文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、「マーケティングで人・企業・社会をより良くする」というミッションのもと、「究極の生産性を実現するデジタルマーケティング業界No.1のDXカンパニー(注)1.」を目指しております。また、マーケティングにおける企業の「デジタル・デバイド(格差)」を無くしたいと考えております。良質なデジタルマーケティングサービスを受けられていない、潤沢な広告予算を有さない企業に対して、当社が有するデジタルマーケティング技術を駆使して、質の高いサービスを提供することで、クライアントのマーケティング成果を向上させることに努めてまいります。
究極の生産性を実現するには、クライアントへの提供サービスの質を維持しながら、業務効率化を並行して推進する必要があり、それを実現するための自社開発ツールへの開発投資を継続的に実施していく方針です。自社開発ツールを活用することで、高品質のサービスを、属人化させず組織的、かつ効率的に提供することが可能になります。
(注)1.DXとは、デジタルトランスフォーメーションの略であり、ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させるという仮説であります。
(2)経営環境
当社事業が属するデジタルマーケティング市場は、インターネット利用者の増加やスマートフォンの普及に伴い、急速に拡大してまいりました。日本のインターネット広告費は、2018年に2兆円を超え、以降も堅調に拡大しております。2021年は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の収束は未だ見通しが立たないものの、経済活動の正常化に向けた動きがみられました。このような経済情勢のなか、あらゆる産業界においてデジタルトランスフォーメーションのトレンドが継続しており、インターネットを用いた販促・マーケティング活動が前年度よりさらに活発となった結果、当社の所属するデジタルマーケティング業界に対する需要はより一層高まっております。株式会社電通「2021年 日本の広告費」によると、インターネット広告の市場規模は2021年に2兆7,052億円となりました。広告のデジタル化の流れは今後も継続するものと判断しております。
このような市場環境においては、需要が拡大する中で、広告代理店各社が新規クライアントを獲得する機会が多い状況であり、当社が提供するインターネット広告サービスやSEOコンサルティングサービスの需要や必要性は益々高まっていくものと考えております。
日本のデジタルマーケティング市場においては、大規模広告代理店がマーケティング予算が大きい顧客(単月5,000万円以上)に注力し、さらにコンサルティング・ファームの参入も著しくなっており、今後もこの状況が続くと推察しております。なお、単月マーケティング予算5,000万円以上という基準は、当社が定義したものであります。単月5,000万円以下の中小規模の顧客に対しては、当社を含む多くの中小規模広告代理店が対峙しており、当社が提供するデジタルマーケティングサービスの需要が益々高まっていくと考えております。
当社の強みは、代表取締役社長の市原をはじめ、幹部社員が豊富な経験量・実績を基にメディア運営会社のアルゴリズムの理解を深めており、さらにこれらのノウハウを人材育成や自社開発ツールを通して短期間での組織知化を可能としていることであると考えております。
(3)経営戦略
当社の主要な経営戦略は以下のとおりであります。
① クライアント基盤の拡大
質の高いデジタルマーケティングサービスを提供することで、直接取引クライアントとの取引拡大、大手総合型広告代理店との協業の拡大に取組んでまいります。特に、直接取引クライアントについては、単月マーケティング予算5,000万円以下の中小規模の顧客領域でのシェアを高めていきたいと考えております。
広告効果の向上のためには、動画広告クリエイティブの品質向上・差別化が非常に重要となっており、広告効果の向上はクライアント単価の向上に直接的に繋がります。その取組みの1つとして、UUUM株式会社と資本業務提携契約を締結し、同社の有するクリエイティブ供給体制と当社の広告運用ノウハウとを掛け合わることで、更なる運用型広告領域における広告効果の向上・他社との差別化を目指してまいります。同社は、東京証券取引所グロース市場に上場する日本最大級のYouTuberマネジメント事務所になります。
また、クライアントへの提供サービスの質を維持しながら、業務効率化を並行して推進するために、DX化の余地が大きく生産性向上の効果が大きい事業領域から優先的に、自社開発ツールの開発に取組んでまいります。これまでも継続的に開発済のツールにビッグデータ分析機能の付加、AI分析機能の付加等を行っておりますが、今後もより質の高いサービスを提供すべく、機能向上に注力してまいります。
② 人材の採用・育成
クライアントへの提供サービスの質を維持することを大前提に、「採用→育成」をサステナブルに機能させ、優秀な人材の確保に取組んでまいります。人材の即戦力化のための研修制度の一層の充実や、イネーブルメント・プロジェクト(注)2.等、人材育成施策に積極的に取組んでまいります。
(注)2.当社独自の呼称で、当社の費用の過半以上を占める人件費を「有効化(イネーブルメント)」するための取組みのことです。従業員の能力を項目化・言語化し、各従業員を項目ごとに採点した上で、ギャップが大きい項目に対して重点的に育成施策を打つことで計画的かつ早期育成化を実現する取組みを行っております。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
社員1人当たりの生産性(注)3.及び社員数を経営指標として重視しております。当社の自社開発ツールの活用とイネーブルメント・プロジェクトに基づく育成により、未経験社員がスピーディに戦力化し、会社としての生産性が継続的に維持・向上します。その結果として、取扱高・各段階利益の成長が実現され、持続的な企業価値の向上に繋がるものと考え、上記の指標を重視しております。
(注)3.各期の取扱高を各期末の人員数で除して算出します。取扱高は、売上高にインターネット広告サービスにおける媒体費を加えた値になり、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)を適用する前の会計基準における売上高を示しております。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社の優先的に対処すべきと考える事業上の課題は以下のとおりであります。当社は、急速な成長段階にあり、クライアント基盤を拡大させながら、現在のサービス品質の維持・持続的な向上をさせることが、重要な課題であると認識しております。そのため、自社開発ツールの開発促進や、人材の採用と育成に取組んでまいります。また、業務運用の効率化やリスク管理のための内部管理体制のさらなる強化が重要な課題であると認識しております。このため、バックオフィス業務の整備を推進し、経営の公正性・透明性を確保するための内部管理体制強化に取組んでまいります。なお、財務上の課題については、内部留保が十分確保されており、借入等による機動的な資金調達も可能であることから、特段の該当事項はありません。
① サービス品質の維持・持続的な向上
デジタルマーケティングサービスの維持・持続的な品質向上を図っていくことが重要であると考えております。そのためには、継続的な自社開発ツールの開発、人材の採用・育成が必要であると考えております。
② クライアント基盤の拡大
既存クライアントとの継続的な関係構築、新規クライアントの開拓推進が重要であると考えております。継続的な自社開発ツールの開発、人材の採用・育成をすることによるサービス品質の持続的な向上により、達成されるものと考えております。
③ 自社開発ツールの開発促進
デジタルマーケティングサービスの質を維持・向上しながら、業務効率化を並行して推進するために、自社開発ツールの開発が重要であると考えております。具体的には、ビッグデータ分析機能の付加、AI分析機能の付加等の各種機能向上が必要であると考えております。
④ 人材の採用と育成
新卒採用を中心とした積極的な人材採用と、人材育成の推進が重要であると考えております。現在、実施している、未経験社員を早期戦力化するための社内研修制度の充実(具体的には座学、OJT、内定承諾者アルバイト制度)、短期的な成果でなく、安定的に質の高いサービスを提供できるかどうかを評価基準とした人事評価を行う現行の人事評価制度の継続・ブラッシュアップを行ってまいります。
⑤ コーポレート・ガバナンス体制の強化
当社が持続的な成長を維持していくためには、内部管理体制の強化を通じた業務の標準化・効率化が重要であると考えております。それらの実効性を高めるための環境を整備し、組織的な統制・管理活動を通じてリスク管理を徹底するとともに、業務の標準化と効率化を目指しております。また、コーポレートガバナンス・コードの基本原則に従い、株主の皆様をはじめとする全てのステークホルダーからの社会的信頼に応えていくことを企業経営の基本的使命とし、コンプライアンス体制の強化、迅速かつ正確な情報開示の充実に努め、コーポレート・ガバナンスの強化に取組んでまいります。その取組みの1つとして2021年12月には監査等委員会設置会社へ移行しました。また、取締役の過半数が社外取締役で構成されており、取締役会の監督機能を強化するとともに、業務執行の適法性、妥当性の監査・監督を通じた透明性の高い経営を実現しております。
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