業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は、次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種普及により徐々に回復の兆しが見られましたが、新たな変異株の感染再拡大やロシア・ウクライナ情勢の深刻化を受け、資源価格高騰や資材不足の影響等、経済活動が大きく抑制されて極めて厳しい環境が続きました。国内紙流通業界におきましても、イベント関連やチラシ等の印刷用紙需要が、依然としてコロナ禍前の水準には至らず、デジタル媒体へのシフトが加速して一層厳しさを増しております。製紙メーカー各社は、原燃料価格の高騰や物流コストの上昇を吸収すべく第4四半期において大幅な価格修正を実施しており、紙流通業界も、販売価格への転嫁を急速に推し進めているところであります。

 このような状況下で当社グループは、コロナ感染症の予防を徹底しながら効率的な販売活動を展開するとともに、物流事業においても外部顧客を取り込み、グループ全体で連携して収益改善に取り組んでまいりました。また、板紙分野の取り扱いを拡充し全国展開を図ることを目的として、2022年1月1日付でわかば紙商事株式会社の全株式を取得して連結子会社化し、販売品目の多角化を積極的に推進しているところであります。

 当期の売上高は、情報用紙の販売がデジタル化進展に伴う帳票類の需要減等の影響で販売重量・金額ともに前年を下回りましたが、新規連結子会社の第4四半期(2022年1月~3月)の販売実績を織り込んだことにより増収となりました。

 利益面では、営業利益と経常利益はほぼ前年並みでした。親会社株主に帰属する当期純利益については、減損処理による投資有価証券評価損を特別損失として計上したものの、新規連結子会社の取得に伴う負ののれん発生益を特別利益に計上したことにより増益となりました。

 

  この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,240百万円増加し、9,691百万円となりました。

 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ1,045百万円増加し、6,000百万円となりました。

 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ194百万円増加し、3,691百万円となりました。

 

b.経営成績

 当連結会計年度の業績は、売上高は14,085百万円(前年同期比6.5%増)、営業利益4百万円(前年同期比9.6%増)、経常利益13百万円(前年同期比18.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益171百万円(前年同期比336.2%増)となりました。

 

  セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 (洋紙卸売事業)

  売上高は14,016百万円(前年同期比6.9%増)、セグメント利益(営業利益)は240百万円(前年同期比5.7%減)となりました。

 

 (不動産賃貸事業)

  売上高は85百万円(前年同期比29.5%減)、セグメント利益(営業利益)は30百万円(前年同期比24.3%減)となりました。

 

 (物流事業)

  売上高は289百万円(前年同期比3.9%増)、セグメント利益(営業利益)は34百万円(前年同期比31.3%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前年同期に比べ754百万円減少し、781百万円となりました。

 

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果使用した資金は325百万円(前年同期は98百万円の獲得)となりました。これは主に、負ののれん発生益の計上、棚卸資産の増加等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は256百万円(前年同期は735百万円の獲得)となりました。これは主に、有形固定資産、無形固定資産、子会社株式の取得によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は172百万円(前年同期は33百万円の使用)となりました。これは主に、短期借入金の返済及び配当金の支払いによるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 該当事項はありません。

 

b.受注実績

 該当事項はありません。

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

   至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

洋紙卸売事業(千円)

14,008,053

106.9

不動産賃貸事業(千円)

7,587

17.5

物流事業(千円)

70,121

96.8

合計(千円)

14,085,761

106.5

(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、有価証券、商品、固定資産に関しては、会計方針により継続的な評価を行っており、見積りについては見積りを必要とする事象及び見積りに与える要因を把握した上で適切な仮定を設定して評価を行っております。

 なお、連結財務諸表に重要な影響を与えると考えられる項目は、次のとおりであります。

 

a.仕入値引の未収入金

 「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

b.繰延税金資産の回収可能性

 「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

c.投資の減損

 当社グループは、長期的な取引関係維持のために、特定の取引先及び金融機関の株式を所有しております。これらの株式には公開会社の株式と非公開会社の株式が含まれております。当社グループは、金融商品に関して投資価値の下落が一時的でないと判断した場合、又は著しい下落が発生した場合に減損処理をしており、将来の投資先の業績不振又は株式市況の悪化等により、評価損の計上が必要となる可能性があります。

 

d.貸倒引当金

 当社グループは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を貸倒引当金として計上しております。取引先の財政状況が悪化し支払能力が低下した場合、追加の引当が必要となる可能性があります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

 1)財政状態

 (資産合計)

 当連結会計年度末の資産合計は、前年同期比1,240百万円増加の9,691百万円となりました。これは主に、新規連結子会社取得の影響等により、受取手形及び売掛金、電子記録債権が1,063百万円、商品が362百万円、有形固定資産が446百万円それぞれ増加し、現金及び預金が754百万円減少したことによるものであります。

 

 (負債合計)

 当連結会計年度末の負債合計は、前年同期比1,045百万円増加の6,000百万円となりました。これは主に、新規連結子会社取得の影響等により、支払手形及び買掛金が978百万円増加したこと等によるものであります。

 

 (純資産合計)

 当連結会計年度末の純資産合計は、前年同期比194百万円増加の3,691百万円となりました。これは主に、利益剰余金が138百万円、その他有価証券評価差額金が56百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。

 

 2)経営成績

 (売上高、売上総利益)

 当連結会計年度の売上高は、新規連結子会社の第4四半期の販売実績を織り込んだこと等により、前年同期比6.5%増の14,085百万円となりました。また、同理由により売上総利益は、前年同期比5.2%増の1,744百万円となりました。

 

 (販売費及び一般管理費、営業利益)

 当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、新規連結子会社の第4四半期の諸経費を計上したこと等により、前年同期比5.2%増の1,739百万円となりました。その結果、営業利益は前年同期比9.6%増の4百万円となりました。

 

 (営業外損益、経常利益)

 当連結会計年度の営業外収益は、雇用調整助成金による収入87百万円を計上し122百万円、営業外費用は助成金収入に対応する休業手当105百万円を計上し113百万円となりました。その結果、経常利益は前年同期比18.9%減の13百万円となりました。

 

 (特別利益、特別損失、法人税等、親会社株主に帰属する当期純利益)

 当連結会計年度の特別損益は、新規連結子会社の取得に伴う負ののれん発生益246百万円を特別利益に計上し、減損処理による投資有価証券評価損58百万円、遊休不動産の減損損失10百万円を特別損失に計上しました。また、法人税等合計で19百万円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期比336.2%増の171百万円となりました。

 

 3)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b.資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの資金需要は、主に運転資金需要と設備投資資金需要の二つがあります。

 運転資金需要の主なものは、商品の仕入と販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、設備投資資金需要の主なものは、倉庫・事務所等の設備や機械といった固定資産の維持・更新費用と、事業活動に関わるソフトウエア等の無形固定資産投資によるものであります。

 当社グループは、運転資金及び設備投資資金を内部資金より充当しており、現在、有利子負債はありません。必要な資金は、売掛金回収による手形債権・電子記録債権を譲渡し、流動化することにより調達しております。また、取引銀行4行と当座貸越契約を締結しており、内部資金で不足が生じた場合に備えております。

 

c.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)目標とする経営指標」に記載のとおりであります。

 

d.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 (洋紙卸売事業)

 売上高は、2)経営成績に記載の理由により前年同期比6.9%増の14,016百万円、セグメント利益は前年同期比5.7%減の240百万円となりました。

 セグメント資産は、新規連結子会社取得の影響等により、前連結会計年度末に比べ1,470百万円増加し、5,956百万円となりました。

 

 (不動産賃貸事業)

 売上高は、前連結会計年度に賃貸不動産2物件を売却したことにより前年同期比29.5%減の85百万円、セグメント利益は前年同期比24.3%減の30百万円となりました。

 セグメント資産は、新規連結子会社取得の影響等により、前連結会計年度末に比べ有形固定資産が435百万円増加し、1,367百万円となりました。

 (物流事業)

 売上高は、前連結会計年度とほぼ変わらず、前年同期比3.9%増の289百万円、セグメント利益は前年同期比31.3%増の34百万円となりました。

 セグメント資産は、前連結会計年度末に比べ7百万円増加し、367百万円となりました。

 

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