文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は創業以来、「社会に奉仕すること」を企業理念として、道路関連事業、レジャー事業、不動産事業の経営を行っており、現在においても道路の維持管理を通して生活環境整備事業の推進を図るとともに、マリーナ運営や飲食店経営を通して豊かな生活を提供し、社会の発展に一層貢献することを基本的な考え方として事業活動を進めております。
(2)中長期的な会社の経営戦略及び目標とする経営指標等
① 事業環境
当社グループの主力事業である道路関連事業については、政府による防災・減災、国土強靭化対策をはじめとする関連予算の執行により、道路・橋梁等の老朽化・長寿命化対策等、一定の維持補修工事の需要が見込まれる状況にあります。そのため、今後も道路インフラ整備の公共投資は堅調に推移すると予想されるものの、業界全体における人手不足や労務費・資機材価格が上昇する等、依然として予断を許さない状況が続いております。
一方、レジャー事業については、緊急事態宣言が解除された2021年10月以降に緩やかな回復基調がみられたものの、新型コロナウイルス感染症の新たな変異株の感染拡大により、再度、飲食店において時短営業を余儀なくされる等、レジャー事業の属する生活娯楽関連サービス領域における先行きは不透明で、厳しい状況が続いております。
② 顧客動向
道路関連事業において主要取引先となる国土交通省や高速道路各社については、継続的に予想される道路・橋梁等の老朽化・長寿命化対策として、引き続き公共投資を実施することが予想されるため、今後も道路事業に対する一定量の発注が見込まれます。
③ 経営戦略
当社グループでは、企業を取り巻く事業環境や顧客動向を踏まえ、より一層の企業価値向上に資するため、2019年5月に3か年計画である≪中期経営戦略2019-2022 TRY!2022≫を策定し、その最終年度にあたり、新型コロナウイルス感染拡大予防策を徹底した上で各事業において業績の向上に努めた結果、当初掲げた目標値を上回ることができました。
<中期経営戦略の基本方針>
国内における道路関連事業は事業環境に記載の状況であることから、当社グループは同3か年計画において、主力事業である道路関連事業に重点を注ぎ、労働環境の整備に取り組むとともに、建設技能者の確保・育成に注力し、設計業務から工事施工まで一貫して受注できる体制の強化を進め、事業拡大に努めました。
また、不動産事業及びレジャー事業においては、堅実な事業運営で安定的な収益の確保に努めました。
さらに、M&A等の投資可能性も追求し、収益基盤の拡大に努めました。
<セグメント別の具体的な経営戦略>
当社グループの主力事業である道路関連事業においては、事業拡大のために以下の3つの具体的な経営戦略を実施します。
・受注拡大及び労働環境の整備に向けた体制の強化
公共事業の増加によるインフラ整備、長寿命化対策の需要に対応すべく、道路事業の受注拡大に向け、土木技術者の養成や採用、資機材の充実した調達ルートの確保、協力会社との連携を深める等、体制の強化に努める。
・維持管理業務の確実な受注(年間契約案件)
道路の維持管理業務では、日常業務において異常構造物の早期発見と迅速な初動体制の構築を図り、高品質で安定した作業を行います。また、維持管理業務において必要な車両・機械を自社保有することで作業体制を整備するとともに、安全管理・品質管理の徹底を行い、確実な受注確保に努める。
・大規模更新・修繕事業の受注(単発契約案件)
政府による国土強靭化計画をはじめとした関連予算の執行や、老朽化対策として各高速道路会社により大規模更新・修繕事業が計画され進められているなか、当社の維持管理業務における経験や工法、保安規制等の実績を最大限に活用し、積極的な営業展開による受注拡大を図るとともに、当社グループの強みを活かし、設計業務から工事施工まで一貫した受注に繋げる。
また、レジャー事業及び不動産事業においては、以下のような具体的な経営戦略を実施します。
レジャー事業
(飲食部門)
・コロナ禍で変容した消費者ニーズへの対応強化に努める
・衛生管理の徹底と接客サービスの向上に努める
・的確な商品提案による飲食物品販売のシェア拡大に努める
(マリーナ部門)
・サービスの充実化を図り、高水準な船舶係留数の維持に努める
・施設内に附帯するグランピング施設、バーベキュー場、ドッグランやレストランの認知度を高め、来場者数の増加に努める
・観光船の運航やレンタルボートサービスの拡大により、新規顧客獲得に努める
・新規管理マリーナの受託を目指す
不動産事業
・所有物件の計画的維持修繕
・新たな不動産の取得
④ 目標とする経営指標等
当社は、上記経営戦略のもと、様々な経営施策と効果的な投資を展開し、2022年1月期までの中期目標値として売上高280億円、営業利益35億円の達成に努めた結果、以下のとおり当初掲げた目標値を上回ることができました。
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2022年1月期 実績 (百万円) |
2022年1月期 目標 (百万円) |
売上高 |
28,977 |
28,000 |
営業利益 |
4,207 |
3,500 |
なお、次年度以降に向け、新たな3か年計画である≪中期経営戦略2022-2025 TRY!2025≫を2022年3月に策定し、中期目標値として売上高300億円、営業利益45億円を掲げ、過去最高売上高・営業利益の更新を目指すとともに、環境に配慮した事業の推進等を通して、サステナブルな社会づくりに貢献してまいります。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
今後のわが国経済は、政府の各種政策による新型コロナウイルス感染症の拡大防止と社会経済活動の両立を図ることにより景気の持ち直しが期待されるものの、感染症の収束時期が不明瞭であることに加え、国外での地政学的リスクの高まりによる世界経済への影響が懸念され、景気の先行きは不透明な状況となっております。
当社グループの主力事業である道路関連事業を取り巻く環境につきましては、引き続き政府による防災・減災、国土強靭化対策をはじめとする関連予算の執行により、公共投資が底堅く推移していくことが期待されます。
このような状況のなか、当社グループは、新たな中期経営戦略のもと、更なる企業価値向上に向け各事業に取り組んでまいります。
セグメント別の対処すべき課題は以下のとおりです。
(道路関連事業)
① 人員の確保
労働人口の減少に伴い、業界全体において技術者並びに作業員の人手不足が生じております。当社グループは、外国人技術者をはじめ優秀な人員を採用し、社内教育や資格取得の奨励を図り、優れた建設技術者の育成に努めてまいります。
また、協力会社との連携強化や適正な人員配置を図り、効率的な施工体制の構築に努め、近年頻発化する集中豪雨や大雪等の自然災害にも対応してまいります。
② 職場環境の整備
働き方改革やダイバーシティを推進する上で、安全教育や心身の健康管理を徹底する等、安全衛生管理の強化を図り、従業員にとって働きやすい職場環境を整備し、労働生産性の向上に努めてまいります。
③ 受注獲得策の強化
同業他社との受注競争に向けた対策として、総合評価方式への対応強化を図り、道路維持作業・補修工事の継続的な受注確保に努めるとともに、当社グループが持つ経験や実績を活用し、大規模更新・修繕事業への施工協力や附帯する交通規制業務等の受注に向け、積極的な営業展開を行ってまいります。また、新たに参入したプロポーザル方式のほか、コンセッション方式の受注拡大を目指し、体制の構築と情報収集に努めてまいります。
④ コストへの対応
上昇が続く労務費や資機材価格に対しては、効率的な人員配置による施工体制を構築するとともに、当社グループ内での連携を密にし、資機材の最適な調達ルートの確保に注力し、コスト抑制に努めてまいります。
⑤ 環境対策
環境に配慮した資機材の使用や施工方法を確立するとともに、自社開発の凝集剤を利用した濁水処理システム等により、環境対策の推進に取り組んでまいります。
(レジャー事業)
① 飲食部門
コロナ禍における新しい営業スタイルの強化として、テイクアウトやデリバリー販売の拡充、LINEやインスタグラム等のSNSを活用した情報発信、新メニューの開発やキャンペーン等を実施し、集客増に努めてまいります。また、フードロスやプラスチック廃材の削減等、環境に配慮した取り組みを推進してまいります。
物品販売においては、飲料や防災用品をはじめ顧客ニーズを的確に把握した商品提供に努め、販路を拡大してまいります。
② マリーナ部門
来場者が安心して利用できる施設運営に取り組み、高水準で稼働する船舶係留数の維持に努めてまいります。また、施設内に附帯するバーベキュー場、ドッグラン、レストラン等のサービスの充実を図るとともに、観光船の運航やレンタルボートサービスの拡大等により、新たな顧客獲得に向けた施策に取り組み、積極的な広報活動を通して当社受託マリーナの認知度向上に努めてまいります。
さらに、有資格者の育成と確保に努め、更なるサービス向上と事業拡大を目指してまいります。
(不動産事業)
① 所有物件の付加価値向上
所有物件において計画的な修繕工事を実施する等、設備の改善を積極的に推進し、テナントが安心・安全に利用できる施設管理を心掛け、付加価値の向上に努めてまいります。
② 新規物件の取得
立地条件や採算性を踏まえた当社の不動産戦略に則り、中長期にわたり安定的な収益が確保できる優良な新規物件の取得を目指してまいります。
セグメント別は以上となりますが、上記課題に加え、適切な資本政策とコーポレートガバナンスの充実を図り、М&A等の投資可能性を追求しながら、収益基盤の多様化を推進してまいります。また、地域社会への更なる貢献、ICT活用による業務の効率化や人的資本への投資等を通して、企業価値の向上とサステナブルな社会の実現に向けて、適切に対応してまいります。
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