当連結会計年度の連結業績は、売上高156,032百万円(前年同期比3.8%増)、営業利益6,427百万円(前年同期より188百万円増)、経常利益6,929百万円(前年同期より803百万円増)、親会社株主に帰属する当期純利益3,440百万円(前年同期より823百万円増)となりました。なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等の適用により、売上高は318百万円減少し、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益への影響はありません。
(単位:百万円)
当連結会計年度の財政状態は、次のとおりであります。
(単位:百万円)
※1 有利子負債=借入金+社債+リース債務
※2 自己資本比率=自己資本÷総資産
※3 DEレシオ=有利子負債÷自己資本
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ6,781百万円増加し、123,682百万円となりました。主な増減は、現金及び預金の増加2,747百万円、商品及び製品の増加1,492百万円、有形固定資産の増加988百万円、投資有価証券の増加1,911百万円などによるものです。
負債は、前連結会計年度末に比べ5,307百万円増加し、74,793百万円となりました。主な増減は、支払手形及び買掛金の減少288百万円、短期借入金の減少2,133百万円、1年内返済予定の長期借入金の増加1,267百万円、未払法人税等の増加1,202百万円、長期借入金の増加3,826百万円などによるものです。
純資産は、前連結会計年度末に比べ1,474百万円増加し、48,888百万円となりました。主な増減は、利益剰余金の増加2,280百万円、自己株式の減少481百万円、その他有価証券評価差額金の減少1,015百万円などによるものです。
② キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、21,672百万円と前連結会計年度末と比べ2,751百万円の増加となりました。各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、5,167百万円の資金増加(前連結会計年度は4,441百万円の増加)となりました。主な増減は、税金等調整前当期純利益の計上6,445百万円、減価償却費の計上2,140百万円、のれん償却額の計上888百万円、法人税等の支払額1,347百万円などによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、5,798百万円の資金減少(前連結会計年度は18,112百万円の減少)となりました。主な増減は、有形及び無形固定資産の取得による支出2,958百万円、投資有価証券の取得による支出3,598百万円などによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、2,004百万円の資金増加(前連結会計年度は7,806百万円の増加)となりました。主な増減は、短期借入金の純減少額2,133百万円、長期借入れによる収入9,640百万円、長期借入金の返済による支出4,658百万円、配当金の支払額1,010百万円などによるものです。
当社グループにおいて、学習塾などの教育サービス事業や、サービス付高齢者向け住宅や認知症グループホームなどの介護施設・子育て支援施設の運営等による医療福祉サービスの割合が増加し、当社グループが扱うサービス・商品が広範囲かつ多種多様となったことで、生産実績の画一的表示が困難となってきたことから、当連結会計年度より記載を省略しております。
金額僅少のため、受注実績の記載は省略いたします。
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該割合が10%以上の相手先がないため、記載を省略しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択や適用、資産・負債や収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要といたします。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表において採用する重要な会計方針は、『第5「経理の状況」1「連結財務諸表等」(1)「連結財務諸表」「注記事項」(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)』に記載しております。
また、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは『第5「経理の状況」1「連結財務諸表等」(1)「連結財務諸表」「注記事項」(重要な会計上の見積り)』に記載しております。新型コロナウイルス感染症拡大による会計上の見積りへの影響については、『第5「経理の状況」1「連結財務諸表等」(1)「連結財務諸表」「注記事項」(追加情報)』に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは、2020年11月策定の3か年計画「Gakken2023」のもとで「揺るぎない成長基盤の確立」をスローガンに定め、教育分野では「新たなまなびの創造と多様な学習機会の創出」、医療福祉分野では「トップカンパニーを目指し持続可能な街づくりに貢献」、グループ全体で「DX加速とグローバル展開」を経営方針に掲げて事業活動に取り組んでまいりました。
当連結会計年度の連結業績は、売上高156,032百万円、営業利益6,427百万円、経常利益6,929百万円、親会社株主に帰属する当期純利益3,440百万円となりました。また、重要な経営指標と位置付けている売上高営業利益率は4.1%、ROEは7.2%、配当性向30.5%でした。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
〔教育分野〕
売上高:78,165百万円(前年同期比1.0%減)営業利益:4,430百万円(前年同期より292百万円増)
(単位:百万円)
(教室・塾事業)
教室事業においては、オミクロン株感染が子どもたちに拡大し、春夏の募集や営業活動が抑制されました。その影響が長引き、会員数は本格回復の途上にありますが、オンライン学習コースやデジタルサービス拡充による顧客単価増や「めばえ教室」事業が寄与し、また、経費利用の効率化を進めた結果、増収増益となりました。
塾事業においては、感染拡大が生徒募集活動に影響を与えたものの、春夏の特別講習やオンラインとのハイブリッド型授業によって顧客単価が上昇しました。不採算校収斂など合理化を進めたこともあり、全体では減収増益となりました。バーチャル教室の使い勝手向上や、 AI を活用した個別指導拡大など、塾サービス全体の DX を本格化し、各塾の商圏拡大と収益向上に取り組んでいます。
(出版コンテンツ事業)
出版事業においては、児童書と実用書が好調に推移しています。児童書では学研の代名詞ともいえる図鑑群の実績が伸びており、「最強王」や、この夏にリニューアルした「学研の図鑑 LIVE」など、比較的高単価な商品が売上を牽引しています。実用書ジャンルでは、雑誌「ムー」や人気コミック「ジョジョの奇妙な冒険」との「地球の歩き方」発行のコラボタイトルが、地図ガイド本としては驚異的な売れ行きです。料理本「Mizukiのレシピノート決定版!500品」は、9刷20万部を突破するベストセラーとなり、全体の勢いに弾みを付けました。用紙代などの高騰に伴う原価高傾向が続いているものの、これらのヒット作が全体業績を押し上げ、増収増益となりました。
医学看護事業においては、増収増益となりました。病院でのオミクロン株影響が一服し、年間最大の増売期である4月から本格営業を再開できたことで、看護師向けeラーニングの契約病院数について通期で285病院増と大きく増加し、累計では2,351病院(増加率13.8%)となり、収益を押し上げています。また、医学・看護出版では、電子書籍および医学書の既刊売上が伸長し、全体の収益増にも寄与しました。
出版以外の事業においては、減収減益となりました。低調な市況が続くトイ事業で、上海ロックダウンの影響や円安による原価高騰などが重なり、収益を押し下げました。また、体験型英語学習施設 TOKYO GLOBAL GATEWAY では、オミクロン株影響により学校利用のキャンセルが多発しました。利用客の戻りが見え始めているものの、上期までの減収減益が大きく、通期で減収減益となりました。
(園・学校事業)
幼児教育事業においては、少子化を背景とした新設園の減少や、オミクロン株流行による保育所・幼稚園の休園により新学期商戦が不調となりました。他方、保育現場のデジタル化拡大の動きに合わせた DX 関連投資の継続強化により、園と家庭のコミュニケーションを支援する ICT プラットフォーム「ハグモー」の契約園数は順調に伸長しましたが、全体では減収減益となりました。
学校教育事業においては、教科書改訂の端境期に当たっており、前期に計上した中学教師用の指導書収益が反動減となりました。また、少子化に伴い教科書・副読本部数や小論文模試の受験者数が減少したこともあり、全体では減収減益となりました。
社会教育事業においては、採用支援事業でオミクロン株影響により対面イベントが中止となったことに加え、オンラインセミナーでも出展企業が大きく減少しました。株式会社ジェイテックスマネジメントセンター(現 株式会社TOASU)が展開する企業向け研修事業は大幅に伸長したものの、全体では減収減益となりました。
〔医療福祉分野〕
売上高:72,237百万円(前年同期比9.8%増)営業利益:3,148百万円(前年同期より106百万円増)
(単位:百万円)
(高齢者住宅事業)
高齢者住宅事業においては、サ高住を当期に21事業所(22棟)開設(第4四半期に新規8事業所開設)し、累計190事業所(FC含む)となり、医療福祉分野のトップカンパニーを目指して積極的な新規開設を進めています。当期は、学研グループの教育・医療福祉サービスを集結した「学研版地域包括ケアシステム」拠点を新たに3棟開設し、官民連携・民間連携の高付加価値・多機能モデルのラインナップがさらに充実しました。これら拡大する新規開設の入居に加え、既存施設においても入居営業モデルを徹底することにより、コロナ禍においても過去最高水準の入居率を達成し、量的拡大と合わせた収益化を実現しています。通期の入居率は前年同期比で3.6%上昇し、水道光熱費等の高騰によるコスト増を補い、全体では増収増益となりました。
(認知症グループホーム事業)
認知症グループホーム事業においては、当期中に11棟開設したことにより累計292棟、5,570居室となり順調に新規開設が進んでおります。オミクロン株感染拡大下も引き続き入居率97~98%と高位安定しており、増収基調を維持し、2021年9月に開設した施設利用者向けの調剤薬局事業も営業黒字化するなど、順調に成長し、安定基調に移行しています。また、認知症予防領域の事業として立ち上げた、健康・認知症予防のデジタルメディア「健達ねっと」は、認知症関連記事の配信数が日本最大級となり、月間アクセス数も650万PVを超えるなど、順調に増加し、徐々に収益寄与し始めています。当期は新規事業に伴う先行投資に加え、水道光熱費高騰の影響もあり、既存事業は堅調ながらも増収減益となりました。
(子育て支援事業)
子育て支援事業においては、当期に保育園を2か所、児童発達支援施設1か所を新たに開設し、保育園・学童・児童発達支援施設の合算で、累計71施設となりました。当期は学研の特長を活かし、より魅力的な園運営を目指したリブランディングにも着手しました。新ブランド「Gakkenほいくえん」のもと、保育園の定員充足率は着実に上昇し、安定的に推移しています。運営コストの適正化、不採算園の定員変更や閉園等による収益改善も寄与し、増収増益となりました。
〔その他〕
売上高:5,628百万円(前年同期比0.9%増)営業利益:805百万円(前年同期より65百万円増)
グローバル事業においては、当期にベトナムなど戦略地域でのパートナー開拓や現地拠点開発を推進し、平行して不採算拠点の整理・合理化も進めました。新興国向け ODA とビジネスコンサルティング事業も好調です。
デジタル領域においては、グループ全体の DX 人材確保や、新商材開発等のDX投資を行う目的で当期に設立した事業会社が順調に推移しています。こうした好調要因が重なり、全体でも増収増益となりました。
従来その他に含めておりました当社の全社費用について、実態をより的確に把握するため、その他から除いて調整額として表示しております。
(財政状態)
当連結会計年度の財政状態の詳細は、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(資本の財源及び資金の流動性)
当連結会計年度のキャッシュ・フローの詳細は、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの運転資金需要の主なものは、人件費、商品の仕入、製品の製造費、販売費及び一般管理費であり、戦略的投資資金としては、拠点展開の整備等の設備投資、企業買収及び業務資本提携などがあります。また運転資金及び戦略的投資資金は、内部留保資金、金融機関からの借入、社債の発行及び新株式の発行等により資金調達することとしております。
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