事業等のリスク

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

当社グループでは、これらのリスクの発生を十分に認識した上で、その発生を極力回避し、また、発生した場合には適確な対応を行うための努力を継続してまいります。

 

(1) 建設市場という特定の市場への依存について

当社グループの主たる取引先は国内の建設会社であり、当社はこの建設市場への依存度が高いため、当社グループの経営成績及び財政状態は今後この市場の動向により影響を受ける可能性があります。
 当社グループでは当該リスクに対応するため、国内市場では、各地区別の需要動向を把握して人的資源を適正に配置し、建設用重量仮設鋼材(建設機材)の適切な移管・購買により収益を確保しました。海外においては安定的な利益を計上しているタイ丸建㈱を軸とし、2020年8月には中国の瑞馬丸建(安徽)工程支護科技有限公司への出資を行い重仮設事業への参入を進めており、アジア市場への更なる展開を図りました。また、新商品として現場作業性効率改善に資する大型覆工板をはじめとする「タフシリーズ」の展開を推進し材工一式の受注活動をより強固にしてまいります。今後も引き続き、アジアを中心とした海外展開、M&Aや新商材開発などについて幅広く検討してまいります。

 

(2) 鋼材価格の変動について

当社グループの主要取扱品目である建設用重量仮設鋼材の価格は、建設需要動向や製鉄原料の相場変動の影響を受けることが予測され、2022年度も前年度同様に鋼材価格の上昇が見込まれることから、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
 当社グループでは、鉄鋼業界を中心に各方面からの情報収集を行い鋼材価格の動向を注視し、また仕入先であるメーカー・商社等との関係を強化して安定的に建設用重量仮設鋼材の購入を行いつつ、必要に応じて中古品鋼材の購入や山留材・覆工板等の加工鋼材の調達におけるタイ丸建㈱などの海外グループ会社の活用についても視野に入れております。また、引き続き賃貸重視の経営方針を推進し、建設需要動向などに応じた効率的な購入を行うなどの諸施策により、原価上昇の抑制に努めております。

 

(3) 有利子負債、金利及びキャッシュ・フローの状況について

 当社グループの事業活動資金の一部は金融機関からの借入により調達しているため、有利子負債の増加や金利及びキャッシュ・フローの異常な変動がある場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
 当社グループでは当該リスクに対応するため、手元流動性として必要とされる現金及び預金残高を確保しつつより効率的な資金管理を行うため、キャッシュ・フロー経営を徹底しております。具体的には、取締役会において各年度の資金調達方針を審議の上決定しております。その中で、資金予算制度を充実させ、安定資金である長期借入金を中心に設備投資資金を確保しつつ、金利コストの低減を図るとともに、中期経営計画の財務目標値に沿って有利子負債の圧縮による財務体質の強化を推し進めております。

 

(4) 事故等について

 当社グループでは、建設用重量仮設鋼材の修理・加工を行う工場及び杭打抜・山留架設工事、地中連続壁工事等を行う工事現場での事故発生、及びそれに伴う鋼材の納入遅延や工期の遅れ等により、損失補償を負う場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
 当社グループでは当該リスクに対応するため、各種保険に加入するとともに、各工場部門では、墜落・転落防止をはじめとした安全対策の設備投資を継続して行い、各工事部門では事前施工検討会や安全パトロールを行うなどの対策を講じ、中期経営計画に沿って安全対策を推進しております。また、各部門では安全衛生管理に関する諸規程に基づいて日常の業務を遂行するとともに、安全関係の規程全般と現場管理マニュアル等の業務手順を定期的に見直しており、環境安全部においては全事業所を対象として、安全衛生管理の徹底、啓蒙活動の推進などを通じて安全衛生管理業務全般を行っております。タイ丸建㈱など海外のグループ会社については、災害等発生時の報告体制を整備し、当社工務統括本部の指導の下安全対策を構築しております。

 

 

(5) 与信管理について

 当社グループの主たる取引先である建設業界の環境は、最近数年間は首都圏を中心に再開発・インフラ整備等が進み、堅調に推移しています。しかしながら、建設業界は、地場の中堅建設会社や特約店を中心として他の業界と比べて貸し倒れリスクが高い状況におかれており、更に2020年以降の新型コロナウイルス感染症拡大による景況感悪化により倒産件数が増加傾向にあり、そのリスクが増加しており、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
 当社グループでは当該リスクを管理するため、取引先のランク付けを行い、そのランク付けに応じた信用限度額、鋼材貸出数量限度、及び貸倒引当率を定めるとともに、定期的にかつ信用状態の変化に応じて機動的に取引先の見直しを行っております。また、一部取引先については、個別保証委託付保の活用により信用リスクの低減を図っております。

 

(6) 海外事業に関するリスクについて

 当社グループは、中期経営計画の具体的施策の一つとして更なる海外積極展開を掲げており、タイ国のタイ丸建㈱を中心にアジアで海外事業を展開しております。

 タイ丸建㈱ではタイ国の建設需要に対応するため、建設用重量仮設鋼材の購入時に必要となる銀行借入金に対して同社の株主である当社とItalian-Thai Development Public CO., LTD.が債務保証を行っております。更に、2020年8月に中国安徽省で重仮設合弁事業を行う瑞馬丸建(安徽)工程支護科技有限公司への第三者割当増資を伊藤忠丸紅鉄鋼㈱と共同で引き受け事業を開始しました。

 今後、これらの対象国の政治経済情勢や外国為替相場等が大きく変動し、海外の事業が計画通り進捗しなかった場合は、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは当該リスクに対応するため、各海外拠点スタッフの情報網を整備するとともに、海外進出に関する豊富な知見と情報網を有する丸紅㈱をはじめとする同グループ会社や外部コンサルタント等を活用して、現地の最新情報を入手するなどの対策を講じるとともに、海外事業会社への投資規模を、同事業が計画通りとならなかった場合でも当社グループの財政状態に重要な影響が及ばない範囲内とする様に適切に管理しております。また、為替変動リスクに対しては、状況に応じて為替予約の導入を検討しております。

 

(7) 関係会社管理リスクについて

 当社グループの関係会社において、当社が認識していない投資・契約・制度設計・会計処理等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
 当社グループでは当該リスクに対応するため、当社から取締役を派遣して取締役会に出席するなど業務執行状況の監督を行うとともに、関係会社連絡会を定期的に開催し業績推移や業務執行の状況をモニタリングしております。関係会社を統括管理する経営企画部は、関係会社管理規程の重要事項決裁基準を見直し、与信・安全・コンプライアンス・財務などについて、当社と同等の管理を行っております。また、当社の常勤監査等委員と監査部は合同で全ての連結子会社・関係会社を対象に年一回の頻度で業務監査等を実施しております。

 

(8) 人材の確保について

 当社グループは、最近の少子高齢化による労働人口の減少などにより必要な人材を確保できない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは当該リスクに対応するため、採用に関する内規を制定し、年1回総務人事部長は経営会議において年間採用活動方針を報告しており、その方針に基づき新卒定期採用だけでなくインターンシップの活用や中途採用活動を継続して実施しております。外国人の採用も随時行っており、多様性に富んだ人材の確保に努めております。また、中期経営計画で策定した研修プログラムに沿って人材の育成を行うとともに、働き方改革に取り組み、業務の効率化を推進して、これらの人材リスクに対応いたします。

 

(9) 重要な訴訟について

 当社グループの国内及び海外における営業活動が、訴訟等の法的手続きの対象となる可能性が有り、これらの訴訟等の内容や結果によっては当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
 当社グループでは当該リスクに対応するため、コンプライアンス教育の実施による法令遵守の意識付けと基本動作の徹底に努めております。

 

(10) 退職給付債務について

 当社グループの退職給付制度は、確定給付企業年金制度等でありますが、その年金資産の時価や運用利回りの変動、割引率などの数理計算上の計算基礎の変更等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
 当社グループでは当該リスクに対応するため、確定給付企業年金の運用担当部門では年金資産運用委託先である金融機関から定期的に運用状況の報告を入手し、その内容を四半期毎に経営会議で報告しております。その中で、目標とする長期期待運用収益率が達成できたか確認するとともに、年金資産の運用方針をローリスク型とし、また適正なポートフォリオの検討など運用方法を随時見直しており、安定運用を目指しております。

 

(11) 株価の変動について

 当社グループは、市場価格のある投資有価証券を保有しており、当連結会計年度末現在の残高は9銘柄6億48百万円であり、その内訳は「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (5) 株式の保有状況」に記載の通りです。その株価が変動した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
 当社グループでは当該リスクに対応するため、コーポレートガバナンス・コードに従い、年一回経営会議および取締役会で、保有する投資有価証券の全銘柄を対象として個別具体的に保有の可否を判定するとともに、一部銘柄については売却による保有の圧縮についても検討しております。また、社内で定めた議決権行使基準に従って各政策保有株式を議案毎に精査した上で、その議決権を行使しております。

 

(12) 工場設備等の固定資産について

 当社グループが保有する工場設備などの固定資産は、「第3 設備の状況 2 主要な設備の状況」に記載の通りですが、今後各部店やグループ会社の収益性の低下や工場等土地の時価の下落により減損損失計上を余儀なくされ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13) 繰延税金資産について

 当社グループが当連結会計年度末において計上している繰延税金資産は、今後の利益(課税所得)により全額回収可能性があると判断しておりますが、今後の税率変更などの税制改正や、利益計画の修正によりその回収可能性の見直し(繰延税金資産の取崩し)が必要となった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14) 建設機材及び棚卸資産の評価について

 当社グループが保有する建設用重量仮設鋼材(建設機材)及び棚卸資産は総資産のうち重要な割合を占めております。賃貸、販売、返却等による建設機材及び棚卸資産の動きはシステムで管理し、保有在庫については定期的に棚卸しを実施しております。

 建設機材は購入年度別総平均法による原価から定額法による減耗費を控除した額により評価し、商品・材料貯蔵品は総平均法による原価法により評価しております。鋼材市況価格が上昇した場合は建設機材及び棚卸資産の仕入価格も連動して上昇するため、売却時の払出原価と建設機材減耗費が増加し売上原価が押し上げられ、逆に下落した場合は収益性低下による簿価切り下げを行う可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは当該リスクに対応するため、建設需要動向に応じた建設機材の効率的な購入を行うことなどにより、原価上昇の抑制に努めております。

 

(15) 工事契約における収益認識について

 当社グループの「重仮設工事」・「土木・上下水道施設工事等」の各セグメントでは、一部取引を除き工事契約取引について見積総原価に対する実際発生原価の割合に基づき一定の期間にわたり履行義務が充足されるためその履行義務の充足に係る進捗度により収益を認識しておりますが、予定外の追加工事原価の発生や工事期間の大幅な延長などによりこれらの見直しが必要となった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
 当社グループでは当該リスクに対応するため、工事契約案件毎に請負金額だけでなく、見積総原価、予定工事期間を随時見直すなど適切な工事採算管理を行っております。

 

 

(16) 当社グループの売上取引内容について

 当社グループは、建設用重量仮設鋼材の賃貸・販売・修理・加工、杭打抜・山留架設工事、地中連続壁工事等、及び土木・上下水道施設工事等の事業活動を行っており、都市部の地下空間や河川・港湾などの地下工事が主な工事対象現場であります。
 その中で、事前に予測不能な地盤の沈下や崩落、地下水の出水、岩盤層の発生などにより、工事期間の予定外の延長や追加工事費用が発生する可能性があり、顧客である建設会社から追加工事契約が取得できない場合は、工事採算の悪化により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは当該リスクに対応するため、工事現場毎に地質資料などの工事現場の情報を入手した上で見積金額を適切に算定するとともに、回収遅延を防止するために売上債権の年齢毎の管理を行い、営業経理部はその結果を経営会議に報告しております。

 

(17) 自然災害に関するリスクについて

 地震や水害などの自然災害により事務所や工場設備に被害が及んだ場合や、新型コロナウイルス感染症拡大などのパンデミックが発生した場合は、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは当該リスクに対応するため、BCP(事業継続計画)マニュアルを毎期更新し、安否確認システムを確実に運用するとともに、時差出勤や在宅勤務を推進するなどの対応策を講じて、災害時に遠隔地からの勤務が可能な体制を構築しております。

 

(18) IT(システム)リスクについて

 当社グループの事業活動において情報システムの重要性が増大する中で、大規模災害やコンピュータウイルス感染の発生・サイバー攻撃などにより予期せぬシステム障害や当社グループの機密情報や個人情報などの情報漏えいが発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
 当社グループでは当該リスクに対応するため、情報系機器の入れ替えと災害対応設備の整ったデータセンターへの移設を行ないシステムのバックアップ対策を強化しております。また、クラウドのメールチェックなど3段階のセキュリティ対策を行うとともに、不正侵入対策としてファイヤーウォールシステムを強化するなどの対策を講じております。

 

(19) 丸紅㈱との関係について

 丸紅㈱は、当社の議決権の35.22%を所有する株主であるため、この議決権を有する株主としての権利を行使することができます。また、監査等委員である取締役(非常勤)1名が、丸紅㈱の鉄鋼製品事業部長を兼任しているため、同社の金属セグメントに関する方針が、当社の経営方針の決定等について影響を及ぼし得る状況にあります。一方、当社は、経営の自主性・独自性を確保するために、丸紅㈱との間で経営の関与に関する覚書を2005年3月31日付で締結し、当社の重要事項の決定に当たっては事前の承認・報告を要さない旨を合意しております。
 当連結会計年度における当社グループと丸紅㈱との取引関係について、特記すべき事項はありません。また、当社と丸紅㈱を含めた丸紅グループ全体との間での当連結会計年度の取引高の割合は、売上高が3.8%、仕入高が5.7%でありますが、その取引は市場価格等を勘案し、一般取引と同様に公正かつ適切に行っております。
 丸紅㈱との人的関係は、役員10名のうち転籍者が2名、兼任者が1名であります。

 

(20) 法的規制について

 当社グループの事業のうち、当社及び子会社の丸建基礎工事㈱・マルケンテックジャパン㈱が行う「建設用重量仮設鋼材の杭打抜・山留架設工事、地中連続壁工事等」や、子会社の興信工業㈱が行う「土木・上下水道施設工事、建築設備工事及び工場プラント工事」については、建設業法による許可を取得して業務を行うことが定められており、今後これらの許可の取消があった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
 当社グループでの重要な許可の要件は有資格者でありますが、当該リスクに対応するため、経営業務の管理責任者、一級土木施工管理技士、一級建築施工管理技士などの有資格者の育成、確保等を行っております。
 

 

(21) 環境保全リスクについて

 当社グループは、工場・工事現場での作業時に産業廃棄物、泥水、泥土、汚泥の発生などの環境保全リスクにより、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
 当社グループでは、当該リスクに対応するため、産廃契約書、マニフェスト伝票の確認をはじめとした廃棄手続の管理と適切な実施を行っております。
 

(22) コンプライアンスリスクについて

 当社グループは、会社や役員・従業員による法令違反、不祥事の発生や反社会的勢力との関わりにより、法令による処罰や社会的制裁により社会や各利害関係者からの信用を失う可能性があります。
 当社グループでは、当該リスクに対応するため、コンプライアンス・マニュアルを制定しコンプライアンス講習会を開催するとともに、年一回全役員・全従業員がコンプライアンス宣誓書を提出しております。また、当社のコンプライアンス委員会、顧問弁護士及び常勤監査等委員を窓口とする内部通報制度を設けており、グループ会社を含めた役員・従業員への周知徹底により、その認知度を高めるとともに利用しやすい環境を作り、より意義のある制度構築を目指しております。反社会的勢力に対しては、取引先のネガティブデータチェックを行うなどの対策を講じ取引の遮断を図っております。

 

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