加(前事業年度末比1,296,163千円増)によるものであります。

 

b.経営成績の分析

(売上高)

 当事業年度の売上高は9,090,196千円となり、前事業年度に比べ1,354,905千円の増加となりました。これは主に、電子書籍の販売体制強化により電子書籍売上が大幅に伸長したことによるものであります。

 

(営業利益)

 当事業年度の営業利益は2,194,434千円となり、前事業年度に比べ31,154千円の増加となりました。これは主に、第2四半期会計期間に実施したテレビCM放映をはじめとした当社サービスの認知度向上に向けた大型成長投資等により販売費及び一般管理費が大幅に増加した一方で、売上高が増加したことによるものであります。

 

 

(当期純利益)

 当事業年度の当期純利益は1,389,721千円となり、前事業年度に比べ54,860千円の増加となりました。

 

c.経営成績に重要な影響を与える要因について

 「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況の分析

 「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b.資本の財源及び資金の流動性について

 当社の運転資金需要のうち主なものは、出版事業に係わる製造費(印刷費、印税など含む。)、販売費及び一般管理費等の営業費であります。投資を目的とした資金需要は、当社ビジネスモデルの基幹となる投稿サイトに対する開発費となります。

 当社は、運転資金及び投資を目的とした資金につきましては、内部資金または借り入れにより資金調達することとしております。

 なお、当事業年度末における借入金の残高は、37,252千円となっております。また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は、7,102,594千円となっております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 

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