(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染拡大により1月以降、政府の緊急事態宣言が断続的に発令され、個人消費の縮小など大きな打撃を受けました。その後も新型コロナウイルスワクチン接種の普及による社会経済の回復も期待されましたが、引き続き景気は厳しい状況で推移いたしました。
このような状況のもと、公営競技界におきましては、新型コロナウイルス感染拡大の影響により無観客開催や入場制限等の対応を行わざるを得ない状況となりましたが、レースは概ね日程どおり開催され、インターネット投票の牽引により好調な売上となりました。
この間、当社グループにおきましては、大井競馬、伊勢崎オートレースの無観客及び入場制限による開催、東京サマーランドの営業自粛や1日あたりの入場者数の制限を行うなど新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けましたが、SPAT4(南関東4競馬場在宅投票システム)他による勝馬投票券売上が引き続き順調に推移したことにより、前年度を上回る売上を確保いたしました。
その結果、第98期連結会計年度の業績につきましては、売上高は31,800百万円(前期比10.5%増)、営業利益は12,803百万円(同14.6%増)、経常利益は12,842百万円(同13.8%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は9,084百万円(同75.5%増)となりました。
なお、財政状態につきましては、資産合計は110,114百万円(同12.0%増)、負債合計は37,267百万円(同34.0%増)、純資産合計は72,846百万円(同3.3%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
[公営競技事業]
大井競馬におきましては、無観客を含め計98日開催され、浦和競馬、船橋競馬、川崎競馬の大井場外発売は新型コロナウイルス感染拡大の影響及び大井競馬場内の4号スタンドをワクチン集団接種会場として提供したため、休止となりました。
この間、SPAT4では、全国の地方競馬を14,524レース発売し、SPAT4のポイントサービスである「SPAT4プレミアムポイント」において様々なキャンペーンを展開したほか、南関東4競馬場公式ウェブサイト「nankankeiba.com」のリニューアルやSPAT4における決済銀行の追加などを実施し、新規顧客の獲得と利便性及びサービスの向上に努めました。
これらの取り組みの結果、12月29日に大井競馬場で行われた「第67回東京大賞典」競走では、1レースの勝馬投票券売上が69億円、同日の総売上が104億円を記録するなど、地方競馬における売上レコードをそれぞれ更新いたしました。
また、大井競馬場においては、今後の国際交流競走実施等を見据え、現行の右回りレースに加え、新たに左回りレースの実施を可能とするための各種設備を新設し、11月19日に初めての左回りレースとなる「Make New Way賞」が実施されました。
さらに、安全対策として放馬リスクに対応するための厩舎地区防護柵設置や再発防止に向けた訓練等を実施いたしました。
このほか、今季で4年目となるイルミネーションイベント「東京メガイルミ2021-2022」につきましては、これまでの広報活動や演出・イベント等の見直しと強化を行ったうえで、10月16日の営業開始以降、12月末時点に至るまでの入場人員は14万人を超え、過去最高を記録いたしました。
伊勢崎オートレースにおきましては、115日開催され、他場の場外発売は延べ272日実施されました。
この間、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、一時無観客開催となりましたが、勝車投票券売上については、インターネット投票の伸びにより堅調に推移いたしました。
このほか、オートレース場内に併設する場外勝馬投票券発売所「オフト伊勢崎」、「J-PLACE伊勢崎」につきましては、緊急事態宣言の発令に伴い、一時営業を休止いたしましたが、感染防止対策を徹底したうえで営業を再開いたしました。
以上の結果、公営競技事業の売上高は23,456百万円(前期比11.7%増)、セグメント利益は11,047百万円(同12.1%増)となりました。
[遊園地事業]
東京サマーランドにおきましては、園内整備等に伴う冬季休園期間を経て、3月1日より2021年度の営業開始予定でありましたが、新型コロナウイルス感染防止の観点から入場者数を制限し、3月26日の営業開始となりました。
この間、夏季期間における混雑の分散とお客様が安心・安全・快適に過ごせることを目的に、平日の入場料金をお得に設定したバリアブルプライシング(変動価格制)を導入したほか、屋外プールエリアに“リラックス&リゾート”をコンセプトとした新エリア「AOZORA PARK(アオゾラパーク)」をオープンするとともに、ドライブインシアターなどの各種イベントやテレビ番組制作会社への会場貸しの実施、レンタルカート事業者へ一部駐車場を賃貸するなど施設の有効活用と価値向上に努めました。
なお、東京サマーランドは整備改修工事のため9月30日をもって2021年度の営業を終了いたしました。
このほか、アウトドア複合施設「Wonderful Nature Village(わんダフルネイチャーヴィレッジ)」をはじめとした各施設におきましては、感染防止対策を徹底したうえで営業を行いました。
以上の結果、東京サマーランド及び各施設の入場人員は前期比16.5%増となる52万人となり、遊園地事業の売上高は1,752百万円(前期比29.8%増)、セグメント損失は427百万円(前期はセグメント損失982百万円)となりました。
[倉庫賃貸事業]
勝島地区において、昨年より建設を進めてまいりました免震構造を取り入れた新倉庫「5号倉庫」が8月末に竣工し、9月1日より稼働を開始いたしました。
また、5号倉庫の竣工稼働を契機に、京浜運河沿いの倉庫にライトアップを施した「東京倉庫ライトアップ―ヒカリノソウコ―」を展開し、運河の明るさや街の賑わいを創出することで勝島地区の活性化に貢献しております。
このほか、マルチテナント型倉庫内の大型エレベーター及び平和島地区倉庫の高圧受変電設備の改修工事を実施するなど、施設の利便性と安全性の向上に努めました。
以上の結果、倉庫賃貸事業の売上高は4,883百万円(前期比1.3%増)、セグメント利益は2,936百万円(同3.1%減)となりました。
[サービス事業]
オフィスビル「ウィラ大森ビル」、大井競馬場前ショッピングモール「ウィラ大井」において、安定的な収益確保に努めたほか、コイン洗車場「カーウォッシュ大井」では、サービスの拡充に努め、需要の高まりとともに利用者数が増加いたしました。
空調設備事業においては、新型コロナウイルス感染拡大の影響による工事の延期や中止が発生いたしましたが、その延期分を含め、12月竣工の案件が集中したことなどから、最終的な売上は前年を上回る形で推移いたしました。
以上の結果、サービス事業の売上高は2,038百万円(前期比3.8%増)、セグメント利益は433百万円(同2.3%減)となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、20,904百万円と前連結会計年度末に比べ5,743百万円(37.9%)の増加となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益13,111百万円、減価償却費4,257百万円などの増加要因に対し、法人税等の支払額4,470百万円などの減少要因により、14,366百万円の収入となり、前連結会計年度に比べ1,188百万円(9.0%)の収入増加となりました。この主な要因は、公営競技事業における在宅投票システム(SPAT4等)賃貸料収入が伸長したことによります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出10,235百万円、無形固定資産の取得による支出677百万円などにより、10,822百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ6,209百万円(134.6%)の支出増加となりました。この主な要因は、当期においてSPAT4システムの性能増強や、千葉県習志野市の物流用地の取得に伴い設備投資が増加したためであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の発行による収入9,943百万円に対し、自己株式の取得による支出5,017百万円、配当金の支払額1,706百万円、長期借入金の返済による支出1,000百万円などにより、2,199百万円の収入(前連結会計年度は2,578百万円の支出)となりました。この主な要因は、SPAT4の次期システムへの更新等に係る設備資金として、第4回無担保社債を発行したことによるものであります。
当連結会計年度の売上高等をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 主な相手先別の売上高に対する割合は次のとおりであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態の分析
当連結会計年度末における資産合計額は、110,114百万円と前連結会計年度末に比べ11,764百万円(12.0%)増加いたしました。
流動資産は30,547百万円と前連結会計年度末に比べ4,866百万円(18.9%)増加いたしました。これは、現金及び預金が6,493百万円増加したものの、受取手形及び営業未収入金が1,329百万円、有価証券が437百万円それぞれ減少したことが主な要因であります。
固定資産は79,566百万円と前連結会計年度末に比べ6,897百万円(9.5%)増加いたしました。有形固定資産については、新物流倉庫用地取得等により、前連結会計年度末に比べ7,075百万円(10.8%)増加いたしました。無形固定資産については、SPAT4の性能増強等により、前連結会計年度に比べ253百万円(10.0%)増加いたしました。投資その他の資産については、投資有価証券、長期立替金の減少等により、前連結会計年度末に比べ430百万円(9.1%)減少いたしました。
当連結会計年度末における負債合計額は、37,267百万円と前連結会計年度末に比べ9,452百万円(34.0%)増加いたしました。
流動負債は8,418百万円と前連結会計年度末に比べ508百万円(6.4%)増加いたしました。これは、未払消費税等が770百万円、未払法人税等が459百万円減少したものの、未払金が1,283百万円増加したことが主な要因であります。
固定負債は28,849百万円と前連結会計年度末に比べ8,944百万円(44.9%)増加いたしました。これは、長期借入金が1,000百万円減少したものの、社債の発行により10,000百万円増加したことが主な要因であります。
当連結会計年度末における純資産合計額は、72,846百万円と前連結会計年度末に比べ2,311百万円(3.3%)増加いたしました。これは、自己株式の取得5,017百万円、期末配当金及び中間配当金の支払により1,713百万円減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益9,084百万円の計上により、利益剰余金が7,371百万円増加したことが主な要因であります。
以上の結果、当連結会計年度末における自己資本比率は前連結会計年度末の71.7%から66.2%に下がり、1株当たり純資産額は前連結会計年度末の2,470.40円から2,657.32円に増加いたしました。
当連結会計年度の連結業績における売上高については、公営競技事業において、在宅投票システム(SPAT4)の売上が順調に推移していることなどにより増収となりました。この結果、売上高は31,800百万円と前連結会計年度に比べ3,011百万円(10.5%)増収となりました。
売上原価は、増収となった公営競技事業において、「SPAT4プレミアムポイント」のキャッシュバック費用や広告宣伝費に加え、SPAT4の性能増強に伴い減価償却費が増加したことにより、17,295百万円と前連結会計年度に比べ1,428百万円(9.0%)増加となりました。また、販売費及び一般管理費は1,701百万円で前連結会計年度に比べ48百万円(2.8%)減少となりました。この結果、営業利益は12,803百万円と前連結会計年度に比べ1,631百万円(14.6%)の増益となりました。
営業外収益については、雇用調整助成金等86百万円、受取配当金25百万円等を計上いたしました。また、営業外費用については、支払利息30百万円、社債発行費56百万円等を計上いたしました。この結果、経常利益は12,842百万円と前連結会計年度に比べ1,561百万円(13.8%)の増益となりました。
特別利益については、投資有価証券売却益219百万円等を計上いたしました。特別損失については、伊勢崎スイミング建替えに伴う固定資産除却損26百万円、同建替えに伴う固定資産撤去費用39百万円を計上いたしました。この結果、税金等調整前当期純利益は13,111百万円と前連結会計年度に比べ5,339百万円(68.7%)の増益となりました。
法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額の合計は4,026百万円と前連結会計年度に比べ1,430百万円(55.1%)増加いたしました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は9,084百万円と前連結会計年度に比べ3,909百万円(75.5%)の増益となりました。また、1株当たり当期純利益は前連結会計年度の181.24円から320.43円に増加いたしました。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資金需要のうち主なものは運転資金及び設備投資資金であります。
当社グループは事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針とし、自己資金のほか、必要に応じて金融機関からの借入れ及び社債の発行により資金調達を行っております。
なお、設備投資の概要及び重要な設備の新設に関する計画につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりであります。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
(注1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。
(注2)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しています。
(注3)有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利息を支払っているすべての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
当社グループは、2021年2月に策定・公表しております2021年12月期から2025年12月期までの5年間を計画期間とする「第3次中期経営計画~Galloping into the future~」において、売上高400億円、営業利益150億円、親会社株主に帰属する当期純利益100億円を最終年度の目標に掲げております。
同計画の初年度目である当連結会計年度の売上高は31,800百万円(前期比10.5%増)、営業利益12,803百万円(同14.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益9,084百万円(同75.5%増)となり、営業利益、親会社株主に帰属する当期純利益において、第3次中期経営計画で定めている当連結会計年度の業績目標をを上回る結果となりました。
なお、株主還元の方針につきましては、当社は安定性・継続性を踏まえ、安定配当を基本としており、原則的には金銭での配当による還元を行っております。
第3次中期経営計画の期間中は、年間配当金50円/株をベースラインとし、事業環境等を勘案のうえ、業績に応じて配当性向20%~30%を指針として利益還元を行ってまいります。
⑤ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(新型コロナウイルス感染症)
重要な会計方針及び新型コロナウイルスの影響につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
(繰延税金資産)
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
なお、繰延税金資産につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (税効果会計関係)」に記載しております。
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