(1)経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
当社グループの事業は、データプラットフォーム事業の単一セグメントでありますが、セグメントを構成する主要なサービスとして、データソリューションサービス、デジタルサイネージサービス、海外コンサルティングサービスの3つのサービスによって事業展開しております。当連結会計年度における、それぞれのサービスの経営状況は下記のとおりです。
データソリューションサービスは、特に「UNIVERSE」の販売に注力致しました。「UNIVERSE」とは企業のマーケティング活動を支援するデータプラットフォームです。様々な業界・業種に特化した多様なデータを保有し、それらを有機的に統合分析することで、消費者の購買プロセスの可視化と予測、そのデータを活用した広告配信から顧客属性等の分析レポート作成まで幅広く企業のマーケティング活動を支援しております。「UNIVERSE」の販売強化にあたっては、2021年10月より営業組織体制の見直しを実施したことで、より顧客のニーズや規模に合致したサービス提供を実現しております。加えて、リモートワーク中心に変化している顧客企業に対して、オンラインセミナーを通じた新しい商品販売体制を構築することでリモートワーク下における新しい販売・営業手法の構築ににも注力致しました。また、国内コンサルティングサービスに属する、当社が提供するSSP「MicroAd COMPASS」においても当社のサポート体制強化の結果、当初の見込み以上に伸長しました。
デジタルサイネージサービスは、株式会社マイクロアドデジタルサイネージが属しております。デジタルサイネージサービスにおいては、タクシー向けサイネージが安定的な推移を維持、リテールサイネージにおいても売上ベースライン引き上げに向けた活動を継続しました。サロン向けサイネージネットワークでは新しい取組みにも挑戦し、さらなる効果改善と拡大を狙ってまいりました。
海外コンサルティングサービスは海外子会社が属しております。当社グループが事業拠点を有する台湾、中国、ベトナムを主とする海外各国でデジタル広告市場の成長に乗じて業績の拡大を目指してまいりました。台湾においては大手顧客の取引額減少の影響を受け、前年度をやや下回る水準で業績推移しました。中国、ベトナムの両拠点においては当連結会計年度内において売却が完了しております。中国拠点の法人売却は当第3四半期で完了し、ベトナム拠点の事業売却は当第4四半期にそれぞれ完了しております。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は12,227百万円(前年同期比4.8%増)、営業利益は626百万円(前年同期比236.6%増)、経常利益は592百万円(前年同期比285.9%増)、連結で119百万円の関係会社株式売却損を特別損失に、非連結子会社(MicroAd (Thailand)Co Ltd.)の清算結了に伴い、連結で37百万円の子会社清算益を特別利益に、それぞれ計上しております。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は496百万円(前連結会計年度は38百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
② 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は5,029百万円となり、前連結会計年度末に比べて1,334百万円増加いたしました。流動資産の増加の主な要因は、東京証券取引所グロース市場への新規上場に伴う公募増資等により現金及び預金が1,133百万円増加したこと、並びに受取手形及び売掛金が179百万円増加したことによるものであります。固定資産は896百万円となり、前連結会計年度末に比べて361百万円増加いたしました。この結果、総資産は、5,925百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,696百万円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は2,996百万円となり、前連結会計年度末に比べて312百万円増加いたしました。流動負債の増加の主な要因は、支払手形及び買掛金が97百万円増加したことによるものであります。固定負債は56百万円となり、前連結会計年度末に比べて16百万円減少いたしました。この結果、負債合計は、3,052百万円となり、前連結会計年度末に比べ296百万円増加いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は2,872百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,400百万円増加いたしました。これは主に、東京証券取引所グロース市場への新規上場に伴う公募増資等により資本金が439百万円増加したこと、及び資本剰余金が396百万円増加したことによるものであります。加えて利益剰余金も481百万円増加いたしました。この結果、自己資本比率は39.2%(前連結会計年度末は22.0%)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べて1,133百万円増加し、3,295百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、713百万円の資金獲得(前年同期は31百万円の資金獲得)となりました。資金獲得の主な要因は、税金等調整前当期純利益の計上によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、413百万円の資金減少(前年同期は185百万円の資金減少)となりました。資金使用の主な要因は、無形固定資産の取得による支出及び連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による支出によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、681百万円の資金獲得(前年同期は300百万円の資金獲得)となりました。資金獲得の主な要因は、株式の発行に伴う収入によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループが提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
b.受注実績
当社グループが提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。なお、当社グループの事業セグメントは、データプラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を行っておりません。
サービスの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年10月1日 至 2022年9月30日) |
|
売上高(千円) |
前年同期比(%) |
|
データソリューションサービス |
7,458,804 |
109.1 |
デジタルサイネージサービス |
1,063,898 |
159.5 |
海外コンサルティングサービス |
3,704,554 |
88.8 |
合計 |
12,227,257 |
104.7 |
(注)1.データソリューションサービスとは、データプラットフォーム事業を構成する主要サービスである、株式会社マイクロアド、株式会社エンハンスの提供するサービスを総称した名称です。
2.各サービス間の内部売上高は、調整後の金額を記載しております。
3.外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がいないため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積もりを必要としております。経営者は、これらの見積もりについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。
なお、当社の財務諸表の作成にあたって採用する重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況」に記載しております。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.売上高
当連結会計年度における総売上高は12,227百万円(前年同期比104.8%)となりました。
当社グループの事業は、データプラットフォーム事業の単一セグメントでありますが、セグメントを構成する主要なサービスとして、データソリューションサービス、デジタルサイネージサービス、海外コンサルティングサービスの3つのサービスによって事業展開しております。当事業年度における、それぞれのサービスの売上高の状況は下記のとおりです。
データソリューションサービスは、主力製品である「UNIVERSE」の販売に注力しており、当該領域のプロダクト開発や販売リソースへの投資を積極的に行っております。2021年10月より営業組織体制の見直しを実施し、下記の顧客属性毎に特化した営業組織へと改変することで、より顧客属性に応じた、機動的な製品開発や製品提供体制を整えております。
・顧客企業の製品やサービスの認知に重点を置くブランドマーケティング領域
・スマートフォンアプリやECサイトなどの直接的な広告効果を重視するダイレクトマーケティング領域
・その他の中小顧客を中心とした領域
これら3つの領域毎に製品開発~営業活動の戦略を策定し実行することで、より顧客のニーズや規模に合致したサービス提供を実現しております。加えて、リモートワーク中心に変化している顧客企業に対して、オンラインセミナーを通じた新しい商品販売体制を構築し、当連結会計年度においては全40回のオンラインセミナーを開催し、約6,600件の顧客問い合わせを獲得することができました。以上の施策により、当連結会計年度の「UNIVERSE」の売上高を構成する稼働アカウント数は7,000件となっており、前年比125%まで拡大致しました。新規のアカウント数が増加したことで、稼働アカウントの平均単価は前年比95%となり若干の低下となりましたが、単価の低下を上回る稼働アカウントの拡大により、売上高は前年比で増加しております。
デジタルサイネージサービスにおいては、屋外広告や交通広告をデジタル化し、インターネットを通じてネットワーク化することで、広告配信を行う事業となりますが、タクシー向けサイネージが安定的な推移を維持、リテールサイネージにおいても売上ベースライン引き上げに向けた活動を継続しました。サロン向けサイネージネットワークでは新しい取組みにも挑戦し、さらなる効果改善と拡大を狙ってまいりました。
海外コンサルティングサービスにおいては、当社グループが事業拠点を有する台湾、中国、ベトナムを主とする海外各国でデジタル広告市場の成長に乗じて業績の拡大を目指してまいりました。台湾においては大手顧客の取引額減少の影響を受け、前年度をやや下回る水準で業績推移しました。中国、ベトナムの両拠点においては当連結会計年度内において売却が完了しております。中国拠点の法人売却は当第3四半期で完了し、ベトナム拠点の事業売却は当第4四半期にそれぞれ完了しております。
b.売上原価、売上総利益
当連結会計年度の売上原価は8,441百万円(前年同期比97.3%)となりました。当連結会計年度は、利益率の高いデータプロダクトの売上に占める割合が拡大した結果、原価率は69.0%となりました。前連結会計年度の売上原価率74.3%より5.3ポイント減少しております。以上の結果、当連結会計年度における売上総利益は3,786百万円(前年同期比126.2%)となりました。
c.販売費及び一般管理費、営業利益
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は3,159百万円(前年同期比112.3%)となりました。増加の主な要因は事業拡大により従業員が増加したことによる人件費の増加になります。売上高に対する割合は25.8%となり、前連結会計年度の24.1%より1.7ポイントの増加となりました。以上の結果、当連結会計年度における営業利益は626百万円(前年同期比336.6%)となりました。
d.営業外損益、経常利益
当連結会計年度において持分法による償却債権取立益等により営業外収益は15百万円、持分法による投資損失等により営業外費用は50百万円となりました。結果、当連結会計年度における経常利益は592百万円(前年同期比385.8%)となりました。
e.特別損益、親会社株主に帰属する当期純損失
当連結会計年度において主な特別利益として子会社清算益37百万円、主な特別損失として関係会社株式売却損119百万円を計上いたしました。結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、繰延税金資産189百万円の計上に伴い496百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失38百万円)となりました。
③ 経営上目標とする客観的な指標について
当社グループの継続的な企業価値向上を達成するために、経営指標としては売上高、営業利益の成長を重視しております。これら経営指標を達成する為に、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、データソリューションサービスにおける「UNIVERSE」の稼働アカウント数の拡大を重視しております。UNIVERSEでは顧客企業のアカウント開設後、実際に製品やサービスのマーケティングを行う月ごとに発注申し込みを行うことで、当該アカウントによる広告配信が可能になります。この際の月ごとの発注~利用の件数を「稼働アカウント数」として経営指標を達成する為に重視する指標としております。
当該指標について、「② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」に記載の通り、当連結会計年度においては、営業組織体制の見直し・強化によって稼働アカウント数(発注件数)は前年比125%の成長となり、順調に推移しているものと認識しております。
重視する指標 |
当連結会計年度 (自 2021年10月1日 至 2022年9月30日) |
|
稼働アカウント (発注件数) |
件数 |
前年同期比(%) |
7,000 |
125.4 |
④ 財政状態に関する認識及び分析・検討内容
財政状態の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・
フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に含めて記載しております。
⑤ キャッシュ・フローの状況分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る内容
a.キャッシュ・フローの状況分析
キャッシュ・フローの状況の詳細は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社の運転資金需要のうち主なものは広告媒体の仕入れ費用及び人件費等の営業費用であります。当社は、運
転資金につきましては「営業活動によるキャッシュ・フロー」及び銀行借入金にて賄う方針であります。今後
は、借入金の総額を減少させつつも、資金需要の必要性に応じて柔軟に対応し、流動性リスクを適切にコントロ
ールしてまいります。
⑥ 経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2事業の状況 2事業等のリスク」をご参照下さい。
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