研究開発活動

 

5 【研究開発活動】

当社グループの当連結会計年度における研究開発活動は、攻めのIT(企業価値向上)分野として、アナリティクス領域であるテキストマイニングとコグニティブ領域であるAI(人工知能)の研究、利用の普及が進むクラウドに関する研究、近年注目されているノーコード/ローコード開発の研究に取り組みました。また、マイグレーションにおける対象言語の拡大に関する研究についても取り組みを実施しております。さらに、昨年度に開始した社内スタートアップ制度を当年度も継続し、新しいビジネスの創出を目指しております。その概要は次のとおりであります。

なお、当連結会計年度の研究開発費は136,147千円であります。 

 

(1)アナリティクス及びコグニティブ領域に関する研究

アナリティクス及びコグニティブ領域において、音声や画像に代表される非構造化データに含まれる情報の重要度は益々大きくなっており、一定の情報量を収集するための手順の確立や収集に関わる作業の効率化は、当社が提供するSI開発、プロダクト及びサービスの提供においても重要なテーマとなりつつあります。

当社は、以前からIBM Watson、並びに、IBM Watson Explorerを活用したソリューションモデルの研究を行っており、これを活用したPOC(概念検証)環境提供サービスを展開しています。音声認識や音声変換、画像認識においても、IBM Watsonが提供するAPIを活用することで、POC環境やソリューションモデルとのシームレスな情報連携と一貫した技術サポートの提供が可能となり、また、当社の提供するSI開発、プロダクト及びサービスの提供においても、その技術・ノウハウが有効活用できると考えています

当年度、当社は、大阪狭山市と「AI窓口ナビゲーション実証実験に係る協定」を締結し、市役所の窓口案内の利便性向上を目的に、これまで当社が蓄積した「音声認識」、「音声変換」、「チャットボット」、「質問応答(Q&A)」等のAI技術を活用した「AI窓口ナビゲーション」の実用性の検証を行っております。

次年度においては、当年度の研究を更に進め、製品化、及び、案件獲得活用につなげる予定です。

※IBM Watsonは、世界の多くの国で登録されたInternational Business Machines Corp.の商標です。

 

(2) クラウドに関する研究

お客様がDXを推進するにあたり必須となっているクラウドの活用については、システムを素早く、低コストで導入し、柔軟に拡張できることが必要であり、そのための技術はインフラ化のIaaS(Infrastructure as a Service)/PaaS(Platform as a Service)と呼ばれる技術と、クラウド上で提供されるサービスをフル活用してシステムを開発し提供するクラウドネイティブ技術の大きく2つに分けられます。

当社では以前からクラウドタスクチームを立ち上げ技術力習得に取り組んでおり、特にIaaS/PaaS関連技術については実績も増え技術力を向上させております。そのような中で、当年度はIaaS/PaaSの実案件をさらに実践することで、より高いレベルの技術習得を進めるとともに、クラウドのメリットを最大限に活用するためのクラウドネイティブなシステム構築を試行し、お客様により有効にクラウドを活用していただけるように研究開発に取り組みました。

まず、IaaS/PaaSへの取り組みとしましては、これまで構築したクラウド構成よりもさらに規模の大きな、10,000人以上の利用者を想定した負荷分散や冗長構成を組むクラウド構成を構築しました。この案件をはじめとして、いくつかの構築を実践することにより技術をさらに磨き上げ、クラウド普及の進む現状において、お客様のクラウドを利用した価値向上に対応できるよう取り組みを継続しております。さらに、当社が提供するパッケージをクラウド環境で動作させるためのクラウドテンプレートの準備も行っており、必要な環境を素早くご提供できるように取り組んでおります。

そして、クラウドネイティブへの取り組みとしましては、実存するようなシステムを想定し、クラウドサービスを活用した開発をすることで、より実践に必要となる技術を身に付けるとともに、クラウドネイティブをお客様のシステムでどのように活用するのが適切であるかも確認しながらすすめております。

次年度は、さらなる技術のレベルアップや技術の標準化、技術者の育成などに取り組む予定であり、お客様のDX推進に役立つクラウド活用をご提供できるように継続してまいります。

 

 

(3) ノーコード/ローコード開発の研究

ビジネス環境の変化が加速し、よりタイムリーに柔軟で迅速な対応が求められる時代に、高速開発手法であるノーコード/ローコード開発に注目が集められています。ノーコード/ローコード開発のツールは非常に種類が多く、それぞれが特長を持っており、機能、使用方法、環境、運用など千差万別の状況です。当社でもいくつかのローコード開発ツールを選定し、試行から実践での活用を進めております。

当年度は、システム開発におきまして、マスタ保守機能やデータ移行機能などの簡易なものをローコード開発ツールで構築することを実践しました。これにより、ツールの特性を理解した上で適切な部分に活用すれば、迅速な開発ができることが確認できました。また、当社が提供するパッケージと連携するような機能についても、ローコード開発ツールを活用してサンプルアプリケーションをいくつか開発することができ、パッケージの周辺で必要となるシステムを素早く開発することにも有効性があると考えております。

次年度以降は、システム開発事業でローコード開発をうまく取り入れるとともに、当社が提供するパッケージと連携するような機能においてもローコード開発を適用することで、お客様の多様なニーズに素早く応えられるよう進めてまいります。

 

(4) マイグレーションに関する研究

マイグレーションとは、既存のアプリケーションを再利用して新たなプラットフォームへ移行する手法を指しています。他の移行方法と比較すると、既存のビジネスロジックを踏襲できるため、システムの完成度も既存システムと同等に保てることが最大の利点となります。当社のマイグレーションの特長は、当社独自の可視化技術により解析したリポジトリを用いることで、アプリケーション全てを対象にライン毎の命令やデータ項目から同一構文を機械的に集約できることです。

マイグレーションに関する研究活動として、以前から進めている「マイグレーションにおける品質の均一化、生産性の向上の取り組み」を継続しています。

当年度においては要件定義工程をターゲットにツールの強化に継続して取り組み、品質と生産性のさらなる向上を図ることができました。

さらに、マイグレーション対象範囲拡大に向けて、IBMiのRPG言語をJava言語へマイグレーションする研究開発を実施し、実現可能であることが確認できましたので、今後は製品化に向けた取り組みをしてまいります。

次年度以降も「マイグレーションにおける品質の均一化、生産性の向上の取り組み」を継続し、コストの抑制に貢献できるマイグレーションサービスをお客様に提供できるようにするとともに、お客様のニーズに対応できるようなマイグレーション対象範囲の拡大についても研究・開発を進めていく予定であります。

 

(5) 社内スタートアップ制度

前年度から社内スタートアップ制度を開始しました。社内スタートアップ制度とは、社内で広く新たなビジネスの種を募集し、社内で採否を審査して採用された場合は会社としてバックアップを行い、研究開発をすすめていくものであります。

当年度は、1年間で26件の申請があり、うち17件が採用されて研究開発を実施しました。例えば、RFIDの活用、電子署名の活用、非接触型来客受付、マイグレーションサービス、VRコンテンツ、などに取り組みました。その中から実際にユーザ先での実証実験を実施したもの、製品化につなげて販売を準備しているものなど成果は出ております。

次年度も、さらに積極的なスタートアップ申請を促し、研究開発から新たなビジネスへと繋げる取り組みを継続していく予定です。また、このような取り組みにより社内で新しいことを考えチャレンジしようとする風土を根付かせ、社員の意識改革・活性化を図り、成長し続ける会社を目指してまいります。

 

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