業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1) 経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

(単位:百万円)

 

令和3年1月

令和4年1月

増減

資産の部

5,620

5,052

△568

負債の部

3,152

3,076

△76

純資産の部

2,468

1,976

△492

 

 

当事業年度末における総資産は、前事業年度末と比べ568百万円減少し5,052百万円となりました。流動資産は、384百万円減少の3,488百万円、固定資産は184百万円減少の1,564百万円となりました。

流動資産の減少の主な要因は、現金及び預金が343百万円減少したことによるものです。

固定資産の減少の主な要因は、投資有価証券が128百万円減少したことによるものです。

当事業年度末における負債合計は、前事業年度末と比べ76百万円減少し、3,076百万円となりました。流動負債は29百万円増加し257百万円、固定負債は106百万円減少し2,819百万円となりました。

流動負債の増加の主な要因は、未払金が13百万円減少した一方で、買掛金が12百万円及び前受金が12百万円並びに未払消費税等が16百万円増加したことによるものです。

固定負債の減少の主な要因は、長期前受収益が73百万円減少したことによるものです。

当事業年度末における純資産は、前事業年度末と比べ492百万円減少し、1,976百万円となりました。この減少の主な要因は、繰越利益剰余金が476百万円減少したことによるものです。

 

(単位:百万円)

 

売上高

営業損失(△)

経常損失(△)

当期純損失(△)

令和4年1月

913

△907

△461

△476

令和3年1月

760

△1,154

△913

△930

増減

(増減率%)

153

(20.2)

247

(―)

452

(―)

453

(―)

 

 

当事業年度におけるわが国経済は、昨年度に引続き、新型コロナウイルス感染症拡大による経済活動の停滞により、極めて深刻な事態が続きました。今年度は、特に、緊急事態宣言等による行動規制が長期化し、製造業は大半が増益基調になったものの、非製造業、特に飲食、サービス、宿泊、輸送、観光業などは、未だ回復の目途が立たず、企業業績は二極化しております。

飲食業界におきましても、令和3 年秋にデルタ株が収束し行動規制が解除され、一時的に回復基調となりましたが、令和4年初頭より感染力の強いオミクロン株が急速に拡大し、まん延防止等重点措置の発出による営業時間や酒類提供の規制などから再び厳しい経営環境となりました。

 このような情勢下、当社といたしましては、従来から一貫して、お客様、従業員、関係者の安全確保を最優先課題に位置づけ、感染防止対策を徹底し、政府、東京都、台東区からの協力要請を厳格に順守して参りました。令和3年7月から9月には、台東区の要請をうけ、当社施設をワクチン集団接種会場に提供いたしました。

また、売上が低迷する中、効率的な人員配置やコスト削減、スクラップ&ビルドの推進、各種協力金や助成金の活用など、可能な限り、収益の改善に努めて参りました。

 

しかしながら、長期にわたる営業制限、当社店舗が集中する上野公園の大幅な来園者数減少、多人数による集団会食や宴会への警戒感などから、売上の回復には至らず、引続き、業績は低迷いたしました。

その結果、当事業年度の売上高は913百万円(前年同期比20.2%増)となりました。営業損失は907百万円(前年同期は営業損失1,154百万円)、経常損失は461百万円(前年同期は経常損失913百万円)、当期純損失は476百万円(前年同期は当期純損失930百万円)となりました。

 

又、セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。

 

(飲食業)

(単位:百万円)

 

前期

当期

増減

増減率(%)

売上高

638

790

153

24.0

セグメント損失(△)

△1,244

△1,000

244

 

 

当飲食業におきましては、上記の理由により、当事業年度のレストラン部門の売上高は614百万円(前年同期比34.4%増)、宴会他部門の売上高は176百万円(前年同期比2.3%減)、飲食業全体の売上高は790百万円(前年同期比24.0%増)、セグメント損失1,000百万円(前年同期はセグメント損失1,244百万円)となりました。

 

(賃貸業)

(単位:百万円)

 

前期

当期

増減

増減率(%)

売上高

123

123

0.4

0.3

セグメント利益

91

93

2

2.7

 

 

当賃貸業におきましては、安定的な賃貸収入の確保に努めております。この結果、当事業年度の売上高は123百万円(前年同期比0.3%増)、セグメント利益93百万円(前年同期比2.7%増)となりました。

 

 

② キャッシュ・フローの状況

(単位:百万円)

 

令和3年1月

令和4年1月

増減

営業活動によるキャッシュ・フロー

△1,121

△351

771

投資活動によるキャッシュ・フロー

847

420

△427

財務活動によるキャッシュ・フロー

△14

△2

12

現金及び現金同等物の期首残高

598

309

△289

現金及び現金同等物の期末残高

309

377

67

 

 

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、377百万円となり前事業年度末と比べ67百万円の増加となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、使用した資金は、351百万円(前年同期は1,121百万円の使用)となりました。この主な要因は、税引前当期純損失の計上475百万円、未収消費税等の減少額114百万円であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、得られた資金は、420百万円(前年同期は847百万円の獲得)となりました。この主な要因は、定期預金の預入による支出3,498百万円、定期預金の払戻による収入3,908百万円であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、使用した資金は、2百万円(前年同期は14百万円の使用)となりました。この主な要因は、その他2百万円であります。

 

(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

平成30年1月

平成31年1月

令和2年1月

令和3年1月

令和4年1月

自己資本比率

75.1

50.6

51.1

43.9

39.1

時価ベースの自己資本比率

65.9

36.6

45.3

38.4

39.1

キャッシュ・フロー対有利子負債比率

インタレスト・カバレッジ・レシオ

 

(注)自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額(期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後))/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

 

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績
a. 収容能力及び収容実績

当事業年度の収容能力(生産能力)と収容実績は次のとおりであります。

 

営業店

第158期

(自 令和3年2月1日

至 令和4年1月31日)

収容能力(人)

収容実績(人)

利用率(%)

前年同期比(%)

上野

 

 

 

 

 宴会

362,000

15,113

4

91.5

 レストラン

80,364

55,281

69

127.9

科学博物館

 

 

 

 

 レストラン

54,720

157,251

287

240.0

東京都美術館

 

 

 

 

 レストラン

130,872

92,189

70

213.0

3153

 

 

 

 

 レストラン

15,008

9,600

64

35.3

浅草

 

 

 

 

 宴会

29,190

119

0

15.7

 レストラン

19,182

13,050

68

106.7

東京文化会館

 

 

 

 

 レストラン

51,042

55,004

108

189.7

その他のレストラン

43,638

37,908

87

82.4

 

(注) 1 収容能力(人)は、各営業店とも客席数に営業日数を乗じて算出しております。

2 利用率(%)は、収容実績(人)を収容能力(人)で除して算出しております。

3 前年同期比(%)は、収容実績(人)の対前年同期比を示しております。

4 3153店は、令和3年7月31日に閉店いたしました。

 

 

b. 受注実績

当社の事業の性格上、受注実績は販売実績と同額のため記載を省略しております。

 

 

c. 販売実績

(イ) セグメント別販売実績

当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

第158期

(自 令和3年2月1日

至 令和4年1月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

1.飲食業

 

 

 レストラン

614,113

134.4

 宴会他

176,290

97.7

 飲食業 計

790,403

124.0

2.賃貸業

123,092

100.3

合計

913,495

120.2

 

(注) 1.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合

 

相手先

前事業年度

当事業年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

三井不動産㈱

105,068

13.8

105,095

11.5

 

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

(ロ) 営業店別販売実績

当事業年度の販売実績を営業店別に示すと次のとおりであります。

営業店

第158期

(自 令和3年2月1日

至 令和4年1月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

本社

123,477

100.2

上野

335,718

108.1

科学博物館

118,559

261.3

東京都美術館

129,179

226.6

3153

21,746

31.1

浅草

13,781

89.6

東京文化会館

84,399

195.0

松屋

60,819

138.4

東京大学附属病院

15,229

49.0

大岡山

10,588

51.8

合計

913,495

120.2

 

(注) 1 3153店は、令和3年7月31日に閉店いたしました。

   2 上記金額には消費税等は含まれておりません。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は、以下のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営成績等

a.経営成績の状況

(売上高)

売上高は、913百万円(前年同期比20.2%増)となりました。この主な要因は、安定した不動産収入が堅調に推移したことや、 一時的にデルタ株が収束し回復基調となり、 レストラン部門の売上高が157百万円増加したことによるものです。

(売上総利益)

売上総利益は、261百万円(前年同期比135.8%増)となりました。この主な要因は、売上高増加によるものです。

(販売費及び一般管理費、営業損失)

販売費及び一般管理費は、1,168百万円(前年同期比7.6%減)となりました。この主な要因は、まん延防止等重点措置の発出による営業時間短縮等、臨時雇用者を確保する必要性が低下したことに加え効率的な人員配置をおこなったことで、人件費が99百万円減少したことによるものです。その結果、営業損失は907百万円(前年同期は営業損失1,154百万円)となりました。

(営業外収益、営業外費用、経常損失)

営業外収益は、453百万円となりました(前年同期は営業外収益246百万円)。この主な要因は、雇用調整助成金等が202百万円増加したことによるものです。営業外費用は、7百万円となりました(前年同期は営業外費用5百万円)。この主な要因は、地代家賃が7百万円増加したことによるものです。その結果、経常損失は461百万円(前年同期は経常損失913百万円)となりました。

(特別利益、特別損失、税引前当期純損失)

特別利益は、資産除去債務履行差額の計上より3百万円となりました(前年同期は特別利益無し)。特別損失は、17百万円となりました。この主な要因は、減損損失が13百万円増加したことによるものです。その結果、上記の経常損失及び特別利益並びに特別損失の計上で、税引前当期純損失は475百万円(前年同期は税引前当期純損失913百万円)となりました。

(当期純損失)

法人税、住民税及び事業税1百万円(前年同期は1百万円)、法人税等還付税額は零(前年同期は△12百万円)、法人税等調整額は零(前年同期は27百万円)を加えた法人税等合計は1百万円(前年同期は16百万円)となり、その結果、上記の税引前当期純損失の計上で、当期純損失は476百万円(前年同期は当期純損失930百万円)となりました。

 

 

又、飲食業の売上高及びセグメント利益又は損失(△)並びに来客数を時系列に示すと、次のとおりであります。

なお、当事業年度の賃貸業につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

セグメントの名称

第1四半期

第2四半期

第3四半期

当事業年度

(累計期間)

金額
(千円)

前年同期比(%)

金額
(千円)

前年同期比(%)

金額
(千円)

前年同期比(%)

金額
(千円)

前年同期比(%)

1.飲食業

 

 

 

 

 

 

 

 

売上高

 

 

 

 

 

 

 

 

レストラン

132,993

88.9

215,766

106.7

384,651

110.8

614,113

134.4

宴会他

25,576

25.2

57,378

46.0

95,116

63.8

176,290

97.7

売上高計

158,569

63.2

273,144

83.6

479,767

96.7

790,403

124.0

セグメント損失(△)

△281,539

△576,921

△808,964

△999,974

 

(注) 上記金額には消費税等は含まれておりません。

 

セグメントの名称

第1四半期

第2四半期

第3四半期

当事業年度

(累計期間)

収容実績(人)

前年同期比(%)

収容実績(人)

前年同期比(%)

収容実績(人)

前年同期比(%)

収容実績(人)

前年同期比(%)

1.飲食業

 

 

 

 

 

 

 

 

レストラン

87,167

102.1

148,996

128.9

274,891

136.6

418,797

159.7

宴会他

3,063

25.2

5,562

38.1

8,532

47.4

16,718

77.5

飲食業計

90,230

92.5

154,558

118.8

283,423

129.3

435,515

153.5

 

(注) 1 収容能力(人)は、各営業店とも客席数に営業日数を乗じて算出しております。

2 前年同期比(%)は、収容実績(人)の対前年同期比を示しております。

 

飲食部門の売上高・利益及び収容実績は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う緊急事態宣言等の発出による影響が極めて大きく、当社の店舗が集中する上野公園内の大幅な来園者数の減少や多人数による宴会への警戒感などから低調に推移しました。

 

b.キャッシュ・フローの状況

当事業年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

 

③ 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社の経営成績に重要な影響を与える要因として、将来的な人口減少や高齢化による食需要の減少、飲食市場が縮小し、業界内競争が激化することが予想されていることや、今般の新型コロナウイルス感染症や平成23年の東日本大震災などのような突発的、偶発的な売上低下要因が発生した場合は、経営成績に重要な影響を与える可能性があります。

その他の経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社の運転資金需要のうち主なものは、原材料の購入費用及び労務費のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。

当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

運転資金及び設備投資資金については、原則として自己資金で賄うこととしております。今後も所要資金は「営業活動によるキャッシュ・フロー」を源泉に自己資金調達を原則とする方針であります。尚、現在検討しております上野店の大規模リニューアル等、多額の設備投資資金が必要となった場合には、必要資金の性格に応じて金融機関からの借入、所有資産の売却も検討する可能性があります。

 

⑤ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗状況

当社は、中期経営計画147において、令和6年度以降の売上高3,700百万円以上及び経常利益200百万円以上を、目指すべき指標として公表いたしました。しかしながら、今般の新型コロナ影響を踏まえ、アフターコロナを見据えた指標の見直しを行う可能性がございます。現在、令和4年度業績予想も未定としておりますが、収束状況等今後の動向を踏まえ、検討していく予定でございます。

当事業年度における売上高は913百万円となり、前年度に比べ、153百万円(20.2%増)の増収となりました。経常損失は、461百万円となり、前年度に比べ、452百万円(前年同期は経常損失913百万円)改善となりました。営業力の強化、業務の効率化によるコスト削減、人材の育成等を推進し、引き続き当該指標の改善に努めていく所存でありますと共に、新型コロナウイルス感染症による政府の方針に沿った感染防止対策を進めて参ります。

 

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