課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。

 

 当社グループは、当社の役員等が社外の関係者から金品を受け取っていた問題および役員退任後の嘱託等の報酬に係る問題(以下、金品受取り問題等)により、お客さまや社会のみなさまから賜わる信頼を失墜させた。

 本問題については、第三者委員会を設置し、2020年3月14日に調査報告書を受領した。その報告書の内容を厳粛かつ真摯に受け止め、電気事業法に基づく業務改善命令に対する業務改善計画を取りまとめ、2020年3月30日に経済産業大臣に提出した。

 その後、2020年6月に指名委員会等設置会社に移行し、外部の客観的な視点を取り入れた新たな経営管理体制のもと、ガバナンス改革をはじめとする業務改善計画に掲げた全ての項目について、取組みを着実に進めており、その実行状況を、2020年6月29日、10月13日、2021年3月2日および12月27日に経済産業大臣へ報告した。

 今後も取組みを確実に実行するとともに、外部の客観的な視点を踏まえ実行状況を検証し、必要に応じて改善策を加えるなど、引き続き、新たな関西電力グループの創生に向け、全力で取り組んでいく。

 

 この金品受取り問題等を踏まえ、2021年3月に、新たに「関西電力グループ経営理念 Purpose & Values」を策定し、健全な組織風土の醸成に向けて、理解・浸透・実践に努めている。

 また、この経営理念のもと、変化する事業環境にも対応し、持続的成長を遂げていくため、5ヵ年の実行計画である「関西電力グループ中期経営計画(2021-2025)」を策定した。ガバナンス確立とコンプライアンス推進を事業運営の大前提とし、2021年2月に策定した「ゼロカーボンビジョン2050」の実現に向けた「ゼロカーボンへの挑戦」、「サービス・プロバイダーへの転換」および「強靭な企業体質への改革」に全力で取り組み、成長軌道にのせていく。

 

(経営理念)

 これまで、「安全最優先」と「社会的責任の全う」を経営の基軸に位置付け、「お客さまと社会のお役に立ち続ける」ことを使命とする経営理念のもと、事業活動を展開してきたが、金品受取り問題等では、「社会的責任の全う」という点について、社内外から厳しいご指摘をいただいた。これを受け、新しい関西電力グループとして創生し、持続的に成長していくための指針として、2021年3月に「関西電力グループ経営理念 Purpose & Values」を策定した。

 この経営理念は、当社グループの最上位概念として、お客さまや社会にとっての『「あたりまえ」を守り、創る』という存在意義のもと、『「公正」「誠実」「共感」「挑戦」』という価値観を大切にして事業活動を行い、持続可能な社会を実現することを掲げている。

 

(ゼロカーボンビジョン2050)

 国における2050年カーボンニュートラル宣言など地球温暖化対策への社会的な要請が一層高まる中、さらなる地球温暖化問題への対応を自主的かつ積極的に推進していく必要があるとの考えのもと、2021年2月、当社グループは「関西電力グループ『ゼロカーボンビジョン2050』」を策定し、事業活動に伴うCO排出を2050年までに全体としてゼロとすることを宣言した。ビジョンにおいては、ゼロカーボン実現に向けた取組みの3つの柱として、「①デマンドサイドのゼロカーボン化」、「②サプライサイドのゼロカーボン化」、「③水素社会への挑戦」を掲げている。

 また、2022年3月には、ビジョン実現に向けた道筋である「ゼロカーボンロードマップ」を策定し、中間地点として2030年度の目標を設定するとともに、ゼロカーボン社会の実現に向けて取り組む内容を、「当社グループ自ら取り組むこと」「お客さまや社会の皆さまと取り組むこと」の2つの観点で整理した。

 具体的には、関西電力グループ自ら取り組むこととして、再エネの主力電源化や、原子力の最大限の活用、火力のゼロカーボン化などにより、発電によるCO排出量削減を着実に進めるとともに、ゼロカーボン水素については水素自体の製造・輸送・供給および発電用燃料としての利用に取り組んでいく。また、電化や蓄電池などの多種多様なソリューションの提案により、お客さまや社会の皆さまと共に社会全体のCO排出量を削減していく。

 今後、お客さまや事業パートナー、自治体など、あらゆるステークホルダーの皆さまと力を合わせ、様々な取組みを進めていく。

 

(関西電力グループ中期経営計画(2021-2025))

 当社グループは、2021年3月に「関西電力グループ中期経営計画(2021-2025)」を策定し、ガバナンス確立とコンプライアンス推進を事業運営の大前提と位置付けるとともに、以下の3つの取組みの柱を掲げ、これらを実行することで、当社グループの一大改革「Kanden Transformation(KX)」を成し遂げるべく、グループ一丸となって取り組んでいる。

 

①ゼロカーボンへの挑戦(EX: Energy Transformation)

 脱炭素化の潮流が世界規模で加速し、持続可能な社会の実現への貢献が期待されるなか、関西電力グループ「ゼロカーボンビジョン2050」の実現に向けた取組みを推進する

 

②サービス・プロバイダーへの転換(VX: Value Transformation)

 従来の大規模アセット中心のビジネスに留まらず、徹底してお客さま視点に立ち、ニーズや課題と向き合うことで、お客さまに新たな価値を提供し続ける企業グループに生まれ変わる

 

③強靭な企業体質への改革(BX: Business Transformation)

 コスト構造改革やイノベーション、デジタル化、そして働き方改革を加速する

 

財務目標(連結)(2021年3月公表)

項目

2021-2023年度

2025年度

経常利益

3ヵ年平均 1,000億円 以上

2,500億円 以上

FCF

3ヵ年平均 △500億円 未満

2,000億円 以上

2021-2025年度合計で黒字化

自己資本比率

20% 以上

23% 以上

ROA(注)

3ヵ年平均 1.5% 以上

3.5% 以上

(注)事業利益〔経常利益+支払利息〕÷総資産〔期首・期末平均〕

 

(関西電力グループ 2022年度計画)

 「関西電力グループ中期経営計画(2021-2025)」策定時には、社会全体で脱炭素化の潮流やコロナを契機としたDXが加速しており、エネルギー事業では再エネの大量導入や原油価格の下落などがあった。一方、2022年度計画を策定した2022年4月現在では、ウクライナ情勢の影響等による景気後退の懸念、エネルギー市場の不確実性の高まりが生じている。また、脱炭素化の潮流は更に加速し、エネルギー事業において多様な形で顕在化している。加えて、DXについても、デジタルインフラ整備の重要性が益々高まっている状況である。

 現在の経営環境を踏まえると、自助努力で遂行できるコスト構造改革のさらなる深化や、化石燃料価格の影響を受けにくい原子力発電の安全を最優先とした最大限の活用が必要である。したがって、中期経営計画で掲げた3つの取組みの柱(EX、VX、BX)は、より一層、その重要性を増しており、2022年度も引き続き3本柱に沿って事業を遂行する。

 

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