業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 (1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状況、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度(2021年3月1日から2022年2月28日まで)の連結業績は、売上高が1,536億1百万円(前年同期比9.8%減)、営業利益23億65百万円(前年同期は営業損失53億35百万円)、経常利益156億42百万円(前年同期は経常損失19億64百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は81億16百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失75億3百万円)と減収・増益となりました。

 減収の主な要因は、株式譲渡により株式会社京樽を連結の範囲から除外したことです。国内の売上高は度重なる緊急事態宣言の発令や延長が9月末まで続き大きな影響を受けました。緊急事態宣言が解除された10月以降、店内飲食の回復の兆しが一時的に見られましたが、1月のまん延防止等重点措置の適用により、依然として厳しい状況が続いています。一方で前期は新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、国内外で大規模な営業時間の短縮や店舗休業を余儀なくされました。その反動影響に加えて、テイクアウト、デリバリーの需要獲得を背景に国内事業の既存店売上高の回復やアメリカの既存店売上高が好調に推移したことから、株式会社京樽の連結除外の影響を考慮すると、前年同期に対して増収となりました。

 営業損益については、緊急事態宣言の発令や延長に加えて、まん延防止等重点措置の適用による来客数への大きな影響はあったものの、前期から実行しているコスト削減に加え、販売価格の改定による売上総利益高の改善や販売費及び一般管理費の低減に取り組んだことによって、営業損益は77億円改善し黒字化しました。経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益については、営業外収益に各自治体からの営業時間短縮に係る感染拡大防止協力金や雇用調整助成金等の助成金等収入131億25百万円を計上したことにより、前年同期に比べ大幅に改善しました。

 

 セグメント概況につきましては、次のとおりです。

なお、当連結会計年度において、報告セグメントの区分を変更しています。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」の「1  報告セグメントの概要 (報告セグメントの変更等に関する事項)」をご参照ください。

 

 [吉野家]

 売上高は1,070億47百万円と前年同期比1.4%の増収となりました。

 増収の主な要因は、各種販促施策が奏功したことです。テイクアウト、デリバリーの需要獲得に加え、緊急事態宣言解除以降に店内飲食の需要が一時的に回復しました。既存顧客の来店頻度向上策として、高付加価値牛肉商品の「牛焼肉丼」や「牛皿麦とろ御膳」、冬の定番「牛すき鍋膳」を販売しました。新規顧客の獲得やライフタイムバリュー向上策として、「お子様割引」や「Pokemon GO」「ポケ盛」「呪術廻戦」とのコラボレーション販促を実施し、高タンパク質・低糖質メニューの第3弾「ライザップ辛牛サラダ」を販売しました。需要が高まっているテイクアウト、デリバリーについては、「牛丼3丁割引キャンペーン」、牛すき鍋膳やから揚げの「テイクアウト10%オフキャンペーン」を実施しました。利便性向上の取組みとして、テイクアウト注文専用タブレットの導入および専用受取窓口の設置店舗拡大などの機能強化を図っています。デリバリー対応店舗は953店舗(前期末+202店舗)に拡大しました。「中食・内食」需要獲得に向けては「冷凍牛丼の具」の販売を強化し、売上前年同期比は20%増と好調に推移しています。新たな販売チャネルであるドラッグストアでの「牛丼弁当」の販売も開始し、販売店舗は2月末で51店舗となりました。緊急事態宣言後の10月~12月においては、コロナ禍で落ち込んだ外食消費全体を底上げすべく、史上初の外食業界横断プロジェクト「#外食はチカラになる」を立ち上げ、店内飲食の喚起を狙い「定食・御膳・鍋膳10%オフキャンペーン」を実施しました。また、原材料高騰に対し主力商品の価格改定を行う等、機動的に施策を展開しました。これらの施策による増収に加え、前期から実行しているコスト削減により、セグメント利益は72億79百万円と、前年同期に比べ31億31百万円の増益となりました。同期間の店舗数は15店舗を出店し14店舗を閉鎖した結果、1,190店舗となりました。

 

 

 [はなまる]

 売上高は214億29百万円と前年同期比8.3%の増収となりました。

 増収の主な要因は、緊急事態宣言等による休業店舗日数が前期に比べ減少したことや、商業施設店舗を中心とした来客数が回復したことです。また、前期から実施しているテイクアウト、デリバリー需要の獲得により、既存店売上高が改善しました。5月に導入したテイクアウト専用メニュー「はなまるうどん弁当」の好調な販売実績を受け、12月に更なるブラッシュアップを行いました。デリバリー対応店舗は267店舗(前期末+75店舗)に拡大させることで需要の獲得に繋げました。また、コロナ禍の厳しい環境下でもコンセプトである「毎日食べられるうどんで新しいライフスタイルの提案」を具現化すべく、年間を通じて連続的に季節の旬な食材を使ったフェアメニューを展開しました。更に強みである「はなまるの生麺」について、初の試みとなる「夏麺」「冬麺」を導入し、季節ごとの味わいを今まで以上に追求しました。顧客利便性の向上や新たな客層獲得に向けた取組みとしては、「楽天ポイントカード」の導入や「Pokemon GO」とのコラボレーションを実施しました。また、新しい生活様式に対応した非接触型のモデル店舗の検証を進めています。既存店売上高の改善や前期から実行しているコスト削減により、セグメント損失は13億16百万円と、前年同期に比べ17億29百万円の損失の減少となりました。同期間の店舗数は、4店舗を出店し16店舗を閉鎖した結果、463店舗となりました。

 

 [海外]

 売上高は224億95百万円と前年同期比15.2%の増収となりました。

 増収の主な要因は、前期に比べ営業時間の短縮、休業店舗数が減少したことです。経済活動の再開が進むアメリカでは、テイクアウト、デリバリーの販売数が好調に推移した結果、既存店売上高は前年同期を大きく上回って推移しています。また、ドライブスルーオーダーの集中に対応するため、2名同時調理で提供スピード向上が可能なデュアルラインキッチンシステムの導入拡大を進めています。中国は前期の大規模な休業の反動によるプラス影響はありましたが、7月以降の感染症再拡大への厳格な対策による休業影響を受けて、依然として厳しい状況が続いています。アセアンは9月以降の緩やかな感染症拡大の収束に伴い、店内飲食が段階的に解除されるなど回復基調となっています。結果としてセグメント利益は11億29百万円と、前年同期に比べ5億54百万円の増益となりました。同期間の店舗数は85店舗を出店し、77店舗を閉鎖した結果、974店舗となりました。なお、海外は暦年決算のため1~12月の実績を取り込んでいます。

 

当連結会計年度末の財政状態につきましては、次のとおりです。

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ197億6百万円減少し1,122億14百万円となりました。

これは主に、金融機関からの借入金の返済を実施した結果、現金及び預金が27億20百万円減少したこと、および京樽セグメントの連結除外等によるものです。

負債は、前連結会計年度末に比べ283億5百万円減少し634億73百万円となりました。これは主に、上記金融機関からの借入金の返済等により借入金が239億13百万円減少したこと(短期借入金164億54百万円、1年内返済予定の長期借入金と長期借入金合わせて74億59百万円それぞれ減少)、および京樽セグメントの連結除外等によるものです。

純資産は、前連結会計年度末に比べ85億98百万円増加し487億41百万円となり、自己資本比率は、前連結会計年度末比で12.9%増加し42.9%となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、換算差額を加え、前連結会計年度末より25億84百万円減少して342億11百万円となりました。

 営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益133億34百万円に減価償却費62億92百万円および減損損失28億40百万円等を加えた収入に対して、未払消費税等の減少9億29百万円等の支出により、234億42百万円の収入(前年同期は27億22百万円の収入)となりました。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出29億67百万円、連結範囲の変更を伴う子会社株式売却による支出18億58百万円、貸付金の回収による収入45億88百万円等により、3億33百万円の支出(前年同期は51億68百万円の支出)となりました。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の減少による支出165億49百万円、長期借入金の返済による支出68億25百万円、ファイナンス・リース債務の返済による支出23億61百万円等により、260億42百万円の支出(前年同期は178億10百万円の収入)となりました。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

 

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

吉野家

9,361

△7.7

はなまる

995

△2.9

その他

176

20.7

合計

10,533

△6.9

 

(注)  1 海外は生産実績がないため、記載していません。

2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。

3 当連結会計年度において、生産実績に著しい変動がありました。これは、株式会社京樽が当連結会計年度より連結の範囲から除外されたことによるものです

 

b.受注実績

該当事項はありません。

 

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

吉野家

105,978

1.3

はなまる

21,267

8.5

海外

22,495

15.2

その他

3,860

△50.3

合計

153,601

1.4

 

(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しています。

2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。

3 当連結会計年度において、販売実績に著しい変動がありました。これは、新型コロナウイルス感染症の影響および株式会社京樽が当連結会計年度より連結の範囲から除外されたことによるものです

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

 ① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.売上高

 当連結会計年度の売上高は、前年同期に比べて167億47百万円減少となる1,536億1百万円(前年同期比9.8%減)となりました。売上高減少の主な要因は、株式譲渡により株式会社京樽を連結の範囲から除外したこと、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受けてグループ各社で店舗の休業・営業時間の短縮を実施したことです。一方で、テイクアウト、デリバリーの需要獲得を背景に国内事業の既存店売上高の回復やアメリカの既存店売上高が好調に推移したことから、株式会社京樽の連結除外の影響を考慮すると、前年同期に対して増収となりました。(京樽社除外時の前年同期比1.4%増)。

b.営業利益

 当連結会計年度の営業利益は23億65百万円(前年同期は営業損失53億35百万円)となりました。増益の要因は、主として前期から実行しているコスト削減に加え、各セグメントの商品施策による売上総利益高の改善や販売費及び一般管理費の低減に取り組んだことです。

 売上原価は、株式会社京樽の連結除外により、売上高は前年同期に比べて114億74百万円減少したものの、食材ロス管理や原材料価格低減等により、原価率は前年に対し3.4%減少し33.7%となりました。販売費及び一般管理費においては、管理可能経費の削減などに加え、グループ全体でのコスト構造改革による効果等により前年同期に比べて129億73百万円減少し994億24百万円となり、経費率は前年に対し1.3%減少し64.7%となりました。

c.経常利益

 経常利益は156億42百万円(前年同期は経常損失19億64百万円)となりました。これは営業利益に加えて、各自治体からの営業時間短縮に係る感染拡大防止協力金や雇用調整助成金などの助成金等収入131億25百万円を計上したことによるものです。

d.特別利益

 特別利益は、受取補償金5億91百万円を計上した結果、前年同期に比べて5億75百万円増加し6億12百万円となりました。

e.特別損失

 閉店や店舗資産の収益力の低下に伴う減損損失28億40百万円を計上した結果、前年同期に比べて28億73百万円減少し29億20百万円の特別損失となりました。

f.親会社株主に帰属する当期純利益

 法人税、住民税及び事業税38億99百万円、法人税等調整額12億64百万円、非支配株主に帰属する当期純利益53百万円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は81億16百万円となりました(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失75億3百万円)。

 

② 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループにおける主な資金需要は、将来の事業展開や経営基盤強化のための新規出店や既存店舗の改装及び生産設備の増強等によるものです。これらの設備投資資金は、内部留保金の配分とともに、金融機関からの借入金やリース取引により充当しています。なお、借入金のうち、短期借入金は主に営業取引に係る資金調達であり、長期借入金は主に設備投資に係る資金調達です。

手許の運転資金につきましては、グループファイナンスを通じて、国内連結子会社における余剰資金を当社へ集中し、一元管理を行うことで、資金効率の向上を図っています。

また、現預金残高と有利子負債残高を一定範囲にコントロールし、経営環境の変化に対応するための資金の流動性を確保しながら資金管理を行っています。

当社グループにおける当連結会計年度における流動比率は154.4%(前連結会計年度122.4%)となっており、キャッシュ・フロー対有利子負債比率は1.6年となりました。直近5ヵ年における以下の数表の通りです。

 

2018年2月

2019年2月

2020年2月

2021年2月

2022年2月

流動比率

110.2%

106.9%

108.8%

122.4%

154.4%

自己資本比率

49.5%

43.9%

37.9%

30.0%

42.9%

時価ベースの自己資本比率

107.7%

103.6%

109.8%

102.8%

137.5%

キャッシュ・フロー対有利子
負債比率

3.5年

14.0年

3.6年

25.1年

1.6年

インタレスト・カバレッジ・
レシオ

51.3倍

15.6倍

26.9倍

5.2倍

50.4倍

 

 

 ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成に当たりまして、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いていますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。

 

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