業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

(経営成績)

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの感染再拡大が急激に進行し、度重なる緊急事態宣言、まん延防止等重点措置の主要都市への発出、延長を繰り返す事態となりました。夏季に開催された東京オリンピックは無観客を前提とされ、また、2月に開催された北京冬季オリンピックにおいても感染拡大防止の観点から経済的効果は限定的となったほか、ロシアによるウクライナ侵攻が世界のエネルギー危機を誘発し原油や天然ガスが高騰する事態となりました。

 当業界においては、石油や天然ガスの高騰が続き日本卸電力取引所の取引単価も高値で推移し、市場電力を活用する電力小売事業者の多くは事業撤退を余儀なくされることとなりました。また、電力小売事業者の事業撤退等により需要家への電力供給において通常の供給契約が締結できない状況が発生し、電力供給契約そのものを市場連動とする動きが加速される事態となりました。

 このような状況のもと、当社の電力小売事業ではグループ発電所の発電する電力をトレーサビリティ付きの非化石証書と合わせグリーン電力として顧客へ販売する取り組みを推進しておりますが、市場価格の高止まりから積極的な契約拡大については見合わせする状況が継続しています。

 また、当社グループの発電事業においては、第1四半期、第2四半期に一部発電所においてトラブルによる送電量低下や計画外停止が発生したものの、エフオン新宮発電所の試運転による送電電力量が寄与しグループ全体の年間送電量は対前年を上回る実績となりました。一方、木材市場の価格高騰に伴い原木での調達条件の悪化や、未利用木材チップ価格の上昇等により燃料費が増加しております。また、軽油等の木質燃料の輸送に伴う物流費、外注費用の増加や新宮発電所稼働準備に係る人員増加に伴う人件費、旅費、採用教育費が大幅に増加し収益を圧迫する要因となりました。

 当社グループの山林事業では施業地の拡充により一定程度の外部収入を確保しておりますが、山林事業を単独の収益事業として捉えることなく、森を守り、わが国の豊かな森林資源を経済市場へと取り出すプラットフォームとして育成してまいります。また、製材に不適な資源はグループ発電所への原木供給を推進し木質チップ燃料の安定確保を実践してまいります。建築資材としての木材の活用を主要目途とする一方、木質バイオマス発電に必要な木質燃料の活用を山林事業と合わせ将来にわたって循環させることで真の再生可能エネルギーの供給を通じた社会への貢献が可能と考えております。

 新設発電所であるエフオン新宮発電所は、発電設備の最大出力試運転の過程で一部トラブルが発生したため商業運転移行に相当程度の遅延が生じました。6月末までに復旧工事は完了し竣工に向けて作業を鋭意進めております。

 当連結会計年度において、㈱エフオン壬生が栃木県エネルギー産業立地促進補助金を受領し特別利益に計上いたしました。また、㈱エフオンの本店所在地の移転に伴う固定資産の除却費用や移転費用等を特別損失に計上しております。

 これらの結果、当社グループの当連結会計年度の業績は、売上高13,258百万円(前年同期比0.9%増)、営業利益1,299百万円(前年同期比49.7%減)、経常利益1,174百万円(前年同期比51.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は893百万円(前年同期比46.6%減)となりました。

 

(省エネルギー支援サービス事業)

 当連結会計年度において、前連結会計年度中に終了したプロジェクトにより既存プロジェクトに係る売上高は大幅に減少し、更新継続となったプロジェクトの業績は堅調に推移しているものの、セグメント全体の業績は大幅に減収となりました。また、一部のオンサイト発電事業の設備の定期メンテナンスを実施したことで前年同期の比較においては収益を圧迫する結果となりました。セグメント間の内部売上高は、グループ内発電所建設に係るものであり工事進捗は最終段階になったことから前年同期と比較して大幅に減少しております。

 当連結会計年度の本事業セグメントの業績は、売上高では2,689百万円(前年同期比66.3%減)、営業利益15百万円(前年同期比70.7%減)となりました。

 

 

(グリーンエナジー事業)

 当連結会計年度におけるグリーンエナジー事業は、エフオン日田発電所において第1四半期にボイラー内珪砂循環装置の循環不良、第2四半期に炉内蒸気管のトラブルが発生し年間を通じた送電量が大幅に減少いたしました。また、第3四半期にエフオン白河発電所において福島県沖を震源とする地震の影響で緊急停止が発生し所内各設備の点検のため約8時間の計画外停止を実施したほか、第4四半期に実施したエフオン豊後大野の定期点検では将来の故障予防保全処置として整備箇所を拡充した結果、2日程度の計画停止延長を行いました。また、エフオン新宮発電所では、2月の試運転期間中に一部トラブルが発生し損傷を受けた部分の復旧工事を行いましたが、送電量の年間全体ではこの試運転の送電量を加え前連結会計年度を上回る実績となりました。一方、木材市場の高騰は事業年初より継続しており原木の流通状況の悪化は全国的な広がりを見せ、当社グループの燃料調達に関して収益を圧迫する状況で推移いたしました。また、軽油やガソリンの価格上昇が物流コストを押し上げ、山林事業の外部委託費等のほか発電所運営に関連する費用の増加につながったことや、新宮発電所稼働準備に係る人員増加に伴う人件費、旅費、採用教育費が大幅に増加したこと、山林事業の施業に係る大型設備の減価償却費が負担となり、本事業セグメントの売上高は増加したものの、利益は大幅に減少いたしました。

 当連結会計年度の本事業セグメントの業績は、売上高で12,950百万円(前年同期比2.4%増)、営業利益1,716百万円(前年同期比35.7%減)となりました。

 

(財政状態)

(資産)

 当連結会計年度末における資産合計は、現金及び預金が減少し原材料在庫及びエフオン新宮発電所に係る固定資産の増加により、前連結会計年度より1,638百万円増加し、47,241百万円となりました。

 

(負債)

 当連結会計年度末における負債合計は、発電所建設工事に係る買掛金や運転資金に係る借入金の増加により、前連結会計年度より1,023百万円増加し29,702百万円となりました。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は、主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加により、前連結会計年度より614百万円増加し17,539百万円となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ761百万円減少し、4,169百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により得られた資金は、2,775百万円(前年同期4,079百万円の収入)となりました。前連結会計年度に比べ減少した要因は、当連結会計年度では消費税還付がなく税金等調整前当期純利益が大幅に減少したことによります。その他の要因としては、非資金項目である減価償却費や仕入債務の増加があったものの、棚卸資産の増加があり、資金は減少しております。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、4,245百万円(前年同期6,120百万円の支出)となりました。これは主にエフオン新宮発電所建設に係る有形固定資産の取得や本社移転に伴う差入保証金の支払によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果得られた資金は、708百万円(前年同期3,040百万円の収入)となりました。これはエフオン新宮の発電所建設資金に係る長期借入金による収入の増加と既存発電所の長期借入金の返済による支出によるものです。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

(生産実績)

 省エネルギー支援サービス事業では、サービスの提供にあたり製品の生産は行っておりませんので、生産実績について記載すべき事項はありません。グリーンエナジー事業における生産は、それぞれの事業における発電所の発電であり、その実績は次のとおりです。

セグメントの名称

発電実績(MWh)

前年同期比(%)

グリーンエナジー事業

446,659.38

100.7

合計

446,659.38

100.7

(注) グリーンエナジー事業の発電実績は、エフオン日田、エフオン白河、エフオン豊後大野、エフオン壬生、エフオン新宮の5箇所の発電所より送電された電力です。

 

(受注実績)

 省エネルギー支援サービス事業においては、顧客の需要に応じてサービスを提供いたします。また、グリーンエナジー事業においても、顧客の需要に応じてサービスを提供いたします。いずれも、受注販売の方式を採用しておりませんので、受注実績について記載すべき事項はありません。

 

(販売実績)

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

省エネルギー支援サービス事業

234

△51.5

グリーンエナジー事業

12,615

0.4

その他

407

347.7

合計

13,258

0.9

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.主な相手先の販売実績及び当該販売実績の総販売高に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

日本テクノ株式会社

3,314

25.2

九州電力送配電株式会社

6,378

48.5

6,086

45.9

東京電力パワーグリット株式会社

915

7.0

3,748

28.3

東北電力ネットワーク株式会社

1,718

13.1

2,464

18.6

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

   経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(経営成績等)

 当連結会計年度の省エネルギー支援サービス事業においては、前連結会計年度中に終了したプロジェクトにより既存プロジェクトに係る売上高は減少しております。一方、一部のオンサイト自家発電プロジェクトで導入した設備のメンテナンスを請負う契約が継続しており堅調に推移いたしました。

 当セグメントにおける顧客のニーズは、温暖化ガスの排出量削減の機運を反映し設備の改善、更新等の施工工事請負へと変化してきております。顧客の求める利用エネルギーの効率化のほか、施工工事全体のコスト低減、工事品質の管理といった分野において、当社グループがこれまで培ったノウハウを十分に発揮し信頼を獲得できるよう万全の体制で臨んでおります。しかしながら、新型コロナウイルスの感染再拡大やヨーロッパを中心とする世界情勢の変化、エネルギー価格の上昇等により、顧客設備の更新、改修等の新規案件受注に関し施工期間の順延や見積もりの再提出といった状況が継続しております。

 また、エフオン新宮発電所の建設及び発電所設備改善等の施工については、当部門が担っております。内部売上高においてはエフオン新宮発電所建設が最終段階になり、前連結会計年度と比較すると大幅な減収となりますが一定程度の成果を上げております。

 

 グリーンエナジー事業においては、稼働しているエフオン日田、エフオン白河、エフオン豊後大野発電所の各発電所でそれぞれトラブルが発生し計画外停止が発生する事態となりましたが、年間を通じていずれも一定の稼働を保持したことのほかエフオン新宮の試運転時の送電が寄与し、前連結会計年度と同程度の売上高を維持することができました。

 各発電所では、木材市場の高騰の影響を考慮し未利用木材の獲得に注力いたしました。当初、九州地区を中心とした原木の流通状況の悪化はその後全国的な広がりを見せる結果となりましたが、当社グループ発電所の同燃料チップの使用比率は九州地区で前連結会計年度より低下し、関東東北地区で前連結会計年度を上回る状況で推移いたしました。木材市場の高騰により需給が締まり原木の切出しから製品加工へとつながる流通の滞留期間が短くなったことから素材の含水率が低下せず、結果として燃料使用量の増加をまねき収益を悪化させる要因となったものと考えております。また、燃料や原木の物流コストの増加や山林事業の外部委託費、施業に係る大型設備の減価償却費のほか、稼働を予定していたエフオン新宮の人件費等が負担となり本セグメントは大幅な減収となりました。

 その他、電力小売り事業においては、当社グループの発電所が発電するFIT電力をグリーン電力として顧客へ販売する取組を拡大させる予定でありましたが、制度によりFIT電力が日本卸電力市場の市場価格による調達となることから、同市場価格が高値で推移したため顧客獲得を見合わせる事態となりました。

 これらの結果、当社グループの当連結会計年度の経営成績は、(1)経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況に記載のとおりの結果となりました。

 

(当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因)

 当連結会計年度においては、東京オリンピックや北京冬季オリンピックといった世界的なイベントが開催された一方、新型コロナウイルスの感染再拡大が消費行動に抑制をもたらし経済循環を阻害したことや、ロシアによるウクライナ侵攻が世界のエネルギー危機を誘発し様々なものの価格上昇を余儀なくされる事態となりました。

 省エネルギー支援サービス事業においては、2018年12月に改正省エネ法が施行され、産業・業務部門の大規模投資、運輸部門では小口貨物輸送の効率化を課題として、連携省エネルギー計画の認定制度、認定管理統括事業者の認定制度創設のほか、省エネ再エネ高度化投資促進税制、産業トップランナー制度の対象業種の拡大等の対策が打ち出されております。このような背景のもと、エネルギー使用者への直接規制に関連して省エネ設備の導入を促すため、省エネルギー投資促進に向けた支援補助金、電力需要の低減に資する設備投資支援事業費補助金、貨物輸送事業者と荷主の連携等による運輸部門省エネルギー化推進事業費補助金等の支援策も強化されつつあります。

 国の省エネルギーに対する施策は、省エネルギーを実施すべき産業及び事業者を規制、さらに規制領域を拡大するとともに、エネルギー利用の改善には支援する補助金で報いる方向へと進んでおります。こうした政策をタイムリーに活用し、様々な業種、産業の顧客ニーズへの省エネルギー支援サービスの拡充を図っていくことが、当社グループの使命であり、これらの政策の実施は経営成績に直結する重要な要因となると考えます。また、石油や天然ガスに加え電力を含めたエネルギー価格の高騰により顧客の省エネルギー推進の機運は高まりつつあります。これらの機会を的確にとらえ、顧客の望むエネルギー利用の効率化に貢献してまいります。

 

 

 グリーンエナジー事業においては、当連結会計年度において木材市場の価格高騰により燃料調達環境に変化が生じました。地球規模での異常気象により世界各国で乾燥や落雷よる森林火災の発生やグローバル商業圏の流通不全等により一部の商品市場の価格変動が顕著になってきております。当社グループは100%国産の自然由来の木質チップや建築・土木の木質廃資材のリサイクル燃料を基に発電した電気を販売しクリーンで安心な国産電気エネルギー供給の一翼を担っております。安定的な国内産木質チップの調達に関し、これまでは本邦以外の市場経済の動向は為替相場も含めそれほど直接的な影響は感じられなかったものの、今後、当社グループの営む事業に係る商流領域の環境変化や地域的な災害発生状況等を注視する必要があるものと考えます。近年、FIT制度については太陽光発電や一部のバイオマス発電に係る規制強化のほか、再生可能エネルギー利用の将来にわたる着実性を担保するため様々な改革が進められておりますが、当社グループにおいては、新たな木質バイオマス発電所の開発に際し当社グループの優位性を十分発揮できるよう制度の変化に留意し、FIT制度を超えた価値創造に取り組んでまいる所存です。

 電力小売り事業に関しては、卸電力取引所への入札価格の算定方式が変更になったことを契機として、発電に必要な燃料の高騰や電力供給量のひっ迫等から電力市場価格の高止まりが継続しております。市場価格の高騰から電力小売り事業から撤退を余儀なくされた事業者の既存の電力需給契約は、一般電気事業者へと引き継がれましたが通常の電力供給取引価格での引受けは停滞している状況が発生しております。

 このような事業環境のもと、今後、市場価格連動型の電力需給契約の常態化やそのほか省エネルギー、FIT発電や山林経営における種々な課題対応の施策が実施され、各種法条例に基づく補助金や規制緩和又は業界の商流変更等の事象が当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因となり得ると考えております。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、当連結会計年度の収益が大幅に減少したこと、前連結会計年度に発生した消費税の還付による営業キャッシュ・フローの増加が当連結会計年度にはなかったこと等により営業活動によるキャッシュ・フローは大幅に減少いたしました。投資活動によるキャッシュ・フローはエフオン新宮発電所の建設が終盤になり有形固定資産の取得による支出が減少したことから、財務活動によるキャッシュ・フローの長期借入れによる収入も減少しております。

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、エフオン新宮発電所の建設が終盤を迎えシンジケートローンによる建設資金の調達はすべて完了しております。今後、5基となる当社グループ木質バイオマス発電所の安定稼働に必要な施策や未利用木材燃料の安定供給に寄与する山林経営に必要な投資支出とグループ全体の出入のバランスを考慮し事業の継続発展に遂行上必要な資金の確保維持を推進する予定です。

 

③ 重要な会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

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