課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループ(以下、「アークスグループ」という場合もあります。)は、小売業界における淘汰・再編の動きが加速するなか、クリティカル・マス(企業が存続していくために最低限必要な事業規模)を確保し、経営資源の特大化(膨張=極大化ではなく、成長=特大化を目指す)を図ることが、企業価値の更なる向上と、地域のお客様のライフラインを守る道であるとの共通認識のもと、2002年11月1日にスタートいたしました。

当社グループは、どの様な領域で社会的使命を果たすべきなのかを明確にする基本的な考え方として、「地域のライフラインとして価値ある商品・サービスを低価格で提供し、豊かな暮らしに貢献」していくことを、グループ各社が共有するグループ理念として掲げております。

また、「私たちは何のために存在するのか」という存在意義に関する考え方を表明するコーポレートステートメントとして「豊かな大地に輝く懸け橋(Bridge on the Rich Land for Your Life)」を定めております。これは、各地域にドミナントエリアを築き、多くのお客様へ新鮮で、安全・安心な食品を提供することにより、生産地とお客様を結ぶ懸け橋になりたいという思いと、同じ志を持って事業展開を進めていく地域企業同士が、海外流通資本も含めた大手流通企業に対抗していくための受け皿会社として、企業と企業を結ぶ懸け橋になりたいという思いが込められています。

グループ名「ARCS」は、Always(常に)、Rising(上昇する)、Community(地域社会に)、Service(奉仕する)の頭文字で構成され、「1つひとつの企業が強い“弧”となり、大きな円=ARCSを創りあげ、地域社会に貢献していく」ことをうたったもので、経営の基本理念とコーポレートステートメントを体現したものであります。

当社グループは、徹底した顧客志向に基づくお客様への奉仕の精神を持ち続け、将来の大同団結に向けた母体企業としての役割も認識しながら、更なる事業の発展を目指してまいります。

 

(2) 中長期的な経営戦略

当社は、グループのシンクタンク的な役割を担う持株会社として、「中核企業としての業務執行責任の明確化と意思決定のスピードアップ」、「遂行課題を絞り込んだ企業横断的な委員会、プロジェクトの活用」、「グループ統一の情報システムによる効率化と効果的なコスト運用」、「既存組織の見直しと再編成」そして「グループ統一の人材開発育成と統一人事制度」を主要テーマに、グループ全体の業務改革に取り組んでおります。

具体的には、執行役員制度に基づき、権限と責任の明確化を図ると共に、各々の事業領域における意思決定の権限をグループ各社に適切な範囲で委譲し、グループ全体の経営資源の使用に関する決定などの戦略的な経営機能を当社へ集約しております。

当社グループは「八ヶ岳連峰経営」を標榜し、旧来型の垂直的な企業統合からイメージされる富士山のように高い大きな企業グループを目指すのではなく、同じような規模の山々が横に連なることで、企業とお客様の距離を短く保ち続けることを目指しております。2019年10月に稼働した当社グループの新基幹システムは地域毎の独自色が強い食品スーパーマーケットの特殊性と、業務の統一化を両立させた業界標準たりうるシステムプラットフォームであり、「八ヶ岳連峰経営」の更なる深化に資するものであります。新基幹システムの活用によりグループシナジーを拡大し、地域に密着した流通企業グループとして継続的に成長し続けてまいります。また新基幹システム活用と並行して商流改革や物流改革、顧客管理の手法の強化、並びに後方業務の集約における定量的な効果創出に向けて業務改革・組織改革に継続して取り組み、グループシナジーの追求及びそれぞれの地域におけるシェア拡大に努めてまいります。

組織・管理面におきましては、アークス事務集中センターを中心に、グループ各社の後方業務の集約を進めており、シェアードサービスセンターの機能強化に向けて、グループ各社の経理、人事業務の一層の効率化を図ってまいります。また2021年11月に設置された「SDGs推進委員会」について、時限目標に捉われない永続的な活動を推進していくため、名称を2022年3月に「サステナビリティ推進委員会」に変更し、グループ各社が横断的に環境対応・社会貢献・ダイバーシティ推進の活動を深化させ、持続可能な社会の実現とグループの成長を目指し、地域における未来への懸け橋としての社会的役割を果たしてまいります。

2018年12月に株式会社バローホールディングス、株式会社リテールパートナーズ及び当社の3社間で結成した「新日本スーパーマーケット同盟」につきましては、それぞれの展開エリアを越え、食品流通企業の全国的な結集軸として業界再編の中心核になることを目指しており、結成からの3年を経て4つの分科会活動のもと具体的な相乗効果を実現するための取り組みを進めてまいりました。厳しさを増す経営環境下ではあるものの、今後も将来にわたり生き残りを図り、地域のライフライン企業として地域の食文化・食生活を守っていくことで、食品スーパーマーケットとしての共通課題へ適切に対処すると考え、ビジネスモデルの革新に向けて取り組んでまいります。

 

(3) 優先的に対処すべき課題

当社グループを取り巻く経営環境につきましては、消費者の生活防衛意識の高まりによる価格競争の一層の激化に加え、仕入価格やエネルギー価格などコスト上昇が見込まれ、厳しい経営環境が継続することで、業界再編の動きも加速することが予想されます。

このような状況のもと、当社グループは「環境変化に適応 厳正な行動力と誠意ある言葉 思い遣りの心で生命線を護る」を年頭方針として掲げ、地球環境や地域社会への責任を確り果たし、お客様の豊かな暮らしに貢献すべく事業活動に努めてまいります。

デジタルトランスフォーメーションにつきましては、「DX推進委員会」を軸に、新基幹システムの利活用や高度化による販売力の強化、お客様の利便性向上、予約販売業務のデジタル化など、業務の効率化を引き続き推進することに加えて、「アークス オンラインショップ」の対象エリア拡大とグループ各社への横展開及びお客様が店舗内でカートやスマホを利用し商品をスキャンするセルフレジシステムの導入などにも取り組んでまいります。また後方管理業務につきましては、グループ間の業務円滑化のためメール、掲示板、スケジュール帳などの機能を統合したグループウェアの導入、稟議書や出張申請などの電子化などにより、後方業務の効率化を図り、グループ各社の更なるシステムシナジーを追求してまいります。

アークスRARAカードにつきましては、「マーケティング推進プロジェクト」が中心となり、自社アプリの更なる機能拡充のほか、キャッシュレス決済の拡大を図るため、各種QR/バーコード決済の導入にも取り組んでまいります。これらを通してアークスRARAカードの購買情報と連携したデジタルマーケティング戦略を一層強化、推進してまいります。

サステナビリティ推進活動につきましては、当社のみならずグループ各社にもそれぞれ「サステナビリティ推進委員会」を設置し、グループ各社固有の取り組みとグループ全体の推進活動を融合させ、従来以上にグループ一丸となった活動を展開してまいります。また、新日本スーパーマーケット同盟における3社共同のセミナー開催や、CO2やフードロス削減に関する情報共有を行い、同盟全体でのサステナビリティ推進活動も強化してまいります。加えて「TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)」の枠組みに基づくガバナンス・戦略・リスク管理・指標と目標の開示も進めてまいります。

 

(4) 目標とする客観的な指標等

当社グループは、主要経営指標のなかでも特に、総資産経常利益率(ROA)と総資産回転率を重視しており、ROA10%以上、総資産回転率3回転以上を中長期的な目標にしております。毎期継続した利益成長と資本の効率的な運用を図ることで、自己資本当期純利益率(ROE)の向上にも努めてまいります。

 

(5) サステナビリティ推進方針及びサステナビリティに関する重点課題

持続可能な社会の実現に向けた活動の重要性が一段と増すなか、アークスグループは、「地域のライフラインとして価値ある商品・サービスを低価格で提供し、豊かな暮らしに貢献します」というグループ理念のもと、当社並びにグループ各社が一丸となってこれらの活動を更に深化させ、事業活動を通じてサステナビリティ経営を推進するための指針として、サステナビリティ推進方針及びサステナビリティに関する重点課題を策定しております。

 

 

 

 

 

 

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①サステナビリティ推進方針

私たちアークスグループは、「地域のライフラインとして価値ある商品・サービスを低価格で提供し、豊かな暮らしに貢献します」というグループ理念のもと、事業活動を通じてステークホルダーの皆様とともに持続可能な社会の実現とグループの成長を目指し、地域における未来への懸け橋としての社会的役割を果たしてまいります。

 

②サステナビリティに関する重点課題と取り組みの方向性

 

重点課題

取り組みの方向性

お客様の豊かな暮らしへの貢献

多様化するお客様ニーズへの対応

リアルとデジタルの融合によるお客様の利便性・満足度向上

食を通じたお客様の健康促進

地域社会との共生

産・学・官連携による地域活性化

地産地消を通じた豊かな食文化への貢献

店舗における地域コミュニティ機能の発揮

地球環境への配慮

気候変動への対応

つくる責任・つかう責任・へらす責任

ダイバーシティ&

インクルージョンの推進

全ての人がイキイキと自分らしく活躍できる魅力ある職場づくり

 

③地球環境への配慮に係る具体的な取り組み

当社グループのサステナビリティに関する重点課題の一つである「地球環境への配慮」につきましては、具体的な取り組みの方向性として、「気候変動への対応」「つくる責任・つかう責任・へらす責任」を掲げております。

既に実施している具体的な取り組み事例としましては、電気使用量の監視や冷凍ケースの温度設定変更、設備の更新・新規導入などによるCO2の削減推進や、北海道CGCみどりとこころの基金への寄付を通じた植林等の環境保全活動、食品廃棄物や廃油のリサイクル、再利用原料を使用した食品トレーの導入などがあげられます。今後、このような持続可能な社会づくりに向けた活動を、グループ各社においてより一層深化させてまいります。

 

④TCFD提言への対応

「TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures:気候関連財務情報開示タスクフォース)」提言への対応につきましては、気候変動がもたらす事業活動に係る重要なリスクと機会について、シナリオ分析に基づく対応策の立案・検討・実施、KPIの設定・モニタリング、ステークホルダーへの開示・広報を通じて、すなわち、Plan(計画)、Do(実行)、Check(チェック)、Disclosure(開示)、Action(対策)の「PDCDA」サイクルを回していくことにより、2050年の脱炭素社会実現に貢献する取り組みを進めてまいります。

a.ガバナンス

当社グループは、気候変動問題をグループ横断で取り組むべき重要課題と考え、当社取締役副社長執行役員を委員長とするサステナビリティ推進委員会において取り組みの管理を行っております。サステナビリティ推進委員会は、当社及びグループ各社のメンバーで構成されており、原則四半期に1回以上の頻度での開催を予定しております。

サステナビリティ推進委員会は、気候変動問題に関わる方針や目標の設定の他、実績・進捗の管理、各種取り組みの推進を実施し、その状況につきましては年1回以上、取締役会に報告いたします。

なお、当社グループのサステナビリティ推進活動を、より一層迅速かつ強力に推進するため、2022年6月1日に、当社代表取締役社長直轄の組織として、サステナビリティ推進室を新設いたします。

b.リスク管理

当社グループ全体のコンプライアンス及びリスク管理を統括する組織として設置された「コンプライアンス・リスク管理委員会」は、当社代表取締役社長が委員長となり、全役職員に関連法令やグループ理念・行動規範についての教育を行い、コーポレート・ガバナンスやコンプライアンスに関する基本事項を周知徹底しています。気候変動に係るリスクにつきましても、グループ全体のリスク管理体制の下で管理すべく、サステナビリティ推進委員会とコンプライアンス・リスク管理委員会とが密接に情報連携を図っております。

 

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c.戦略

当社グループでは、気候変動がもたらす事業活動に係る重要なリスクと機会の明確化に向けて、信頼性のある外部機関によるシナリオ群を活用しつつ、「脱炭素シナリオ(1.5℃~2℃)」、「温暖化進行シナリオ(2.7℃~4℃)」の2つのシナリオ分析を進め、重要なリスク(移行リスク、物理的リスク)と機会に対する主なインパクトを想定し、費用対効果を考慮のうえ対応策を定め、財務インパクトを測定してまいります。

d.指標と目標

当社グループでは、サステナビリティ推進方針に掲げる「持続可能な社会の実現とグループの成長」を目指し、「社会・環境価値」、「経済価値」の両面における持続的な価値向上を図るよう、当社グループが事業展開する食品スーパーマーケットチェーンの事業活動に密接に関連する気候変動に係るKPIを設定し、モニタリングを行ってまいります。

 

⑤ダイバーシティ&インクルージョンの推進

当社グループは「ダイバーシティ&インクルージョンの推進」についてもサステナビリティに関する重点課題の一つであると認識しており、取り組みの方向性として「全ての人がイキイキと自分らしく活躍できる魅力ある職場づくり」を掲げております。2019年に発足した「ダイバーシティ推進プロジェクト」の活動を通じて、多種多様な人材が能力を最大限発揮できる機会を提供し、多様化するお客様のニーズや、雇用環境の変化にも対応することで、当社グループの持続的な成長を目指してまいります。

 

 

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