当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に伴う影響により依然として厳しい状況の中、ワクチン接種が進むにつれて、各種政策の効果や海外経済の改善もあって持ち直しの動きがみられておりましたが、新たな変異株による感染拡大の影響も懸念され、景気の先行きは不透明な状況が続きました。
当社グループを取り巻く市場環境は、令和2年度の政府補正予算と令和3年度予算において、防災・減災対策、国土強靭化の推進、自然災害からの復旧・復興の加速、インフラ老朽化対策の推進、気候変動対策、自然との共生・生物多様性の保全と持続可能な利用、環境リスクの管理等の当社グループが強みを活かせる分野に重点配分されており、比較的堅調に推移いたしました。
このような状況の中、当社グループは、安全・安心で持続可能な社会の実現、サステナビリティを重視した事業展開の推進、コンサルタントとしての技術力の総合化・多様化・高度化、さらには企業価値の向上を目標に事業を推進してまいりました。
また、当社グループは、2019年から2021年までの第4次中期経営計画において、「イノベーションとマーケティングによる市場創生・新規事業の展開と海外事業の拡大」をスローガンに掲げ、①新規事業の創出・新市場の開拓と技術開発の推進、②イノベーションやマネジメントを担える人材の確保・育成、③基幹事業分野の強化、④海外事業の拡大と海外展開の推進、⑤民間・個人市場への展開、ものづくりの推進、⑥IoT・ロボット・AI等先端技術の利活用、⑦働き方改革の推進、⑧組織の一体化・効率化とガバナンス体制の強化、の8つの重要な経営課題に取り組むことにより、強い経営基盤の構築と安定的な成長を目指してまいりました。さらには、新型コロナウイルス感染症拡大への対応として、2020年に食品・生命科学研究所(大阪市住之江区)及び環境創造研究所(静岡県焼津市)を衛生検査所に登録してPCR検査の体制を整備し、社会的な要請に応えるとともに、社員の健康や安全を確保して企業活動を継続してまいりました。
当連結会計年度における連結業績は、受注高は再生可能エネルギー関連の環境調査やインフラ施設の維持管理関連業務、発注者支援業務、海外における洪水対策調査等の受注が増加したことにより、前年同期比13億2千6百万円増加の224億3千7百万円(前年同期比6.3%増)となり、来期以降への繰越受注残高は期首繰越受注残高及び受注実績の増加に伴い、同21億7千4百万円増加の230億9千7百万円(同10.4%増)となりました。売上高は大規模な海洋環境調査や海底資源開発に係る調査、インフラ施設の設計・維持管理関連業務等の売上が増加したことにより、同6億9百万円増加の206億2千3百万円(同3.0%増)となりました。
売上高の増加及び工程管理の徹底や原価・経費の削減に努めた結果、営業利益は前年同期比3億7千9百万円増加の25億4千7百万円(前年同期比17.5%増)、経常利益は投資事業組合運用損の計上等により同2百万円減少の21億7百万円(同0.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は繰延税金資産の回収可能性を見直した結果、法人税等調整額(益)を計上したことにより同7億3千7百万円増加の20億8千3百万円(同54.8%増)となり、売上高当期純利益率は10.1%となりました。なお、受注高、売上高についてはそれぞれ過去最高を更新いたしました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。(セグメント間取引を含んでおります。)
(環境コンサルタント事業)
同事業では、国・地方自治体等において厳しい受注競争が続いているものの、大規模な海洋環境調査、再生可能エネルギー関連の環境調査や東日本大震災の復旧・復興に関する様々な調査等、当社の強みを活かせる業務を多く受注することができました。 売上高は前年同期比4億2千3百万円増加の127億3千8百万円 (前年同期比3.4%増)となり、売上高の増加によりセグメント利益は同1億6千5百万円増加の13億3千2百万円(同14.2%増)となりました。
同事業の部門別業績は次のとおりであります。(外部売上高を記載しております。)
環境アセスメント及び環境計画部門におきましては、環境アセスメント分野では、港湾・空港・道路・バイオマス発電・風力発電・廃棄物最終処分場等の建設に関する環境アセスメント業務を実施いたしました。また、脱炭素社会や再生可能エネルギー事業の推進に関する業務、海洋開発に関する業務、海域環境保全等の業務、閉鎖性海域の健全化を評価するための新しい環境基準に関する検討業務、マイクロプラスチックを含む海洋ごみの調査手法に関する業務等を実施いたしました。
環境計画分野では、自然地域・都市地域における環境保全・水辺利用計画の策定、河川・湖沼・海域・湿地・森林等の自然再生に関する調査・検討、地域循環共生圏の構築支援、環境中の化学物質等の挙動把握に関する業務を実施いたしました。
港湾インフラマネジメント分野では、港湾施設、海岸保全施設等の長寿命化を目的とした点検診断及び維持管理計画策定に関する業務を実施いたしました。また、岸壁、防波堤、海岸堤防等における耐震・耐津波の機能強化を目的とした基本設計・実施設計・耐震照査に関する業務を実施いたしました。
農業環境資源分野では、有明海・諫早湾等の再生に関する業務、東日本大震災関連でため池の放射性物質に関する調査業務、農業農村整備事業に係る環境調査業務等を実施いたしました。
ライフケア事業分野では、「お部屋の健康診断」ビジネスを軸に、個人顧客を中心としたサービスを提供いたしました。
売上高は前年同期比7億2千8百万円増加の34億3千8百万円 (前年同期比26.9%増)となりました。
環境生物部門におきましては、水域生物分野では、河川、湖沼、湿地等の陸水域から、干潟、藻場、海洋・沿岸海域までを対象に、魚類、底生動物、サンゴ等の分布状況や生息環境の特性、生態系の構造に関する調査・解析業務を実施いたしました。ダム湖において繁茂がみられた外来水草を対象に、効率的な駆除手法を検討いたしました。自然再生関連業務として河川の自然再生、漁業関連業務として水産資源調査、漁業影響調査、漁業補償関連調査、河川における重要な生物種の生息ポテンシャルや保全対策を踏まえた多自然川づくりを実施いたしました。また、海洋鉱物資源開発に係る外洋域の生物分析、環境影響評価等の新しい分野への進出を図りました。マイクロプラスチックについては、河川や下水道等における分布実態把握の他、海域における調査・分析技術標準化のための調査・検討業務を実施いたしました。
陸域生物分野では、里山から山地帯、河川・海岸さらには離島を対象に、植物、哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、昆虫類等の分布状況や生息環境の特性、生態系の構造に関する調査・解析業務を実施いたしました。希少生物・生態系の保全業務として、クマタカ等の希少猛禽類の調査・保全対策、再生可能エネルギー事業に関連する業務として、陸上風力発電の環境影響評価調査を実施いたしました。
生物飼育実験分野では、下水処理水が魚類に与える影響を把握するための実験業務、希少魚類の繁殖業務の他、環境DNA技術を用いた生物調査・分析業務を実施いたしました。
売上高は前年同期比3億5百万円増加の29億6千万円 (前年同期比11.5%増)となりました。
数値解析部門におきましては、海域分野では、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海、有明海等の閉鎖性海域や沖縄海域の沿岸域において、流動や水質のデータ解析及び環境影響評価を行うとともに、水質改善効果把握、水質・底質・生態系の物質循環と汚濁メカニズムの解析業務を実施いたしました。また、海洋開発に関する業務として外海での海流データ解析業務や、沿岸漁業におけるスマート化推進のための漁場データ解析業務や、港湾の検潮所等における海象観測データの整理・解析業務を実施いたしました。
河川・湖沼分野では、霞ヶ浦、中海・宍道湖、諏訪湖等の指定湖沼及び各自治体が管理している主な湖沼において、湖流、水質・底質、生物に関する数値モデリングを実施し、湖沼における水質保全計画策定と対策に資する検討業務を実施いたしました。また、画像等のデジタル情報を対象にAI技術を用いて、河川モニタリング映像による変状検知の解析業務や融雪期のダム流入量予測を実施いたしました。
気象解析分野では、レーダ雨量計に関する検討業務、温暖化対策に資する気候予測データセットの解析業務を実施いたしました。
売上高は前年同期比1千8百万円減少の3億6千8百万円 (前年同期比4.8%減)となりました。
調査部門におきましては、水域調査分野では、港湾・空港等の整備に係る海域環境調査や開発事業に伴う生態系保全環境調査、発電所建設に伴う漁業影響調査、海底鉱物資源開発に係る外洋環境調査、河川等の公共用水域の測定計画調査やダム湖の希少魚類に係る環境調査を実施いたしました。
陸域調査分野では、道路環境監視のための騒音・振動・交通量調査や大気質の常時モニタリング調査、再生可能エネルギー事業に関連した風況観測等の調査を実施いたしました。
廃棄物・土壌調査分野では、国や自治体、民間の事業計画に伴う土壌汚染、廃棄物、微量PCBの調査や対策、環境リスクコンサルティングを実施いたしました。
航空調査分野では、自社保有航空機を用いた大型海生生物の生態調査を実施いたしました。
震災復興関連では、東日本大震災に伴う放射能の除染に係る同意取得業務、ため池の放射性物質対策調査、中間貯蔵施設に係る水底質監視調査を実施いたしました。
このほか、港湾施設のインフラ点検調査や水中ロボット(AUV)を用いた沖合海底の生物多様性調査や海底ごみの分布可視化調査を実施いたしました。
売上高は前年同期比6百万円増加の26億7千7百万円 (前年同期比0.3%増)となりました。
環境化学部門におきましては、環境化学分野では、水質・底質・土壌等の環境媒体の測定分析、大気中有害金属の測定分析、ダイオキシン類・残留性有機汚染物質(POPs)等の極微量化学物質の測定分析、絶縁油・塗膜中のPCBの測定分析、及び細菌試験を実施いたしました。また、震災復興関連では、ため池等の放射性物質モニタリングに関する測定分析を実施いたしました。さらに、水銀に関する水俣条約に関わる国内モニタリング、国際支援(モニタリング技術の移転・能力強化)に携わりました。
食品・生命科学分野では、食品中の放射性物質の測定分析、食品の機能性評価や成分分析、遺伝子解析、タンパク質の解析(プロテオーム解析)等の実施に加え、新型コロナウイルス検査を実施いたしました。
環境リスク分野では、子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)等の業務において、血液・尿・毛髪等の生体試料中の有機フッ素化合物、重金属類、ダイオキシン類・POPsや農薬類の代謝物等の測定分析を実施するとともに、化学物質による人や生物への影響評価調査を実施いたしました。また、水生生物を用いた化学物質の内分泌かく乱作用のリスク評価及び試験法の開発や生態毒性試験等を実施いたしました。
売上高は前年同期比6億6千4百万円減少の27億6千7百万円 (前年同期比19.4%減)となりました。
気象情報サービス分野では、スマートフォン向け気象情報サイトの運営を実施するとともに、気象予報や当社で独自開発した健康天気予報(バイオウェザー)の充実のための研究開発を実施いたしました。また、自治体や民間事業者に対して道路気象予報、波浪予報、気象情報配信等を実施いたしました。
沿岸分野では、沿岸域での防災や港湾等の事業に関する解析・検討業務を実施いたしました。また、自社で開発した数値解析モデル等を用いて、波浪・海岸変形の解析や航路埋没の対策検討、津波・高潮・高波の監視・観測・解析に関する業務を実施いたしました。
売上高は前年同期比5千4百万円増加の4億9千8百万円 (前年同期比12.2%増)となりました。
(建設コンサルタント事業)
同事業では、国・地方自治体等において厳しい受注競争が続いているものの、防災・減災関連業務や、インフラ施設の設計・維持管理関連業務等、当社の強みを活かせる業務を多く受注することができました。売上高は前年同期比2億1千6百万円増加の72億9千6百万円 (前年同期比3.1%増)となり、売上高の増加及び工程管理の徹底や原価・経費の削減に努めた結果、セグメント利益は同2億2百万円増加の10億5千5百万円(同23.8%増)となりました。
同事業の部門別業績は次のとおりであります。(外部売上高を記載しております。)
河川部門におきましては、河川分野では、河川整備計画、治水計画、洪水浸水想定、水害に強いまちづくり、ダムの運用・管理、河川事業の評価、河道改修方策の評価、河川流域の総合土砂管理、砂防基礎調査、河川環境の保全を考慮した川づくり、河川の維持管理等に関する業務を実施いたしました。また、平成30年7月豪雨及び令和元年東日本台風等で被災した河川の治水計画見直し等に関する業務を実施いたしました。
海岸分野では、海岸施設改良等の海岸保全計画、津波・高潮対策、高潮浸水想定、河口処理計画、海岸事業評価等に関する業務を実施いたしました。
売上高は前年同期比4千4百万円減少の16億2千2百万円 (前年同期比2.7%減)となりました。
水工部門におきましては、河川の堤防・護岸、水門、堰、樋門・樋管、排水機場、放水路等の河川構造物の計画・設計、維持管理計画、耐震対策等に関する業務、砂防堰堤設計や砂防基礎調査等の土砂災害対策に関する業務を実施いたしました。また、平成30年7月豪雨及び令和元年東日本台風で被災した河川・砂防施設の復旧設計に関する業務を実施いたしました。
売上高は前年同期比4千6百万円増加の17億2千2百万円 (前年同期比2.8%増)となりました。
道路部門におきましては、自動車専用道路及び一般道路における道路設計、標識や排水施設等の道路付属物設計、擁壁等の道路構造物設計、生活道路の交通事故対策、新設路線の事業評価や整備効果、道路の無電柱化対策、照明や標識等の道路施設点検や維持管理に関する業務、まちづくり関連業務、東日本大震災の復興支援道路の事業監理業務やため池対策工設計等を実施いたしました。また、平成30年7月豪雨及び令和元年東日本台風で被災した道路施設の復旧や事業計画に関する業務を実施いたしました。
売上高は前年同期比1億3千8百万円増加の13億7千9百万円 (前年同期比11.2%増)となりました。
橋梁部門におきましては、自動車専用道路及び一般道路における鋼橋・コンクリート橋等のBIM/CIMを活用した橋梁設計、橋梁の維持管理・モニタリング計画、点検及び診断・評価、補修・補強設計、耐震補強設計等に関する業務を実施いたしました。また、平成30年7月豪雨及び令和2年7月豪雨で被災した橋梁の復旧に関する設計業務を実施いたしました。そのほか、放射能汚染土壌の中間貯蔵施設の工事に係る監督支援業務を実施いたしました。
売上高は前年同期比7千万円増加の24億2千2百万円 (前年同期比3.0%増)となりました。
海外部門におきましては、沿岸域環境管理、気候変動対策、海洋ごみ・水銀等廃棄物管理、水環境管理、環境社会配慮、水資源・洪水管理、災害リスク削減、防災体制強化等の業務を実施いたしました。
売上高は前期に引き続いて、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響を受けて、前年同期比4百万円増加の1億5千万円 (前年同期比3.3%増)にとどまりました。
(情報システム事業)
システム構築分野では、河川の洪水予測システムや画像解析による土石流検知システム、ダム管理支援システムの構築、河川管理用防災SNSシステムの構築、健康診断管理システムの機能改修、沿岸漁業支援のICTを活用したスマートアプリシステムの構築業務を実施いたしました。
システム開発分野では、CCTVカメラ映像を利用した水位計測システムの精度向上や流量計測システムの現地フィールド実証によるシステム検証、仮想現実(VR)技術を利用した防災業務、AIを活用した堤防変状検知システムの開発を実施いたしました。
システム運用支援分野では、地球観測衛星の運用支援業務、通信会社のスマートフォンサービスの技術検証支援業務を実施いたしました。
このほか放射能除染関連業務として、GISデータの整理・解析等を実施いたしました。
売上高は前年同期比8百万円減少の4億4千2百万円 (前年同期比1.8%減)となりましたが、工程管理の徹底や原価・経費の削減に努めた結果、セグメント利益は同2千3百万円増加の3千5百万円(同184.6%増)となりました。
(不動産事業)
同事業においては、赤坂のオフィスビル、旧大阪支社跡地等の不動産賃貸を行いました。
売上高は前年同期比9百万円減少の2億3千3百万円(前年同期比4.0%減)、セグメント利益は同1千2百万円減少の1億2千3百万円(同8.9%減)となりました。
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ11億1千3百万円減少の12億8千1百万円(前年同期比46.5%減)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、獲得した資金は16億4千2百万円(前年同期は30億9千9百万円の獲得)となりました。これは主として、税金等調整前当期純利益21億7百万円、非資金支出費用である減価償却費7億6千9百万円、たな卸資産の増加額10億4千7百万円、法人税等の支払額6億3千6百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は15億1千万円(前年同期は6億7千4百万円の使用)となりました。これは主として、有形固定資産の取得による支出14億1千万円、無形固定資産の取得による支出1億2千2百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果、使用した資金は12億5千7百万円(前年同期は11億9千2百万円の使用)となりました。これは主として、社債の償還による支出10億2千5百万円、配当金の支払額2億1千3百万円によるものであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は販売価格で表示しております。
3 上記金額には消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は受注契約金額で表示しております。
3 上記金額には消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
3 上記金額には消費税等は含まれておりません。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。この連結財務諸表作成にあたっては、資産・負債、収益・費用の計上について必要に応じて会計上の見積りを行っております。この会計上の見積りは、過去の実績や現在の状況に応じて合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性を有しているために実際の結果とは異なる可能性があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1. 連結財務諸表等(1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
新型コロナウイルス感染症拡大に伴う影響については、現時点では軽微であると考え、当期の会計上の見積りには織り込んでおりません。
(2) 経営成績の分析
(売上高)
売上高については、大規模な海洋環境調査や海底資源開発に係る調査、インフラ施設の設計・維持管理関連業務等の売上が増加したことにより、前年同期比6億9百万円増加の206億2千3百万円(同3.0%増)となりました。
環境コンサルタント事業では、大規模な海洋環境調査や再生可能エネルギー関連の環境調査、東日本大震災の復旧・復興に関する様々な調査等、当社の強みを活かせる業務を多く受注することができたこと等により前年同期比4億2千3百万円増加の127億3千8百万円 (前年同期比3.4%増)となり、建設コンサルタント事業では、防災・減災関連業務や、インフラ施設の設計・維持管理関連業務等、当社の強みを活かせる業務を多く受注することができたこと等により、同2億1千6百万円増加の72億9千6百万円 (前年同期比3.1%増)となりました。また情報システム事業では、同8百万円減少の4億4千2百万円 (前年同期比1.8%減)、不動産事業では、9百万円減少の2億3千3百万円(前年同期比4.0%減)となりました。
(営業利益)
売上高の増加及び工程管理の徹底や原価・経費の削減に努めた結果、前年同期比3億7千9百万円増加の25億4千7百万円(前年同期比17.5%増)となりました。
環境コンサルタント事業では、前年同期比1億6千5百万円増加の13億3千2百万円(同14.2%増)のセグメント利益を計上いたしました。建設コンサルタント事業では、同2億2百万円増加の10億5千5百万円(同23.8%増)のセグメント利益を計上いたしました。情報システム事業では、同2千3百万円増加 の3千5百万円(同184.6%増)のセグメント利益を、不動産事業については、同1千2百万円減少の1億2千3百万円(同 8.9%減)のセグメント利益を計上いたしました。
(経常利益)
経常利益については、投資事業組合運用損の計上等により前年同期比2百万円減少の21億7百万円(同0.1%減)を計上いたしました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益については、繰延税金資産の回収可能性を見直した結果、法人税等調整額(益)を計上したことにより前年同期比7億3千7百万円増加の20億8千3百万円(同54.8%増)となり、売上高当期純利益率は10.1%となりました。
当社グループの収益確保の方針は、売上高の伸長及び経営の効率化による諸経費の削減を行うことであり、組織の効率化、社内ネットワークを活用した情報の有効活用、資金及び施設の有効活用を実施してまいります。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(4) 財政状態の分析
(資産)
資産合計は、前連結会計年度末と比べ7億6千6百万円増加の275億2千4百万円(前年同期比2.9%増)となりました。
流動資産につきましては、主に現金及び預金の減少11億1千4百万円、受取手形及び営業未収入金の増加1億8千万円、仕掛品の増加10億4千6百万円により、前連結会計年度末と比べ1億1千3百万円増加の106億4千万円となりました。また、流動比率は257.1%(前年同期は199.9%)となりました。
固定資産につきましては、主に建物の増加7億6千8百万円、建設仮勘定の減少3億2千5百万円、投資有価証券の減少2億7千1百万円、繰延税金資産の増加5億9千7百万円により、前連結会計年度末と比べ6億5千3百万円増加の168億8千3百万円となりました。また、固定比率は82.8%(前年同期は88.5%)となりました。
(負債)
負債合計は、前連結会計年度末と比べ12億9千2百万円減少の71億2千2百万円(前年同期比15.4%減)となりました。
流動負債につきましては、主に1年内返済予定の長期借入金の増加1億円、1年内償還予定の社債の減少10億2千5百万円、流動負債その他の減少3億1千万円により、前連結会計年度末と比べ11億2千6百万円減少の41億3千9百万円となりました。
固定負債につきましては、主に長期借入金の減少1億円、繰延税金負債の減少8千5百万円により、前連結会計年度末と比べ1億6千5百万円減少の29億8千3百万円となりました。
(純資産)
純資産合計は、主に利益剰余金の増加18億6千9百万円により、前連結会計年度末と比べ20億5千8百万円増加の204億1百万円(前年同期比11.2%増)となりました。また、ROEは10.8%(前年同期は7.6%)となりました。
(5) 経営戦略の現状と見通し
当社グループに関わる市場環境においては、特に重点的に取り組むべき課題として、以下の事項が挙げられております。
・「大規模災害からの復旧・復興」「自然災害に備えた防災・減災」「インフラの老朽化対策」「経済成長、地域創生、生産性向上のためのインフラ整備」といった国土強靱化や社会基盤整備に関する課題
・「地球温暖化による気候変動への適応」「再生可能エネルギーの活用などの適切なエネルギーバランスの実現」「地域の資源を有効に活用した循環共生型社会の形成」などの脱炭素社会・循環型社会・自然共生社会の実現に向けた課題
・「大気・水環境等の環境質の保全」「希少種保全や生物多様性の確保」「持続可能な海洋資源の利活用」などの生活環境・自然環境の保全に向けた課題
・「化学物質による環境・健康リスクの低減」「感染症リスクへの対応」など人の健康リスクに関する課題
など、このような社会的課題の解決は、国際社会における持続可能な開発目標であるSDGsへの貢献や当社のサステナブルな事業の展開にもつながっていくと考えられます。
当社グループは、これらの課題を解決し、「安全・安心で快適な社会の持続的発展と健全で恵み豊かな環境の保全と継承を支えることを通じて社会に貢献する」という経営ビジョンを達成するため、長期的な経営戦略を次のように設定しております。
<事業戦略>
・一歩先を見据えた積極的な技術開発と新規事業分野・新市場への展開
・技術の総合化・多様化・差別化によるコア・コンピタンスの創出
・価格競争力の向上と営業力強化
・官公需の受注シェア向上と民間分野への積極的な営業展開
<人材・組織戦略>
・優秀な人材の確保・育成のための基盤整備
・社会ニーズや社会構造にマッチした組織・事業構造、事業領域への転換
・関連企業の育成とパートナーシップの強化
<財務戦略>
・財務健全性の確保と資本効率性の向上
・内部統制の強化
上記の経営戦略のもと、当社グループは、2022年から2024年までの第5次中期経営計画において、「イノベーションの加速と総合力の結集による事業領域の拡大と経営基盤の強化」をスローガンに掲げ、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の重要な経営課題に取り組むことにより、強い経営基盤の構築と安定的な成長を目指す所存であります。
(6) 資本の源泉及び資金流動性についての分析
① キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ11億1千3百万円減少(前年同期は12億3千2百万円の増加)し、12億8千1百万円(前連結会計年度末は23億9千5百万円)となりました。
詳細につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(キャッシュ・フロー指標の推移)
(注)1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2.各指標は、下記の基準で算出しております。
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・ガバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
3.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数(自己株式数を控除)により算出しております。
4.営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。
5.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている負債を対象としております。
6.利払いは、連結損益計算書に計上されている支払利息を使用しております。
② 資金需要
当社グループの資金需要のうち主なものは、運転資金需要として外注費、労務費のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。
③ 財務政策
当社グループの資金調達としては、運転資金に関しては、手許流動性資金を勘案の上、不足が生じる場合には短期借入金による調達で賄っております。設備資金に関しては、手許資金(利益等の内部留保金)、長期借入金及び社債による調達を基本としております。
ただし、設備資金の不足が生じる期間が短期間である場合には、短期借入金による調達で賄っております。
長期資金の調達に際しては、金利動向並びに発行費用等の調達コストも含めて総合的に検討し、銀行借入と比較して有利な条件になる場合に限り、社債発行を行うこととしております。
資金の流動性については、経理部が適時に資金繰り計画を作成・更新するとともに、手許流動性の維持等により、流動性リスクを管理しております。
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