課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、「住まいの豊かさを世界の人々に提供する。」というロマン(志)を社員一人ひとりの行動の原点として共有し、当社グループの力を結集して長期ビジョンの実現に全力を尽くすことを企業活動の指針としております。

そのため、グローバルチェーンの確立により、世界のより多くのお客様に、品質が維持された商品をお求めになりやすい価格で提供すること、並びに住空間をトータルコーディネートする楽しさを提案することを基本方針としております。

(2) 目標とする経営指標と中長期経営戦略

[2032年度ビジョン3,000店舗3兆円 / 2025年度買上客数2億人以上]

当社グループは、「住まいの豊かさを世界の人々に提供する。」というロマンを実現するために、中長期ビジョンである「2032年3,000店舗3兆円」の達成に向けた経営戦略を策定しております。また、社会貢献のバロメーターは増え続けるお客様の数であるとし、中間目標として「2025年度買上客数2億人以上」を掲げ、会社が対処すべき課題を5か年計画(2021年度から2025年度)として策定し、実行しております。以上のような当社グループの掲げる壮大なロマンとビジョンを実現するために、事業活動にかかわる全ての人々と信頼関係を構築し、「製造物流IT小売業」というビジネスモデルを通じ、社会における共有価値を創出し相互繁栄を図ってまいります。

[中長期経営戦略]

 ① 総合的なライフスタイル提案への進化

世界情勢の不確実性の高まりや、日本国内の人口減少・少子高齢化・単身世帯や共働き世帯の増加・低所得化の進行、テクノロジーの進化による購買行動や価値観の多様化等、大きなビジネス環境の変化に直面しています。確実に変容してゆく消費者の姿と行動・ニーズに応えるため、創業以来扱ってまいりました家具やホームファッション用品に加え、生活関連の新分類や新サービスへの展開を始め、事業領域の拡大・総合化を図り、ホームセンターやアパレルも含めた「ライフスタイル総合提案企業」へ進化してまいります。お客様の数の増加につきましても、単に店舗やECを拡大することのみによって実現するのではなく、一人ひとりのお客様と継続的な関係を構築し、当社グループを繰り返しご利用いただくことで実現できるものと考えております。

 ② グローバルチェーンストア実現への挑戦

グローバルでも出店地域を拡大し、グローバルチェーンストアとしてより多くのお客様に住まいの豊かさを提供できるよう邁進してまいります。店舗出店をしていない地域のお客様にもお求めになっていただけるよう越境ECも開始し、対象地域を拡大してまいります。

 ③ サプライチェーンマネジメント・IT・組織戦略によるビジネス基盤改革

長期ビジョンの実現を下支えするビジネス基盤として、創業以来培ってきたサプライチェーン全般を自社ネットワークでコントロールする「製造物流小売業」の姿を、近年いっそう重要性が増すデジタルテクノロジーの活用により「製造物流IT小売業」へと進化させ、さらに発展させてまいります。そして、中長期経営戦略に沿った組織戦略と、従業員のキャリアアップとライフイベントとを両立させる人事制度により、従業員一人ひとりの成長を企業の成長の機動力とし、グループとしてロマン実現と社会貢献を果たしたいと考えております。これらにより、当社グループの持つ店舗網・物流網・自社EC等の多様なチャネルの強みを最大限に活用するビジネス基盤を構築し、成長を加速させてまいります。

 ④ ビジネス領域拡大に向けたM&A、アライアンスの推進

ライフスタイル総合提案企業への進化に向け、事業強化・機能強化の両面からM&Aも視野に入れた戦略的なアライアンスを模索してまいります。

 ⑤ 社会課題解決とロマン実現を両立するサステナビリティ経営

当社グループは、独自のビジネスモデル「製造物流IT小売業」を通じて、お客様の快適な暮らしと環境・社会課題の解決を両立した事業推進に努め、持続可能な社会の実現を目指してまいります。

2021年度は、7つのサステナビリティ重要課題(マテリアリティ)を特定し、その重要課題に基づき、一部店舗におけるカーテン・羽毛布団のリサイクル回収や、設計段階から再資源化を見据えた商品開発など、サーキュラーエコノミーを意識した取り組みを推進したほか、気候変動への対応においては、TCFD提言への賛同を表明し、温室効果ガス削減目標をはじめとするTCFD提言に基づく情報開示を実施いたしました。

 

また、サステナビリティ経営推進体制については、取締役会直下の組織として「サステナビリティ経営推進委員会」を位置づけ、その委員長として、代表取締役社長がリーダーシップを取り推進する体制への強化を実施したほか、専任部署として「SDGs推進室」を新設いたしました。

今後も、サステナビリティを経営の重要課題と位置づけ、企業として求められる環境・社会課題解決への取り組みを推進してまいります。

(3) 会社の対処すべき課題

上記に掲げた中長期経営戦略に基づき、3つの重点課題を中心とした5か年計画(2021年度から2025年度)を策定し、実行しております。

 ① 事業領域と地域の拡大

国内事業については、当社グループの核事業である家具・ホームファニシング専門店のニトリに加え、小型フォーマットであるデコホーム、アパレルブランドのNプラス、子会社化したホームセンターの島忠等により事業領域を広げ、より多くのお客様のより多くの生活シーンをカバーするべく店舗数を拡大しドミナントエリアを構築します。また、島忠をはじめとするグループ企業・事業・ブランド間のシナジーを最大化し、より便利で楽しい買い物体験を提供してまいります。

海外事業につきましては、これまで戦略的に踊り場を作り、仕組み・システム・教育体制の構築に集中してまいりました。今後、中国及びASEAN地域を中心に出店を再加速させてまいります。

 (イ) 国内主力事業(ニトリ・デコホーム・通販事業)

ニトリは、顧客視点に基づいた品揃えとコーディネート提案を武器とし、当社グループの核事業として今後もさらなる成長拡大をしてまいります。地域のお客様にとっての買物利便性を最大化するため、店舗出店戦略にECも含めたドミナント戦略を実行します。また、ベビー・家電等の新分類・強化分類を導入することで生活提案の幅を広げ、より便利で楽しくなるニトリ事業へと進化いたします。

デコホームは、フェミニンをベースとしたニトリとは異なる商品・店づくりを進め小商圏フォーマットを確立し、最も身近なホームファッションストアとして住まいの豊かさ提供に貢献できるよう邁進してまいります。

通販事業(EC)については、リアル店舗だけではカバーしきれないニーズへの対応による間口の拡大や顧客利便性の向上により、当社グループ最大の品揃えを有するグループ統一プラットフォームへと発展させ、売上を現状の約2倍である1,500億円規模へ拡大いたします。お客様のECとリアル店舗における消費行動もシームレス化が進むことが予測され、当社グループが全国に有する店舗・配送網を一層拡充することによって「拠点引き取り」「全国対応のアフターサービス」等のサービスを拡充し、OMO(Online Merges with Offline、オンラインとオフラインの融合)を加速させ、競争優位性を実現してまいります。

(ロ) ホームセンター事業(島忠)

当社グループは、兼ねてよりホームセンター業界への参入を検討してまいりましたが、前連結会計年度にホームセンター業界における有力事業者である株式会社島忠を子会社化いたしました。2021年6月にはニトリと島忠との経営統合後初の融合型店舗「ニトリホームズ宮原店」のオープンや、ホームセンター商材のPB商品開発にも着手しており、ホームセンター事業の拡大に努めてまいります。

(ハ) 海外販売事業

中国事業につきましては、これまで人材の育成、店舗の標準化、不採算店舗の整理に注力してまいりましたが、出店を加速してまいります。また、これまでに得られたノウハウを、ASEAN等他地域における出店に活かし、高速に店舗展開を進めてまいります。さらには、2021年に開始した越境ECによって、未進出地域での売れ行きや特性を把握し、確実性を高めながらの本格進出が可能になると考えております。

(二) その他育成事業

30代~50代の大人の女性のアパレルブランドNプラスは、年齢を重ねながらも若々しさや感性を失わない「大人の女性」が毎日着たいと思うファッションを提案していきます。引き続きビジネスモデルを確立させ多店舗展開を行ってまいります。

 ② 顧客中心の経営~商品開発・業態~

当社グループでは、「作る・売る立場でなく使う・買う立場で考え行動しよう」という考えのもと、かねてより徹底した顧客視点経営に注力してまいりました。いまいちど原点に立ち返り顧客中心の経営をより一層進めるため、重点課題に設定いたしました。

 

当社グループはこれまで、「安さ・品質・コーディネーション」を追求した商品の提供により、お客様の不平・不満・不便を解決してまいりました。また、新たなニーズ・ウォンツを開拓し住まいの豊かさを提供し続けるために、新商品・新品種の開発や既存商品の改善を実直に進めてまいりました。今後はこれらの取り組みを一層深め、社内外に散在するお客様の「声」を大切な財産として活用する仕組みを整えることで、さらにお客様の支持を獲得し続けられるような商品を開発し、買いやすい売場(店舗・EC)の追求とあわせて提供してまいります。

従来のマスマーケティングで捉えきれない消費者を「個客」として捉えるビジネスに進化させるため、アプリを中核とした顧客分析機能の強化と、アプリ会員を中心としたお客様との継続的な関係構築を強力に進めてまいります。2025年度におけるアプリ会員数の目標を2,500万人とし、アプリを通じたオンラインとオフラインの融合施策により、お客様の買物利便性を向上させ、購買頻度や年間買上品目数の増加、さらにはLTV(ライフタイムバリュー)の向上につなげてまいります。

従来の店舗やEコマースでの販売に加え、テクノロジーを使用した遠隔でのカーテンや家具などの接客・販売やライブコマース等、顧客との新たな接点・販売チャネルを強化してまいります。加えて、コロナ禍における消費者のショートタイムショッピング・非接触・セルフサービス等のニーズの高まりを踏まえ、接客の無人化・セルフレジ導入・お客様自身で必要な情報を探せるアプリの店内モード等の業態変革を推進してまいります。

 ③ グローバルサプライチェーンマネジメント戦略

今後、グローバルでの出店が急速に進み、グループの販売拠点と製造・調達先がグローバルの各地域に複雑にまたがっていくことが予測される中、商品供給の短納期化と原材料費や輸送費高騰による原価上昇の抑制に取り組んでまいります。また、環境の変化や地政学リスクに対し安定的な商品供給を実現するために、サプライチェーンの在り方をより最適な形へと進化させてまいります。

また、国内の物流網につきましては、DC拠点の最適な配置と機能の集約を柱とし、オペレーション、発送・宅配網の整備、業務プロセスを改革テーマとして掲げ、未来対策として5年間で2,000億円超の大規模戦略投資を実施いたします。ローコストの実現とともに在庫やリードタイムの適正化を図ってまいります。

 

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