業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概況

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けるなかで、個人消費の落ち込みの影響は残るものの、景気は徐々に持ち直しの動きが続いております。

 このような状況のなか、アシードグループは当年度に刷新したグループビジョン「ASEEDING THE FUTURE 人、地球、未来 ― すべての笑顔と健康のために」のもと、3つの重要なグループ成長戦略として①ブランド創造企業への挑戦、②既存事業の構造改革、③新規投資の推進に着実に取組んでまいりました。そのなかで本年1月28日に自販機運営リテイル事業の連結子会社間の合併を決議すると共に、3月17日に宝積飲料 志和工場の製造設備更新を決議しました。今後ともスピード感を持った改革に取り組んでまいります。

 なお、当連結会計年度において、自販機等の有形リース資産及びのれん等について減損損失を計上し、また、繰延税金資産の取崩しを行いました。

 この結果、当連結会計年度の資産合計は15,112百万円(前連結会計年度末比 513百万円増)、負債合計は10,008百万円(同 745百万円増)及び純資産は5,104百万円(同 232百万円減)となりました。

 また、当連結会計年度の経営成績は、売上高19,282百万円(前年同期は23,931百万円)、営業利益647百万円(同 429百万円)、経常利益903百万円(同 640百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益178百万円(同 304百万円)となりました。

 なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。そのため、当連結会計年度における経営成績に関する説明は、前年同期比(%)を記載せず説明しております。詳細は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。

 収益認識に関する会計基準等の適用により、自販機運営リテイル事業の売上高が331百万円、飲料製造事業の売上高が5,842百万円減少しております。

 また、当連結会計年度より、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報)」に記載のとおり、事業セグメントの区分を変更しております。前年同期の数値については変更後の区分で組み替えた数値を記載しております。

 セグメントの経営成績は、次のとおりであります。なお、売上高は外部顧客への売上高を記載しております。

イ. 自販機運営リテイル事業

 自販機運営事業につきましては、当連結会計年度は前年並みの売上にとどまり、収益面では厳しい状況が続いております。このため2022年10月1日付で連結子会社間の合併を実行し、システムや本社部門の統合によって、効率的かつ強固な経営基盤を再構築するとともに、全国のお客様へより便利で美味しい商品の提供体制を築いてまいります。

 アシードブランド商品を小売店等へ販売する飲料ウェルネスの事業としては、2021年9月に健康意識の高まりや拡大している家飲み需要向けにノンアルコールのハイボールやスパークリングワインを発売し、2022年2月には目を酷使する若者層を主なターゲットとしてビルベリーのエキスを配合した大容量エナジードリンク「デーモン」を発売し好評いただいております。

 この結果、自販機運営リテイル事業の売上高は12,391百万円(前年同期は11,981百万円)、セグメント損失は54百万円(同 88百万円のセグメント損失)となりました。

ロ. 飲料製造事業

 飲料製造事業のOEM・ODMは大手ブランドメーカーの厚い信頼を得て、着実に伸長しています。特に新型コロナウイルスの感染対策が徐々に緩和され、パウチ商品の製造数も増加しました。この状況のなか、3月に決議しました宝積飲料 志和工場の缶充填ライン設備更新により、RTD(缶を開けたらすぐ飲める低アルコール飲料)で代表的な350ml缶、500ml缶への充填が可能になることで多様なニーズに応えられる体制を構築し、缶・ビン炭酸飲料の能力を年間200万箱から400万箱に向上させる予定です。

 この結果、飲料製造事業の売上高は6,582百万円(前年同期は11,795百万円)、セグメント利益は872百万円(同 816百万円)となりました。

ハ. 不動産運用事業

 不動産運用事業につきましては、当社及びアオンズエステート株式会社を中心に所有不動産の運用を行っており、不動産運用事業による売上高は135百万円(前年同期は150百万円)、セグメント利益は205百万円(同 185百万円)となりました。なお、売上高はセグメント間の内部売上高218百万円を含めると354百万円となります。

 

ニ. その他事業

 その他事業につきましては、ロジックイノベーションへの物流部門の引き合い増加を受け、物流品質の向上に努め倉庫内外の環境整備に一段と力を入れております。

 この結果、その他事業の売上高は172百万円(前年同期は4百万円)、セグメント利益は3百万円(同 13百万円のセグメント損失)となりました。

② キャッシュ・フローの状況

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は、922百万円(前年同期比31.2%減)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益646百万円、減価償却費657百万円、減損損失251百万円、長期前払費用の減少額106百万円及び仕入債務の増加額248百万円等によるものであります。一方で、持分法による投資利益122百万円、売上債権の増加額277百万円、未払消費税等の減少額178百万円及びその他の負債の減少額178百万円等による資金の減少がありました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、481百万円(同234.8%増)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出645百万円及び定期預金の預入による支出76百万円等によるものであります。一方で、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入125百万円及び定期預金の払戻による収入104百万円等による資金の増加がありました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は、509百万円(同49.6%減)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出1,048百万円、リース債務の返済による支出340百万円、配当金の支払額148百万円及び自己株式の取得による支出331百万円等によるものであります。一方で、短期借入金の純増額360百万円及び長期借入れによる収入1,000百万円による資金の増加がありました。

 この結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ64百万円減少し、当連結会計年度末には852百万円となりました。

③生産、受注及び販売の状況

イ.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

飲料製造事業

 

 

 

炭酸飲料(百万円)

2,880

108.5

 

非炭酸飲料(百万円)

1,678

103.3

 

低アルコール飲料(百万円)

7,514

105.6

 

ソフトパウチ飲料(百万円)

728

101.2

合計(百万円)

12,802

105.7

(注)1.上記金額は酒税、有償支給された材料代込みの販売価格によるものであります。

2.自販機運営リテイル事業・不動産運用事業・その他事業において生産活動は行っておりません。

ロ.受注状況

 当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

飲料製造事業

 

 

 

 

 

炭酸飲料

2,774

103.5

178

65.4

 

非炭酸飲料

1,678

103.3

 

低アルコール飲料

7,485

104.5

452

93.6

 

ソフトパウチ飲料

744

111.6

105

118.3

合計

12,683

104.5

737

87.2

(注)1.上記金額は酒税、有償支給された材料代込みの販売価格によるものであります。

2.自販機運営リテイル事業・不動産運用事業・その他事業において受注生産は行っておりません。

ハ.商品仕入実績

 当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

自販機運営リテイル事業(百万円)

6,098

合計(百万円)

6,098

(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2.飲料製造事業において商品仕入活動を行っておりますが、金額に重要性がないため記載しておりません。また不動産運用事業・その他事業においては商品仕入活動を行っておりません。

3.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しているため、前年同期比(%)は記載しておりません。

ニ.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

自販機運営リテイル事業(百万円)

12,391

飲料製造事業(百万円)

6,582

不動産運用事業(百万円)

135

その他事業(百万円)

172

合計(百万円)

19,282

(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しているため、前年同期比(%)は記載しておりません。

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2022年6月22日)現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)及び(追加情報)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。

 なお、新型コロナウイルス感染症の影響等不確実性が大きく、将来事業計画等の見込数値に反映させることが難しい要素もありますが、期末時点で入手可能な情報を基に、検証等を行っております。

(事業用固定資産の減損処理)

 当社グループでは、減損の兆候がある資産グループのうち、収益性の低下により割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回ることとなった資産グループについては、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。割引前将来キャッシュ・フローにつきましては、翌期の業績計画数値を基礎としており、業績計画数値策定においては販売予測や経費削減策等の仮定を用いております。減損の兆候の把握、減損損失の認識並びに測定にあたっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合減損処理が必要となる可能性があります。

② 財政状態の分析

イ.流動資産

 当連結会計年度末の流動資産の残高は5,531百万円となり、前連結会計年度末に比べ268百万円増加いたしました。これは現金及び預金の減少61百万円、受取手形及び売掛金の増加320百万円、原材料及び貯蔵品の増加24百万円、前払費用の減少46百万円及びその他の増加30百万円等によるものであります。

ロ.固定資産

 当連結会計年度末の固定資産の残高は9,581百万円となり、前連結会計年度末に比べ、244百万円増加いたしました。これは建物及び構築物(純額)の増加132百万円、機械装置及び運搬具(純額)の増加208百万円、土地の増加45百万円、リース資産(純額)の減少375百万円、投資有価証券の増加173百万円及び投資その他の資産におけるその他の増加56百万円によるものであります。

ハ.流動負債

 当連結会計年度末の流動負債は7,678百万円となり、前連結会計年度末に比べ421百万円増加いたしました。これは買掛金の増加293百万円、短期借入金の増加360百万円、1年内返済予定の長期借入金の増加80百万円、未払法人税等の増加57百万円、未払消費税等の減少164百万円及びその他の減少199百万円等によるものであります。

ニ.固定負債

 当連結会計年度末の固定負債の残高は2,330百万円となり、前連結会計年度末に比べ324百万円増加いたしました。これは長期借入金の増加459百万円、リース債務の減少161百万円及びその他の増加19百万円等によるものであります。

ホ.純資産

 当連結会計年度末の純資産合計は5,104百万円となり、前連結会計年度末に比べ232百万円減少いたしました。これは親会社株主に帰属する当期純利益による増加178百万円、自己株式の増加による減少322百万円及び剰余金の配当による減少148百万円等によるものであります。

③ 経営成績の分析

イ.売上高

 自販機運営リテイル事業は、テレワークの定着したオフィスや集客が遅れる観光地やレジャー施設などのインドア・ロケーションを中心に販売数量の低迷が続き収益面では厳しい状況が続いており、12,391百万円の売上高となりました。飲料製造事業は大手ブランドメーカーの厚い信頼を得て缶チューハイ等のOEM、ODMが着実に伸長するとともに、パウチ製品の製造数も増加しました。収益認識基準の適用により、有償支給された原料代、酒税を除いた純額で収益認識を行うこととしたことで、6,582百万円の売上高となりました。不動産運用事業は、グループ物流施設稼働による賃料収入の減少などにより135百万円、その他事業はロジックイノベーション株式会社の物流事業の増加などで168百万円増の172百万円の売上高となりました。

 

ロ.売上原価、販売費及び一般管理費

 売上原価につきましては、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用し、従来売上原価に含めていた有償支給された原材料の仕入高、酒税等を除いた純額での表示に変更した影響が大きく、4,987百万円の減少となりました。

 販売費及び一般管理費につきましては、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用したことにより売上高が大きく減少したため、販売費及び一般管理費が売上高に占める比率は、前連結会計年度と比較して7.6%増加いたしました。

ハ.営業外収益、営業外費用

 営業外収益は、前連結会計年度に比べ34百万円増加し、330百万円となりました。その主な要因は、投資事業組合運用益の増加32百万円、助成金収入の減少83百万円、持分法による投資利益の増加47百万円及びその他の増加18百万円によるものであります。

 営業外費用は、前連結会計年度に比べ11百万円減少し、73百万円となりました。その主な要因は、支払利息の減少5百万円、投資事業組合運用損の減少9百万円及びその他の増加4百万円によるものであります。

ニ.特別利益、特別損失

 特別損失として、自販機等リース資産、のれんを減損処理し、減損損失251百万円を計上いたしました。

④ 経営戦略の現状と見通し

 新型コロナウイルス感染拡大を受けた人流の抑制は解除に向かうものの、来日客を見込んでいる観光・レジャー施設の低迷やテレワーク定着によるオフィス内需要減退の影響を受け、経営の見通しは困難な状況でありますが、当社グループの経営戦略の柱は、当社独自のビジネスモデルを展開することで他社との差別化を図ることであります。具体的には、「フルライン自販機への集約」、「自社ブランド商品の強化」、「本格オフィスコーヒーカフェバーの展開」に加え、フルライン自販機にカップコーヒーや食品・物販等の自販機をセットにした「スマートストア」の強化を図ってまいります。特に、フルライン自販機につきましては、飲料メーカー数台分の売れ筋商品を1台の自販機に集約することで、過剰に設置された自販機の消費電力の削減を図るとともに、景観保全にも積極的に取組んで社会的使命を果たしてまいります。

 自販機運営リテイル事業は引き続き異業種との競争激化や労務問題によるコストアップ等により厳しい事業環境が続く一方、飲料製造事業では資材・原材料高、電力・燃料費の高騰で予断は許さないものの、適切な価格転嫁を実行しながら、ODM営業の強化と安定的・効率的な生産体制の構築に取り組むとともに、ソフトパウチ飲料の製造により収益率の向上を図ってまいります。

⑤ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社グループの資金状況は、営業活動によるキャッシュ・フローでは、前連結会計年度と比較して、419百万円減少の922百万円のキャッシュを得ております。その主な要因は、税金等調整前当期純利益、減価償却費、投資有価証券評価損及び長期前払費用の減少による収入等によるものであります。支出については、仕入債務の減少、その他負債の増加等による支出によるものであります。
 投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比較して、338百万円支出が増加し481百万円を支出しております。その主な要因は、飲料製造事業における製造設備新設や不動産運用事業における賃貸用土地、建物を中心とした有形固定資産の取得、定期預金の預入、投資有価証券の取得等による支出及び定期預金の払い戻しによる収入等によるものであります。
 財務活動によるキャッシュ・フローでは、前連結会計年度と比較して、501百万円支出が減少し509百万円の支出となりました。その主な要因は、短期借入金の純増減額及び長期借入による収入によるものであります。

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、経営環境や金利動向を考慮しながら、「必要な資金を、安定的に調達すること」を基本方針とし、事業運営上必要な資金の確保及び経済環境の急激な変化に耐えうる流動性維持に努めております。

 調達手段として、長期運転資金及び設備投資資金については、営業活動により得られたキャッシュ・フロー及び金融機関からの長期借入を基本とし、短期資金需要については、営業活動により得られたキャッシュ・フロー及び金融機関からの短期借入を基本としております。借入については、グループ会社で一元化することにより有利子負債の削減、安定的かつ効率的な資金調達を心掛けております。

 

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