業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 (業績等の概要)

(1) 当期の業績の概況及び財政状態

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種の進展により、昨年の9月末には緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置が全国的に解除される等、経済活動の再開に向けた動きがみられました。しかしながら、年明けより、同感染症の新たな変異株による感染者数が急拡大に転じております。また、資源価格の上昇やウクライナ情勢の影響など、経済環境は依然不透明な状況となっております。

警備業界におきましては、東京オリンピック・パラリンピックの開催に伴い一時的な警備需要が発生しましたが、いまだ同感染症による影響が続いております。お客さまに安全・安心を提供する業界といたしましては、警備員の感染による警備サービスの提供停止あるいは規模の縮小は、お客さまに多大な影響を及ぼすため、徹底した感染予防と拡大防止の対応を継続しており、厳しい事業環境下に置かれております。

このような状況の中、当社グループは中期経営計画を見直し「Creative 2025」として、持続的な成長と更なる企業価値の向上に努め「安心と信頼を創造する技術サービス企業」を目指し、事業を展開してまいりました。

 

当社は、昨年の3月10日に創業55周年を迎えました。55周年を機に、約25年間着用してきた警備用の制服を、新たなデザインの制服にリニューアルいたしました。また、イメージキャラクターを務めている「岡田准一さん」が出演するCMの新バージョンを作成し、放映を開始しております。キャッチフレーズは「常識を超えろ、昨日までの安心を超えろ」とし、最新の技術を活用した今までにない警備サービスを提供していくことを表現しております。

東京オリンピック・パラリンピックの開催期間中は、競技会場における人的警備をはじめ、首都圏の一部駅における手荷物検査実施に伴う危険物探知犬を活用した警備や、競技場周辺での、観客の過度な密集による雑踏事故の未然防止を目的とした、バルーンカメラによる上空からの監視サービスを提供し、これらを無事に実施し完遂することができました。

また、新商品・新事業として様々な取り組みも展開してまいりました。小型ドローンを活用した屋内設備点検・監視巡回サービス事業の立ち上げ、トライアル運用を実施しておりました自律走行型警備ロボットの商用運用サービスの提供開始、また、中小企業向けサイバーセキュリティ対策として「CSPサイバーガード」の販売を開始しました。

東北地区における収益最大化を目的とした施策については、昨年の6月末にCSP東北株式会社が新たに連結子会社として加わり、当社グループの総合力の更なる強化を図ることができました。

ダイバーシティの推進では「多様な人材が働きがいを実感できる会社にする」をスローガンとして、女性の職域拡大、両立支援及び女性社員のキャリア形成を支援する制度を拡充し、障がい者の雇用機会の創出として専従部門を設立するなど、全ての社員が働きがいを実感できる職場環境の整備を推進してまいりました。

 

(セキュリティ事業) 

常駐警備部門につきましては、コロナ影響による契約先からの警備業務の見直し要請を受けましたが、東京オリンピック・パラリンピックの開催に伴う臨時警備により、売上高は34,326百万円(前連結会計年度比0.1%減)となりました。

機械警備部門につきましては、画像関連サービスが堅調に推移したことから、売上高は21,871百万円(前連結会計年度比4.1%増)となりました。

運輸警備部門につきましては、コロナ影響による契約先の休業対応等により、売上高は3,484百万円(前連結会計年度比7.8%減)となりました。

工事・機器販売部門につきましては、防犯カメラの設置販売を中心とした画像関連システムなどが好調に推移し、売上高は7,715百万円(前連結会計年度比17.3%増)となりました。

これらの結果、当連結会計年度のセキュリティ事業セグメントの売上高は67,398百万円(前連結会計年度比2.5%増)、セグメント利益(営業利益)は4,766百万円(前連結会計年度比14.1%増)となりました。

 

(ビル管理・不動産事業)

ビル管理・不動産事業につきましては、清掃業務や電気設備の保安業務等の建物総合管理サービス及び不動産賃貸を中心に事業を行っております。当連結会計年度のビル管理・不動産事業セグメントの売上高は1,672百万円(前連結会計年度比1.9%減)、セグメント利益(営業利益)は407百万円(前連結会計年度比0.4%増)となりました。

 

以上の結果、当連結会計年度における当社グループの業績は、売上高は69,070百万円(前連結会計年度比2.4%増)、利益面につきましては、営業利益は5,175百万円(同12.9%増)、経常利益は5,639百万円(同13.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は3,667百万円(同17.2%増)となりました。

 

また資産は、前連結会計年度末に比べ1,820百万円減少し、59,792百万円となりました。

負債は、前連結会計年度末に比べ3,827百万円減少し、26,359百万円となりました。一方、純資産は、前連結会計年度末に比べ2,007百万円増加し、33,432百万円となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動によるキャッシュ・フローで6,834百万円の増加、投資活動によるキャッシュ・フローで2,026百万円の減少、財務活動によるキャッシュ・フローで3,584百万円の減少の結果、前連結会計年度末に比べ1,224百万円増加し、10,965百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の営業活動で得られた資金は、前連結会計年度に比べ9百万円減少し6,834百万円であります。資金の主な増加要因は税金等調整前当期純利益5,836百万円、減価償却費2,828百万円、売上債権の減少513百万円であります。また資金の主な減少要因は法人税等の支払額1,556百万円であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ2,413百万円減少し2,026百万円であります。資金の主な減少要因は有形固定資産の取得による支出1,167百万円、定期預金の増加783百万円、無形固定資産の取得による支出459百万円であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の財務活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ2,919百万円増加し3,584百万円であります。資金の主な減少要因は長期借入金の返済による支出1,626百万円、リース債務の返済による支出802百万円、配当金の支払額701百万円であります。

 

 (生産、受注及び販売の状況)

(1) 生産実績

 当社グループは生産活動を行っておりませんが、当連結会計年度末日現在実施中のセグメントごとの契約件数は、次のとおりであります。

セグメント名称及び業務別名称

契約件数(件)

前年同期比(%)

(セキュリティ事業)

 

 

常駐警備

870

101.8

機械警備

134,670

99.0

運輸警備

3,567

90.2

小計

139,107

98.8

(ビル管理・不動産事業)

6,776

95.3

合計

145,883

98.6

 

 

(2) 販売実績

 当連結会計年度におけるセグメントごとの業務別販売実績は、次のとおりであります。

セグメント名称及び業務別名称

金額(千円)

前年同期比(%)

(セキュリティ事業)

 

 

常駐警備

34,326,231

99.9

機械警備

21,871,745

104.1

運輸警備

3,484,561

92.2

工事・機器販売

7,715,701

117.3

小計

67,398,240

102.5

(ビル管理・不動産事業)

1,672,669

98.1

合計

69,070,909

102.4

 

(注) 1 上記金額には消費税等を含んでおりません。

2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

東日本旅客鉄道㈱

11,694,420

17.3

11,110,311

16.1

 

 

 

 (経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析及び今後の方針)

文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されており、連結財務諸表の作成にあたっては連結決算日における資産・負債及び当連結会計年度における収益・費用の数値に影響を与える事項について、過去の実績や現在の状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき見積りを行った上で、継続して評価を行っております。ただし、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。

 

(2) 当連結会計年度の経営成績の分析

 当社グループの当連結会計年度の経営成績については以下のとおりです。

① 概要

 当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高69,070百万円(前連結会計年度比2.4%増)、営業利益は5,175百万円(同12.9%増)、経常利益は5,639百万円(同13.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は3,667百万円(同17.2%増)となりました。
以下、連結財務諸表に重要な影響を与えた要因について分析いたします。

② 売上高

 売上高は、前連結会計年度に比較して1,627百万円の増収となりました。セキュリティ事業の常駐警備部門において、47百万円の減収(前連結会計年度比0.1%減)、機械警備部門において、860百万円の増収(同4.1%増)、運輸警備部門において、293百万円の減収(同7.8%減)、工事・機器販売部門において、1,140百万円の増収(同17.3%増)となったことが主な要因であります。

③ 売上総利益、販売費及び一般管理費、営業利益

 売上総利益は前連結会計年度に比較して320百万円の増益(同2.2%増)、売上総利益率は21.8%となり、前連結会計年度と同水準となりました。
 また、販売費及び一般管理費は、研究開発費121百万円の減少などがあり、前連結会計年度に比較して270百万円の減少(同2.7%減)、売上高に対する販売費及び一般管理費の構成比率は14.3%(0.7ポイント減少)となりました。
 以上の結果、営業利益は前連結会計年度に比較して591百万円の増益(同12.9%増)となりました。

④ 営業外損益、経常利益

 当連結会計年度の営業外収益は前連結会計年度に比較して99百万円増加しました。また営業外費用は前連結会計年度に比較して36百万円の増加となりました。その結果、経常利益は前連結会計年度に比較して653百万円の増益(同13.1%増)となりました。

⑤ 特別損益、税金等調整前当期純利益、親会社株主に帰属する当期純利益

 特別利益は、投資有価証券売却益118百万円の増加により、前連結会計年度に比較して123百万円増加しました。また特別損失は、前連結会計年度に比較して71百万円の減少となりました。その結果、税金等調整前当期純利益は前連結会計年度に比較して848百万円の増益(同17.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比較して539百万円の増益(同17.2%増)となりました。

 

 

(3) 当連結会計年度末の財政状態の分析

 当社グループの当連結会計年度末の財政状態は以下のとおりです。

 総資産は、現金及び預金の増加1,482百万円、投資有価証券の減少1,667百万円、警報機器及び運搬具の減少800百万円などにより、前連結会計年度末に比べ1,820百万円減少し、59,792百万円(前連結会計年度比3.0%減)となりました。

 負債は、長期借入金の減少1,673百万円、繰延税金負債の減少436百万円などにより、前連結会計年度末に比べ3,827百万円減少し、26,359百万円(同12.7%減)となりました。

 純資産は、利益剰余金の増加2,965百万円、その他有価証券評価差額金の減少1,160百万円などにより、前連結会計年度末に比べ2,007百万円増加し、33,432百万円(同6.4%増)となりました。

 以上の結果、当連結会計年度末における自己資本比率は52.2%、1株当たり純資産は2,137円66銭となりました。

 

(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

① キャッシュ・フローの状況

 営業活動によるキャッシュ・フローは、6,834百万円であります。資金の主な増加要因は税金等調整前当期純利益5,836百万円、減価償却費2,828百万円、売上債権の減少513百万円であります。また資金の主な減少要因は法人税等の支払額1,556百万円であります。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、2,026百万円であります。資金の主な減少要因は有形固定資産の取得による支出1,167百万円、定期預金の増加783百万円、無形固定資産の取得による支出459百万円であります。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、3,584百万円であります。資金の主な減少要因は長期借入金の返済による支出1,626百万円、リース債務の返済による支出802百万円、配当金の支払額701百万円であります。

 以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、営業活動によるキャッシュ・フローで6,834百万円の増加、投資活動によるキャッシュ・フローで2,026百万円の減少、財務活動によるキャッシュ・フローで3,584百万円の減少の結果、前連結会計年度末に比べ1,224百万円増加し、10,965百万円となりました。

② 資金需要について

 当連結会計年度の設備投資として、機械警備先の増加に伴う警備先に設置する警報装置及びこれに対応するセンター装置の増設などに961百万円、総額1,594百万円を支出いたしました。
 次期の当社グループの資金需要については、当連結会計年度に引き続き機械警備設備などに1,000百万円、総額1,800百万円の設備投資を予定しております。なお、この設備投資につきましては自己資金及び長期借入金によって賄う予定であります。

 

(5) 経営者の問題認識について

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が挙げられます。同感染症については、世界規模で感染が拡大しており現時点で、同感染症の終息見込みは立っておらず、感染者数の拡大に伴う経済活動停滞の長期化が懸念されます。

 当社グループの業績への影響につきましては、警備契約の大半が保有契約(臨時的な警備契約等を除く)であり、短期的な景気変動による影響は受けづらいものと考えております。ただし、経済活動の停滞により、当社の成長が一時的に鈍化する恐れはあります。これは、一部の取引先との商談の長期化や各種のイベント・プロジェクト等の中止が懸念されるためです。また、中長期的にはお客さま企業の業績の落ち込みによる警備業務の縮小の要請も懸念されます。

 このような影響への対策といたしまして、当社グループは警備サービスの品質維持・向上に努め、徹底した感染予防により当社グループの従業員から感染者を出さないことがもっとも重要であると考えております。また、お客さまにご満足いただける警備サービスを提供し続けるために、感染対策を考慮した警備サービスの検討を推進するとともに、従来から取り組んでまいりました、人による警備から“機械化・効率化”にもさらに注力してまいります。

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