業績

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析、検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績

当連結会計年度(2021年2月21日から2022年2月20日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が続いており、引き続き予断を許さない状況となっております。家具・インテリア業界におきましては、業種・業態の垣根を越えた販売競争の激化や、人手不足による人件費の高騰及び世界的なコンテナ不足や海上運賃の高騰に起因する物流コストの上昇等により、依然として厳しい経営環境が続いております。

当社は、前連結会計年度に株式会社島忠を連結子会社とし、従来の家具・インテリア用品に加えて、ホームセンター商材などへ事業領域を拡大し、お客様へ住まいに関する包括的なサービスを提供することで、様々なライフスタイルに対応した事業展開を推進しております。当連結会計年度におきましては、島忠店舗における品揃えの見直し、ホームセンター商材のプライベートブランド商品開発、購買機能統合による一般経費削減、ニトリと島忠との融合型店舗「ニトリホームズ宮原店」のオープンなど、シナジーの実現に向け当社グループ全体として様々な施策に注力してまいりました。今後も商品開発から物流、店舗の開発に至るまでの統合推進体制を強化し、事業のさらなる発展及び企業価値の最大化を図ってまいります。

 

当連結会計年度における主な経営成績は次のとおりであります。

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減額

(百万円)

増減率

(%)

売上高

716,900

811,581

94,681

13.2

営業利益

137,687

138,270

583

0.4

(利益率)

(19.2%)

(17.0%)

 

 

経常利益

138,426

141,847

3,421

2.5

親会社株主に帰属する
当期純利益

92,114

96,724

4,609

5.0

 

 

セグメント別の経営成績は次のとおりであります。

なお、当社グループの報告セグメントは、従来「家具・インテリア用品の販売事業」の1つとしておりましたが、前連結会計年度において株式会社島忠を連結子会社化したことに伴い、前連結会計年度末より「ニトリ事業」、「島忠事業」の2つへ変更しております。

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減額

(百万円)

増減率

(%)

ニトリ事業

売上高

716,900

679,252

△37,647

△5.3

営業利益

137,687

135,274

△2,412

△1.8

島忠事業

売上高

137,052

137,052

営業利益

3,032

3,032

 

 

 

① ニトリ事業 

国内の営業概況といたしましては、「おうち時間を、より多くのお客様に、さらに快適に過ごしていただきたい」という想いのもと生活応援値下げキャンペーンを実施いたしました。2021年11月よりインテリア用品1,389アイテムの恒久的値下げ及び家具264アイテムの期間限定値下げを実施することで多くのお客様にご好評をいただきました。2022年1月には第2弾としてインテリア用品520アイテムを追加で恒久的に値下げいたしました。一方、度重なる緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置の実施に伴い一部店舗が休業を余儀なくされたこと、天候不順やオリンピック開催による外出控えが見られたこと、前連結会計年度において巣ごもり需要等による売上が好調に推移していたことなどから、当連結会計年度における既存店発生売上高は前年を下回る結果となりました。販売費及び一般管理費につきましては、物流の効率化や内製化による発送配達費の削減や業務委託費の抑制などを行いましたが、売上高の減少を補いきれず、営業利益は前年に対し下回る結果となりました。

当連結会計年度における販売実績といたしましては、体圧分散性に優れたリクライニングワークチェア「フォリスト」や、壁や天井を傷付けず自分好みに収納アイテムを設置できる壁面つっぱりシェルフ「Nポルダ」などの売上が好調に推移いたしました。また、商品開発におきましては、ニトリオリジナルの「Wi-Fiエアコン」の取扱いを開始するなど、新たな品種の拡大にも努めてまいりました。さらに、2021年度グッドデザイン賞(主催:公益財団法人日本デザイン振興会)においては、合計6項目で受賞いたしました。なかでも再資源化を見据えて設計された「廃棄時に分解しやすいポケットコイルマットレス」(2022年1月に発売開始)は、廃棄時に簡単かつ短時間で分解・分別ができる新しい造りのコイルマットレスとして、当社グループ初となるグッドデザイン・ベスト100に選出されております。

新しい買い方のご提案に関する取り組みといたしましては、実店舗に行かなくてもスマートフォンなどからニトリのコーディネートルームを歩いているかのような体験ができる「バーチャルショールーム」のサービス、ニトリネットのレビューで高評価をいただいている商品をニトリネットと実店舗との双方で紹介する「みんなのイイね。」特集、当社グループの従業員が自社商品を自宅画像と共に紹介しお客様により気軽にお部屋のコーディネートを楽しんでいただくための新機能「スタッフコーディネート」、お客様とのリアルタイムなコミュニケーションが可能な「インスタライブ」などを開始いたしました。引き続き、オンラインとオフラインの融合施策を推進し、お客様との継続的な関係性の構築と、買い物利便性の向上に努めてまいります。

物流施策といたしましては、DC拠点の最適配置と機能集約を柱とした物流戦略プロジェクトとして、北海道全域への配送に対応する石狩DC、及び関西圏への配送に対応する神戸DCの建設を開始いたしました。店舗の出店加速やお客様のライフスタイルの変化に伴うEC需要拡大など、物量に見合う入出荷機能の拡充とコスト削減に取り組み、当社グループ一丸となって物流機能の全体最適を実現してまいります。また、サプライチェーン強化の一環として、当社グループ子会社にて、国内のコンテナ輸送を開始しております。

海外の営業概況といたしましては、当連結会計年度において、台湾における防疫警戒レベルが一時的に3に達するなど、依然として新型コロナウイルス感染症の影響により厳しい状況が続いております。中国事業においては、前年に出店した「京東」の通販WEBサイトの本稼働や「T-mall」への出店を開始しただけでなく、中国の住宅やオフィスのニーズに応えるべく、上海徐家ワイ店の階上にオーダー家具売場及びビジネスショールームをオープンいたしました。台湾事業においては、2021年10月に当社グループ初となる寝具専門店を台中市に出店いたしました。2022年1月には、マレーシアのクアラルンプールへ出店し東南アジア地域への進出を果たしました。引き続きシンガポールなど東南アジア地域への出店を加速してまいります。また、韓国最大手通販WEBサイト「Coupang」への商品掲載を開始するなど、越境ECを通じて実店舗のない国や地域への市場参入にも取り組んでおります。「住まいの豊かさを世界の人々に提供する。」という企業理念の実現に向けて、今後も積極的な事業拡大を進めてまいります。

 

② 島忠事業

島忠事業につきましては、既存店の島忠ホームズ宮原店の全面改装を行い、2021年6月にニトリと島忠との融合型店舗「ニトリホームズ宮原店」をオープンいたしました。また、商品の品揃えについても見直しを行っており、島忠のプライベートブランド商品として、トイレットペーパー、BOXティッシュ、すのこ、踏み台、雑巾等の販売を開始いたしました。当社グループにおける重点施策として、今後もプライベートブランド商品の開発対象の拡大と、商品力の強化を図り、地域のお客様の快適な暮らしに貢献してまいります。

 

 

2025年までの目標として設定した指標の進捗は次のとおりであります。

 

2025年の目標

当連結会計年度実績

グループ合計

買上客数(年間)

2億人超

1億46百万人

店舗数(期末)

1,400店舗

801店舗

日本国内

アプリ会員(期末)

2,500万人

1,314万人

EC売上高(年間)

1,500億円

710億円

 

 

店舗の出退店の状況は次のとおりであります。

 

2021年2月20日

店舗数

出店

退店

2022年2月20日

店舗数

 

ニトリ(EXPRESS含む)

467

32

494

 

デコホーム

106

36

140

 

台湾

35

44

 

米国

 

中国

34

13

46

 

マレーシア

 

Nプラス

17

18

ニトリ事業

661

95

11

745

島忠事業

61

56

合計

722

95

16

801

 

 

当社では、お買い上げいただけるお客様の数が増え続けることが社会貢献のバロメーターになると考え、より多くのお客様に豊かな暮らしを提供すべく、日本そして世界へと店舗展開を拡大し、グローバルチェーンの整備を進めております。今後も引き続き、お客様数の増加と買い物利便性向上のため、事業領域と店舗網の拡大を進めてまいります。

 

生産、受注及び販売の実績

従来、当社グループの報告セグメントは、「家具・インテリア用品の販売事業」の1つとしておりましたが、株式会社島忠の連結子会社化に伴い、前連結会計年度において事業セグメントの区分方法の見直し及び追加を行うことといたしました。その結果、当社グループの報告セグメントは、「ニトリ事業」、「島忠事業」の2つへ変更しております。

販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度
(自 2021年2月21日
 至 2022年2月20日)

前期比

 

百万円

ニトリ事業

674,528

△5.9

島忠事業

137,052

合計

811,581

13.2

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.記載金額には消費税等は含まれておりません。

 

 

(2) 財政状態

流動資産は、現金及び預金が281億41百万円減少したこと等により、前連結会計年度末に比べ243億83百万円減少いたしました。固定資産は、土地の増加等により有形固定資産が779億86百万円増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ773億38百万円増加いたしました。これらの結果、当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ529億55百万円増加し、9,838億40百万円となりました。

流動負債は、短期借入金が136億47百万円、未払法人税等が100億21百万円、それぞれ減少したこと等により、前連結会計年度末に比べ431億64百万円減少いたしました。固定負債は、長期借入金が483億98百万円増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ486億99百万円増加いたしました。これらの結果、当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ55億35百万円増加し、2,510億27百万円となりました。

純資産は、利益剰余金が806億86百万円増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ474億20百万円増加し、7,328億13百万円となりました。

 

(3) キャッシュ・フロー

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動によるキャッシュ・フローにより855億65百万円増加し、投資活動によるキャッシュ・フローにより1,199億80百万円減少し、財務活動によるキャッシュ・フローにより177億29百万円増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ15億88百万円増加し、1,270億76百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動の結果獲得した資金は、855億65百万円(前連結会計年度は1,508億79百万円の獲得)となりました。これは主として、税金等調整前当期純利益1,417億79百万円及び法人税等の支払額615億62百万円によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動の結果支出した資金は、1,199億80百万円(前連結会計年度は1,959億85百万円の支出)となりました。これは主として、有形固定資産の取得による支出1,015億20百万円及び子会社株式の取得による支出489億42百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動の結果獲得した資金は、177億29百万円(前連結会計年度は303億9百万円の獲得)となりました。これは主として、短期借入れによる収入490億円、長期借入れによる収入1,000億円及び短期借入金の返済による支出957億15百万円、長期借入金の返済による支出185億34百万円並びに配当金の支払額153億60百万円によるものであります。

(資本の財源及び資金の流動性)

当社グループの主な資金需要は、商品仕入や販売費及び一般管理費等の運転資金及び出店や物流施設、工場拡張、システム投資等の設備投資資金であります。これらの資金需要につきましては、主に自己資金により賄うことを予定しておりますが、2032年の目標店舗数3,000店舗に向け、今後のM&A等を検討する場合に借入や社債発行等の資金調達が機動的かつ低コストで行えるよう、充実した内部資金を元とした健全な財務基盤を構築・維持することが重要であると考えております。

 

 

(4) 経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況

「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

次期の経営環境につきまして、世界では、新型コロナウイルス感染症の脅威は依然として続いており、今後も不透明な経営環境が続くと予想されます。家具・インテリア業界におきましても、業種・業態を越えた販売競争の激化及び物流コストの上昇、消費者の価値観や購買行動の変化等により経営環境は大きく変化するものと予想されます。

このような経営環境のもと当社グループにおいては、本格的なグローバルチェーンの確立に向け、独自のビジネスモデルである「製造物流IT小売業」を進化させ、お客様の購買行動に即した店舗・配送網を一層拡充してまいります。また、従来の家具・インテリア用品に加えて、海外への事業展開、生活関連の新分類や新サービスへの展開を始め、事業領域の拡大・総合化を図り、ホームセンターやアパレルも含めた「ライフスタイル総合提案企業」へ進化してまいります。

次期の連結業績見通しは、次のとおりであります。

 

次期予想

当期

増減額

増減率

売上高(百万円)

963,600

811,581

営業利益(百万円)

150,600

138,270

経常利益(百万円)

153,000

141,847

親会社株主に帰属する当期純利益(百万円)

104,000

96,724

1株当たり当期純利益(円)

920.99

856.71

 

当社は、2022年5月19日開催の第50回定時株主総会において「定款一部変更の件」が承認され、決算期を現行の2月20日から3月31日に変更いたしました。上記の次期の連結業績予想につきましては、決算期変更の経過期間にあたるため、予想期間は2022年2月21日から2023年3月31日の13か月と11日間となっております。このため、増減額及び増減率については記載しておりません。

なお、次期予想に関する数値は、当連結会計年度末(2022年2月20日)現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。当社の連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4.会計方針に関する事項」に記載のとおりであります。この連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる要因等に基づき見積り及び判断を行っておりますが、見積り特有の不確実性があるために実際の結果は異なる場合があります。

 

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