業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

(経営成績の状況)

当連結会計年度(2021年4月1日~2022年3月31日)の日本経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にあるなか、企業収益や個人消費などで持ち直しの動きが見られました。また、感染対策に万全を期し、経済社会活動が正常化に向かうなかで、国内外の感染症の動向による経済の下振れリスクや金融資本市場の変動、国際情勢の不透明感の高まりや原材料価格上昇の影響などにも留意が必要な状況が続きました。

このような状況において、当社グループは、「安全・安心・快適・便利」な社会を実現する「社会システム産業」の構築をめざすなかで策定した「セコムグループ2030年ビジョン」、また、その実現に向けて今何をすべきかを明確化した「セコムグループ ロードマップ2022」への取り組みを積極的に展開しております。

2021年7月から9月にかけて開催された「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」では「オフィシャルパートナー(セキュリティサービス&プランニング)」として協賛し、競技会場や関連施設の警備を実施することで、大会の「安全・安心」な開催に貢献しました。また、2022年1月には、深刻な人手不足と高まるセキュリティニーズに対応するため、世界初となる、AIを活用し警戒監視や受付業務などを行う「バーチャル警備システム」を販売開始したほか、商業施設やオフィスビルなどさまざまな場所に調和しながらAI・5Gなどの最先端技術を活用して警備業務を行うセキュリティロボット「cocobo(ココボ)」の販売を開始しました。さらに、2月には、「Apple Watch」や「iPhone」を使ってより快適に、より楽しく、「セコム・ホームセキュリティ」を使用できる「SECOM カンタービレ」アプリを提供開始するなど、当連結会計年度も様々な取り組みを通じて、ますます多様化・高度化するお客様の安心ニーズに対し、きめ細やかな切れ目のないサービスを提供することに努めました。

なお、2020年12月に当社の連結子会社でありましたセコムホームライフ株式会社(以下、「セコムホームライフ」という。)の発行済株式の全てを譲渡し、連結の範囲から除外したことから、当連結会計年度より、セグメント名称をこれまでの「不動産・その他の事業」から「その他事業」へ変更いたしました。この変更によるセグメントの区分に変更はありません。

また、当連結会計年度から、より適切な情報を提供するため事業内容の類似性および関連性の観点からセグメント区分の見直しを行い、従来「セキュリティサービス事業」に含めておりました一部の事業を「BPO・ICT事業」および「その他事業」に変更しており、前期比較にあたっては、変更後の区分により作成したものを記載し、分析を行っております。

 

セグメントごとの業績につきましては、次のとおりであります。

セキュリティサービス事業では、事業所向け・家庭向けのセントラライズドシステム(オンライン・セキュリティシステム)を中心に、常駐警備や現金護送のサービスを提供するとともに、安全商品を販売しております。

事業所向けでは、防犯や防災をはじめ、従業員の就業管理などによる事業効率化に至るまで、企業の事業運営に有益な機能をオールインワンで提供するシステムセキュリティ「AZ」(注1)の拡販に努めました。また、多様化する画像監視ニーズに対し、「AZ」との連携が可能で、多彩なラインアップやクラウド対応等の柔軟性により施設の規模を問わず幅広いニーズに対応した「セコムIPカメラ」の販売および「セコム画像クラウドサービス」を提供しました。

家庭向けでは、防犯・防火ニーズに加え、お客様の生活スタイルに柔軟に対応でき、様々な機器と接続することでサービスを拡張できる「セコム・ホームセキュリティNEO」の機能を向上し、拡販に努めました。さらに、「セコム・ホームセキュリティ」のオプションサービスとして、スマートフォン専用アプリにより、離れた場所に住むご家族が親御さんの暮らしの様子をゆるやかに見守ることができる、新しい「安否みまもりサービス」の提供を開始しました。

海外では、経済発展が続く東南アジアや中国を中心に、緊急対処サービスを特長とする「セコム方式」のセキュリティサービスの拡販に努めるとともに、最先端技術を取り込みながら機械警備のデジタルトランスフォーメーションを推進し、現地市場に適応したシステムの開発・導入を推進しました。

 

当連結会計年度はセコムホームライフの子会社を連結の範囲から除外したことによる55億円の減収影響がありますが、事業所向け・家庭向けのセントラライズドシステム(オンライン・セキュリティシステム)の販売が堅調に推移したことおよび常駐警備サービスの増収などにより、売上高は5,580億円(前期比0.4%増加)となり、営業利益は1,161億円(前期比3.8%増加)となりました。

(注1) システムセキュリティ:事業所向けオンライン・セキュリティシステム

防災事業では、オフィスビル、プラント、トンネル、文化財、船舶、住宅といった様々な施設に対し、お客様のご要望に応えた高品質な自動火災報知設備や消火設備などの各種防災システムを提供しております。当連結会計年度も、国内防災業界大手2社である能美防災株式会社およびニッタン株式会社が、それぞれの営業基盤や商品開発力などを活かした防災システムの受注に努めました。

当連結会計年度は能美防災株式会社の火災報知設備の増収などにより、売上高は1,488億円(前期比4.3%増加)となり、営業利益は採算性の良い案件が集中したことなどにより、147億円(前期比14.0%増加)となりました。

メディカルサービス事業では、訪問看護サービスや薬剤提供サービスなどの在宅医療サービスを中心として、シニアレジデンスの運営、電子カルテの提供、医療機器・医薬品等の販売、介護サービス、医療機関向け不動産賃貸等様々なメディカルサービスを提供しております。

当連結会計年度は医療消耗品の販売が増収となったことおよびインドにおける総合病院事業会社タクシャシーラ ホスピタルズ オペレーティング Pvt.Ltd.の増収などにより、売上高は745億円(前期比4.1%増加)となり、営業利益は56億円(前期比37.9%増加)となりました。

保険事業では、当連結会計年度もセキュリティシステム導入によるリスク軽減を保険料に反映した事業所向けの「火災保険セキュリティ割引」や家庭総合保険「セコム安心マイホーム保険」、ガン治療費の実額を補償する「自由診療保険メディコム」、セコムの緊急対処員が要請に応じて事故現場に急行するサービスを付帯した自動車総合保険「セコム安心マイカー保険」など、当社グループならではの保険の販売を推進しました。

当連結会計年度はセコム損害保険株式会社のガン保険「自由診療保険メディコム」の販売が好調に推移したことなどにより、売上高は526億円(前期比6.5%増加)となり、営業利益は自然災害による損害の減少などにより、10億円(前期比27.0%増加)となりました。

地理空間情報サービス事業では、航空機や車両、人工衛星などを利用した測量や計測で地理情報を集積し、加工・処理・解析した空間情報サービスを、国および地方自治体などの公共機関や民間企業、さらには新興国や発展途上国を含めた諸外国政府機関に提供しております。

当連結会計年度は国内公共部門が航空レーザーによる測量業務等の増加により増収となったことなどにより、売上高は563億円(前期比2.8%増加)となりました。営業利益は本社移転費用の計上および人員増加に伴う人件費の増加に加え、前連結会計年度に海外部門で大型案件の工事損失引当金の戻入が発生したことなどにより、40億円(前期比13.4%減少)となりました。

BPO・ICT事業では、データセンターを中核に、セコムならではのBCP(事業継続計画)支援やテレワーク支援、情報セキュリティ、クラウドサービスの提供に加えて、コンタクトセンター業務を含む様々なBPO業務の受託・運営を行っています。

当連結会計年度はコンタクトセンター業務やバックオフィス業務全般のBPOサービスを提供する株式会社TMJの増収およびデータセンター事業の増収などにより、売上高は1,156億円(前期比3.3%増加)となり、営業利益は131億円(前期比4.1%増加)となりました。

その他事業には、不動産賃貸および建築設備工事などが含まれます。

当連結会計年度はセコムホームライフを連結の範囲から除外したことによる75億円の減収影響などにより、売上高は436億円(前期比11.8%減少)となり、営業利益は59億円(前期比3.4%減少)となりました。

これらの結果、当連結会計年度における連結売上高は2020年12月にセコムホームライフおよびその子会社を連結の範囲から除外したことによる131億円および「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。)等の適用による33億円の減収影響がありますが、すべての報告セグメントが増収となったことから、1兆498億円(前期比1.3%増加)となりました。営業利益はセキュリティサービス、防災、メディカルサービス、保険およびBPO・ICT事業などの増益の影響もあり、1,434億円(前期比4.8%増加)となりました。経常利益は営業外損益で米国などにおける投資事業組合運用損益が前連結会計年度35億円の運用損から当連結会計年度28億円の運用益となったことなどにより、1,531億円(前期比10.2%増加)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に特別損失でのれん償却額56億円および関係会社株式売却損29億円を計上したことなどにより、942億円(前期比26.2%増加)となりました。

なお、当連結会計年度の営業利益、経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益は過去最高を達成することができました。

 

(財政状態の状況)

当連結会計年度末の総資産は、前期末比435億円(2.3%)増加の1兆9,077億円となりました。

流動資産は、現金及び預金が231億円(4.6%)増加の5,223億円、受取手形、売掛金及び契約資産が169億円(12.8%)増加の1,498億円となり、流動資産合計は前期末比441億円(4.7%)増加の9,862億円となりました。

固定資産は、退職給付に係る資産が83億円(21.0%)増加の478億円、長期前払費用が75億円(30.4%)減少の173億円となり、固定資産合計は前期末比5億円(0.1%)減少の9,215億円となりました。

 

当連結会計年度末の負債は、前期末比173億円(2.7%)増加の6,517億円となりました。

流動負債は、前受契約料が80億円(26.6%)増加の382億円、その他が64億円(27.4%)減少の170億円となり、流動負債合計は前期末比6億円(0.2%)増加の3,617億円となりました。

固定負債は、長期前受契約料165億円を計上した他、保険契約準備金が46億円(2.6%)増加の1,856億円、長期預り保証金が70億円(22.9%)減少の236億円となり、固定負債合計は前期末比167億円(6.1%)増加の2,899億円となりました。

 

当連結会計年度末の純資産は、資本剰余金が114億円(14.0%)の減少、利益剰余金が453億円(4.5%)の増加、自己株式が56億円(7.7%)の減少、為替換算調整勘定が113億円(66.9%)の増加、退職給付に係る調整累計額が26億円(61.6%)の増加、非支配株主持分が141億円(9.6%)の減少となり、純資産合計は前期末比262億円(2.1%)増加の1兆2,560億円となりました。

これらの結果、当連結会計年度末の自己資本比率は、前連結会計年度末の58.1%から58.8%となり、期末発行済株式総数に基づく1株当たり純資産額は、前連結会計年度末の4,958.18円から5,147.30円となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物の状況は、以下のとおりであります。

 

 

前連結会計年度
(百万円)

当連結会計年度
(百万円)

増減
(百万円)

営業活動によるキャッシュ・フロー

181,932

164,911

△ 17,020

投資活動によるキャッシュ・フロー

△ 48,536

△ 55,351

△  6,814

財務活動によるキャッシュ・フロー

△ 49,311

△ 87,393

△ 38,081

現金及び現金同等物に係る換算差額

△    524

1,695

2,219

現金及び現金同等物の増減額

83,559

23,862

△ 59,697

現金及び現金同等物の期首残高

406,479

490,039

83,559

現金及び現金同等物の期末残高

490,039

513,902

23,862

 

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、全体で1,649億円の資金の増加(前連結会計年度は1,819億円の資金の増加)となりました。主な資金の増加要因は、税金等調整前当期純利益1,520億円、減価償却費617億円であります。また、主な資金の減少要因は、法人税等の支払額426億円、売上債権及び契約資産の増加額106億円であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、全体で553億円の資金の減少(前連結会計年度は485億円の資金の減少)となりました。主な資金の減少要因は、警報機器及び設備等の有形固定資産の取得による支出531億円、投資有価証券の取得による支出316億円であります。また、主な資金の増加要因は、投資有価証券の売却及び償還による収入332億円であります。

 

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、全体で873億円の資金の減少(前連結会計年度は493億円の資金の減少)となりました。主な資金の減少要因は、配当金の支払額381億円、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出285億円、自己株式の増加額112億円、リース債務の返済による支出56億円であります。また、主な資金の増加要因は、長期借入れによる収入48億円であります。

 

これらの結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ238億円増加して5,139億円となりました。

 

③生産、受注及び販売の実績

a. 受注実績

当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

セキュリティサービス事業

7,724

16.6

2,394

△  9.1

防災事業

146,988

△  0.9

63,059

△ 11.5

地理空間情報サービス事業

61,856

16.6

26,501

25.4

BPO・ICT事業

4,984

△  5.3

648

△ 15.8

その他事業

9,201

△ 13.3

5,156

△ 20.2

合計

230,755

3.0

97,760

△  4.4

 

(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

b. 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度
(自 2021年4月1日
 至 2022年3月31日)
(百万円)

前期比(%)

セキュリティサービス事業

558,093

0.4

防災事業

148,803

4.3

メディカルサービス事業

74,575

4.1

保険事業

52,691

6.5

地理空間情報サービス事業

56,371

2.8

BPO・ICT事業

115,683

3.3

その他事業

43,640

△ 11.8

合計

1,049,859

1.3

 

(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、以下のとおりであります。

 

経営成績の分析

(概要)

当社グループは、セキュリティサービスを中心に防災、メディカルサービス、保険、地理空間情報サービス、BPO・ICT、不動産賃貸などの事業活動全般にわたってサービスの拡充、営業の拡大、システムの構築、商品の開発に努めるなど、積極的な事業展開を図ってまいりました。

当連結会計年度における売上高は2020年12月にセコムホームライフおよびその子会社を連結の範囲から除外したことによる131億円および「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。)等の適用による33億円の減収影響がありますが、すべての報告セグメントが増収となったことから、1兆498億円(前期比1.3%増加)となりました。営業利益はセキュリティサービス、防災、メディカルサービス、保険およびBPO・ICT事業などの増益の影響もあり、1,434億円(前期比4.8%増加)となりました。経常利益は営業外損益で米国などにおける投資事業組合運用損益が前連結会計年度35億円の運用損から当連結会計年度28億円の運用益となったことなどにより、1,531億円(前期比10.2%増加)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に特別損失でのれん償却額56億円および関係会社株式売却損29億円を計上したことなどにより、942億円(前期比26.2%増加)となりました。

 

(売上高)

すべての報告セグメントの増収により、売上高は前期比1.3%増加の1兆498億円となりました。各事業セグメントの外部顧客に対する売上高の連結売上高に占める割合は、セキュリティサービス事業が53.2%、防災事業が14.2%、メディカルサービス事業が7.1%、保険事業が5.0%、地理空間情報サービス事業が5.4%、BPO・ICT事業が11.0%、その他事業が4.1%となりました。

 

(売上原価、販売費及び一般管理費)

当連結会計年度の売上原価は、前期比1.0%増加の7,121億円となり、売上高に占める割合は前連結会計年度の68.1%から67.8%になりました。

販売費及び一般管理費は、前期比0.3%増加の1,941億円となり、売上高に占める割合は前連結会計年度の18.7%から18.5%になりました。

これらの結果、当連結会計年度の営業利益は1,434億円(前期比4.8%増加)となりました。

 

(経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度は、米国などにおける投資事業組合運用損益が前連結会計年度35億円の運用損から当連結会計年度28億円の運用益となったことなどにより、営業外収益が前期比34億円(29.6%)増加となり、営業外費用が前期比41億円(44.2%)減少したことにより、経常利益は1,531億円(前期比10.2%増加)となりました。

なお、前連結会計年度に特別損失でのれん償却額56億円および関係会社株式売却損29億円を計上したことなどにより、税金等調整前当期純利益は1,520億円(前期比18.0%増加)となりました。

法人税、住民税及び事業税ならびに法人税等調整額の合計は前期比33億円(7.7%)増加の462億円となり、税金等調整前当期純利益に対する負担率は前連結会計年度の33.3%から30.4%に下落しました。

また、非支配株主に帰属する当期純利益が前期比2億円(2.4%)増加の114億円となりました。

これらの結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は942億円(前期比26.2%増加)となり、売上高当期純利益率は前連結会計年度の7.2%から9.0%になりました。また、1株当たり当期純利益は前連結会計年度の342.17円から431.27円、ROEは前連結会計年度の7.1%から8.6%となりました。

 

 

セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。

 

セキュリティサービス事業は、セコムホームライフの子会社を連結の範囲から除外したことによる55億円の減収影響がありますが、事業所向け・家庭向けのセントラライズドシステム(オンライン・セキュリティシステム)の販売が堅調に推移したことおよび常駐警備サービスの増収などにより、売上高は5,698億円(前期比0.4%増加)となり、営業利益は1,161億円(前期比3.8%増加)、売上高営業利益率は前連結会計年度の19.7%から20.4%になりました。

資産は、現金及び預金などが増加しましたが、長期前払費用、短期貸付金などの減少により、9,948億円(前期比0.1%減少)となりました。

防災事業は、能美防災株式会社の火災報知設備の増収などにより、売上高は1,521億円(前期比4.2%増加)となり、営業利益は採算性の良い案件が集中したことなどにより、147億円(前期比14.0%増加)、売上高営業利益率は前連結会計年度の8.9%から9.7%になりました。

資産は、受取手形、売掛金及び契約資産などの増加により、1,843億円(前期比4.7%増加)となりました。

メディカルサービス事業は、医療消耗品の販売が増収となったことおよびインドにおける総合病院事業会社タクシャシーラ ホスピタルズ オペレーティング Pvt.Ltd.の増収などにより、売上高は748億円(前期比4.1%増加)となり、営業利益は56億円(前期比37.9%増加)、売上高営業利益率は前連結会計年度の5.7%から7.6%になりました。

資産は、長期貸付金などの減少により、1,317億円(前期比1.4%減少)となりました。

保険事業は、セコム損害保険株式会社のガン保険「自由診療保険メディコム」の販売が好調に推移したことなどにより、売上高は558億円(前期比6.2%増加)となり、営業利益は自然災害による損害の減少などにより、10億円(前期比27.0%増加)、売上高営業利益率は前連結会計年度の1.5%から1.8%になりました。

資産は、投資有価証券などが減少しましたが、現金及び預金、有価証券などの増加により、2,378億円(前期比2.7%増加)となりました。

地理空間情報サービス事業は、国内公共部門が航空レーザーによる測量業務等の増加により増収となったことなどにより、売上高は565億円(前期比2.8%増加)となりました。営業利益は本社移転費用の計上および人員増加に伴う人件費の増加に加え、前連結会計年度に海外部門で大型案件の工事損失引当金の戻入が発生したことなどにより、40億円(前期比13.4%減少)、売上高営業利益率は前連結会計年度の8.6%から7.2%になりました。

資産は、現金及び預金などの増加により、692億円(前期比4.7%増加)となりました。

BPO・ICT事業は、コンタクトセンター業務やバックオフィス業務全般のBPOサービスを提供する株式会社TMJの増収およびデータセンター事業の増収などにより、売上高は1,247億円(前期比0.5%増加)となり、営業利益は131億円(前期比4.1%増加)、売上高営業利益率は前連結会計年度の10.2%から10.6%になりました。

資産は、無形固定資産などの減少により、1,486億円(前期比0.7%減少)となりました。

その他事業は、セコムホームライフを連結の範囲から除外したことによる75億円の減収影響などにより、売上高は448億円(前期比11.5%減少)となり、営業利益は59億円(前期比3.4%減少)、売上高営業利益率は前連結会計年度の12.2%から13.3%になりました。

資産は、短期貸付金などが減少しましたが、販売用不動産などの増加により、1,474億円(前期比1.0%増加)となりました。

なお、以上のセグメント売上高および営業損益はセグメント間取引を含む数値であり、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況(経営成績の状況)」に記載した売上高(セグメント間取引を含まない外部顧客に対する売上高)とは一致しません。

 

財政状態の分析

財政状態の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況(財政状態の状況)」に記載のとおりであります。

 

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、法人税等の支払額が426億円となりましたが、税金等調整前当期純利益が1,520億円、減価償却費が617億円となったことなどにより、全体では1,649億円の資金の増加となりました。

前連結会計年度との比較では、税金等調整前当期純利益が231億円増加となりましたが、売上債権及び契約資産の増減額が前連結会計年度の89億円の増加に対し106億円の減少、棚卸資産の増減額が前連結会計年度の43億円の増加に対し53億円の減少、投資事業組合運用損益が前連結会計年度の35億円の増加に対し28億円の減少、のれん償却額が55億円減少となったことなどにより、営業活動から得た資金は前期比170億円(9.4%)の減少となりました。

 

投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却及び償還による収入が332億円となりましたが、警報機器及び設備等の有形固定資産の取得による支出が531億円、投資有価証券の取得による支出が316億円となったことなどにより、全体では553億円の資金の減少となりました。

前連結会計年度との比較では、投資有価証券の取得による支出が243億円減少、および前連結会計年度に連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得70億円を計上しましたが、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却が146億円減少、投資有価証券の売却及び償還による収入が146億円減少、前連結会計年度に有価証券の減少額92億円を計上したことなどにより、投資活動に使用した資金は前期比68億円(14.0%)の増加となりました。

 

この結果、当連結会計年度のフリーキャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの純額)は、1,095億円の資金の増加(前連結会計年度は1,333億円の資金の増加)となりました。

 

財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額381億円、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出285億円、自己株式の増加額112億円、リース債務の返済による支出56億円となったことなどにより、全体では873億円の資金の減少となりました。

前連結会計年度との比較では、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出が283億円増加、自己株式の増加額が112億円増加となったことなどにより、財務活動に使用した資金は前期比380億円(77.2%)の増加となりました。

 

これらの結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前期比238億円(4.9%)増加の5,139億円となりました。

 

 

当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは、以下のとおりであります。

 

 

第57期
2018年3月

第58期
2019年3月

第59期
2020年3月

第60期
2021年3月

第61期
2022年3月

自己資本比率(%)

55.5

56.4

57.0

58.1

58.8

時価ベースの
自己資本比率(%)

100.8

117.2

107.9

109.0

101.4

債務償還年数(年)

0.6

0.5

0.4

0.4

0.4

インタレスト・
カバレッジ・レシオ

153.0

207.3

260.6

237.0

195.9

 

 

※ 自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

債務償還年数:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

 

(注) 1 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。

2 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

3 営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

当社グループの資本の財源および資金の流動性については、以下のとおりであります。

 

当社グループは、柔軟な事業活動を行い、強固な財務基盤を保つために、高い流動性を維持することを基本方針としております。また、「社会システム産業」の構築に向けて、営業活動から得た資金や、市場調達および金融機関からの借入等により調達した資金で、積極的に事業投資活動を行っております。

当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債残高は679億円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は5,139億円となっております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者は、会計方針の適用ならびに資産、負債、収益および費用の報告金額に影響を与える判断、見積りの設定を行うことが必要となります。これらの見積りは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される入手可能な情報により継続的に検証し、意思決定を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性を伴うため、これらの見積りと異なる場合があります。

 

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。

 

a. 有形固定資産

当社グループでは、有形固定資産の評価において、減損損失の兆候がある場合には、減損の判定を行っています。事業用資産においては管理会計上の区分で資産グルーピングを行い、賃貸不動産および遊休資産などは個別物件単位で区分を行い、当連結会計年度で収益性が著しく低下した場合は、帳簿価額を回収可能価額まで減額しております。なお、資産グループの回収可能価額の見積りは、処分価額、不動産鑑定評価額などで算出する正味売却価額、将来キャッシュ・フロー、割引率などで算出する使用価値などにより測定しております。正味売却価額上の仮定、あるいは使用価値算定の基礎となる資産グループの使用期間中および使用後の処分により見込まれる将来キャッシュ・フロー、割引率などの仮定は、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化によって見積りが変更されることにより、回収可能価額が減少し、減損損失が発生する可能性があります。

b. のれん及びその他無形資産

当社グループでは、のれん及びその他の無形固定資産の評価において、減損損失の兆候がある場合には、減損の判定を行っています。のれん及びその他の無形固定資産の回収可能価額の見積りや減損判定に当たっては、必要に応じて外部専門家などによる評価を活用しております。なお、回収可能価額の測定で使用する、将来キャッシュ・フロー、割引率などの仮定は、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化によって見積りが変更されることにより、回収可能価額が減少し、減損損失が発生する可能性があります。

c. 貸倒引当金

当社グループでは、売上債権、貸付金等の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については、過去の実績、将来の見通し等を総合的に勘案して見積もられた回収不能見込額を、貸倒引当金として計上しております。回収不能見込額の見積りにおいて使用される仮定は、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化によって見積りが変更されることにより、回収不能見込額が増減し、貸倒引当金を増額または減額する可能性があります。

d. 繰延税金資産

当社グループでは、回収可能性がないと判断される繰延税金資産に対して評価性引当額を設定し、適切な繰延税金資産を計上しています。繰延税金資産の回収可能性は各社、各納税主体で十分な課税所得を計上するか否かによって判断されるため、将来の課税所得の見積りにあたっては、実績情報とともに将来に関する情報が考慮されていますが、見積りは、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化に伴う各社、各納税主体の経営悪化などにより、影響を受ける可能性があり、また、税制改正により実効税率が変更された場合には、繰延税金資産の取崩しまたは追加計上により利益が変動する可能性があります。

 

e. 退職給付費用及び退職給付に係る負債

当社および当社と同一の退職給付制度を有する国内連結子会社においては、退職金制度と確定拠出型年金制度を採用しております。退職給付費用及び退職給付に係る負債について、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、金利変動の市場動向等、入手可能なあらゆる情報を総合的に判断して決定した割引率、予想昇給率、退職率、統計数値に基づいて算出される死亡率および年金資産の長期期待運用収益率などが含まれております。これら年金数理計算の前提条件には将来の予測不能な事業上の前提条件の変化によって影響を受ける可能性があるため、前提条件と実際の結果が異なる場合、または前提条件の変更がある場合には、その影響は将来にわたって規則的に認識されるため、将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼす可能性があります。

 

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