文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
2020年4月よりスタートした中期3ヵ年経営計画の最終年度となる2022年度においても、経営基本方針「現場力と組織力の相互強化による更なる飛躍への挑戦」のもと、産業構造の変化と顧客ニーズに対応した強固な経営基盤作りを推し進め、2023年3月期に連結売上高400億円、経常利益18億50百万円、株主資本利益率(ROE)10%を目指します。
具体的には、営業組織にこれまでよりも小規模な拠点分割に括る「ブロック制」を採用し、地域特性や市場特性により即した戦略立案とその迅速な実行を目指しながら、重点市場戦略として掲げている既存顧客の深耕営業による競争力強化と、成長性の高い分野への新規顧客開発を更に加速させ、新たなビジネスモデルの創造に挑戦してまいります。主な戦略としては、少子高齢化による労働人口の減少や働き方改革といったお客様の経営課題を背景に、全国の営業拠点網や独立系商社としての強みを活かしたソリューション提案営業を推進し、生産性向上や業務効率化を目的とした各種センサーや省力化設備の拡販、サステナビリティの観点からも循環型社会の形成を推進する環境配慮型製品の拡販、生産現場や製品の安心・安全につながる測定・検査機器の拡販、機器導入後の保守・メンテナンス業務への取組み、自然災害に対する防災・減災対策や国土強靭化に関連する道路維持機械・特殊車両の拡販、電力・公共環境分野等の社会インフラに関する設備の老朽化対策や長寿命化につながる投資の取込み、新エネルギーや高機能性材料の普及に向けた先端技術開発分野への取組み、各企業の研究開発部門や品質保証部門への深耕等の諸施策を実行しながら、更なる業容の拡大を図ってまいります。
当社の経営基盤とは、優良な取引先、人材・組織、財務体質であり、これらの強化・安定成長が、収益の拡大、すなわち持続的な企業価値の向上につながります。厳しい企業間競争に打ち勝ち、事業環境の様々な変化に対応できる、販売力、提案力、情報収集能力、専門分野の知識等十分な力量を持った人材を育成するとともに、社員一人一人が当事者意識を強く持って行動する現場力の強化と、生産性追求による収益力の向上を図ってまいります。
当社グループは、上記の中長期的な経営戦略を踏まえ、子会社各社の事業基盤強化とグループ内シナジーの最大活用により、収益改善と事業拡大に努めてまいります。
(2) 経営環境及び対処すべき課題
プラントや工場内で使用される工業用計測制御機器の国内市場では成熟化が進む中、収益力の強化に向け、企業基盤の強化や再編が行われており、顧客による購入ルートの見直しや同業他社との競争は更に厳しくなるものと考えております。また、少子高齢化といった社会構造の変化により労働力の減少、技術の継承も困難となることに加え、新型コロナウイルス感染症による影響の長期化や地政学的リスクの高まりにより、半導体デバイス品をはじめとする部品材料等の供給不足、物流の混乱、原材料価格や資源価格の高騰により、当社グループの主要事業領域である国内市場におきましては、先行き不透明な状況が継続し、設備投資の先送りや規模の縮小が予想されます。一方、世界的な気候変動をはじめとする環境問題が深刻化し、今や企業にとって看過できない状況となっております。そのような状況下、ものづくりが今後も発展を続け、安定的に付加価値を生み続けるには、注目されているデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現をテーマに、IoT、AI等のデジタル技術を活用した生産設備の自動化、2050年カーボンニュートラル社会の実現に向けた新技術開発のための研究開発投資、老朽化した設備の効率化投資、サステナビリティの追求による事業ポートフォリオの転換を行う企業は更に増加するものと予想されます。
当社グループでは、成熟した国内市場においても持続的安定成長を図るため、既存顧客の深耕開発という「守り」による競争力強化と成長性の高い分野への新規顧客開発という「攻め」を明確にしながら企業価値の最大化を推し進めております。高付加価値営業の強化による収益力の向上を最重要課題として、IoT等のビッグデータを活用したインフラ設備や生産現場における設備の稼働監視、また、ものづくりの現場におけるロボットやAIを活用した自動化・生産効率化・安全性向上を目的とした提案営業の推進、「環境・安心・安全・品質」をキーワードとした環境配慮型商品及び保安・メンテナンス機器の拡販、道路維持機械・特殊車両の拡販、新エネルギーの普及に向けた先端技術開発分野への取組み、顧客密着営業による現場ニーズに対応した新商材の発掘と幅広い商品提案によるクロス・セリングの推進を、全国展開した営業拠点網を活用し積極的に取組んでまいります。更に、中・長期的観点から企業価値拡大を図るため、扱い商材の拡充、国内販売体制の強化、成長分野への取組み強化を目的とした企業買収、戦略的提携等も視野に入れ事業を展開してまいります。
管理面におきましては、当社グループの持続的安定成長を目指して、上場企業に求められているコーポレートガバナンス・コードに沿った内部統制環境の改善・強化と、企業価値向上を実現するために最重要課題となる人材育成に引き続き取組んでまいります。特に、少子高齢化の進行を背景に、今後人材の確保・育成が経営課題となってまいります。働きがい、やりがいを高めるため、「働き方改革」を推進するとともに、全従業員の生産性向上、満足度向上を目指すため、業務改革を推進してまいります。
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