(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の再拡大や緊急事態宣言の影響により停滞しておりましたが、ワクチン接種の普及、各種政策効果や海外経済の改善等により徐々に持ち直しの動きが見られました。しかしながら新たな変異ウイルスの再拡大に伴う経済活動の抑制や原材料価格の高騰に加え、ウクライナ情勢の地政学的なリスクの影響から先行き不透明な状況は強まっております。
当社グループの主力の取引先である電気・電子部品業界におきましては、デジタル関連需要は底堅く推移しておりますが、自動車業界は世界的な半導体供給不足及び海外におけるロックダウンの影響等による部品供給の遅延による減産と原材料価格高騰の影響を大きく受けております。
このような状況のもと当社グループは、社会情勢の変化や需要を的確に捉え、将来を見据えた幅広い視野を持ち、高い付加価値が込められた製品を提案すること、そのような付加価値を創出する「コト作り」に注力した製品開発に繋げ、更に高いレベルでの技術サービスの提供とグローバル化を推進し、持続的な成長と顧客の信頼を獲得するよう努めてまいりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は49,979百万円(前年同期比13.4%増)、営業利益は2,684百万円(同2.2%増)、経常利益は3,066百万円(同6.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は、子会社であるパーカーアサヒ株式会社の繰延税金資産を238百万円取崩したこと、また前期に計上した投資有価証券売却益1,097百万円が今期は計上されなかったことにより、1,521百万円(同35.9%減)となりました。
セグメントの経営成績につきましては、次のとおりであります。
なお、当連結会計年度から、セグメント区分の一部を変更しております。連結子会社パーカーアサヒ株式会社の「建設資材」を産業用素材部門からその他部門への見直しを行いました。前年同期の数値について新たなセグメント区分に組み替えたうえで、前年同期比の数値を計算しております。
・機械部門
半導体不足による電気計装品の納期遅れに加え、ウクライナ情勢による海上輸送の遅延により輸入設備機械の納期遅延もありましたが、国内製粉業界及び自動車業界向け生産設備の受注件数増加と経費削減効果により増収増益となりました。なお、「収益認識に関する会計基準」の適用により売上高が232百万円減少しております。
当部門の売上高は、2,892百万円(同2.3%増)、営業利益は253百万円(同88.3%増)となりました。
・化成品部門
国内外向け自動車業界向けの製造販売は、半導体の供給不足による自動車生産台数の減産の影響があり低調に推移しましたが、海外子会社の円安の影響により売上高は増収となりました。しかし営業利益は原材料価格と輸送コスト高騰の影響を大きく受け減益となりました。
当部門の売上高は17,736百万円(同13.1%増)、営業利益は339百万円(同70.6%減)となりました。
・化学品部門
国内外市場向けの一般工業用ケミカル及び特殊ケミカルの製造販売は、自動車関連の減産の影響はありましたが、世界経済の回復による輸出販売の増加と新規の大型設備の受注により増収増益となりました。
当部門の売上高は6,344百万円(同20.6%増)、営業利益は390百万円(同130.9%増)となりました。
・産業用素材部門
自動車用防音材の製造販売は、世界的な半導体の供給不足と東南アジアにおける輸入部品の供給不足の影響による主要自動車メーカーの減産があり、低調に推移しました。また家電用防音材の製造販売は欧米の景気回復と不採算の工場閉鎖等による収益構造の改善の効果もあり好調に推移しました。
当部門の売上高は13,964百万円(同8.2%増)、営業利益は774百万円(同31.3%増)となりました。
・化工品部門
国内カーケアケミカルの製造販売は、年後半の燃料価格高騰の影響もありましたが底堅く推移しました。国内外のファインケミカル製造販売は、通信向け半導体・電子部品の需要が好調に推移し、増収増益となりました。また当連結会計年度より新規連結した株式会社東海化学工業所が収益に寄与しました。
当部門の売上高は5,905百万円(同29.9%増)、営業利益は763百万円(同46.7%増)となりました。
・その他部門
中国貿易の輸出入は新型コロナウイルス感染症拡大の影響が軽減したことにより堅調に推移しました。
当部門の売上高は3,135百万円(同10.4%増)、営業利益は161百万円(同178.9%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ、4百万円減少の13,381百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益3,049百万円(前期は3,808百万円)、減価償却費1,494百万円(前期は1,334百万円)、のれん償却額103百万円、棚卸資産の増加による998百万円の減少(前期は358百万円の増加)等により、2,102百万円の収入(前期は4,321百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出1,098百万円(前期は939百万円の支出)、有形固定資産の売却による収入103百万円(前期は89百万円の収入)、定期預金の増加による365百万円の支出(前期は384百万円の支出)等により、1,462百万円の支出(前期は1,808百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、セール・アンド・リースバックによる収入146百万円(前期は654百万円の収入)、長期借入金の返済による支出644百万円(前期は917百万円の支出)、配当金の支払432百万円(前期は243百万円の支出)、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出643百万円等により、1,693百万円の支出(前期は574百万円の支出)となりました。
③ 成約及び販売の実績
a.成約実績
当連結会計年度における成約実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
成約高 |
成約残高 |
||
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
機械部門 |
2,661 |
73.7 |
768 |
100.0 |
化成品部門 |
17,669 |
103.6 |
166 |
46.5 |
化学品部門 |
5,923 |
94.9 |
320 |
154.2 |
産業用素材部門 |
14,056 |
84.1 |
1,222 |
165.4 |
化工品部門 |
5,898 |
138.8 |
78 |
65.5 |
その他 |
1,713 |
75.9 |
158 |
172.0 |
計 |
47,922 |
95.6 |
2,714 |
118.8 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
b.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
機械部門 |
2,892 |
2.3 |
化成品部門 |
17,736 |
13.1 |
化学品部門 |
6,344 |
20.6 |
産業用素材部門 |
13,964 |
8.2 |
化工品部門 |
5,905 |
29.9 |
その他 |
3,135 |
10.4 |
計 |
49,979 |
13.4 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績につきましては、総資産は、前連結会計年度末と比べ1,059百万円増加し、54,303百万円となりました。主に新規連結による投資有価証券の減少(1,707百万円)、がありましたが、現金及び預金の増加(505百万円)、受取手形、売掛金及び契約資産の増加(621百万円)、商品及び製品の増加(947百万円)、主に新規連結による有形固定資産の増加(846百万円)、のれんの増加(414百万円)によるものです。
負債は前連結会計年度末と比べ209百万円増加し、18,766百万円となりました。主な要因は、未払法人税等の減少(299百万円)がありましたが、支払手形及び買掛金の増加(160百万円)、短期借入金の増加(116百万円)、主に新規連結による1年内返済予定の長期借入金及び長期借入金の増加(206百万円)によるものです。
純資産は前連結会計年度末と比べ849百万円増加し、35,536百万円となりました。主な要因は、その他有価証券評価差額金の減少(647百万円)がありましたが、利益剰余金が増加(992百万円)、為替換算調整勘定の増加(1,149百万円)によるものです。
連結業績につきましては、売上高は、主力の取引先である自動車業界は世界的な半導体不足などの供給制限と新型コロナウイルス感染症拡大に起因した海外のロックダウンの影響による部品供給の遅延等により大幅な減産となりました。一方、電気・電子部品業界におきましてデジタル関連需要は引続き底堅く推移しており、また海外の景気回復を受けた輸出増加や設備投資が持ち直しの動きを見せております。更には海外子会社の売上高は円安の為替換算の影響を受け1,721百万円増加しました。その結果、前連結会計年度に比べ、5,918百万円増加し49,979百万円となりました。
売上原価は、売上の増加と主要原材料の価格急騰の影響を大きく受け、前連結会計年度に比べ、5,116百万円増加し38,109百万円となり、売上総利益は、前連結会計年度に比べ、801百万円増加し売上総利益率は23.8%の11,870百万円となりました。
販売費及び一般管理費は、主に売上増加に伴う保管・運送費246百万円の増加及び給与手当・賞与金161百万円の増加、新規連結した株式会社東海化学工業所ののれん償却費103百万円により、前連結会計年度に比べ743百万円増加し9,185百万円となりました。
営業利益は、売上総利益が801百万円増加し、販売費及び一般管理費が743百万円増加したことにより、前連結会計年度に比べ57百万円増加し、営業利益率は5.4%の2,684百万円となりました。
経常利益は、営業利益の増加57百万円に円安の影響による為替差益85百万円(前連結会計年度は為替差損66百万円)等により、前連結会計年度に比べ173百万円増加の3,066百万円となりました。
特別利益は、前連結会計年度に閉鎖した三重工場の固定資産売却益39百万円を計上しました。なお、前連結会計年度に計上した投資有価証券売却益1,097百万円は当連結会計年度に計上はありませんでした。
親会社株主に帰属する当期純利益は、原材料高騰等により収益が悪化した子会社であるパーカーアサヒ株式会社の繰延税金資産238百万円を取崩したこと等により前連結会計年度に比べ853百万円減少し1,521百万円となり、1株当たり当期純利益は59円88銭(前連結会計年度は92円91銭)となりました。
当社グループは、「私たちは、お客様の価値向上に寄与し、未来創造のパートナーとなりたい」との経営理念のもと従業員一丸となり、今まで培ってきた顧客からの信頼を大切にし、顧客に対し「あ、それ良いね!」を提供する会社を目指して参ります。具体的には、「国内事業の競争力強化」と「海外収益の拡大」を経営の両輪として継続的な成長と安定した収益体質の実現を経営の目標としております。自社の強みを磨き、過去の延長線上ではない新たなる可能性に挑戦していくことにより収益源の多様化を図り、市場環境に左右されない収益基盤の構築を目指していくことです。特に国内事業の収益拡大に向けては「製品力とコスト競争力」の強化のためのマーケットニーズに即した差別化製品の研究開発を強化し、顧客が満足する魅力ある製品と質の高いサービスの提供によって、「顧客満足度の最大化」を追及し、次の収益基盤となる「新市場の創造」に向けた事業戦略を立案し、実行推進していくことを目指しております。
経営目標としては株主資本利益率(ROE)7%以上、営業利益率10%以上を目指しております。当連会計年度の連結営業成績につきましては、売上高は前連結会計年度に比べ、5,918百万円増加し49,979百万円となりましたが、半導体不足等の供給制約による自動車の大幅減産と原材料価格高騰の影響により営業利益は2,684百万円、営業利益率は5.4%となりました。ROEは当連会計年度におきまして自己株式の買取を実施しましたが4.7%となりました。
今後の見通しにつきましては、新型コロナウイルス感染症による経済活動の制限が緩和され、景気は緩やかな回復基調に向かうことが想定されるものの、世界的な原材料価格の高騰や輸送費の上昇、ウクライナ情勢や上海ロックダウンの影響など、依然として予断を許さない状況です。
そのような状況の下、当社グループとしましては、主力の自動車業界や電子部品業界の市場動向に注力しながらグローバル生産体制の最適化を図ると共に、差別化製品の開発やさらなる海外市場開拓を推進し、より一層国内外における新市場・成長分野への販路の拡販に努めてまいります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フロー分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりです。
当社グループの資金需要の主なものは、商品の仕入を始めとし、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用のための運転資金であります。投資目的の資金需要としましては、製造及び試験研究を目的とした設備投資や、子会社株式の取得等であります。
当社グループは、事業運営上必要な資金の源泉を安定的に確保することと効果的に流動性を高める事ことを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は5,154百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は13,381百万円となっております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき見積り及び判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるためにこれらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
なお、新型コロナウイルス感染症による影響は当連結会計年度以後においても一定期間にわたり継続すると仮定しておりますが、徐々に状況は回復すると想定しております。繰延税金資産の回収可能性や固定資産の減損の判定等の会計上の見積りにつきましてはこの想定に基づき行っております。
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