当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
介護業界は高齢者の人口増加に伴い、要介護認定者数も増加の一途をたどる一方で、約800万人ともされる団塊の世代が75歳以上となる2025年においては、介護人材は37.7万人不足すると推計されています。政府は、深刻化する人手不足に対応するため、生産性向上や国内人材の確保のための取組みを行ってもなお人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野において、一定の専門性・技能を有する外国人材を受け入れる制度として、2019年4月に新たに創設した在留資格「特定技能」を施行しました。また、厚生労働省は、重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができる仕組み「地域包括ケアシステム」の構築を推進しております。
このような経営環境の下、当社は持続的な成長を続けていくため、当社の代表的なビジネスモデルである複合型介護施設の運営力と収益力の更なる強化を図るとともに、既存施設との連携をも視野に、自宅に居ながらにして施設並みのサポートを受けることができる、定期巡回・随時対応型訪問介護看護「そよ風定期巡回」の新規開設を進めております。また、深刻化する人手不足への対応や介護人材の確保・育成のため、当社100%子会社の「株式会社ユニマット スタッフカンパニー」による医療介護系有料職業紹介事業の活用や、ICT化の推進などによる業務の効率化、入社後の社員に対する教育研修体制の強化によるフォローの充実化を図るなど、働きやすい職場環境作りにも継続的に取組むとともに、外国人材の受け入れ態勢の整備にも取組んでおります。更に新たな事業展開として、2019年4月に食事宅配サービス「食のそよ風」、6月に介護保険デイサービスと保険外リハビリサービス、就労支援を組み合わせた同時一体施設「ウェルビスタ ケアスタジオ」、11月にがんや難病の看取りに特化した複合施設「西上尾ホスピスケアそよ風」、2020年1月に株式会社ユニマットプレシャスより、「ホテルアラマンダ青山」及び「アラマンダ・スパ青山クラブ」等の事業を譲受し運営を開始しました。今後も積極的に事業領域を拡大するための新たな事業の推進を図ってまいります。
当連結会計年度におきましては、2019年9月から10月に日本に上陸して各地に甚大な被害をもたらした台風15号及び19号と、第4四半期以降の新型コロナウイルス感染症の拡大による外出自粛等の影響により、主に飲食事業の需要が減少しましたが、主力事業である介護事業における影響は限定的であり、売上高は574億3千2百万円(前年同期比26億1千万円増)となりました。一方で、介護事業の人件費や広告宣伝費、修繕費、システム投資費用等が増加、また、飲食事業においても人件費、運搬配送費、工場の修繕費等が増加し、営業利益は30億7千1百万円(前年同期比4億7千4百万円減)、経常利益は24億4千万円(前年同期比5億2千9百万円減)、上記要因に加えて、当社および連結子会社が保有する一部の固定資産について減損損失を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は2億5千4百万円(前年同期比24億7千4百万円減)となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
[介護事業]
当連結会計年度において、介護サービス拠点は297拠点となり、提供するサービス事業所は623事業所(2020年3月末現在)となりました。新規事業の開始に伴う人件費や広告宣伝費等の初期投資費用、また、経年による既存施設における修繕費等が増加したものの、既存施設の稼働率及び入居率が向上したことに加えて、新規施設の開設に伴う売上が堅調に推移したことにより、売上高は501億1千1百万円(前年同期比24億6千万円増)、営業利益は51億8千8百万円(前年同期比6百万円増)となりました。
[飲食事業]
飲食事業をおこなう、連結子会社の株式会社ユニマットキャラバンの当連結会計年度においては、レストラン事業において2019年4月に新業態の「酒舗 らくだ」を新規開設し業容の拡大を図るとともに、2019年6月には株式会社ユニマットプレシャスより、新たに6店舗のレストランを譲受したことにより、売上高は、内部売上高を含めて71億3千万円(前年同期比2千8百万円増)となりました。一方で、販売戦略分析に基づいた購買・仕入による原価低減を図りましたが、人手不足等による人件費や運搬配送費の高騰や老朽化した工場の修繕費の増加、また、昨年日本に上陸して各地に甚大な被害をもたらした台風15号及び19号による飲食事業の一部店舗の休業等により発生した逸失利益に加えて、新型コロナウイルス感染拡大防止策としての外出自粛要請等の影響により、第4四半期以降は総じて厳しい結果となり、営業損失は7千9百万円(前年同期は6千8百万円の営業利益)となりました。
[その他の事業]
2020年1月に株式会社ユニマットプレシャスより譲受し運営を開始したプレミアムホテル「ホテルアラマンダ青山」及び、贅を尽くした設備で美と健康をトレーニングする「アラマンダ・スパ青山クラブ」によるフィットネス&スパ事業、不動産賃貸事業及び連結子会社による有料職業紹介事業などその他の事業の売上高は、内部売上高を含めて5億7千5百万円(前年同期比2億9千6百万円増)となりました。営業損失は1億3千7百万円(前年同期は5千5百万円の営業利益)となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ6億6千2百万円減少し、94億6千7百万円となりました。
当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は42億2千6百万円(前連結会計年度末は44億5千5百万円の収入)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益9億4千6百万円、減価償却費17億1千7百万円、減損損失14億6千万円、未払費用の増加額11億1千3百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は46億2千1百万円(前連結会計年度末は25億1千7百万円の支出)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出27億8千万円、定期預金の預入による支出10億円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は2億6千7百万円(前連結会計年度末は2億2百万円の収入)となりました。
キャッシュ・フロー指標のトレンド
※自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
1.各指標はいずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2.株式時価総額は、自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
3.キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを使用しております。
4.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を払っているすべての負債を対象にしております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
当社の役務または商品等の受注から完了または納品等までの所要時間が短いため、常に受注残高は僅少であり、期中の受注高と販売実績とがほぼ同額であるため記載を省略しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
経営成績の分析
当連結会計年度の売上高は、2019年9月から10月に日本に上陸して各地に甚大な被害をもたらした台風15号及び19号と、第4四半期以降の新型コロナウイルス感染症の拡大による外出自粛等の影響により、主に飲食事業の需要が減少しましたが、主力事業である介護事業における新型コロナウイルス感染症の影響は限定的であり、既存施設の稼働率及び入居率が向上したことに加えて、新規施設の開設に伴う売上が堅調に推移したことにより、574億3千2百万円(前年同期比26億1千万円増)となりました。
営業利益は、介護事業の人件費や広告宣伝費、修繕費、システム投資費用等が増加、また、飲食事業においても人件費、運搬配送費、工場の修繕費等が増加に伴い、30億7千1百万円(前年同期比4億7千4百万円減)となりました。
経常利益は24億4千万円(前年同期比5億2千9百万円減)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、当社および連結子会社が保有する一部の固定資産について減損損失を計上したことにより、2億5千4百万円(前年同期比24億7千4百万円減)となりました。
財政状態の分析
[資産]
当連結会計年度における流動資産は209億1千9百万円となり、前年同期比12億2千6百万円の増加となりました。これは主に受取手形及び売掛金、現金及び預金の増加によるものであります。
固定資産は349億4千2百万円となり、前年同期比1億4千3百万円の減少となりました。
[負債]
当連結会計年度末における流動負債は108億4千万円となり、前年同期比14億5千1百万円の減少となりました。
固定負債は284億4千1百万円となり、前年同期比24億8千6百万円の増加となりました。これは主に新規借入によるものであります。
[純資産]
当連結会計年度末における純資産は165億7千9百万円となり、前年同期比4千8百万円の増加となりました。
[総資産]
当連結会計年度末における総資産は558億6千1百万円となり、前年同期比10億8千2百万円の増加となりました。
[連結売上高]
連結売上高をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
[売上総利益]
連結売上原価は、453億8千6百万円となり、また、売上総利益率は21.0%となりました。
連結売上総利益をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 当社グループは施設毎に売上原価を管理している関係上、売上総利益を各品目別に把握しておりません。
[販売費及び一般管理費]
販売費及び一般管理費は、89億7千5百万円となりました。また売上高に対する割合は15.6%となりました。
キャッシュ・フローの状況分析
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入れのほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に新規介護施設及び店舗の設備、既存施設及び店舗の改修工事、システム導入費用であります。
運転資金及び設備資金につきましては、自己資金または借入金により資金調達することとしております。
短期の運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、大規模な設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金等の残高は197億5百万円となっております。
また、複数の金融機関との間で合計37億5千万円の当座貸越契約及び貸出コミットメントライン契約を締結しております。(借入実行残高7億5千万円、借入未実行残高30億円)
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般的に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成に当たりまして、連結決算日における資産及び負債の状況に基づき、将来の費用として発生が見込まれるものについては一般に合理的と認められる方法により、慎重に見積り判断をおこなっておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
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