課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社、および当社の子会社)が判断したものであります。

 

(1)経営方針
 当社は、「『株主には利益還元で奉仕を』『顧客にはニーズにあった質のよいサービスを』『社員には幸せで豊かなくらしを』『社会には貢献を』提供していく」ことを企業理念として掲げ、相互信頼・相互扶助の精神を尊重し、夢と感性に満ちた企業組織体を目指しております。近年、デジタル技術の進展とともに、多様化する消費スタイルを捉えた有益な情報コミュニケーションを行うことの重要性が増しているなか、当社は、中核事業であるダイレクトメールと物流、セールスプロモーション、イベントの各事業および新たな関連分野のサービスを通して、「顧客企業と生活者のよい関係づくりをトータルサポート」するとともに、将来に向けて、ダイレクトメールの枠組みを超えたデジタルとリアルの「総合情報ソリューション企業」を目指し、企業価値の一層の向上に努めてまいります。

 

(2)経営戦略等
 当社は、2022年3月に「新中期経営計画」を策定いたしました。この計画では、最終年度の2027年3月期において、株式時価総額200億円、売上高340億円、営業利益22億円の達成を目標としています。また、この目標の実現と前記の「総合情報ソリューション企業」への布石づくりのため、事業戦略として「次世代事業の創出」「第2・第3の事業の柱づくり」「主力事業の深化」に、これを支えるデジタル戦略として「デジタルトランスフォーメーションの推進」に、さらに企業価値を高めるための基盤戦略として「サステナビリティ・SDGs」「健康経営の推進」に取り組むこととしています。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
 企業理念に掲げる株主の皆様への利益還元を図ってまいります。これに必要な収益獲得を計画、管理するため資本効率と収益力を表す指標としてのROE(自己資本利益率)およびROA(総資産利益率)を重要な経営指標と考えており、中長期的にROE10.0%以上、ROA7.0%以上の達成を目指しております。

 

(4)経営環境および対処すべき課題

 ダイレクトメール事業の市場環境は、インターネット広告の台頭がありながらも比較的堅調に推移しています。これは「紙かデジタルか」という択一ではなく、「紙とデジタル」という相乗効果による新たな価値創造につながっているためです。また、インターネット通販市場の拡大が続いており、物流事業における大きなビジネスチャンスとなっています。さらに、セールスプロモーション事業とイベント事業においても、顧客や住民との接点における企業や自治体の業務委託ニーズの活発化が期待されます。一方、事業活動の充実と合わせて持続可能な社会の実現に向けた取り組みとが両輪となることも強く求められるようになっています。このようななか、当社は、拡大する事業機会の獲得と社会課題の解決を推進し、前期の経営方針および経営戦略等を実践すべく、次のことに対処してまいります。

 

①次世代事業の創出

 デジタル分野で既存事業との相乗効果を発揮する新規事業を開発し、新たなビジネスモデルの展開を図ってまいります。ダイレクトメール、物流などの既存事業の周辺には様々な機会があり、これらを捉えることで、これまでの受託業務に加えて、その上流にある企画設計を含めたデジタルとリアルの総合ソリューション分野や、システム製品販売などの新たな法人向け事業への展開が考えられます。さらに、これらの事業で培われるノウハウを応用して、消費者を対象とした事業領域も検討できると考えています。

 

②第2・第3の事業の柱づくり

 物流事業およびセールスプロモーション事業を主要な事業セグメントへ発展させてまいります。第2の柱とすべく物流事業は、拡大傾向にあるものの、利益面に改善の余地があります。今後も期待できるEC通販出荷の拡大を捉えたスケールメリットとデータやデジタル技術の活用による効率化を進めることで、早期に営業利益率5%を超えるべく取り組んでまいります。一方、第3の柱とすべくセールスプロモーション事業は、すでに付加価値による高い収益性があるものの、スポット案件の割合が多いことなどにより、事業規模自体の拡大は軟調となっていました。今後は、企画設計ノウハウやイベント事業との複合サービスの展開、システム開発力の強化などの取り組みを進め、企業の業務委託ニーズに関連する案件拡大により、高い収益性を最大限に活かしてまいります。

 

 

③主力事業の深化

 既存のダイレクトメール案件の安定成長をベースにしつつ、オンラインを主戦場とするデジタル事業者による

新たなダイレクトメール需要や未開発の地方有力企業などを対象とした新市場開拓と、デジタル時代の新サービス提供の両軸を推進することで、さらなるシェア拡大を図ってまいります。

 

④デジタルトランスフォーメーションの推進

 デジタルとリアルの融合や顧客データの増大、働き方の多様化やデジタル技術の進展などの環境変化を捉え、デジタルトランスフォーメーションに取り組むことで、新たに標榜する「総合情報ソリューション企業」への進化と事業の付加価値、生産性の向上を図ってまいります。また、こうした新しい取り組みを通じて、よりよい組織変革や次世代人材育成の機会としてまいります。

 

⑤サステナビリティ・SDGsへの取り組み

 当社の中核事業であるダイレクトメールは、紙や個人情報を取り扱うことから、環境負荷やプライバシー保護に関するリスクが内包されていることも事実です。そこで、当社では、地球環境の保全、顧客データの保護と有効活用に積極的・能動的に取り組むことで、ダイレクトメールが長期的に価値を発揮できる前提を作ることに努めてまいります。また、当社の事業活動を支える多様な人材が、いきいきと働くことができる基盤づくりと、女性活躍を積極的に推進してまいります。

 

⑥健康経営の推進

 働く人々の健康増進に向けた取り組みにより、生産性の向上と組織の活性化を実現してまいります。このため、「企業全体で健康づくりに取り組むこと」を宣言し、運動や食生活による健康行動の習慣化に向けた支援など具体的な活動に取り組んでまいります。

 

(5)新型コロナイルス感染症の拡大への対応

当社は、新型コロナウイルス感染症の拡大抑止と従業者の安全確保のため、テレワーク、時差通勤、交代勤務、衛生管理などの対策を実施しながら、全事業で操業を維持しております。また、これまで事業に用いる物的・人的リソースの確保にも特段の問題は発生しておらず、顧客企業との連絡・商談などの業務も維持しております。なお、案件の受注活動においては、社会経済活動の停滞を背景とした企業によるプロモーション活動の見送りや感染防止のためのイベント開催自粛などの影響が続いておりますが、在宅消費の機会を捉えたダイレクトメールの利用回復や通販出荷物流の活性化など、足元では再開・回復傾向も見られるようになっています。

 

 

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