当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。また、当連結会計年度の期首より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下、「収益認識会計基準」という。)等を適用しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (会計方針の変更)」をご確認ください。
当連結会計年度における当社グループを取り巻く事業環境は、エネルギーの自由化による競争が一層厳しさを増す中、2050年のカーボンニュートラル実現に向けた動きが更に加速するなど、大きく変化しております。
このような状況のもと、当社グループは、ガスの販売拡大を中心とした積極的な営業活動や保安の強化に取り組むとともに、当社独自のエネルギーマネジメントシステム「EMINEL(エミネル)」のサービスの普及拡大、北海道内の自治体との連携によるエネルギー地産地消の拡大等、「総合エネルギーサービス事業」の展開に向けた取組みに加え、CO2クレジット50万トンの取得や、稼動済みの太陽光発電設備や風力発電設備を取得する等、低炭素・脱炭素社会の実現に向けた取り組みを加速してまいりました。
連結売上高につきましては、都市ガス販売量およびLNG販売量の増加に加え、原料費調整制度による販売単価の上昇等により、前連結会計年度に比べ7.4%増の126,957百万円となりました。
経常利益は、ガス販売量の増加等より、同33.8%増の7,303百万円となりました。前連結会計年度では、都市計画に伴う道路用地の売却等による特別利益540百万円を計上しておりましたが、当連結会計年度では特別損益の計上がなかったことから、親会社株主に帰属する当期純利益は、同22.1%増の5,237百万円となりました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
① ガス
当連結会計年度末の取付メーター件数は、積極的に天然ガスの普及拡大を図った結果、新設件数が7年連続で1万件を超え、家庭用中心に新設件数が撤去件数を上回ったことで、前連結会計年度末に比べ0.8%増加し、同4,640件増の594,604件となりました。なお、小売お客さま件数につきましては、同6,537件減の493,483件となりました。
都市ガス販売量は、家庭用につきましては、取付メーター件数の増加等により、前連結会計年度に比べ、同1.0%増の221百万㎥となりました。業務用につきましては、前連結会計年度より新型コロナウイルス感染症流行による販売量への影響が軽減したことに加え、学校・病院等の空調の稼働率が向上したこと等により、同4.4%増の381百万㎥となりました。以上の結果、他のガス事業者向け卸供給を含めました総販売量は同4.0%増の621百万㎥となりました。
ガス全体の売上高は、都市ガス・LNGともに販売量が増加したことに加え、原料費調整制度による販売単価の上昇等により、同22.3%増の74,605百万円となりました。
セグメント利益は、ガス販売量の増加等により、同69.0%増の7,272百万円となりました。
② 電力
当連結会計年度末のお客さま件数は、WEBマーケティング等のデジタルを活用した営業等により家庭用分野のお客さま件数が堅調に推移し、前連結会計年度末に比べ8.3%増加し、16,134件増の209,767件となりました。また、電力販売量は、お客さま件数の増加等により、低圧の販売量が増加したものの、高圧の販売量や市場への供給量が減少したことにより、同5.0%減の888百万kWhとなりました。
売上高は、高圧販売量や市場への供給量減少に加え、「収益認識会計基準」の適用による影響等により、前連結会計年度に比べ17.6%減の22,110百万円となりました。
セグメント利益は、市場価格上昇の影響を受け、同31.5%減の962百万円となりました。
③ エネルギー関連
売上高は、原料費調整制度による販売単価の上昇等によりLPG事業が増収となったことや、熱供給事業の販売量の増加等により、前連結会計年度に比べ1.5%増の32,005百万円となりました。
セグメント利益は、LPG事業の原料価格上昇の影響等により、同28.1%減の1,150百万円となりました。
④ その他
売上高は、ITサービス事業の増収等により、前連結会計年度に比べ24.9%増の2,946百万円となり、セグメント利益は同45.3%増の297百万円となりました。
(目標とする経営指標の実績)
2021年度における当社グループの経営指標の実績は下記のとおり。
「自己資本比率」:35.6%
「ROE」 :9.6%
(新型コロナウイルス感染症の流行)
当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症の流行が継続したものの、前連結会計年度に比べ業務用を中心に稼働率が向上する等、販売量への影響は軽減しております。翌連結会計年度につきましても、ワクチン接種が進んだこと等により社会活動が徐々に戻りつつあり、業務用の一部で影響は残るものの、巣ごもりや換気回数の増加等により、新型コロナウイルス感染症の流行前と比べて販売量全体への影響はほぼ無いものと想定しております。
(注) 1 本書面では、ガス量はすべて1㎥当り45メガジュール(10,750キロカロリー)で表示しております。
当連結会計年度末の総資産につきましては、売上の増加に伴い売掛債権や現預金が増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ9,209百万円増加し、160,433百万円となりました。負債は、有利子負債が減少したものの、仕入債務の増加等により、前連結会計年度末に比べ4,249百万円増加し、101,237百万円となりました。純資産は、利益剰余金の増加等により、前連結会計年度末に比べ4,960百万円増加し、59,195百万円となりました。
(3) キャッシュ・フロー
当連結会計年度末の借入金・社債等の残高は前連結会計年度末に比べ3,464百万円減少し、70,199百万円となり、現金及び現金同等物の期末残高は前連結会計年度末に比べ3,424百万円増加し、9,565百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、棚卸資産の増加等により、前連結会計年度に比べ2,685百万円減少し、19,713百万円の収入となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは有形固定資産の取得による支出の増加等により、同855百万円支出額が増加し、11,105百万円の支出となりました。これらを合計した当期のフリー・キャッシュ・フローは8,608百万円のプラスとなりました。
また、財務活動によるキャッシュ・フローは、有利子負債の返済等により、5,183百万円の支出となりました。
なお、有利子負債につきましては、投資活動に必要な資金を営業活動によるキャッシュ・フローの範囲内とし、新規の資金調達を行わなかったことに加え、フリー・キャッシュ・フローを有利子負債の返済資金に充当したことで、3,464百万円減少し、70,199百万円となりました。
(資本の財源及び資金の流動性)
当社グループにおける資金需要は、主に、設備投資、有利子負債返済、運転資金となります。
資金調達に関しては、安定的な長期の調達を基本としつつ、期中に必要となる運転資金に関しては、マーケットの状況を勘案のうえ、短期借入金・短期社債(電子CP)等を調達する方針です。当連結会計年度におきましては、新規の長期の資金調達は行っておらず、当連結会計年度末における有利子負債残高は70,199百万円となっております。
なお、資金調達の多様化を図るため、主要な取引先金融機関との良好な取引関係維持に加え、国内2社の格付機関から格付を取得しております。株式会社日本格付研究所の格付は、「シングルA(安定的)」、株式会社格付投資情報センターの格付は、「シングルA(安定的)」となっております。また、当社グループ内の資金は、CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)の導入により効率的な資金管理を行っております。
(4) 生産、受注及び販売の実績
当社グループにおきましては、「都市ガス事業」が売上高及び営業費用共に連結財務諸表の大半を占めており、当該セグメントが当社グループの生産、受注及び販売活動の中心となっております。
以下は、「都市ガス事業」における当社の生産、受注及び販売の実績について記載しております。
当連結会計年度における生産実績は次のとおりであります。
都市ガス事業については、その事業の性質上、受注生産を行っておりません。
当連結会計年度における都市ガス販売実績は次のとおりであります。
2022年3月末における地区別取付メーター件数及び普及率は次のとおりであります。
(注) 1 世帯数は、供給区域の住民基本台帳及び各自治体の資料から推計した一般世帯数であります。
2 ( )内数値は対前年増減率(%)であります。
供給約款料金に対しては、下記の料金が適用されます。この区分によるa基本料金およびb従量料金の合計とし、各月の使用量に応じてA・B・C・D・Eのいずれかの料金表が適用されます。また、一般ガス供給約款で定める料金以外に、選択約款による料金や個別交渉による大口向けの料金があります。
a 基本料金
基本料金は、1か月につき次のとおりであります。
従量料金は、使用量に次の単位料金を乗じて算定しております。
(注) 1 支払期限日(検針日の翌日から30日目)を経過した後に支払われる場合には、その経過日数に応じて1日当たり0.0274%の割合で算定した延滞利息が発生します。
2 上記の料金は1m3当たり45MJです。なお、消費税10%分が含まれております。
3 当社は、為替レートや原油価格など外的な要因で変動する原料価格をガス料金に反映する原料費調整制度を導入しております。2021年4月から2022年3月までの調整額は次のとおりであります。
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、過年度実績や経営計画、入手可能で合理的な情報に基づく仮定等から会計上の見積りを行っておりますが、見積りは不確実性を伴うため、実際の結果は異なる場合があります。
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