業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりである。

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度の我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響による厳しい状況が徐々に緩和される中で、持ち直しの動きがみられたが、期末においては、一部に弱さがみられた。北陸地域の経済においても同様の状況で推移した。資源価格の不安定要素に加え、ウクライナ情勢等による不透明感がみられる中で、先行きについては、原材料価格の上昇や供給面での制約、金融資本市場の変動等による景気の下振れの懸念がある。

このような経済情勢の中、当連結会計年度の財政状態、経営成績は以下のとおりとなった。

(財政状態)

資産合計は、前連結会計年度末に比べ610億円増の1兆6,566億円(前期末比 103.8%)となった。

負債合計は、前連結会計年度末に比べ740億円増の1兆3,139億円(同 106.0%)となった。

純資産合計は、前連結会計年度末に比べ130億円減の3,427億円(同 96.3%)となった。

(経営成績)

当連結会計年度の経営成績は、売上高(営業収益)6,137億円(前期比 96.0%)、経常損益は176億円の損失(前連結会計年度は経常利益123億円)、親会社株主に帰属する当期純損益は68億円の損失(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純利益68億円)となった。

(セグメントごとの経営成績[セグメント間の内部取引消去前])

発電・販売事業は、売上高5,508億円(前期比 95.9%)、経常損益は324億円の損失(前連結会計年度は経常損失82億円)となった。

送配電事業は、売上高1,810億円(前期比 103.1%)、経常利益85億円(同 69.9%)となった。

その他の事業は、売上高1,185億円(同 111.1%)、経常利益105億円(同 99.1% )となった。

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物は、営業活動により309億円財務活動により527億円増加したが、投資活動により1,110億円減少したことから、前連結会計年度末に比べ273億円減少し、当連結会計年度末には1,050億円(前期末比 79.4%)となった。

③ 生産、受注及び販売の実績

当社グループ(当社及び連結子会社)においては、電気を供給することを主たる事業としており、また、それ以外の事業は、広範囲かつ多種多様であり、生産、受注、販売といった画一的な区分による表示が困難である。

このため、発電及び販売の実績のみを記載している。

a. 発電実績

種別

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前期比(%)

水力発電電力量(百万kWh)

6,169

100.2

火力発電電力量(百万kWh)

24,870

112.6

原子力発電電力量(百万kWh)

再生可能エネルギー等発電電力量(百万kWh)

5

102.2

合計(百万kWh)

31,043

109.9

 (注)1.当社の発電電力量を記載している。

2.四捨五入のため合計が一致しない場合がある。

 

b. 販売実績

(a)販売電力量

種別

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

 至 2022年3月31日)

前期比(%)

 電灯(百万kWh)

8,186

99.2

 電力(百万kWh)

19,899

112.5

  電灯電力合計(百万kWh)

28,085

108.3

  他社販売(百万kWh)

8,078

122.0

  総販売電力量(百万kWh)

36,163

111.1

 (注)1.送配電事業関連の販売を除く。

2.他社販売は期末時点で把握している実績を記載している。

3.四捨五入のため合計が一致しない場合がある。

 

(b)料金収入

種別

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前期比(%)

電灯(百万円)

157,907

92.3

電力(百万円)

268,142

99.5

電灯電力合計(百万円)

426,049

96.7

他社販売(百万円)

79,225

134.0

 (注)1.送配電事業関連の販売を除く。

    2.他社販売は期末時点で把握している実績を記載している。

3.「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)」に記載のとおり、当連結会計年度の期首より、改正電気事業会計規則を適用している。この結果、当連結会計年度の「電灯」に係る料金収入は24,799百万円減少し、「電力」に係る料金収入は55,307百万円減少し、「電灯電力合計」に係る料金収入は80,107百万円減少している。

c. 資材の実績

 石炭、重油、原油、LNGの受払実績

種別

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前期比(%)

石炭

(t)

期首残高

390,128

89.3

受入

6,967,735

114.9

払出

6,969,726

114.1

期末残高

388,137

99.5

重油

(kl)

期首残高

155,738

63.8

受入

190,376

342.9

払出

255,490

177.6

期末残高

90,624

58.2

原油

(kl)

期首残高

8,970

50.3

受入

10,725

1,070.4

払出

13,771

139.8

期末残高

5,924

66.0

LNG

(t)

期首残高

56,711

100.6

受入

500,874

89.3

払出

490,280

87.4

期末残高

67,304

118.7

(注)1.払出には、販売の払出を含む。

   2.四捨五入のため合計が一致しない場合がある。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成している。この連結財務諸表を作成するにあたり採用する重要な会計方針については「第5 経理の状況」に記載している。

当社グループは、連結財務諸表を作成するにあたり、繰延税金資産の回収可能性、退職給付に係る負債及び資産、資産除去債務などに関して、過去の実績等を勘案し、合理的と考えられる見積り及び判断を行っているが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合がある。このうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりである。

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 売上高及び経常収益

売上高(営業収益)は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)」に記載のとおり、改正電気事業会計規則の適用により、前連結会計年度において営業収益に含まれていた再エネ特措法賦課金及び再エネ特措法交付金について、営業費用から控除する処理に変更となった影響などから、前連結会計年度に比べ256億円減の6,137億円(前期比 96.0%)となり、これに営業外収益を加えた経常収益は210億円減の6,211億円(同 96.7%)となった。

b. 経常損益及び親会社株主に帰属する当期純損益

経常損益は、総販売電力量の増加はあったものの、燃料価格の高騰、購入電力料の増加、設備関連費の増加などにより、前連結会計年度に比べ299億円減の176億円の損失(前連結会計年度は経常利益123億円)となった。

また、これに特別損失及び法人税等を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純損益は、前連結会計年度に比べ136億円減の68億円の損失(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純利益68億円)となった。

(セグメントごとの経営成績[セグメント間の内部取引消去前])

a. 発電・販売事業

発電・販売事業は、国内における発電・小売電気事業等を展開している。

当連結会計年度の総販売電力量については、前連結会計年度に比べ36億2百万キロワット時増の361億63百万キロワット時(前期比 111.1%)となった。

このうち、小売販売電力量については、電灯で春先の空調需要の減少はあったものの、電力で工場の操業が前年に比べ増加したことや、契約電力が増加したことなどから、280億85百万キロワット時となり、前連結会計年度と比較すると8.3%の増加となった。また、卸販売電力量については、卸電力取引所等への販売増から、80億78百万キロワット時となり、前連結会計年度と比較すると22.0%の増加となった。

供給力については、志賀原子力発電所1・2号機が引き続き運転できなかったことから、厳しい状況となった。

しかしながら、水力・火力発電所の補修時期の調整や卸電力取引所からの調達など供給面での諸対策を講じた結果、供給を維持することができた。

収支については、売上高は、改正電気事業会計規則の適用により、前連結会計年度において営業収益に含まれていた再エネ特措法賦課金及び再エネ特措法交付金について、営業費用から控除する処理に変更となった影響などから、前連結会計年度と比べ236億円減の5,508億円(同 95.9%)となった。

また、経常損益は、総販売電力量の増加はあったものの、燃料価格の高騰、購入電力料の増加、設備関連費の増加などにより、前連結会計年度に比べ241億円減の324億円の損失(前連結会計年度は経常損失82億円)となった。

b. 送配電事業

送配電事業は、北陸域内における一般送配電事業等を展開している。

売上高は、エリア需要電力量の増加などにより、前連結会計年度に比べ54億円増の1,810億円(前期比 103.1%)となった。

また、経常利益は、需給バランス調整等を行うために必要な調整力の調達費用の増加などにより、前連結会計年度に比べ36億円減の85億円(同 69.9%)となった。

c. その他

売上高は、請負工事の受注増加などから、前連結会計年度に比べ118億円増の1,185億円(前期比 111.1%)となり、経常利益は、前連結会計年度なみの105億円(同 99.1%)となった。

(キャッシュ・フロー及び財政状態の分析)

a. キャッシュ・フロー

営業活動による現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の収入は、前連結会計年度に比べ256億円減の309億円(前期比 54.6%)となった。これは、渇水準備引当金の取崩しや税金等調整前当期純損失の計上などによるものである。

投資活動による資金の支出は、前連結会計年度に比べ261億円増の1,110億円(同 130.8%)となった。これは、貸付けや関係会社株式の取得により、投融資による支出が増加したことなどによるものである。

財務活動による資金の収入は、前連結会計年度に比べ560億円増の527億円(前期は33億円の支出)となった。これは、社債の発行や長期借入れによる収入の増加などによるものである。

これらの活動の結果、当連結会計年度末の資金は、前連結会計年度末に比べ273億円減の1,050億円(前期末比 79.4%)となった。

b. 資産

資産合計は、前連結会計年度末に比べ610億円増の1兆6,566億円(前期末比 103.8%)となった。これは、建設仮勘定が増加したことなどによるものである。

c. 負債

負債合計は、前連結会計年度末に比べ740億円増の1兆3,139億円(前期末比 106.0%)となった。これは、有利子負債の増加などによるものである。

d. 純資産

純資産合計は、前連結会計年度末に比べ130億円減の3,427億円(前期末比 96.3%)となった。これは、親会社株主に帰属する当期純損失の計上などによるものである。

(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)

a. 資金需要

主として電気事業固定資産に係る設備投資及び修繕費、社債の償還及び借入金の返済、火力燃料の購入等に資金を充当している。

b. 資金の源泉

主として営業活動によるキャッシュ・フロー、社債の発行、金融機関からの借入等により、必要とする資金を調達している。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローに係る情報については、「(キャッシュ・フロー及び財政状態の分析)」に記載している。

(有利子負債)

有利子負債に係る情報については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」に記載している。

なお、当連結会計年度末現在、長期発行体格付は株式会社投資格付情報センター(R&I)にてA+となっている。

また、電気事業法の下、当社により発行される社債については一般担保が付されており、償還請求において社債権者は無担保債権者よりも優先される。

c. 流動性

当社グループは、営業活動により十分なキャッシュ・フローを得ていることに加え、国内普通社債発行登録、短期社債発行枠の設定及びコミットメントライン契約により、必要に応じて資本市場及び金融機関より資金調達することが可能である。

以上により必要な現預金残高を確保するとともに、原則として元利確定の銀行預金等で運用することを定めており、十分な流動性を確保している。

(目標とする経営指標の達成状況等)

 当社グループは、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、「北陸電力グループ2030長期ビジョン」にて、「2030年度までに連結自己資本比率30%以上」「期間平均(2019~2030)連結経常利益350億円以上」「2030年度頃までに事業ポートフォリオを連結経常利益ベースで電気事業:電気事業以外=2:1」を財務目標として掲げている。

 当連結会計年度における連結経常損失は176億円、当連結会計年度末における連結自己資本比率は19.6%となった。

 今後も、「北陸を基盤とした『総合エネルギー事業』の拡大」や「新たな成長事業の開拓」に取り組み、財務目標の達成を図っていく。

 また、当事業年度は、1株当たり年間10円の配当を実施することとした。今後も、安定配当を継続するという基本方針を踏まえ、安定的な事業運営や持続的な成長を遂げるために必要な投資、財務基盤の強化、株主還元にバランスよく配分していく。

(事業等のリスクに係る情報)

 事業等のリスクに係る情報については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載している。

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