(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染拡大の影響が長期化するなか経済活動は緩やかな回復基調にあったものの、いまだ収束時期を見通すには至らず、また新たにウクライナ情勢等もあり、先行き不透明な状況となりました。
このような中、当社グループではお客様に安心してご利用いただけるよう、引き続きグループ全事業所における感染拡大防止策(検温・消毒・光触媒・非接触対応など)を徹底したほか、コロナ下における入寮生への経済的支援として、『就学支援プログラム(寮費の無利子貸付)』などを実施いたしました。また、不動産流動化の実行や、雇用調整助成金等の支援制度の活用などにより財務の健全化を図るとともに、営業施策として新しい働き方に対応した『WORK PLACE DORMY(泊まれるオフィス・住むホテル)』や、福利厚生サービスの拡充などにご利用いただくことを想定した『共立総合法人会員プログラム 詩季倶楽部』など、新商品の販売強化にも取り組んでまいりました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
(資産)
当連結会計年度末における総資産は、241,723百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,691百万円の増加となりました。主な要因は、現金及び預金の増加などによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債は、171,137百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,889百万円の増加となりました。主な要因は、短期借入金、長期借入金の増加などによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、70,586百万円となり、前連結会計年度末に比べ198百万円の減少となりました。主な要因は、利益剰余金の減少などによるものであります。
この結果、自己資本比率は29.2%となり、前連結会計年度末に比べ0.4ポイントの減少となりました。
b.経営成績
売上高は173,701百万円(前期比43.2%増)となりました。利益につきましては、寮事業が減益ながらも安定的に利益を確保したほか、不動産流動化による利益もあり、営業利益は1,431百万円(前期は9,057百万円の損失)、経常利益は1,814百万円(前期は9,116百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は539百万円(前期は12,164百万円の損失)となり、会計年度の大半が行動制限下にあったものの黒字回復いたしました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
寮事業
寮事業では、前期に引き続き留学生の来日延期や新入社員研修の中止などがあり、期初稼働率は前年と比べ1.6ポイント減の92.1%でのスタートとなりました。こうした中、コロナ下における入寮生への経済的支援として、『就学支援プログラム(寮費の無利子貸付)』を継続的に提供したほか、2021年12月より寮生活支援アプリ『Domico(ドミコ)』の試験導入を開始し、お客様の利便性向上を図るとともに、食品ロス削減や各種手続きのデジタル化によるペーパーレス化を推進するなど、SDGsにも取り組んでまいりました。
以上の結果、寮事業全体の売上高は新規開業事業所(12事業所、1,204室)の寄与もあり47,246百万円(前期比1.6%増)となり、商品別では、学生寮売上高25,306百万円(前期比7.0%増)、社員寮売上高13,109百万円(前期比5.9%減)、ドミール(ワンルームマンションタイプ寮)売上高4,756百万円(前期比1.6%減)、受託寮(企業・学校様が保有する寮の管理運営受託)売上高4,074百万円(前期比0.0%増)となりました。一方、営業利益は稼働率が減少した影響等により4,554百万円(前期比7.1%減)となりました。
なお、2022年3月末現在の事業所数は512ヶ所(前期比5ヶ所増・受託除く)、定員数は42,551名(前期比624名増)、契約者数は39,490名(前期比1,584名増)となっております。
ホテル事業
ホテル事業では、当期にドーミーイン事業で『天然温泉 加賀の宝泉 御宿 野乃金沢』、『天然温泉 芸州の湯 ドーミーイン広島ANNEX』の2事業所をオープンし、リゾート事業では『ラビスタ草津ヒルズ』をオープンいたしました。
前期に引き続き当期も、緊急事態宣言や、まん延防止等重点措置が断続的に発出された状況となりましたが、ドーミーイン事業において週末を中心としたレジャー需要の取り込みに積極的に取り組んだことや、『NEW LOCAL STAY プラン(地元限定プラン)』及び新商品『WORK PLACE DORMY』、『共立総合法人会員プログラム 詩季倶楽部』などの販売促進効果も寄与し、大幅な増収となりました。
この結果、ホテル事業全体では事業所数122ヶ所(前期比1ヶ所増)、客室数18,675室(前期比321室増)、売上高は62,772百万円(前期比35.7%増)となり、営業損失は9,451百万円(前期は13,130百万円の損失)となりました。なお、前期は緊急事態宣言発出に伴う休業要請を受け多数のホテルを休館し、発生した損益を特別損益に計上しておりましたが、通常の計上に組み替えますと、前期は16,004百万円の営業損失であったため、前期より6,552百万円の改善となっております。
総合ビルマネジメント事業
総合ビルマネジメント事業では、ホテルの稼働室数の上昇に伴い清掃業務が増加したものの、建設工事案件が減少したことなどにより、売上高は15,108百万円(前期比5.6%減)となり、営業利益は258百万円(前期比58.6%減)となりました。
フーズ事業
フーズ事業では、ホテルレストランの受託案件が増加したものの、感染拡大防止のために外食店舗において酒類提供の停止、時短営業、臨時休業等を実施したことなどの影響により、売上高は6,827百万円(前期比29.0%増)となり、営業損失は74百万円(前期は10百万円の損失)となりました。
デベロップメント事業
デベロップメント事業では、不動産流動化の実施などにより、売上高は40,661百万円(前期比222.5%増)となり、営業利益は8,608百万円(前期比1,223.9%増)となりました。
その他事業
その他事業は、シニアライフ事業(高齢者向け住宅の管理運営事業)、PKP事業(自治体向け業務受託事業)、単身生活者支援事業、保険代理店事業、総合人材サービス事業、融資事業及び事務代行業であります。これらの事業の合計の売上高は15,195百万円(前期比2.0%減)、営業利益は459百万円(前期比24.2%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ13,353百万円増加し、37,565百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
「営業活動によるキャッシュ・フロー」は、棚卸資産の増減額の影響により、前連結会計年度に比べ43,556百万円収入が増加し、25,721百万円の収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
「投資活動によるキャッシュ・フロー」は、敷金及び保証金の差入による支出の影響により、前連結会計年度に比べ6,725百万円支出が増加し、16,731百万円の支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
「財務活動によるキャッシュ・フロー」は、長期借入れによる収入の影響により、前連結会計年度に比べ30,108百万円収入が減少し、4,130百万円の収入となりました。
③生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
寮 |
47,246 |
1.6 |
学生寮 |
25,306 |
7.0 |
社員寮 |
13,109 |
△5.9 |
ドミール |
4,756 |
△1.6 |
受託寮 |
4,074 |
0.0 |
ホテル |
62,772 |
35.7 |
ドーミーイン事業 |
35,294 |
39.7 |
リゾート事業 |
27,478 |
31.0 |
総合ビルマネジメント |
15,108 |
△5.6 |
オフィスビルマネジメント事業 |
4,215 |
1.8 |
レジデンスビルマネジメント事業 |
10,892 |
△8.2 |
フーズ |
6,827 |
29.0 |
デベロップメント |
40,661 |
222.5 |
報告セグメント計 |
172,616 |
36.3 |
その他 |
15,195 |
△2.0 |
調整額 |
△14,109 |
- |
合計 |
173,701 |
43.2 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりましては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますので、ご参照下さい。会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症の今後の広がり方や収束時期等を含む仮定に関する情報は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」をご参照下さい。
(繰延税金資産)
将来の利益計画に基づいた課税所得の見積りを行い、将来減算一時差異等に対して繰延税金資産を計上しています。
繰延税金資産の回収可能性は、連結会計年度末時点で入手可能な情報や資料に基づき判断しておりますが、新型コロナウイルスの影響により、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。
(固定資産の減損処理)
当社グループは各事業所を資産グループとして判断しており、営業活動から生ずる損益が継続してマイナスである資産グループについては、回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。
回収可能価額の算定にあたっては、連結会計年度末時点で入手可能な情報や資料に基づき判断しておりますが、新型コロナウイルスの影響により、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において追加の減損損失が発生する可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
(資産合計)
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ2,691百万円増加の241,723百万円(前連結会計年度末は239,032百万円)となりました。
流動資産は、前連結会計年度末に比べ11,009百万円増加の72,953百万円(前連結会計年度末は61,944百万円)となりました。これは主に、現金及び預金が13,353百万円、仕掛販売用不動産が6,048百万円増加した一方、販売用不動産が8,278百万円減少したことなどによるものであります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ8,222百万円減少の168,264百万円(前連結会計年度末は176,487百万円)となりました。これは主に、不動産流動化等により建物及び構築物が6,371百万円、土地が6,467百万円減少したことなどによるものであります。
繰延資産は、前連結会計年度末に比べ95百万円減少の505百万円(前連結会計年度末は600百万円)となりました。
(負債合計)
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ2,889百万円増加の171,137百万円(前連結会計年度末は168,247百万円)となりました。
流動負債は、前連結会計年度末に比べ414百万円減少の49,433百万円(前連結会計年度末は49,848百万円)となりました。
固定負債は、前連結会計年度末に比べ3,304百万円増加の121,703百万円(前連結会計年度末は118,398百万円)となりました。これは主に、長期借入金が8,957百万円増加した一方、社債が5,080百万円減少したことなどによるものであります。
(純資産合計)
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ198百万円減少の70,586百万円(前連結会計年度末は70,784百万円)となりました。これは主に、利益剰余金が447百万円減少したことなどによるものです。
2)経営成績
(売上高)
売上高は、ホテル事業の大幅増収に加え、不動産流動化の実行や新商品の販売強化もあり、前期に比べ43.2%増の173,701百万円となりました。そのうち、寮事業売上高は、前期に比べ1.6%増の47,246百万円、ホテル事業売上高は、前期に比べ35.7%増の62,772百万円となりました。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
売上原価は、売上高に連動し前期に比べ36.3%増の151,659百万円となりました。
販売費及び一般管理費は、売上高に連動し支払手数料が増加したことなどにより前期に比べ8.2%増の20,610百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純損益)
親会社株主に帰属する当期純損益は、寮事業が減益ながらも安定的に利益を確保したほか、不動産流動化による利益もあり、539百万円の利益となりました。
3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。
b.経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照下さい。
c.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、事業所・リース物件の賃借料のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、新規事業所の取得及び開業費用、既存事業所の改修費用等によるものであります。
当社グループは、事業資金について自己資金のほか、金融機関からの借入等により調達しております。一方で、自社所有物件の一部について当社の管理運営・賃借契約付運用物件として投資家に売却する等の手法を活用して有利子負債依存度の低下を図っております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高はコミット型シンジケートローン契約枠の一部を実行したことにより136,172百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は37,565百万円となっております。
d.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループの新中期経営計画につきましては、昨年より立案作業を進めてまいりました。具体的には、5カ年計画の前半3年間を回復のプロセス、そして後半2年間を再成長のステージと設定し、寮・ホテルの主要事業の拡大をベースに据えて、未出店区画エリアへの開発出店に加えまして、地方圏やロードサイドなど商圏設定の拡大、また新たな顧客層への新業態サービスの提供を検討しております。しかしながら、明けきらない足元のコロナによる事業経営環境への影響、また、にわかに生じたロシア・ウクライナ問題によるエネルギー・食材など広範なコストインフレに伴う影響など、定量目標を公表するには当社事業への影響を見極める期間が必要であると判断いたしました。そのため、一定程度の見極める期間をおいて、安定した状況で、改めて5年間の新中期経営計画を公表いたします。
e.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照下さい。
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