業績等の概要
(1)業績
当連結会計年度における我が国の経済状況は、一時、沈静化したとみられた新型コロナウイルス感染症が感染力の強いとされるオミクロン株の発生により感染が再拡大したことにより、依然として経済活動の制約を受ける状況が継続しています。ワクチン接種率の増加とともに感染リスクを低減させつつ社会経済活動が継続されている状況でありますが、ロシアによるウクライナ侵攻に対する各国政府の経済制裁の実行による影響等も懸念され、先行きが不透明な状況が続いております。
新型コロナウイルス感染拡大防止への対応として、当社は政府・各地方自治体の方針に準拠し「PCA-Style」(3密防止、消毒、検温、トレース管理の徹底)での活動を徹底しております。
新型コロナウイルス感染拡大防止への対応にかかる基本方針として
・お客様、パートナー様と弊社社員及び家族の生命・健康を最優先とする
・感染者の増加を未然に防止する
・お客様から求められるサービスを可能な限り維持する
を掲げ、全事業所で「新しい生活様式」を取り入れ、リモートワークを優先した働き方を実践し、政府・各地方自治体の方針に準拠した活動を実施してまいります。
当社グループではテレワークや在宅勤務・時差出勤の環境の中で業務改善につながる製品サービスを提供し、引き続き販売パートナーとともにクラウド&ソリューションサービスを中心にサービスを展開しています。
その中で、中小・中堅企業における社内業務や企業間取引のペーパーレス化を推進し、日本社会のデジタル化を実現するための新サービスの一環として「PCA Hub eDOC(ピーシーエーハブイードック)」を2022年3月にリリースいたしました。本サービスは、法人内の重要な業務データやファイルを安心・安全に共有できるオンラインストレージサービスであり、電子帳簿保存法にも対応し、バックオフィス業務における帳票や資料の管理、情報共有を促進するサービスとして、リリース開始後1年で2,000社の導入を目指します。
PCAクラウドシリーズの利用法人数は2019年12,070法人、2020年14,327法人、2021年16,444法人、2022年19,152法人となり、サービス開始14年目で利用法人数19,000法人を突破し順調に推移しています。『PCAクラウド』は、自社でのサーバー管理が不要で、初期費用がなくPCAソフトが利用可能なサービスとなっております。現在、利用するデータセンターとして「AWS(アマゾンウェブサービス)」が選択できるようになり、サービス更新等のメンテナンス中を除き24時間365日稼働可能となっております。
当社子会社で提供している勤怠管理のクラウドサービスについても「働き方改革」への対応を実現するための一つの手段としての需要を見込み、今後も業績に貢献すると期待しております。
このような状況下において、当連結会計年度の売上高は2021年12月にサポート終了を迎えた「PCA Xシリーズ」の更新需要に伴い製品売上高が大幅に増加しました。一方で「収益認識に関する会計基準」等の適用により、従来の会計処理と比較して製品売上高が21百万円、保守サービス売上高が202百万円、その他営業収入が1,610百万円それぞれ減少しました。
以上の結果、当社グループの当連結会計年度の業績は、売上高13,382百万円(前期比0.6%増)、このうち、クラウド売上高は5,568百万円(前年同期比37.2%増)となっております。利益項目については、営業利益2,655百万円(前期比14.7%増)、経常利益2,697百万円(前期比15.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は増収と利益率の改善に加え、主に投資有価証券売却益1,111百万円及び減損損失174百万円の計上により、2,367百万円(前期比41.9%増)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ4,138百万円増加(前連結会計年度は1,529百万円の増加)し、15,731百万円となりました。
なお、当連結会計年度における各活動によるキャッシュ・フローの状況とそれらの主な増減要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、3,684百万円(前連結会計年度は1,632百万円の収入)となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益3,634百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果得られた資金は、708百万円(前連結会計年度は253百万円の収入)となりました。
これは主に、投資有価証券の売却による収入1,151百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は、254百万円(前連結会計年度は355百万円の支出)となりました。
これは主に、株主に対する配当金の支払額226百万円によるものであります。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための指標につきましては、次の通りであります。
指標 |
2022年3月 (期初計画) |
2022年3月 (実績) |
2022年3月 (計画比) |
売上高 |
124億円 |
133億円 |
9億円増(7.5%増) |
営業利益 |
18億円 |
26億円 |
7億円増(42.3%増) |
売上高営業利益率 |
15.0% |
19.8% |
4.8ポイント増 |
ROE |
7.2% |
14.4% |
7.2ポイント増 |
DOE |
1.3% |
2.8% |
1.5ポイント増 |
2022年3月期の達成・進捗状況は以下のとおりです。
売上高は、2021年12月にサポート終了を迎えた「PCA Xシリーズ」の更新需要に伴い製品売上高が大幅に増加しました。その一方で「収益認識に関する会計基準」等の適用により、従来の会計処理と比較して製品売上高が0.2億円、保守サービス売上高が2億円、その他営業収入が16億円それぞれ減少しました。この結果、期初計画比9億円増(7.5%増)となりました。
営業利益は、上記製品売上高の増加により売上総利益も改善されたことが主な要因となり、期初計画比7億円増(42.3%増)となりました。増収増益の結果を受け売上高営業利益率は4.8ポイント増加し19.8%となりました。ROEは、当初予想を上回る利益を計上できたことにより計画比7.2ポイント増加し14.4%となりました。DOEは「PCA クラウド」と「PCA サブスク」のリブランディングを実施したことを記念した特別配当を行ったことにより配当金支払額が増加した為1.5ポイント増加し2.8%となりました。
生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
区分 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
製品(千円) |
2,954,121 |
148.8 |
(注)生産金額は、販売価格で表示しております。
(2)受注実績
受注実績の金額と販売実績の金額の差額は僅少であるため、記載を省略しております。
(3)販売実績
単一セグメントであるため、種類別の実績を記載しております。
区分 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
製品(千円) |
2,954,121 |
148.8 |
商品(千円) |
439,084 |
90.4 |
保守サービス(千円) |
3,316,726 |
93.4 |
クラウドサービス(千円) |
5,568,545 |
137.2 |
その他営業収入(千円) |
1,103,737 |
34.2 |
合計(千円) |
13,382,214 |
100.6 |
(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
||
株式会社リコー |
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
2,612,588 |
19.6 |
3,213,959 |
24.0 |
財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
有価証券報告書に記載しております事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項につきましては、以下のようなものがあります。
当該文中における予想、見込み等の将来に関する事象は、有価証券報告書提出日(2022年6月23日)現在において当社グループが判断したものであり、今後様々な要因により実際の結果と異なる可能性があります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。また、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(2)財政状態の分析
① 資産・負債の状況の分析等
(資産の状況)
当連結会計年度末における総資産の残高は、28,381百万円(前連結会計年度末は25,376百万円)となり、3,004百万円の増加となりました。
流動資産においては、4,950百万円(前連結会計年度末15,228百万円から当連結会計年度末20,178百万円へ)の増加となりました。これは主に現金及び預金が4,341百万円増加したことによるものであります。
固定資産においては、1,945百万円(同10,148百万円から同8,203百万円へ)の減少となりました。これは主に投資有価証券が1,326百万円減少したことによるものであります。
(負債の状況)
当連結会計年度末における負債の残高は、11,099百万円(前連結会計年度末は9,381百万円)となり、1,718百万円の増加となりました。
流動負債においては、3,419百万円(前連結会計年度末5,849百万円から当連結会計年度末9,268百万円へ)の増加となりました。これは主に、契約負債が7,364百万円増加、前受収益が3,339百万円減少したことによるものであります。
固定負債においては、1,700百万円(同3,532百万円から同1,831百万円へ)の減少となりました。これは主に長期前受収益が1,715百万円減少したことによるものであります。
② 資本の財源及び資金の流動性にかかわる情報等
(純資産の状況)
当連結会計年度末における純資産の残高は、17,281百万円(前連結会計年度末は15,995百万円)となり、1,286百万円の増加となりました。これは主に利益剰余金が2,140百万円増加、その他有価証券評価差額金が1,030百万円減少したことによるものであります。
(キャッシュ・フロー)
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ4,138百万円増加(前連結会計年度は1,529百万円の増加)し、15,731百万円となりました。また、流動比率が217.7%(流動資産20,178百万円÷流動負債9,268百万円)となっており、十分な流動性を確保しているものと認識しております。したがって新型コロナウイルス感染症による資金繰り等への影響は軽微であるものと考えております。
(3)経営成績の分析
① 経営成績の分析等
(売上総利益)
当連結会計年度における売上高は13,382百万円(前年同期比0.6%増)となり、売上総利益は8,809百万円(同10.1%増)となりました。
(営業利益)
当連結会計年度における営業利益は2,655百万円(前年同期比14.7%増)となりました。これは主に、売上総利益の増加の影響によるものであります。
(経常利益)
当連結会計年度における経常利益は、2,697百万円(前年同期比15.2%増)となりました。これは主に、営業利益の増加の影響によるものであります。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、2,367百万円(前年同期比41.9%増)となりました。これは主に、経常利益の増加と投資有価証券売却益1,111百万円の影響によるものであります。
② 経営成績に重要な影響を与える要因についての分析
(外部環境要因)
当社グループは、一般企業向け業務用パッケージソフトウェアの製造、開発及び販売を事業の主な収益源としております。
業務用パッケージソフトウェア市場においては、会計基準の変更、税法等の改正及び各種制度の改正などによって、ソフトウェアの更新需要が大きく変動する傾向があり、当社グループの経営成績に重要な影響を及ぼすことが考えられます。
(内部環境要因)
当社グループでは、パッケージソフトウェアの製品開発において、「研究開発費等に係る会計基準」(企業会計審議会 1998年3月13日)に基づき費用配分の会計処理をしております。
当社グループにおける製品開発については、既存のソフトウェアに新しい機能等を付加した、いわゆるアップグレード版のソフトウェアの開発もおこなっており、そのような場合には、次期以降の収益との対応を図る観点から、無形固定資産に資産計上しております。
従いまして製品開発の状況によっては、当期の費用になるものと、資産計上をしてから次期以降の費用になるものとの金額の変動により、当社グループの経営成績に重要な影響を及ぼすことが考えられます。
お知らせ