業績

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの感染症拡大及び緊急事態宣言とまん延防止等重点措置の再発出が繰り返される中、自粛ムードが広がるも、ワクチン接種の進展とマスクをしながらの経済活動の再開により、サービス消費が回復に向かっております。

当社グループが属する情報サービス産業におきましては、AI、IoT、ビッグデータ、RPA(ロボティックプロセスオートメーション)等の技術を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネスモデルを通じて価値を創造し、競争上の優位性を確立する「デジタルトランスフォーメーション(DX)」への関心が高まっております。経済産業省が警鐘を鳴らした「2025年の崖」を受け、企業において老朽化、肥大化、複雑化及びブラックボックス化している自社の古い基幹業務システムを刷新する動きが活発化しております。また、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い社会のあり方が大きく変化し、ITを活用したテレワーク化やコミュニケーションツールを積極的に利用した働き方が常態化するなど、企業におけるIT活用の重要性が高まっており、IT投資は引き続き堅調に推移するものと考えられます。

このような環境のもと、当社グループは、中長期的な目標である「収益性の安定と向上」に向けて、積極的な投資による主力ソリューション強化の取り組みを継続するとともに、研究開発を通して新しい事業の芽を創出する活動として2020年度下期から「社内スタートアップ制度」を開始しております。また、製品別や顧客業種別に細分化されていた営業部門を集約し、主力ソリューションの販売先業種の拡大や既存顧客へのクロスセルの促進を図る取り組みを始めております。

 

企業のDX推進に寄与するサービスとして展開しているマイグレーションサービスにつきましては、自社開発の情報システム可視化ソリューション「REVERSE PLANET(リバースプラネット)」を中心とした「AAA(トリプルエー)」、「AIRS(エアーズ)」といった情報システム資産移行サービスの「安全・確実・低コスト」での提供に注力しております。その結果、当連結会計年度におきましては、外資系保険会社向けの大型案件やアライアンス先との協業案件が順調に進捗し、受注、売上及び利益ともに堅調に推移いたしました。

中堅・中小企業マーケットにおきましては、新型コロナウイルス感染症の影響が依然として続いております。しかしながら、基幹業務システム「スーパーカクテル」や生産管理システム「Factory-ONE 電脳工場」の導入・カスタマイズ案件、システム共通基盤「intra-mart(イントラマート)」を利用した基幹業務システム開発などは復調してまいりました。

地方自治体向けソリューションにつきましては、自社製品である確定申告受付支援システム「The 確定申告Ⅴ(ファイブ)」の販売が堅調に推移いたしました。また、政府の給付金事業に関連し、自社開発した給付金システム「The 給付」の販売・導入が進み、売上及び利益に貢献いたしました。

大手SIerからの受託開発事業につきましては、当社の得意分野にリソースを集中させることによる収益性の向上に取り組んでおり、当連結会計年度におきましては、官庁系システム開発を中心に受注、売上及び利益ともに堅調に推移いたしました。

また、2021年8月に東京本社、2022年3月に大阪本社の移転を実施いたしました。働き方改革を推進し、社員の安全安心を第一に、社員が働き場所を選べるよう、オフィスの分散化を行いました。社員が自宅から近いオフィスを選んで働けるようにすることで、通勤によるストレスの軽減、モチベーション向上を図り、テレワークと出社が共存するハイブリッド勤務を進めています。

 

以上の結果、当連結会計年度の売上高は、前期に比べ7億6百万円(3.6%)増収204億58百万円となりました。利益面につきましては、増収効果に加えて売上総利益率の改善や販売費及び一般管理費の減少により営業利益は前期に比べ4億67百万円増加12億97百万円、売上高営業利益率は前期に比べて2.1ポイント上昇し6.3%となりました。経常利益は前期に比べ4億49百万円増加14億8百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は特別損失として事務所移転費用1億96百万円を計上したこと及び税金費用が増加したことにより前期に比べ1億88百万円増加9億78百万円となりました。

なお、2022年3月28日付「連結子会社の異動(株式譲渡) に関するお知らせ」のとおり、2022年3月31日付で当社が保有していた株式会社フューチャー・コミュニケーションズの全株を譲渡したことにより、同社は当社の連結子会社から除外されることとなりましたが、当連結会計年度につきましては損益計算書のみ連結しております。

また、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等の適用により、売上高は30百万円増加し、営業利益及び経常利益はそれぞれ16百万円増加しております。

 

当連結会計年度の品分類別の概況は次のとおりであります。

 

<システム開発>

パッケージカストマイズ売上は前年に比べ減少したものの、中堅・中小企業向けの業務アプリケーション開発売上が増加いたしました。その結果、システム開発売上高は、77億71百万円(前期はシステム開発売上高76億6百万円)となりました。

 

<サービス>

運用支援サービス等の売上が前期に比べ減少したものの、パッケージ導入サービスやパッケージ利用料等の顧客支援サービスの売上が増加いたしました。その結果、サービス売上高は、101億44百万円(前期はサービス売上高92億5百万円)となりました。

 

<システム機器等販売>

ネットワーク関連機器は増加したものの、パソコン等の販売が前年に比べ減少いたしました。その結果、システム機器等販売売上高は、25億42百万円(前期はシステム機器等販売売上高29億39百万円)となりました。

 

(資産)

当連結会計年度末における総資産は176億95百万円となり、前連結会計年度末に比べ8億47百万円増加いたしました。流動資産は146億75百万円となり、5億89百万円増加いたしました。主な要因は、現金及び預金の増加(11億16百万円)、前連結会計年度の受取手形及び売掛金、電子記録債権の合計額と当連結会計年度の受取手形、電子記録債権、売掛金、契約資産を合計した額を比較した際の減少(3億31百万円)、仕掛品の減少(1億85百万円)等であります。固定資産は30億19百万円となり、2億57百万円増加いたしました。主な要因は、有形固定資産の増加(1億48百万円)繰延税金資産の増加(97百万円)等であります。

 

(負債)

当連結会計年度末における負債合計は75億69百万円となり、前連結会計年度末に比べ52百万円増加いたしました。流動負債は41億60百万円となり、2億29百万円増加いたしました。主な要因は、未払金の増加(2億50百万円)賞与引当金の増加(1億23百万円)支払手形及び買掛金の減少(72百万円)等であります。固定負債は34億8百万円となり、1億76百万円減少いたしました。主な要因は、退職給付に係る負債の減少(1億42百万円)等であります。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産合計は101億26百万円となり、前連結会計年度末に比べ7億94百万円増加いたしました。主な要因は、利益剰余金の増加(7億58百万円)退職給付に係る調整累計額の増加(1億8百万円)自己株式の増加(1億5百万円)等であります。

なお、自己資本比率は、前連結会計年度末の55.4%から57.2%となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ11億16百万円増加し、92億95百万円となりました。

なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は15億67百万円(前連結会計年度は2億50百万円の収入)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益の計上(12億20百万円)減価償却費の計上(3億1百万円)未払金の増加(1億66百万円)賞与引当金の増加(1億23百万円)等による収入に対して、法人税等の支払(2億30百万円)等の支出によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は63百万円(前連結会計年度は1億3百万円の支出)となりました。主な要因は、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入(2億38百万円)有価証券及び投資有価証券の償還による収入(1億円)等による収入に対して、無形固定資産の取得(1億67百万円)有形固定資産の取得(1億49百万円)資産除去債務の履行による支出(72百万円)等の支出によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は4億3百万円(前連結会計年度は12億76百万円の支出)となりました。主な要因は、短期借入金の純増減額(50百万円)等による収入に対して、配当金の支払(2億51百万円)自己株式の取得(1億14百万円)リース債務の返済(77百万円)等の支出によるものであります。

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績を品分類別に示すと、次のとおりであります。

 

品分類

生産高(千円)

前期比(%)

システム開発

 

7,612,542

0.7

サービス

サービス

9,297,329

10.5

ハード保守

743,937

△5.0

小計

10,041,266

9.2

合計

17,653,808

5.4

 

(注) 金額は、販売価格によっております。

 

b. 受注実績

当連結会計年度における受注実績を品分類別に示すと、次のとおりであります。

 

品分類

受注高
(千円)

前期比
(%)

受注残高
(千円)

前期比
(%)

システム開発

 

8,304,988

8.8

2,099,370

34.1

サービス

サービス

9,288,228

8.2

1,511,480

△6.9

ハード保守

734,163

△7.3

1,617

△85.8

小計

10,022,392

6.9

1,513,098

△7.5

システム機器等販売

3,136,674

13.6

1,097,512

118.0

合計

21,464,055

8.6

4,709,981

27.2

 

 

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績を品分類別に示すと、次のとおりであります。

 

品分類

販売高(千円)

前期比(%)

システム開発

 

7,771,479

2.2

サービス

サービス

9,400,335

11.6

ハード保守

743,937

△5.0

小計

10,144,272

10.2

システム機器等販売

2,542,579

△13.5

合計

20,458,330

3.6

 

 

(注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

日本電気株式会社

3,289,632

16.7

3,389,366

16.6

 

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりましては、経営者の判断に基づく会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の計上及び開示に影響を与える見積りが必要となります。これらの見積り及び判断につきましては、過去の実績及び状況等から合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は見積りと異なる可能性があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。また、当社グループの連結財務諸表で採用する見積りにおける新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(追加情報)」に記載しております。

 

② 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(売上高及び営業利益)

当連結会計年度における当社グループの売上高は、前期比7億6百万円増収204億58百万円、営業利益は前期比4億67百万円増益12億97百万円となり、「増収増益」となりました。

この営業利益につきまして、前期からの変動要因を分析いたしますと、売上高増加に伴う利益増が1億82百万円、売上総利益率改善による利益増が2億20百万円、販売費及び一般管理費の減少による利益増が63百万円であります。

売上高につきましては、可視化ソリューションやマイグレーションサービスなどの当社の主力ソリューションが堅調に推移し、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けていた中堅・中小企業マーケットやホテル・飲食業向けなども復調傾向となりました。

売上総利益率につきましては、PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)によるプロジェクト損失を最小限に抑えるための様々な活動が効果を発揮しており、新たな大型の不採算プロジェクトの発生や中・小型プロジェクトにおけるプロジェクト損失を抑え、利益率が改善いたしました。その結果、売上総利益率は前期に比べ1.0ポイント改善し26.9%となりました。

販売費及び一般管理費につきましては、主に製造部門への要員シフトにより前期に比べ減少し、販管費率は前期に比べ1.1ポイント改善の20.6%となりました。

上記の結果、売上高営業利益率は前期に比べ2.1ポイント改善し6.3%となりました。2018年度(2019年3月期)からスタートした前中期経営計画より取り組んできた「筋肉質化・高収益率化」をまた一歩進めることができたと認識しております。今後につきましては、中長期的な目標である売上高営業利益率7%の達成に向けて、引き続きプロジェクト損失のさらなる抑制及び収益性の改善に向けた施策を実施してまいります。

 

(営業外損益及び経常利益)

営業外収益は前期比9百万円減少の1億29百万円となりました。また、営業外費用は前期比7百万円増加の17百万円となりました。

その結果、経常利益は前期比4億49百万円増加の14億8百万円となりました。

 

 

(特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益)

特別利益は、連結子会社であった株式会社フューチャー・コミュニケーションズの株式譲渡に伴い関係会社株式売却益13百万円が発生いたしました。(前期は特別利益の発生はありませんでした。)また、特別損失につきましては、2021年8月の東京本社事務所移転及び2022年3月の大阪本社事務所移転に伴い事務所移転費用1億96百万円が発生するなど合計2億1百万円を計上し、前期比1億96百万円の増加となりました。

法人税等は、主に税金等調整前当期純利益の増加に伴い法人税、住民税及び事業税が増加したことにより、前期比78百万円増加の2億41百万円となりました。

その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比1億88百万円増加の9億78百万円となりました。

 

(財政状態)

当連結会計年度末における当社グループの財政状態の分析につきましては「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。

 

(キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報)

当社グループの主要な資金需要は、ソフトウエア開発及びサービス提供のための労務費、外注費、経費、販売用ハードウエア等の仕入、販売費及び一般管理費等の営業費用、並びに市場販売目的ソフトウエアの改良・強化にかかる投資等であります。これらの資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金で賄うことを基本方針としております。今後も棚卸資産の削減、受注の増大及び売掛金の早期回収等により営業活動によるキャッシュ・フローの拡大を図ってまいります。

当連結会計年度におきましては、堅調な業績により営業活動によるキャッシュ・フローが大きくプラスとなったことから、当連結会計年度末における当社グループの現金及び現金同等物の残高は92億95百万円と、前期末比11億16百万円増加いたしました。

資金の流動性につきましては、新型コロナウイルス感染症やロシアによるウクライナ侵攻などの影響により先行きに不透明感が強まっているものの、この十分な現金及び現金同等物により、季節的な資金需要の変動、事業環境リスク等を考慮した上で、通年にわたり流動性を確保しているものと認識しております。

なお、キャッシュ・フローの状況の詳細につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

キャッシュ・フロー指標のトレンドは次のとおりであります。

 

第52期
2018年3月

第53期
2019年3月

第54期
2020年3月

第55期
2021年3月

第56期
2022年3月

自己資本比率(%)

57.6

51.9

54.1

55.4

57.2

時価ベースの自己資本比率(%)

47.1

56.0

44.0

48.8

45.7

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(倍)

1.1

0.2

0.0

0.8

0.1

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

113.0

807.0

3,037.2

289.0

1,613.6

 

(注)自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数(自己株式控除後)により計算しております。

3.営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

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